藍色の空の下〜2〜『藍の淑女』






 PREPLAY〜GMすがたけ思案中〜


 GMことすがたけはちょっと焦っていた。前回はPC3人予定が2人になり、2人+NPCという構成だったのが、今回はプレイヤー4人……一気に倍である


 まぁ、字のサイズを倍にしてもどうしようもないし、本来のプレイからすれば、4人が一番戦闘のバランスを取りやすいのだが、3人を想定してシナリオを作っていたので、会長から頂いたメールにあった『プレイヤーは4人』という言葉には正直目を疑ってしまった。


 急場しのぎでシナリオの調整をするが、どうしても登場機会にばらつきが出てしまう。


 よし、今回はそれなりにきびしめの戦闘をやってみよう。敵の数は多めに設定するけど、エフェクトの取り方次第では楽に終わるし、どうにかなるだろう。





 ―― しかし、GMすがたけは長年のGM経験からなんら学習していなかった。


 シナリオというものは、絶対にGMの思惑通りに進んでくれないものなのだという、RPGの最大の真理を。





 てか、いい加減学習しろよ。





何はともあれ、前回参加の二人に合わせて今回のプレイに参加するのはこの二人のプレイヤー。





≫はせがー:サークルの中で最も個性的なネーミングセンスの持ち主。てか、『カイ・オー』とか、『ゲンタ・オーガミ』とかならまだしも、『黒ピーター』って(すべてファンタジー系のキャラの名前)……マジにどんなセンスなのか、疑いたくなることこの上ない(笑)。プレイスタイルは、なぜか前衛で盾や壁となるキャラクターを多く担当する。


 なお、彼がGMになってのシナリオは経験したことはないので、GMスタイルは不明。





≫クボケン:TRPGサークル『テーブル・ネットワーク』の誇る兄弟ユニットブラザーズ”の兄。クレバーかつテクニカルなプレイやマスタリングを得意とするサークル有数の頭脳派であり、ツッコミ担当。


 というか、ソードワールドRPGのレーティング表(ややこしい)をあらかた把握できる辺り、どんな脳味噌をしているのか調べてみたいところである(笑)。





クボケン:えっと……皆さんとキャラが被らないようにしたいんですが―― どんなキャラクターがあるんでしょうか?


GM:(ルールブックを渡しつつ)ああ……ひとまず前回参加者のお二人は白兵系キャラと射撃系キャラを担当しています。あと、もう一人どちらかに担当していただきたい支援系キャラが―― 。


クボケン:(聞いていない)エンジェルハイロゥ……ブラックドッグ―― なるほどなるほど。


はせがー:(聞いていない)モルフェウスってどんな能力なんですか?


会長:モルフェウスってのは物質を別のものに変化させるキャラですね。先輩のキャラがモルフェウスでしたよね。


 それにしても、先輩のキャラって物質創造系と漫画的な天才系だから……あざといなぁ(笑)。


GM:いや……だから、引き継いでほしいキャラがいるんですが―― 。





 何はともあれ、大騒ぎの末にキャラクターは完成した。


 なお、新規参入プレイヤーのどちらかに引き継いでほしかったキャラクターである『黒崎貴行』は、キャラクターシートすらも認識されることなく、NPCと化してしまった。_| ̄|○しくしくしくしく


 ―― まぁ、実際のところ、キャラメイクをするのもRPGの面白さの一つだから、キャラを作りたい、というプレイヤーの意図を無視することは出来ないんだけどね(笑)。とはいえ……黒崎がPCにいることを想定してシナリオを作っていたのに、この場で変更しなければいけないってのは、GMとしては痛いなぁ(笑)。





PC@:羽鳥真琴/コードネーム:『ピュア・カタストロフィ』


成長→エフェクト;鬼の一撃(パワーによって、強引に相手のガードを突き破るエフェクト。『白兵』のクリティカル値を[LV(ただし、最大で3)]分マイナスする)1LV、ハンティングスタイル(マイナーアクション(判定の必要のない、準備段階に値するような行動)を平行して二つ行えるようにするエフェクト)1LVを修得





PCA:牧場広志


成長→エフェクト;アーマークリエイト(物質を変質させ、そのシーンの間有効な鎧を作り上げるモルフェウスのエフェクト。装甲値は6+[LV×2]となる)2LVを修得





PCB:陽賀寧路(ようが・ねろ)/コードネーム:『高圧電線』


カヴァー/ワークス;UGNエージェントC/研究者


シンドローム;エグザイル/ブラックドッグ


エフェクト;スタンボルト(武器や腕に電気を纏わりつかせることでダメージを与えた相手を痺れさせ、動きを阻害するブラックドッグのエフェクト。これでダメージを受けた相手の状態を『眩暈』にすることが出来る)2LV伸縮腕(身体をゴムのように伸ばすことで、射撃でしか届かないような本来の間合いの外であっても攻撃を可能にする、エグザイルのエフェクト。白兵攻撃の判定に使用するダイスの数を[LV]個増やすことが出来る)1LV雷の牙(武器を帯電させることによって起きる放電現象そのものを武器と化す、ブラックドッグのエフェクト。相手の避けにダイスの数を[LV]個減らすことが出来る)2LV、異形の踊り(回避判定に[LV×2]個のダイスボーナスを得ることが出来る、エグザイルのエフェクト。他のエフェクトには不可能な柔軟な動きによって、相手の攻撃を回避することが出来る)1LV、貪欲なる拳(ありえない方向に四肢を曲げることによって、白兵戦闘を有利に進めることの出来るエグザイルのエフェクト。白兵の判定に対して[LV×2]個ダイスを増やすことが出来る)2LV





 UGN藍空支部の研究班に属する研究員であり、エージェントとしての顔も持つ男。天涯孤独の身の上であり、幼い頃から施設で育ってきたが、その孤独を癒す『光あかり』という恋人の存在がある。ただし、その名前とは裏腹に彼女の目は光を持っていない。彼が本来ならば不向きな研究畑にいる理由は、恐らく彼女の光を取り戻すためであろうと思われる。





PCC:粟飯原裕樹(あいはら・ゆうき)


カヴァー/ワークス;記者/記者


シンドローム;エンジェルハイロゥ/ソラリス


エフェクト;ウサギの耳(聴覚の性能を意識的に高めることで、知覚の判定に対して[LV]個のダイスを増やすことが出来るエンジェルハイロゥのエフェクト)1LV、神の眼(洞察力で相手の動きを知覚し、相手の攻撃を躱すことが出来る、エンジェルハイロゥのエフェクト。『知覚』技能で『回避』の代用を可能とする上、その際のダイスを[LV−1]個増やすことが出来る)1LV、暗き明かり(闇に包む、もしくはハレーションを起こすことで、相手の視覚を奪い、相手の動きを阻害するエンジェルハイロゥのエフェクト。これを組み合わせた攻撃によってダメージを受けた相手の状態を『眩暈』状態にすることが出来る。)1LV、幻惑の光(光によって、相手の運動機能を麻痺させる催眠術をかけるエンジェルハイロゥのエフェクト。『意志』による対決に負けた対象の【肉体】【感覚】の技能判定に、1シーンの間[LV]個のダイスペナルティを与えることが出来る)1LV、アクセル(運動神経を増強する物質を生成することで、対象のセカンドアクションを可能にするソラリスのエフェクト)1LV、癒しの水(接近距離の対象に対して、達成値の10の位+1DのHPを回復することの出来る塗布性の薬物を精製するソラリスのエフェクト)1LV、竹馬の友(幻覚物質を利用し、『意志』の対決に負けた対象の信頼を得るソラリスのエフェクト。1セッションに[LV+1]回使用でき、1シーンの間この効果は持続する)1LV、中和剤(ソラリス・シンドロームのエフェクト効果を打ち消すことの出来る中和剤を生成することが出来る、ソラリスのエフェクト)1LV





 長崎県出身の元新聞記者。幼い頃に大病を患ったことをきっかけにオーヴァード能力に目覚め、その能力をこっそり使用してよく特ダネを得ていたが、現在はフリーとなり、主にゴシップ誌『週刊レーザー』に記事を持ち込んでいる。陽賀とは大学時代の先輩後輩である。





GM:結局、キャラ作成に時間がかなりかかりましたが、ハンドアウトを読み上げます。例によって、最初は真琴から!





羽鳥真琴…ロイス:日野ゆう菜 P/N;幸福感/劣等感


 『長瀬の反乱』から三日……真琴は憂鬱だった。


 事件の時に出会った神崎真白について引っかかりがない、といえば嘘になる。


鬱屈した気分を解消しようとトレーニングに打ち込もうにも、訓練教官である青戸は出張ということで不在である。


 だが、それよりも憂鬱にならざるを得ない理由があった。


 朝のホームルームでの担任の言葉が思い出される。


「あー、突然だが……日野が今週一杯で転校することになった」


 世界が、暗転したような気がした。





 牧場広志…ロイス:『神崎の娘』 P/N;好奇心/脅威


『長瀬の反乱』の四日後、牧場は刑事課長に呼び出されていた。


 週末に大阪出張に行くように、との辞令だ。


 急な出張に、牧場は志を同じくする警視庁キャリアの絡んだ、『もう一つの仕事』の予感を感じていた。





 陽賀寧路…ロイス:青戸洋 P/N;連帯感/恐怖


『長瀬の反乱』の翌日、霧谷から受けた「大阪で目撃された『神崎の娘』を確保、もしくは排除して欲しい」という指示に併せて、陽賀の直属の上司である黒崎はその右腕とも言うべきエージェントであり、訓練教官を兼任する青戸洋を大阪に送り込んでいた。


 だが……青戸からの連絡が途絶えた。


 藍空支部に所属するエージェントの中でもエースとも言うべき青戸の失踪に、陽賀の胸に厭な予感が走る―― そして、こういう時の予感というものは、えてして当たるものだった。





 粟飯原裕樹…ロイス:『レディ・オブ・ネイヴィ』 P/N;執着/脅威


 ゴシップ誌の記者として全国を飛び回る粟飯原はその日、全国的にも注目されている医療過誤の裁判の取材のために大阪に飛んでいた。


 そして、その取材の中で訪れた大学病院での光景が、粟飯原を非日常の世界へと誘っていった。





真琴:「ああ……ゆう菜さんが転校してしまう」―― って、ちょっと待った!初期ロイス(PCが作成された時に持つロイス。三つ持てる)とシナリオロイス(シナリオを開始する時に持つロイス。一つを渡される)が一緒っていうことは、ゆう菜さんのロイスがタイタスに変化したら、ロイスが一気に二つ消えません?


GM:ああ、その時には消えますね(にっこり)。





 ―― 作品を知らない人にアナウンス。ロイスは一シナリオで七つまでしか持てません。そして、シナリオの中でもしもロイスをタイタスに変化させてしまったら、爆発的な力を得ることが出来る代わりに、そのロイスとの絆も喪われたとみなされ、人に立ち戻ることが出来なくなる可能性が出てきてしまいます。真琴はそれを恐れているのです。





真琴:怖えぇー!!システム的な攻撃仕掛けてきたよ、このGM!!


GM:まぁ、どうなるかは進行次第、ということですよ(にやり)。





 ―― ええ、そのためにキャラクターシートをしっかり見させていただきましたよ(笑)。





GM:なにはともあれ、今からオープニングに入りますよ〜♪





OPENING PHASE


01 青春の巷 シーンプレイヤー:羽鳥真琴


 担任のその言葉は、真琴にとってあまりにも突然だった。





GM:それでは、これよりダブル+クロス『藍色の空の下』第二話を開始します!


 シーンプレイヤーは真琴!


「あー、突然だが……日野が今週一杯で転校することになった。この時期だし、残念なんだが、みんなも知ってのとおり、お父さんにご不幸があったからな」


 ちょうど三日前……前回のシナリオの時なんですが、真琴の憧れの存在である日野ゆう菜さんの父親が交通事故に巻き込まれてなくなった、という事件があったんですよ。で、彼女は早くに母親を無くして、父一人、子一人で生活していたから、大阪の伯父さんの家に引き取られる、という運びになったんです。


真琴:すると、当然葬儀には参列したんですよね。


粟飯原:もちろん、生徒は制服を着て参列したんですよ。


GM:わはは、そうそう(笑)。





 ―― うわぁ、ノリいいなぁ……こんな『演技重視』のシステムはむしろ苦手って聞いてたのに。





GM:で、休み時間の間はゆう菜さんの周りには女子で出来た黒山の人だかりが出来ていますが……その視線は時々真琴に向けられています。『早く行けっ!告れっ!』という感じで(笑)。


真琴:ぐあ〜〜〜〜!!皆知ってるんですかー(爆笑)!!


GM:もちろん、バレバレです。クラス全員が知りまくってますよ。ただし、当然ながら知らないのは当人だけ(笑)


粟飯原:すると、そのうち『中学○日記』のように女子のリーダー格がやってきて、「ちょっと羽鳥くん!あんたこっちに来なさいよっ!!」とか言って強引にゆう菜さんの前に引っ張っていく、ということですか(爆笑)!!


真琴:いや、それは厭ですから、ゆう菜さんの周りに人がいないタイミングを見計らって動きます。「え……えっと……日野さん!」


GM:「あ……何?羽鳥くん?」


 で、その動きを察したクラス全員の視線が、一斉に『ざっ!!』という感じでそこに集中します(笑)。


粟飯原:当然、男子生徒は『健闘を祈る!!』と真琴に向けて敬礼したり、『漢になって来い!!』とサムズアップしている訳ですよねっ(一同爆笑)!!


GM:当然です(一同爆笑)!!


真琴:もちろんここでは告白出来ません。日野さん……は、は……ハマチの刺身って、おいしいですよねっ!


粟飯原:それを聞いたクラスメイト達は、全員すっ転ぶんですね(笑)。


GM:吉本新喜劇並に、ガターン!という感じですね(笑)。


 で、戸惑いながら、「あ……う、うん――おいしいよね」と返したところで休み時間は終わります。で、クラスメイトの視線は当然『何やってんだ、おめーはよぉっ!』とか『けっ!このチキン野郎がっ!』とか語っています(笑)。


陽賀:そこまでっ?!


GM:で、告白しないならこのまま―― 。


真琴:いや、当然告白しますよ。授業が終わって、帰る間際にでも。


 ―― おお、『チキン』でスイッチ入ったか(笑)。


GM:じゃ、放課後ですね。


粟飯原:(突然女子クラスメイト)「ちょっと羽鳥くん!あんたこっちに来なさいよっ!!」と言って、腕を掴んで強引に引っ張っていきます。当然、下駄箱には『ここでちょっと待ってて』と言われて待たされているゆう菜さんがいるんですよっ!


 ――む、むぅ……当事者のプレイヤーじゃないというのに勝手に舞台設定して、演出までしてくれてる……なんというか、俺楽チン!(←駄目GM)


GM:ゆう菜は当然戸惑っています。「あ、羽鳥くん―― 羽鳥くんも、今帰り?」


牧場:で、クラスの皆が柱の影からそのやり取りを覗いているんですね。


粟飯原:当然ですよ。で、先輩なんかも下駄箱まで行こうとするけど、なぜかその異様な空気に邪魔されて引いている、と(笑)。


陽賀:いや、きっと、先輩も一緒になって覗いているんですよ。で、そこを通りかかった担任の先生も当然一緒になって覗く、と(爆笑)。


GM:(突然男子クラスメイト)「よし、真琴っ!そこでガバッと行け、ガバッとっ!!」


粟飯原:(突然女子クラスメイト)「アンタはいいから邪魔しないっ!!」(殴ったらしい)


GM:「がはぁっ!」(吹っ飛ばされたらしい)


牧場:(突然教師)うむうむ、青春だなぁ。


真琴:「日野さんっ!初めて逢ったときから、好きでしたっ!!あと何日かしかここにいれないかもしれないでしょうけど、絶対、逢いに行きますからっ(叫び)!!」


GM:想いは伝わりました。「うん……ありがとう、羽鳥くん」と涙を流しながら返しますよ。


真琴:はっ!それはどっちにも取れますっ!!


GM:いや……ごめんなさいと違いますから(笑)。で、メールアドレスと携帯番号を教えてもらえますよ♪


真琴:って、ホントに今まではクラスメイトでしかなかったんか〜!?アドレスも携帯番号も教えてもらえてなかったんか〜〜〜?!(一同爆笑)


GM:そりゃまぁ、キャラシートに書いてある通りのチキンっぷりじゃ無理だったんでしょ(笑)。


 何はともあれ、これで一旦シーンを切ります。


真琴:こっちも大変でしたよ。告るのなんて、10年以上やってませんし(笑)。


粟飯原:いや、やってたらまずいでしょ(笑)。





 ―― 真琴のプレイヤーは既婚者です(笑)。





02 深淵よりの呼び声 シーンプレイヤー:牧場広志


 牧場は刑事課長に呼び出され、週末に研修で大阪出張に行くように、との辞令を受けた。「週末というのに大変だろうが、まぁ、頑張ってくれ。しかし、本庁の武田警視正は何でお前ばっかり」という愚痴とも厭味ともつかぬぼやきを背に、牧場は携帯電話を手にする。極一部の人間しか知ることのないその携帯電話の着信音は、暗殺の深淵よりの呼び声であった。





GM:では次は牧場さんです。 辞令を受けた時を見計らったかのようなタイミングで、牧場さんの同志にして上司である警視庁キャリア・武田信晴からのTELが、牧場さんの携帯電話に入って来ますよ。


牧場:「やぁ、アンタか?」


GM:「霧谷氏から聞いたが、この間はご苦労だったな。今回の件は、この間の件と関連があってな―― これは極秘だが、大阪で起きたテロ事件……その中心にいた少女と関連した相手と戦ったそうじゃないか。その時の絡みで、霧谷氏に頼まれて、な。今回は、その少女を確保するか―― 始末する。それが今回の指令だ」


牧場:「了解した」


GM:「では、現地で協力者と合流してもらう。向こうもお前のことは知っているらしいから、すぐに判るだろう。頼んだぞ」―― というわけで、ここでシーンを切ります。





03 悪夢の予感 シーンプレイヤー:陽賀寧路


 UGN藍空支部のラボ ―― 研究員としてレネゲイド抑制の研究にいそしむ陽賀寧路は、藍空支部長の黒崎からの呼び出しを受ける。


 ―― 仕事、か。


 研究が遅々として進まぬ理由には、こういった呼び出し―― エージェントとしての活動もあるのではないのか?そういう思いとともに、陽賀は支部長室のドアをノックした。





GM:続いて陽賀さんの出番ですが……呼び出しを受けて入った支部長室には、真琴も呼び出しを受けています。で、黒崎は言いますよ。「霧谷さんの要請で、青戸が大阪に向かったことは知っていますよね?青戸には霧谷さんの指示で全国の支部からの選りすぐりで作られた『神崎の娘』の捜索部隊の中心となってもらっていましたが、その青戸が連絡を絶ちました」


陽賀:「あの青戸が?」


真琴:「えっ?!青戸さんが?」


GM:「というわけで、あなた方には大阪に向かってもらいたい。いいですね?」


真琴:大阪……喜んでっ!!というか、是非行かせて下さい!!


GM:「……し、仕事熱心なのは結構」


真琴:「いや―― 今すぐとなると、ゆう菜さんの引越しを見送れないっ!うわー、どうしよう」


粟飯原:いや、こうしてシナリオになっている、ということは出会うに決まってるじゃないですか。


 ―― そういう先を読んだ発言はなるべく控えていただきたい(笑)。


真琴:「黒崎さん!大阪行きはいつの話ですかっ!?」


GM:「まぁ、チケットの都合もありますから、明日の夕方に出発してもらう、ということで予定していますが……何かあったんですか?」


陽賀:「実は……」


真琴:「……って、何で陽賀さんが知ってるんですかっ?!」


陽賀:「君のことなら何でも知ってるよ、ふふふ(にやり)」


真琴:「なんか狙われてるっ?!しかも二人(もう一人は牧場)にっ!!」


GM:「なるほど―― まぁ、それは兎に角、現地では補充として腕利きのイリーガルを用意しました。では、頼みますよ」


 というわけで、ここでシーンを切ります。





04 騒乱の巨塔 シーンプレイヤー:粟飯原裕樹


 粟飯原は、久々の『まっとうな仕事』に気合を入れていた。


 日頃はゴシップを拾うことに血道を挙げているが、この日は国立大学病院の有名教授絡みの医療過誤事件の判決が出る当日……生憎、傍聴人席にも記者席にも入ることは出来なかったが、芸能人や犯罪者絡みのみみっちい仕事ではないこともあり、ジャーナリストとしての血が騒ぐ。


 判決が出たのだろう……出口が騒然とした。


GM:ではお待たせしました!粟飯原さんの出番です!ハンドアウトにもあるように、大阪にある国立大学病院の有名教授絡みの医療過誤事件の取材のために、粟飯原さんは大阪に飛んでいます。


 一審から覆っての原告側の逆転勝利という予想を超える結末と、その判決直後に負けた教授が血を吐いて倒れたということもありまして……。


粟飯原:「先生!今のお気持ちは?!」


GM:「ザイゼン先生は急病で倒れました!一刻も早く病院へ搬送しないといけないので、道を開けてくださ〜い!!」


 というわけで、騒然としながらも記者連中は病院へ向かいます。で、その病院で、病院側からの会見を待っている時なんですが……待合室で一人の外来患者が獣の姿に変化します!


粟飯原:「なっ、なにっ!!こんな人前でジャームだと?!」そんなバケモンが現れたら、大惨事になりますよね?!


GM:そりゃもちろん。で、待合室を血の海にした挙句、外に逃げ出した人々を追いかけようとして窓ガラスを割って外に飛び出したそのジャームは―― 道に飛び出し、ダンプに轢かれて死にます。


粟飯原:なにぃ(笑)!!死んでしまうんですか?!


GM:死んでしまうんですよ、レネゲイドをきちんと制御できてないと。で、ここからが重要ですが……ちょっと<知覚>でチェックしてください。達成値は6……成功したなら、血の海とジャームの死骸に群がる人だかりに広がる嫌悪感や恐怖とは逆に、笑みを浮かべてその場を立ち去る、藍色の目をした長い髪の女性が去っていくのに粟飯原さんは気付きます。


粟飯原:当然追いかけます。


GM:ですが、追いかけた時には既にその女性は人ごみに紛れて消えていました。


粟飯原:「今のは……一体?」


GM:演技ありがとうございます。では、ここでシーンを一旦切りまーす。








MIDDLE PHASE


01 日の当たる場所で シーンプレイヤー:羽鳥真琴


 新幹線が新大阪駅に到着した。


 乾いた音を立て、自動扉が開く。


 旅行客やスーツ姿のビジネスマンといった普通の客に混じり、三人のオーヴァードが降り立った街……大阪に、非日常の嵐が、吹き荒れようとしていた。





GM:では舞台は大阪へと移りまして、新大阪駅に三人が降り立ったところからスタートです。


牧場:「おお、誰かと思えば……また会ったな」


真琴:「『腕利きのイリーガル』と黒崎さんが言っていたから、誰かと思えば……牧場さんでしたか。心強いです」


牧場:じゃあ、大阪支部にでも行きましょう。もちろんあるんですよね。


GM:ええ、もちろん。


陽賀:場所はたこ焼き屋の2階にあるんですよね。


牧場:いや、グリコの顔のところに窓があって……。


 ―― そんなファンタジーな支部、まっぴらごめんである。


GM:そんな愉快なモンじゃなく、見た目は一般的なビルです。とはいっても、現在は大阪支部のエージェントの大半が怪我やらなにやらで治療中ということもあるので、ビルの中は閑散としていますね。


陽賀:あ、GM……ちょっと青戸さんについて聞きたいんですが、どんな能力を持ってたんですか?


GM:まぁ、シンドロームとかは当然知っていますよ。某企業のエージェント時代からの黒崎の部下で、シンドロームはエンジェルハイロウ×エグザイル。多彩な技術で相手を翻弄する徒手格闘術が得意で、そうそうやられるようなヤワな奴ではない、というのはUGNの二人は知っています。


真琴:で、青戸さんは『神崎の娘達』についてどれくらいの情報を持っていたんでしょうか?


GM:じゃ、<情報:UGN>で7以上……成功したなら、青戸達捜索チームが中間報告として纏めていた情報が、大阪支部のデータベースに書き込まれているのを発見しますよ。


『神崎の娘:“長瀬の反乱”の中心にいた研究者・神崎高明によって作られた『神崎葵』をベースとしたクローン達の総称。現時点では判っているだけで四人が確認されている。内、一人はS市で長瀬と葵を倒した薬王寺結希。大阪で目撃された『神崎の娘』もまた、葵や真白と同じく人間をジャーム化させる能力を持っており、コードネーム『レディ・オブ・ネイヴィ』と仮称されている』


粟飯原:なるほど、俺が見たのがその『レディ・オブ・ネイヴィ』と言うことなんですね?


GM:そうそう。


 で、それが判ったのがその日の深夜―― で、一夜開けてのことですが……調査のために真琴が街でぶらついていると、後ろから声を掛けられます。


「あれ、羽鳥……君?なんでこんなところに?」


真琴:「日野さんっ!!いやぁ、奇遇だなぁっ(一同大爆笑)!!」


GM:「あ、こっちの方でライブか何かあるんだっけ?羽鳥君って、どんなバンドが好きなの?」


真琴:「いやぁ、日野さんに会いにきたに決まってるじゃないですかっ!!日野さんは一人で?」


GM:テンションつーか、性格変わってるっ(一同笑)!?「あ、伯母さんと一緒に―― 」いつもとかなりテンション違う真琴にちょっと気圧されながら、応じますよ。


粟飯原:(突然ゆう菜の伯母)「ああ〜、なに(関西弁っぽく)?もしかして、ゆう菜の彼氏?わざわざこんなところまで追いかけて来たん?ゆう菜も隅に置けんねぇ(一同大爆笑)」


 ―― なっ!?NPCのコントロールを奪うだとっ?!


GM:「仲良うしてやってな、な……ほら、飴ちゃんやでっ!!」


 ―― 乗っ取られてしまったからにはそれで押し通す方が楽しいけど……伯母さん……むしろ静かな人だったのになぁ―― やはり、その場のノリというものは恐るべきものだ(苦笑)。


真琴:「ところで今から暇?もし暇なら一緒にこの辺りを回りませんか? 」


GM:「えっと、伯母さんに――」


粟飯原:(やはりゆう菜の伯母)「ああ、もちろん行ってきてええよ。若い人どうし、しっかり遊んでき」


 ――また乗っ取られたっ?!ホントならここで一旦別れてシーンを切る予定だったのにっ!!


真琴:「じゃあ今から行きましょう!すぐに行きましょう!!」


GM:「あ……うん!」ゆう菜はいつもと違うテンションに思い切り戸惑っていましたが、差し出された真琴の手を取りますよ。


 というわけで、一旦ここでシーンを切ります。


真琴:しかし……クボケンくん……大分弾けてるなぁ(一同笑)


粟飯原:そりゃもう出番がありませんから、楽しみたいならNPCを乗っ取って出番作るしかありませんよ!今の僕は言うなれば、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)ならぬ、ノンキャラクタープレイヤー……NCPですよ(一同爆笑)!


GM:……うう、すいません。_| ̄|○





02 誘う者、追う者 シーンプレイヤー:陽賀寧路


 データベースから洗い出した情報を基に、各々が街に散って捜索を開始したものの、手掛かりらしい手掛かりを掴むことは出来ない。


 また、定時になったというのに真琴は帰ってこない。


 私用で遅くなる、という連絡は入っているため、現時点では大丈夫なのだろうが、どうにも緊張感が薄い。


 溜息をつきながら、陽賀はコーヒーを一口含む。


 濃いブラックが、疲労した思考を覚醒させる。


 陽賀の胸ポケットに収まる携帯端末にメールが入ったのは、その時だった。





GM:では、続いて夕方過ぎの大阪支部……ひとまず、登場するのはどっかの青春謳歌中のチルドレンは置いといて、陽賀さんと牧場さんですね。


陽賀:「全く……こんな時だというのに、真琴くんは何をやってるんだろうなぁ(一同笑)」


GM:などとぼやいているところに、突然メールでの連絡が入りますよ。


陽賀:見てみます。


GM:青戸からのメールですね。要約すれば『今晩24時、OUS(オオサカ・ユナイテッド・スタジオ)前にて待つ』という旨の内容ですが……。


牧場:明らかに罠ですね。


GM:そりゃまぁ、大阪に来てるのを知ってる時点で恐ろしく怪しいわけですから(ぶっちゃけ)。


真琴:マスター、それぶっちゃけ過ぎ(笑)。


陽賀:「真琴くんにもいて欲しかったんだけどなぁ(ちらーり)」


牧場:「なんだ、真琴は泊まりかぁ――ナニをやってるんだろうなぁ(ちらーり)」


GM:ほーんと、ナニをやってるんでしょうかねぇ(笑)。


真琴:泊まりたいけど泊まりませんよっ!ちゃんと10時ぐらいには戻りますっ!!


GM:チラッと出てきた本音はさておき、皆で連れ立っていく、という訳ですね?了解しました。


粟飯原:(無言で視線)


 ―― まーまー、判ってるって。


陽賀:あ、青戸さんと一緒にチームを組んでいたのは全部で何人ですか?


GM:青戸の他に集められたのは6人……総勢7名ですね。で、全国の支部のエース級を集めて『レディ・オブ・ネイヴィ』を倒しに行って、逆にやられてしまった、というところです。


 ―― まぁ、こういった場合の『エース級を集めて作ったチーム』というのは、常に全滅対象なんだけど(笑)。


真琴:では、OUSに向かいます。


GM:了解です。


 深夜で……しかも、大阪の街の中心部から離れた場所にあるOUS前には当然ながら皆さん以外の人の気配はなく、照明の発する灯りがゲート前をただ照らすだけです。そして、その照明の中に幾つかの人影が逆光で浮かび上がります。


「よぉ、陽賀に……真琴もいるのか―― 三日ぶりだな」


真琴:「急に姿を消したと思ったらこんなところに呼び出すなんて……どうしたんですか、青戸さん?!」


GM:「……なぁに、『レディ』について嗅ぎまわっているみたいだからな……紳士としては見過ごせないって所さな」


 よく見てみたら判りますが、青戸はもちろん、他の6人の目も明らかに焦点が合っていないような、どこか夢見ごこちな雰囲気を見て取ることが出来ます。


真琴:「まさか……洗脳?」


陽賀:「止めろ、青戸!お前たちは操られているだけだッ!!」


GM:その言葉を青戸は無視します。「お前達を裏切るのは気が引けるけど、紳士としては……レディのお誘いは断れなくてな」と、そこまで言ったところでワーディング(レネゲイドウィルスを散布することで作り上げることが出来る、一般人を無力化する“結界”のようなもの。オーヴァードやジャームならば誰でも使用出来るが、邪魔な一般人の介入を防ぐ代わりに、オーヴァードならばその存在に絶対に気付いてしまう)を展開します!


 といったところで、一旦シーンを切りまーす。





03 暗闇の血闘 シーンプレイヤー:粟飯原裕樹


 粟飯原は夕刊を握り潰す。あれだけの惨劇が起こったというのに、夕刊の一面に踊ったのは『浪速大学医学部訴訟、原告側逆転勝訴』の文字だったからだ。


 オーヴァード絡みの事件は徹底的に隠蔽されなければ混乱を引き起こすことになる、ということは判っているが、真実を報道したい、と思う自分の気持ちからすると、遣る瀬無さも感じてしまう。


 ―― 真実を報道したい……か。


 嘘や誇張した見出し、飛ばし、スッパ抜きは当たり前な週刊誌を主な持ち込み先にしている上、自らの正体も晒すことが出来ないというのに、『真実を報道したい』という思いに至った己の心持ちに苦笑し、やや酩酊した頭を横に振る。


 周囲の空気の『色』が変わったのは、その時だった。


 粟飯原を蝕む酔いが―― 一気に醒めた。





GM:というわけで、一旦シーンが変わって粟飯原さん。夕方の惨劇があったにも関わらず、結局、夕刊のトップ記事は『浪速大学病院に怪物出現』という記事ではありませんでした。最初の予定通り、医学部を相手取った訴訟の判決について触れた、衝撃的ではあるけど当り障りのない見出しがトップを飾っていますね。


 まぁ、オーヴァード絡みの事件が表に出るようなことはありえないので、当たり前といえば当たり前のことなんですがね。


粟飯原:週刊レーザーは記事にしてしまうんですよね。でも、『レーザーだからなぁ』で済む、と(笑)。


GM:それも面白そうですが、やっぱり記事にするのは止めてくださいね(笑)。つか、記事にしようとしても、圧力喰らって握り潰されますけどね。


粟飯原:仕方ないから―― (周囲を見回して)『カゴちゃんポロリ』でお茶を濁しましょうかね(笑)。


真琴:「それは勘弁して〜(←プレイ実施は自室)」





 このあと、粟飯原&真琴の間で5分ほど『週刊ビーム』編集長O村(『コミックビーム』誌の編集長をモチーフにしたであろう、ルールブック記載のNPC『奥村英之』から派生したキャラクター)と粟飯原との日頃のやり取りが続くが―― いかんせん、放送禁止用語連発トークだったため、一応全年齢対応である当サイトの方針上、心ならずも割愛させていただきました(笑)。うう、ごめんよぉ_| ̄|○。





GM:で、仕方なく自棄酒飲んでカプセルホテルに帰ろうとしている所……言うなれば、「う〜い……人間なんて、らら〜ら、ららら、ら〜ら〜、とくらぁっ!」てなモンですが―― そんな時……『キン!』と、空気が瞬時に張り詰めます。


粟飯原:「この気配は―― まさか?!」


GM:お察しの通り、ワーディングですね。この場所からおおよそ200mは離れたところ―― OUSの入り口付近を中心に張られた、というのまで判りますよ。


粟飯原:そこまで判るモンなのですか?


GM:そりゃもう(笑)。


粟飯原:そっちに向かいます。


GM:というわけで、エージェント達と向かい合っている三人と合流です。


粟飯原:「陽賀と……サツの旦那?何でこんなところに?」


陽賀:「え、先輩?」


牧場:「おお、ちょうどいいところに来てくれたな……すまないが、手を貸してくれないか?」


粟飯原:「いや、来たばっかりで状況が掴めないんですが」


牧場:何を言っている、こんな善人と怪しい集団、どちらを信用するというんだ(一同笑)?!


粟飯原:「判りましたよ、旦那を信用しましょう(笑)」


GM:では、こちらはエージェント3人が出てきます……戦闘開始ですね。





 洗脳されているとはいえ、流石に各支部でのエース級……3人のエージェント達は洗練された動きとエフェクトで4人を圧倒し、追い詰めていく。


 対するPC達は、侵食率の低さに加え、ダイス目の悪さもあり、あっという間に追い詰められていく。


 侵食率が100%を大きく下回るためにリザレクトが使用出来ることもあり、この局面ではまだ誰も死ぬことはないだろうとは思っていたが、当初の予定では楽に返り討ちできるはずだったというのに、2R終了の時点で陽賀と粟飯原がそれぞれ二度ずつ『死んで』しまった上、PC側は右腕を鉤爪状に変化させた真琴と、父の形見のジッポーを銃に変異させた牧場がそれぞれ一度攻撃を当てたものの、エージェントの厚い装甲に阻まれ、少しダメージを与えただけ。


 『やべぇ―― このままじゃ撤退する切っ掛けが掴めないままズルズルと戦闘が引き伸ばされる』GMがそう思った第3R―― エフェクト使用と二度の死亡からの復活(リザレクトを使用して、即座に復活できる)によって侵食率がごっそりと上昇していた陽賀が手にした電撃を伴うナイフがエージェントの一人……『サラマンダーの男』を切り裂いた。





GM:そのダメージなら、サラマンダーは陥落しますね。


 で、4対3(エージェント側の1体はブラム=ストーカーが作り出した『従者』)になったところで、青戸からの合図を受けたエージェント達は一旦距離をとります。とはいっても、真琴以外は射撃距離(陽賀は腕を伸ばして攻撃してた)なので、撤退の邪魔は出来ませんがね(笑)。


真琴:「青戸さん!」


GM:では、その声を受けた青戸は、撤退する前に、思い出したかのように振り返っていいますよ。


「そうだ、ひとつゲームでもしないか?


 俺達はちょっとした『宝石』を狙ってる。そいつを期限までに守り通せれば、お前達の勝ち。守れなければ、俺達の勝ち……俺達が勝った時には、躊躇なくお前達を殺すってトコでどうだ?」


 その言葉とともに、青戸の身体は霧に紛れて消えていきます―― 身体をバラバラにしたり、液状にしたりしてシーンから退場するエグザイルのエフェクト……『騒がしき行列』ですね。


真琴:「宝石って……一体?」


粟飯原:大丈夫ですよ、きっとゆう菜さんがペンダントとして付けているはずです。


 ―― 展開を読まないで頂きたい(ギゴリゴリゴリ(←歯軋りの音)。


GM:それは兎に角、一旦シーンを切りまーす。





04 宝石 シーンプレイヤー:牧場広志


 青戸の語る『宝石』……その正体を探るべく、PC達はUGN大阪支部に戻る。


 手掛かりは少ない……しかし、その正体を知ることが出来なければ後手を踏むことになる。敵の余裕から生まれた隙を衝くべく、その少ない手掛かりを基に、牧場らはデータへのアクセスを試みた。





GM:ということで、皆さんは大阪支部に戻ってきました。


牧場:GM、さっき青戸が言っていた『宝石』について調べたいんですが。


GM:じゃあ、<情報:UGN>で8以上をお願いします。


牧場:失敗。


真琴&粟飯原:成功しました。


陽賀:コネ(必要な<情報>に対応するコネがある場合、判定に使用するダイスを+2個できる)使って、あと侵食率ボーナスがあって、ダイスは7つで……クリティカルで成功です!


GM:じゃ、もう一回ダイスを振って振り足してください……最終的に15ですね。それなら充分判りますよ。


 『宝石』―― UGNに対して反乱を起こした長瀬がひそかに研究していた『レネゲイド・クリスタル』のこと……レネゲイドの力をごく一瞬だけ増大させることの出来るが、『適合者』でない限りその力を引き出せない。また、適合者以外はレネゲイドを暴走させ、死に至るかジャーム化してしまう。


 適合試験の結果、長瀬の同志である神崎高明にも適正因子があったことが発覚したが、研究チーム主任・日野春樹によってその事実は秘匿された。


真琴:「あ、日野って……まさか?!」


GM:さぁ(にやり)?詳しいことを知りたければ、『UGN』『裏社会』で7以上をお願いします。


一同:成功!


GM:じゃあ、以下のことが判りますよ。





 日野春樹:FHのイリーガルとして、長瀬の下で開発に尽力するも、『長瀬の反乱』の直前になって研究データの一部を持って逃走。『交通事故』により、先日死亡が確認された。





陽賀:うわぁ、そこに繋がってきましたか。


GM:じゃあ……(携帯電話を取り出す)そこまで調べがついたところで、誰かの携帯電話にメールが入っている、というのが判りますよ。着信は24時ごろ……ちょうど、戦闘中だったこともあって、バタバタしていた頃ですね(送信)。


 で、そのメールを見たところで、一旦シーンは切れます。


陽賀:誰にくるんやろうなぁ。


真琴:あ、俺か(メール着信)。


粟飯原:ということはゆう菜さんからのメールですね……真琴、JKからメールゲット!!


GM:じ、JK?


粟飯原:JK……すなわち女子高生の略ですよ(一同爆笑)!!


GM:……こ、こんなキャラやったかなぁ、クボケンくんは(汗)。





 そのメールはゆう菜からのものだった。


『今日は楽しかったよ。―― よかったらだけど、明日も会ってくれないかな?まだこっちの方に来たばっかりで、ぜんぜん回れてないし……羽鳥君ともうちょっと一緒にいたいし』


 焦がれ、惹かれ続けた『日常』からのその誘い―― それを守るため、真琴の心に、決意が宿った。





05 衝動――覚醒 シーンプレイヤー:羽鳥真琴


 真琴に宿った決意は、即座に返信メールとして現れた。


 10時に心斎橋で待ち合わせ―― どこに行くかは既に決めている。そして何より、何が起こってもゆう菜を……自分が人に立ち戻るための日常を守り通すという覚悟を、真琴は決めていた。





真琴:では、30分ぐらい前に待ち合わせ場所に到着しておきます。


GM:了解しました。じゃあ、約束の時間の10分前ぐらいに……。


粟飯原:いや、ここは試す意味を込めてあえて5分くらい遅れてくるんですよ(力説)!!


 ―― そんな小細工を弄するとは……何かあったんだろうか(笑)。


真琴:じゃあ、あえて遅れていきます。「ごめん、待った?」


GM:「ううん……私も今来たところだから」


陽賀:灰皿から吸殻を大量に足下に捨てて「ううん、今来たところ」とか言ってたら厭ですねぇ(笑)。


粟飯原:『(再びポスターを見ながら)カゴちゃん喫煙発覚』(笑)。


真琴:「うっせぇんだよ、煙草なんてとっくの昔に卒業してるんだよ!」といいながら、マリファナをすっぱぁー、と(笑)。


 ―― ブブカか、アンタたちゃ(笑)。


GM:(生暖かい視線)


真琴:「じゃあ、どこに行きましょうか?」


GM:「えっと……私も、こっちについてはあんまり知らないから」


粟飯原:えっ!?メール見てた伯母さんにデートスポット聞いていたんじゃないんですか?


 ―― そんな事実はありません(笑)。


真琴:じゃあ、OUSに行くことにします。昨日は映画や買い物はしたんだし、前までは行ったけど、結局中には入ってないわけですし(笑)。


牧場:当然、その光景は我々も見ている、ということですね。ちょうどいい所にあるオープンカフェか何かで、競馬新聞を見ながら真琴を監視しておきましょう(笑)


真琴:うわーん、ついてくるなー!!


GM:尾行、許可します(笑)!


真琴:なにぃっ(笑)!!


牧場:ほう、あれが真琴の(ぼそぼそ)


陽賀:なかなかいい線行ってるじゃないですか(ぼそぼそ)


真琴:あ、アンタ達は〜〜〜〜(わなわな)!!!!(一同爆笑)


GM:と、まぁ、アホなことを言うのはそこまでにしといて―― 偶然出会った昨日とは違い、恐らくはデートのために気合を入れて服やアクセサリーも選んできたんでしょう。はっきりいって雰囲気は昨日とは段違いですが―― その中でも特に目を引くのが、首から下がるガーネットか何かのネックレスですね。


 ―― えーい、ああまで読みきられたんだ。開き直ってやる(笑)。


真琴:「日野さん……そのペンダントは?」


GM:「あ、これ?……お父さんの遺品の中にあったの。お母さんの形見かな、とも思ったんだけど……そんな話は聞いたこともないし」


陽賀:ああ、ゆう菜さんは父子家庭だったんですね。だから大阪に引っ越すことになったんですか。


真琴:今頃何を言ってるんですかっ(笑)!


粟飯原:身寄りがないからあの伯母さんのところに引き取られたんですよ(笑)。


 ―― いや、伯母さんを『あの伯母さん』にしたのはあなたですがな(笑)。


GM:話の腰が折れましたが、話を戻します。


 ペンダントに話題が移ったところで、一瞬だけ空気の色が変わります……ワーディングですね。


真琴:「こんな街中で、ワーディングだと?!」


GM:とは言っても、ホントにごく一瞬だけですけどね。


 で、一瞬のワーディングを感知して意識を緊張させた真琴の耳だけに聞こえる女の声が響きますよ。


『見つけたみたいね。そう、それが私たちが欲している『宝石』よ。お父様を殺したあなた達を、私は許さない。あの『裏切り者(ダブルクロス)』の娘と一緒に……一人一人じわじわと殺してやるわ―― じゃあ、ゲーム、スタート』


真琴:周囲を見回します。


GM:見回してみると……車がそこに突っ込んでくるのが判ります。<運動>8で回避してください。


真琴:成功……お姫様抱っこでゆう菜さんを抱えて、メリーゴーラウンドか何かの屋根に飛び乗ります(一同爆笑)!!


 ―― って、あれ?!いつの間にOUS?GMとしてはまだ心斎橋だと思って描写してたんだけどなぁ……ま、いいや。その方が話早いし。


GM:真琴の腕を通してゆう菜の鼓動が伝わってくるのが判りますね。ただし、そのドキドキが恐怖から来るものなのか、真琴に抱きかかえられたことから来るのかは判りませんが(笑)。


真琴:このまま人の多いところで戦いたくないので、人気のない……波止場のセットあたりに連れて行きます。


 ―― あ、話早いのはいいけど、用意していた道々での妨害工作が一気に消えちゃった(笑)。


牧場:当然、追いかけましょう……競馬新聞持って(笑)。「いやぁ、第1レースは外れちまったなぁ」


GM:そんなことはむしろ梅田のウィンズで言って下さい。ものごっつ場にそぐいません(笑)。


 ―― しょーがない……無駄話で時間稼いでるうちに細部修正しよっと(こそこそ)。


真琴:それはいいとして、人気のないところでゆう菜さんにいいますよ。


「日野さんに、言わなければならないことがあるんだ。


 詳しいことは言えないけど……君のお父さんが遺したそのペンダントには、秘密があるんだ。そして、その秘密を悪い奴が狙っている―― 」


 ―― おーい!レネゲイドは秘密秘密(笑)。一般人に下手にバラしてしまったら懲罰ものだよ?


GM:ゆう菜はきょとんとした顔をして言いますよ。「えっと……もしかして、羽鳥くんが時々行ってた『バイト』って……スパイか何か?」


真琴:「君を危険に晒したくないんだ……だから、僕を信じて―― それを、そのペンダントを渡してくれないかい?」


 ――よーし、そう言うことなら……。


GM:「あ、うん」―― そう言って首に掛けたペンダントを外し、真琴に手渡した瞬間……ワーディングです。


 ゆう菜は不意に意識を失い、倒れますよ。


真琴:抱きかかえて、周囲を見回します。


GM:青戸とエージェント達……そして、腰まである黒髪と深い藍色の瞳を持つ―― 。


真琴:こいのぼり(笑)!!


粟飯原:こ、『こいのぼり』ですか?


GM:まぁ、そうなんですけどね(苦笑)。


真琴:『こいのぼり』というのはさっき言ってた『神崎の娘たち』の通称です。


牧場:体型がこいのぼりというか……なんというか(笑)。


GM:土管(笑)!!


粟飯原:そんな体型だったんですか?!ぼかぁもう『レディ』っていうからてっきりJKの生着替え写真ゲットのチャンスだと思ってたのにっ!!


 ―― どこの変態だ、君は(笑)。


GM:何はともあれ……『レディ・オブ・ネイヴィ』こと神崎藍の発するプレッシャーが強まります……衝動判定お願いします!!


 <意志>で7の判定に失敗したら、衝動に呑み込まれますよ。


 ――GM、ここでミス!正しくは、衝動判定というものは<RC>で判定するのでした。


真琴以外の一同:成功!


真琴:……失敗。


GM:し、失敗ですか?じゃあ、キャラクターシートの『衝動』の欄に即した衝動に意識が呑み込まれます。


真琴:『衝動』ですか……あ、“破壊”です。じゃあ、最後に残った理性でゆう菜さんをその場に置いて言いますよ。


(がらりと声を変え)青戸ぉ!ここは場所が悪い……場所を変えて、お前達を壊す――!!」


GM:「ああ、いいぜ……へっ、真琴もなかなか、らしくなってきたじゃねぇか?」


粟飯原:じゃあ、今が波止場ということは、浜辺のセットにでも場所を変えましょう(笑)。あ、僕たちもゆう菜さんを安全な場所に保護した上で浜辺に駆けつけますよ。


GM:浜辺のセット……『うふふ、捕まえてごらんなさぁい』『あはは、待て待てぇ』とかやる、アレですね(笑)。


CRIMAX PHASE OSAKA STRIKE


 色の乏しい冬の浜辺―― 人影はなく、ヒトの形をしたヒトならぬ者が発する殺気がただ蟠っていた。


 世界がセピア色に塗り替えられ、ただでさえ色の少ない景色を更に色に乏しいものに変える。


 ―― Warding――


 レネゲイドが活性化し、モノトーンに塗り潰されたこの世界において、なお彩りを保つことは、すなわちヒトならぬ者の証。


 色のない世界で、ヒトならぬ者達の戦いが―― 静かに始まりを告げていた





GM:じゃ、ひとまず確認しますが……侵食率は何%になりましたか?


真琴:79%から90%です―― 危ないなぁ。


牧場:77%から……91%。一回はリザレクトできますね。


陽賀:99%から111%……ヤバいことに100%突破しました!


粟飯原:75%から86%です。


陽賀:うう、なんでこんなことに。


真琴:そりゃ、途中の戦いでエフェクト重ねまくって攻撃したからですよ。「白兵にエフェクトを重ねることが出来ますか?」と聞かれたら、そりゃマスターは「出来ますよ」と答えるに決まってるじゃないですか(笑)。


GM:では、『レディ・オブ・ネイヴィ』こと神崎藍が言いますよ。「そのレネゲイド・クリスタルがあれば、お父様も死なずにすんだのに……あの裏切り者が、UGNに寝返ってクリスタルを持ち逃げするなんて、思っても見なかったわ」


真琴:「そんなことのためにゆう菜さんのお父さんを殺したのか!」


GM:「裏切り者には当然の報いよ。そして、―― お父様を殺した二人にもね。


 でも、お父様を殺した兎に角、そこの二人は生命が惜しいって言うのなら、私の下で使ってやるわ。この青戸のように、洗脳した上でね」


真琴:「真白さんの顔で……それ以上語るな!!」


牧場:「あーあ……しょーがないなぁ……ここまで全滅だよ」と言いながら、競馬新聞を持ったまま大きく伸びをします(一同爆笑)。


GM:競馬新聞っ!?この期に及んでまだ持ってたんですかっ(笑)!


牧場:で、「お嬢ちゃんに、俺達の相手は難しいぞ」と言いつつ、競馬新聞を銃に変異します(笑)!!


 ―― と、笑いから入ったことで注意する暇なかったけど、まだ戦闘開始してないのに準備された……上手いことペース握られちゃったなぁ(笑)。


GM:では、戦闘開始です!一番早いのはイニシアティブ値14で強化エージェント達!ブラックドッグ二人はそれぞれ真琴と牧場さんを『雷の槍(増幅した電流を対象に向けて打ち出すブラックドッグのエフェクト)で攻撃!!命中はそれぞれ14!


真琴:回避失敗!でも、ダメージ11ならまだ生きてます!


GM:まぁ、『巨人の生命』ありますからねぇ(笑)。


牧場:『守りの弾』を使って……クリティカル!23で回避成功しました!


GM:では、サラマンダーは粟飯原さんに対して『焦熱の弾丸(炎の弾丸を投射して攻撃するサラマンダーのエフェクト)を使用……8?


粟飯原:(あっさり)あ、回避しました。


GM:じゃ、次はブラム=ストーカーの二人ですが、このラウンドは従者の作成で終了します。


 続いては(イニシアティブ値)13の牧場さん!


牧場:マイナーアクションで『アーマークリエイト』でジッポーを鎧に変化させます!そして、メジャーアクションで『オウガバトル』を使用して藍を撃ちます。


GM:それは……(クリティカル×1)回避しました。


粟飯原:じゃあ、次は僕の番ですね。『アクセル』を……真琴に使用します。判定は……成功!!


GM:じゃ、真琴はこのラウンドの行動が終わったらセカンドアクションが行えます。


陽賀:では、続いて自分ですね。腕を伸ばして青戸を攻撃します!


 ―― って、ちょっと待てよ?そう言えば、藍と青戸のイニシアティブって……11(藍)と12(青戸)だったよな……やべぇ、行動するの忘れてた(おい)。ま、待機状態、ということにしとこう(笑)。


GM:回避は……失敗しました!ダメージは……28?!


 ―― げ、青戸のHPって、25点しかないんだった。装甲値が5だから……やべ、一気に残りHP2だ。


真琴:では、次は僕の攻撃……マイナーで『完全獣化』『ハンティングスタイル』、あと、駆け寄って藍を攻撃します。


GM:え?『破壊の爪』は使わないんですか?


真琴:さっき(セッション開始前、用語のこまごまとした説明をしてた)言ってたじゃないですか。「『マイナーアクション』というのは、特に判定を必要としない、簡単な行動だ」って。で、ちょっとした移動もそれに入る、と言ってたでしょ?


GM:なるほど、そう来ましたか(感服)!


 ―― GMとしては嬉しくなる発想の転換です。まさか、『同時にマイナーアクションを使用する』ことを想定して用意されていた『ハンティングスタイル』をそういう解釈で活用するとは、思っても見ませんでした。


真琴:では、藍を攻撃します!


GM:ちょっと待って下さい。カバーリングで青戸が藍を庇いますよ。さぁ、ダメージどうぞ!


真琴:ダメージ……素手だから低い―― 2です。


GM:では、『透過』!真琴の攻撃はそのまま青戸の身体を通り抜けただけでなく、その際に生み出されたエネルギーもまた青戸の生命力として還元されます!HPが2Dだから……16回復します!


真琴:で、セカンドアクションで藍を攻撃します!!


GM:あれ……青戸は?


真琴:無視します(きっぱり)!セカンドアクションのマイナーアクションで青戸の横を抜けて、藍のところに行けるでしょ?


 で、その移動の時に『ハンティングスタイル』と『破壊の爪』も使います―― よし、クリティカルした……命中は31!!


GM:うわー!マジにやべぇ!!4D+9なんて喰らったら、装甲で引いても軽く一撃で逝ける!!


 あ、クリティカル……クリティカル……またクリティカル……あれ、またクリティカル!?


粟飯原:何回回すんですか!?


GM:文句はダイスに言って下さい!!あ、またクリティカル!


 結局、6回クリティカルして……67で回避しました(笑)。真琴の攻撃が藍を捕らえた、と思った瞬間、どこからともなく現れた羽虫の群れが藍を飲み込んで覆い隠し、気がついたら藍は少し離れた場所に現れた、という感じですね。


 ―― オープンダイス(判定が公正である、ということを示すために目の前でダイスを振ること)なので、どう頑張ってもイカサマしようがありません(笑)。


真琴:ああっ!折角の奇襲があぁ!!


GM:じゃあこっちの番ですね…では、『風の渡し手』(人ごみの中であっても特定の相手にのみ声を届かせるハヌマーンのエフェクト)『エンジェルヴォイス』(高周波を伴った声を響かせることで、対象に声を届きやすくするハヌマーンのエフェクト)『絶対の恐怖』(対象に恐怖を感じさせる幻覚物質を生成し、対象に壊滅的なショックを与えるソラリスのエフェクト)『錯覚の香り』(対象の精神に浸透する効果を持つ香りを生成、発散するソラリスのエフェクト)『さらなる波』(振動波により、ハヌマーン・シンドロームに依るエフェクト全ての基本ダメージを+[LV×2]上昇させることが出来るハヌマーンのエフェクト)で……クリティカルは10だけど、ダイスは……(じゃらじゃら、とありったけのダイスを用意する)多いですからね(にやり)。


陽賀:一体何個振るんですか?


GM:なぁに、たったの20個ですよ(にっこり)


真琴:20?!


GM:対象は……真琴、牧場、粟飯原の三人!命中は……25ですが、これの回避は<意志>でお願いします!


真琴:<意志>なんて持ってません!失敗!


粟飯原:同じく<意志>はありません!失敗!


牧場:<意志>はあるけど……やっぱり駄目!


GM:じゃあ、強力な幻覚が皆さんの精神を蝕み……ダメージは装甲値無視で―― 36点!


真琴:出たーっ!装甲値無視攻撃!!このゲーム、これがあるからなぁ(笑)。


牧場:うおっ、折角装甲値上げたのにっ!!


粟飯原:当然耐えられません!リザレクトで復活します。


真琴:藍へのタイタスを昇華して復活します!


牧場:同じく、リザレクトで復活します。


粟飯原:なるほど……こういう風に、死んでも復活することが出来る代わりに徐々にヒトの域を越えていく、ということなんですね。


GM:はい、おおむねそんな感じですね。


 では続いて第2ラウンド!


 


 GMはここでちょっと戦略を練り直す。


 ミドルで行った戦闘と違い、侵食率の増加に伴ってPCの攻撃力は飛躍的に上昇している。


 それを考えずに1Rは素早く動ける強化エージェント達が行動を使い果たしてしまったため、ボスである藍があっさりと真琴に取り付かれてしまっていた。また、接敵はしていなくとも、射撃やそれに類する攻撃を行える攻撃要員がいる以上、藍に攻撃が集中することは明白である。


 そのため、攻撃要員とカバーリング要員とを明確に分けることにした。とりあえずは、二人のブラム=ストーカーが作成した従者二体と、従者の減り方如何ではブラム=ストーカーも従者作成を放棄してカバーリングを行い、ブラックドッグ二人とサラマンダーにちまちまとHPを削る程度の攻撃を担当してもらい、メインの攻撃は火力を充分持つ、藍と青戸に任せる、というのをプランとして導き出す。


GM:では、ブラックドッグは真琴と牧場さんを攻撃します!さっきと同じく『雷の槍』で、命中は11!


真琴:回避しました!


牧場:……ここは普通に回避します!―― 失敗しました。


GM:ダメージは14!装甲は有効です。


牧場:じゃあ、鎧で止めて4点だけ通ります。


GM:で、続いてサラマンダーもさっきと同じ攻撃をやっぱり粟飯原さんに!


粟飯原:それは喰らいました!


GM:ダメージは……うわ、低っ!6点_| ̄|○。


 ブラム=ストーカーと従者はひとまず待機です。続いて牧場さんどうぞ!


牧場:じゃあ、『オウガバトル』を使って藍を攻撃!これで100%突破します。


GM:それはブラムストーカーAの作った従者が庇います。カバーリングなので、無条件で当たりますが、命中値は出してくださいね。ダメージに関係ありますから。


牧場:ダメージは23点。


GM:それは陥落しました。では続いて青戸の攻撃ですが……真琴に「さぁ、殺りあおうぜ……真琴ぉっ!!」マイナーで『シャイン・ブレード(武器の周囲にレーザーを固定して、破壊力を上げるエンジェルハイロゥのエフェクト)を使って腕に光を宿し……メジャーで『ピンポイントレーザー(装甲のないところを精密に狙うことで、装甲値を無視するエンジェルハイロゥのエフェクト)『全知のかけら(エンジェルハイロゥ・シンドローム特有のエフェクトのクリティカル値を低下させるエフェクト)『主の右腕(鋭い感覚によって相手の最も弱い部分を攻撃する、エンジェルハイロゥのエフェクト)『伸縮腕』+『貪欲なる拳』『自在槍(遠心力をつけて振り回すことで四肢を槍のように扱うエグザイルのエフェクト)『骨の武具(骨を変形させて武器にする、エグザイルのエフェクト)!!ダイスは17でクリティカル値は8!さぁ、これは躱せんぞっ!


真琴:『復讐の刃』を使います(あっさり)。躱す気なんかありません!!


 ―― 『物事を根底から覆す一言があります(@『勝手に改蔵』/久米田康司)


GM:ぐわぁ、それがあった!とりあえず、命中は34だから……ダメージは4D+9の……25!


真琴:それならこっちは大丈夫、まだ生きてます!こっちの命中は……21だから……3D+9の―― 27!


GM:陥落!!青戸は真琴の鉤爪に貫かれ、息絶えました。


 続いて藍の攻撃はさっきと同じコンボを……今度は真琴、牧場さん、陽賀さんに!!


真琴:白兵攻撃だったら『復讐の刃』使えるんだけど……白兵じゃないんですよねぇ……回避できません!


牧場:当然躱せません


陽賀:<意志>……何それ?回避できません!


GM:ダメージは……うわ、低い―― 17!


藍の攻撃を喰らった一同:死にました!タイタスを使って復活します。


粟飯原:あ、とりあえず、侵食率が危ないので陽賀さんはタイタスは使わないでおいて下さい。僕が回復します。GM……『癒しの水』で回復は出来ましたよね?


GM:えっと……厳密に言えば死亡じゃなく、昏倒ですから、出来ますね。


 ―― 思い切りGMのポカミスです。死亡ではなく昏倒であっても、普通のHP回復エフェクトでは回復できませんでした。


陽賀:ありがとう!起き上がって藍を攻撃します!『伸縮腕』と『貪欲なる拳』ですけど……。


GM:やっぱり従者が庇います……そのダメージなら、従者は潰れます。


真琴:藍を攻撃しますが……やっぱりカバーリングですね?


GM:はい。ブラム=ストーカーAがカバーリングに入ります。


 やっぱりそのダメージなら持ちません。ブラム=ストーカーAも死亡です。というわけで、続いて第3ラウンドですが……エージェント4人はカバーリングのために待機します!


 ―― あ、ブラム=ストーカーBの行動を忘れてた。


牧場:じゃあ、さっきまでの攻撃に『クリスタライズ』を付け加えて、藍に!


GM:今度はブラム=ストーカーBが庇いますよ……装甲無視でそのダメージなら、軽く死にます。


 さて……どっちで行こうかなぁ?





 ここでGMは考える。藍の攻撃手段には使用ダイスの数と基本ダメージ量が多いが、三人にしか攻撃出来ない上、クリティカル値が10のままの『コンボ1』と、全員を攻撃でき、クリティカルの出現率も高いものの、ダイス数は11と半減する上、基本ダメージも半分以下に落ちてしまう『コンボ2』があるのだが、『コンボ1』のダイス数の多さ、というインパクトを取るか、ダイス数の少なさはあるものの『コンボ2』のクリティカルと全員を攻撃できる範囲を取るか―― 悩みどころである。


 しかし、ふと思い立つ。


 『コンボ2』は普通の回避判定で回避出来るのだ。そして、回避を助けるエフェクトもまた、真琴以外のキャラクターはそれぞれ持っている。ということは、たとえクリティカルであっても回避されやすいということに他ならない。また、真琴のHPでは、クリティカルを最低3度は繰り返さない限りは一撃で昏倒しないだろう。


 それを踏まえ―― GMは選択した。





GM:じゃあ、さっきと同じコンボを今度は真琴、陽賀さん、粟飯原さんの三人に!クリティカルは……一回だけ!


 <意志>の20で回避して下さい……失敗なら、ダメージは34!


真琴:死にました。使いたくはなかったけど、ゆう菜さんへのロイスを一つタイタスに変えて昇華!復活します!


粟飯原:僕も死にましたから、リザレクトで……100%突破しましたので、これが最後のリザレクトです。


陽賀:ああ、私も死にましたので、青戸へのタイタスを昇華して復活します。


GM:あ、そう言えば……カバーリングしなかったんですね。同一エンゲージのキャラクターなら、カバーリングすれば、範囲攻撃もそのキャラクターがダメージ2倍で受けることが出来ますよ。


粟飯原:そういうことは早く言って下さい(怒)!!


GM:うう、教えるの忘れてました。申し訳ないです_| ̄|○。


粟飯原:真琴に『アクセル』を使います……成功!


陽賀:ここで一人でも多く削っておきたいので、ありったけのエフェクトを使って藍を攻撃します。


GM:カバーリングじゃ、回避できませんから、それは有効ですね。それではブラックドッグAがカバーリング……死亡しました!順調に壁が削れてますね。


真琴:続いていきます!まずは普通の行動で藍を狙いますが……。


GM:案の定ブラックドッグBがカバーリング……これであとはサラマンダー 一人だけですね


粟飯原:まだいるんですか?数間違ってません!?


GM:間違ってませんよ?


 ―― でも、2Rでミスってブラム=ストーカーBの行動をキャンセルしてなかったら、まだ一人増えてたんだから、ある意味『間違い』には感謝して欲しいな(笑)。


真琴:それではセカンドアクションで藍を攻撃!


GM:サラマンダーがカバーリングに入りますが……そのダメージなら陥落します。


 続けて4R!牧場さんどうぞ!


牧場:『クリスタライズ』+『オウガバトル』で攻撃します!命中は……26!低いかっ?!


GM:『生命の盾(誘引フェロモンを発散することで虫や小動物をどこからともなく呼び出して障壁を作り出し、回避するソラリスのエフェクト)使って……回避いけるか―― 駄目、クリティカルは一回だけ!喰らいました!!


牧場:ダメージは3D+17で……装甲無視で36です!


GM:死にました!『ヴァイタルアップ』使ってなかったから、装甲無視でそのダメージを喰らったら軽く死ねます(笑)。


 胸に喰らった藍はその傷口から水晶のように変異していき、「ば、ばかな―― 」そう呟いたと思ったら、全身を水晶に変化させ……砕け散りました。


 ―― 『ヴァイタルアップ』使わなかったら、早いなぁ……これは、バトルではヴァイタルアップは必須ということだな。次回からの教訓として覚えとこ....〆(・ω・。)メモメモ





ENDING PHASE


……あるいはNEXT OPENING


 日野ゆう菜が医務室で目を覚ました頃、冬の陽は既に傾きかけていた。





真琴:「大丈夫……日野さん?びっくりしたよ、急に倒れちゃったから」


GM:「あ、うん……大丈夫だけど―― 心配掛けちゃって、ごめんね」


真琴:「いや、いいんだよ」


GM:そういえば、さっきあの宝石に触りましたよね。


真琴:あ、はい。


GM:ならば気付きますよ。さっき触ったレネゲイド・クリスタルが、何時の間にか真琴の右手に半ば融合する形で埋まっている、ということに。


真琴:うわー、そう来ますか。じゃあ、ゆう菜さんに右手を差し出そうとしてその右手に気付いて……左手を差し出しなおします


GM:「?……あれ?羽鳥くんって、左利きだったの?」


真琴:「あ、いや……別に―― 」そう言って、差し出した左手でゆう菜さんの手を握ってそのまま医務室を出ますよ。





 窓から斜めに差し込む残照よりも、その紅玉はなお赤い。


 右手に宿るその輝きは―― さながらその右手が辿るであろう血濡れた未来を暗示していた。





AFTER PLAY


GM:では、皆様お楽しみの自律判定のお時間です!まずは、現在のそれぞれの侵食率を教えてくださいね。


真琴:113%です。


牧場:114%!


陽賀:119%……怖いなぁ。


粟飯原:104%です……全部1だったら戻って来れませんね(笑)。


 ――それは普通無理やろ(笑)。


GM:では、ロイスの数だけダイスを振って、侵食率を下げてください。もしも不安なら、『侵食率による経験点』を0にすることでロイスの倍振れます。ただし、倍振りする場合は最初に申告をお願いします。


真琴:普通に振ります……あぶねー!96%!!


牧場:同じく普通に振ります……まぁ、普通に成功しました。85%です。


粟飯原:普通に振ります……72%で成功です。


GM:……70%より低かったらもらえる経験点が1下がりますから、逆の意味で危なかったですけどね(笑)。


陽賀:普通に振って…………危なかったですが、96%で成功しました!!


GM:では、皆さん日常に生還することが出来ました!お帰りなさい、ということで……今回はどうもお疲れ様でした〜!


一同:お疲れ様でした〜♪




GMすがたけ反省会


 こうしてリプレイにしてみると、やっぱり恐ろしくミスが目立つなぁ。


 しかし、このシステムを思いのほか気に入ってくれた、というのは……嬉しいなぁ。


クボケン:しばらくこのシステムで統一しましょうかねぇ。僕も来月あたりこのルールブック買いますから、次回もこれで行きましょう。


 あたらしもの好きのGMとしては、俄然やる気が湧いてきます。


 そんなわけで、思ったよりも早く更新出来そうなリプレイシリーズ『藍色の空の下』―― 次回は牧場さんにスポットを当てるかな……と思っていたけど―― 。


会長:晃太(真琴の初期ロイス・真琴と同じUGチルドレンの橋尾晃太)が出てないからなぁ……晃太にもスポットが当たって欲しいなぁ。


 ふむふむ、なるほどなるほど(笑)。




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