藍色の空の下〜5〜『黒き裏切り』
PREPLAY GMすがたけ思案中
GMすがたけは、今回はやる気を出していた。
『絆』を前面に押し出しているDX2というゲームのキーワードには、常に裏切りがつきまとう。
その裏切りを明確に見せた前回の引き。これで気合が入らなければ、『ダブルクロスのゲームマスター』をやる資格はないというものッ!!
問題は、人間関係があまりに複雑化したことでプレイヤーが混乱をきたすこと。
それを避けるためにも、やらなければならないことは多い。ましてや、前回セッションに参加できなかったことで、一年ぶりの参加となっているプレイヤーもいる……相関図や前回得た情報を纏め上げ、シナリオの煩雑さを少しでも減らすことでプレイヤーの負担を軽減しなければならないのだッ!!
そのための準備は済ませた。
シナリオと一緒にプリントアウトもした。
すがたけ:それじゃー、はせがー君の仕事の都合で時間もないことだし、ちゃっちゃとはじめましょ……あれ―― アレ?!
しかし、それら資料をハンドアウトと一緒に家に忘れてしまったんじゃあ、準備も何も何もあったものではない(プレイはGMの自宅からおよそ15km離れている『会長』宅で行われている)。
開始前のやる気とは裏腹に、のっけから暗雲が立ち込めはじめていた。
GMのポカミスにより、そんな不安極まりない状況に持っていかれたPCの成長は、以下の通り。
PC@:羽鳥真琴
成長→エフェクト;《大蛇の尾(射撃距離に存在する相手に対して攻撃を行えるようになるエフェクト。また、素手の攻撃力を[LV]点増強出来る)》を1LV、《竜燐(<回避><受け>といった通常の防御行動を捨てる代わりに、強固な鱗を生やすことによって、装甲値を[LV×10]点増強することが出来るエフェクト)》を1LV修得。
PCA:牧場広志
成長→技能;<射撃>4を5に成長。エフェクト;《ダブルクリエイト(《インフィニティウェポン》もしくは《ハンドレットガンズ》と同時に使用することにより一度に二つの武器を作成し、作成した武器の攻撃力を[LV×2]点増加することが出来るモルフェウスのエフェクト)》を2LV修得。
PCB:御園早苗
エフェクト;《フラットシフト(周囲のレネゲイドウィルスを取り込むことで、体内のレネゲイドの活性化を押さえ込む『古代種』固有のエフェクト。使用タイミングがメジャーアクションかリアクションとなっているエフェクトと組み合わせ、侵食値上昇を0にする)》を1LV、《獅子奮迅(スピードを活かした無数の打撃を繰り出し、<白兵>の対象を[範囲]に変更することが出来るハヌマーンのエフェクト)》を1LV、《崩れずの群れ(何時いかなるときでも相手の攻撃に割り込み、仲間を護ることが出来るようになるエグザイルのエフェクト。なお、このエフェクトを使用してカヴァーリングを行っても行動を消費したことにはならず、行動が終了した状態であってもカヴァーリングを行うことが出来る)》を1LV修得。
PCC:粟飯原裕樹
エフェクト;《光の弓(レネゲイドをコントロールすることで攻撃力を[LV]とした光の矢を生み出し、攻撃することが出来るようになるエンジェルハイロゥのエフェクト)》を2LV、《狂戦士(体内で興奮物質を精製し、対象に散布することでその行動を助けることが出来るようになるソラリスのエフェクト。対象が次に行うメジャーアクションのクリティカル値を1マイナスし、尚且つ[LV×2]のダイスボーナスを対象に与えることが出来る。ただし、侵蝕率が80%以上でないと使用出来ない)》を2LV、《茨の輪(対象の痛覚を刺激する毒物を生成、散布することにより、対象に[LV+2]点の実ダメージをクリンナップ・セグメントに与えることが出来るソラリスのエフェクト。なお、このダメージはいかなることがあっても軽減出来ない)》を2LV修得。
OPENING PHESE
MASTER SCENE
「久しぶりだねぇ、黒崎くん。10年ぶり、といったところかな?」
闇に照らし出されるのは、笑顔。
「課長……あなたに騙されるのは―― 八度目ですよ」
笑顔に応じるのは、苦笑。
「七度目、ということにしてくれないかな?何しろ、今回に関しては、ぼかぁ君を騙す心算はなかったんだからさ。
何しろ、僕がオーヴァードになったのも君がオーヴァードになってしまったのも、ただの偶然。偶然と偶然が織り成す物語の、なんと素晴らしき事かっ!!」
芝居がかった大仰な口調で言う『課長』に、返す黒崎は変わらぬ口調と表情。「それはいいとして……これがUGNのクリスタル・レセプター……羽鳥真琴の資料です」
「つれないなぁ、黒崎君」
渡された資料に目を通す『課長』の目が、うっすらと輝く。
「なるほど……もう少し、といったところだね」
「ええ……あと一押し―― そのための仕掛けは打っています」
01 餞別 シーンプレイヤー:牧場広志
GM:申し訳ないです……ハンドアウトと資料の類、家に置き忘れてきてしまってたみたいなんで―― 非常に不便ですが、ハンドアウトなしでいきなりプレイに入ります。まずは前回参加してた三人から。
前回のラストから直結しますが、前回、黒崎の裏切りについての情報を手に入れていたにも関わらずスルーしてしまったこともありますので、真琴についての情報が黒崎を通して薫サイドに流出していることは覚悟しておいて下さい。
『藍空支部の皆さん。これは私からの別れの挨拶だと思っていただきたい。
あの日以来、生ける屍となっていた私がUGNに招聘されて9年―― 死者には過ぎた充実した日々ではありました。しかし、世界の裏側では『死者』が蘇るということも珍しくはない。
私を生かしてくれた《あの人》の望みを受けて―― 今、私は蘇る……裏切り者の謗りを受けようとも、『不死のグリフォン』の名においてねッ!!』
GM:この熱に浮かされたような声の後……いきなり普段の黒崎の口調に戻りまして「さて皆さん、これは私からの餞別です―― 制限時間は30秒……受け取って下さい?」<知覚>と<隠密>による対抗判定です……ち、こっちは5……全員成功か―― それなら、黒崎の机から爆弾を発見することが出来ます。
粟飯原:黒板の裏に麻薬がッ!!
GM:『ジーザース(SE:ドゥーン)!!』『俺の名前だ!地獄に落ちても忘れるなッ(←脊髄反射)!!』
そらいいとして、解除は<精密作業:9>でお願いしますね〜。
牧場:<精密作業>ねぇ……持ってるけど―― 成功!!「赤と青……どちらを切るか―― こっちだ!」
GM:成功したなら、解体には成功します。で、爆弾の中に不自然なスペースがあり、そこに何かのメモリーチップが隠されていることが判りますよ。
早苗:「じゃあ、本部で解析……」
真琴:(無言で下を指差す)
GM:いや、ここ支部だから、支部だから(笑)。ではこれでシーンは終了です。
粟飯原:じゃあ、次は俺ですね?前回の頃にはマグロ漁船に乗ってたことだし―― 『地球の裏側を見てきた男』とか、『鰹の海に漕ぎ出す女』とかやりたいワケよ!
GM:で、ですね――。
粟飯原:おい、マスタースルーかよ!?
02 雁の巣に吹く嵐 シーンプレイヤー:粟飯原裕樹
国内最大の情報屋であり、粟飯原にとっては行きつけのBARでもある『雁の巣』は日頃の落ち着きとは縁遠い場所になっていた。
10年前に壊滅したという工作員集団『不死のグリフォン』部隊が復活した、と言うその真偽を求めて増加するアクセスに、バーテンダーである橿原七瀬はその手を止めざるを得なくなり、自然、カウンターへの応対も疎かにならざるを得ない。
だからであろうか?真っ先にその客に気付いたのは、粟飯原であった。
GM:「やっ!君が粟飯原……裕樹くんだね?」ブラウンのスーツに黒ぶち眼鏡の男が、粟飯原さんの背後から声を掛けますよ。
粟飯原:「いや、J原裕樹です(即答)」
―― そのうち、真顔で宿帳に『空条Q太郎』とか書きそうである。
GM:「まぁ、J原でもいいけど……自己紹介がまだだったね……僕は内海―― 『グリフォン』って呼ばれてる」そう言って名刺を渡しますよ。
粟飯原:鈴置……(一同笑)。
GM:中の人などいないッ!!
ともあれ、そう言って渡す名詞には『ヴァルハラ・プロダクション梶@マネージメント担当 内海有三』とあります……ヴァルハラプロは小野寺薫の所属事務所ですね。
粟飯原:『ヴァルハラ……プロ』……いきなり終わってる名前だなぁ。
―― のっけからそー来るかい。
GM:「薫ちゃんの事は知ってるだろう?だから単刀直入に言おう―― 僕の仲間にならないかい?」
粟飯原:えっと……意気がってる訳とかやないんですが……はっきり言って選ぶ奴、間違ってないですか?
GM:間違ってはないですよ。粟飯原さんの情報収集能力の高さって、実際かなりのモンやし。
真琴:そうそう、粟飯原さんの情報収集能力は、いなかった前回にこそ発揮されてましたから。
粟飯原:えっと、じゃあ俺、前回シナリオロイスだったワケ?しかも昇華された(一同爆笑)??!
GM:内海の言うことにはですが、10年前に自分を殺した黒幕であるFHのエージェント『マスターレイス』こと日下部仁への復讐こそが目的であり、内海を蘇らせた薫とはそこで目的が一致している。で、薫の手によってオーヴァードとして復活し、かつての部下だった黒崎を手元に戻したとはいえ、新生『グリフォン』の手駒不足は否めない。だからこそ有能な人材を集めている、ということです。
粟飯原:なかなか面白そうな話ではあるんだけど……。
真琴:ここは言うことを聞く振りをして、言うことを聞く……あれ?
―― うぉいッ!?
GM:「なかなか面白そうな話だろう?で、これを受けてもらう条件として、一つやってもらいたいことがあるんだ。それは、君の知り合いの牧場広志―― 彼を殺す、ということだよ」
粟飯原:「えっと……粋がってる訳やないけど―― あんた、俺をどう評価してるワケ?俺を情報収集係としてみてるんじゃなかったの?てゆーか、俺が旦那を殺せると本気で思ってるの?ヒットマンじゃないよ、俺?」
真琴:きっとアレだよ……裏切らないための証立て。
粟飯原:でも、旦那の生命を踏絵にするのはなぁ(ぶつぶつ)。
GM:「まぁ、急かしはしない―― 返事はこの時に聞くよ」
そう言って差し出したのは、チケットが五枚入った封筒―― 明後日に開かれる薫のライブチケットですね。まぁ、条件面についてはいろいろと景気のいい事を言ってますよ。年俸五千万とか、昇給年四回とか―― まぁ、金銭面の条件をいくら出したところでこのゲームでは何の意味もないんですがね(笑)。
早苗:おお、確実に払う気がない!
真琴:実行する気がないから言うことだけはデカいなぁ。
―― 正しくは、実行してもデータ的には意味がないんだよなぁ、DXって(笑)……ある意味凄いゲームだよなぁ、金銭の概念が薄いゲームってのも。
粟飯原:「いや……ハ○プロに興味ないから―― 」
―― 俺にもそんなモンはありゃしません。
GM:「それはそれ、これはこれだよ―― 何だったら、キミの大好きなJKを誘うのもいいんじゃないかな?」
粟飯原:いや、それはキャラ作りだから、ネタだから……ていうか、女子大生の方がまだ似合ってると思いません?
GM&真琴:自分で言ったんだろーがッ(同時ツッコミ)!!
―― というか、キャラ作りで言ったんなら、それで押し通すことこそが筋では?
粟飯原:もうJKは飽きたッ!
牧場:……時代はJC(ぼそ)。
―― プレイ中には気付かなかったが……恐ろしいことを呟かないで頂きたい。
GM:と、ともあれシーン終了しますよー。
MIDDLE PHASE
01 綾糸
シーンプレイヤー:羽鳥真琴&御園早苗
爆弾騒動から明けて翌日、藍空支部で真琴に与えられた任務は『待機』。
しかし、実質は軟禁状態―― 賢者の石の適合者としてFHに狙われていることを考慮しての、中枢評議会(アクシズ)からの指示であった。
監視者は早苗ら主だった藍空支部の戦闘部隊の面々。携帯電話の所持やある程度の外出程度は認められており、監視そのものは緩やかではあるものの、藍空大病院・黒岩研究室として管理されているその病棟の一角に真姫と共に押し込められた真琴は……暇を持て余していた。
GM:では、続いてミドルシーンはUGN組……真琴と早苗さんですね。
真琴:真姫さんは―― 病院ですか?
GM:ええ、賢者の石の適正因子の保持者というのは珍しいからもろもろの検査を受けてる―― てな感じです。
真琴:じゃあ、病室で植物状態でベットに寝かされて「ピッ!ピッ!」っと心電図がモニターされてる真姫さんを見ながら―― 。
―― 前回の『魔獣』の時といい、毎度毎度……病院イコールそれかッ?!
GM:いや、植物状態じゃないしッ!
粟飯原:じゃあ昏睡状態で。
GM:昏睡もしてないしッ!!
つか、ピンピンしとります。普通に生活を送れる状態ではあるんです。ただ単に、FHが身柄を狙って襲撃してくる可能性が高いから、検査名目で護衛兼万一の暴走のための監視という形で真琴と一緒に病院に押し込んでいる、というか軟禁というか―― そんなモンです。
真琴:じゃあ、早苗さんは?
GM:その監視役、ということで(さらり)。
真琴:うわ……ひでぇなぁ、この組織。「僕が一番レネゲイドを上手く使えるんだ。僕が一番賢者の石を操れるんだー」
―― 親父にもぶたれたことのないよーなアフロになるのは勘弁願いたい。
GM:まぁ、監視とは言ってもほぼ形式的なものです。比較的自由に外出も出来ますし、携帯も取り上げられてませんからね。
という訳で、ここは前の日に手に入れたチップを解析して欲しいんですけどね―― 暇な時間でもあるわけですから。
早苗:じゃあ調べてみます。
GM:黒崎が残したメモリーチップに収められているのは『プロジェクト・ジュエルボックス』と言う名前のフォルダですね。詳細は以下の情報です。
@賢者の石は人工的には生成出来ない。レネゲイドがレセプターの体内で活性化し、吸着することで初めて生み出される。ただし、適性因子があれば体内で精製されていなくても移植することは可能。
A主にレセプターのストレス(ゲーム的に言えば衝動や戦闘による侵食値の上昇等)によって成長する。
B特に、賢者の石同士の共鳴現象によって賢者の石の成長の度合いは増す。その性質を利用したのが『プロジェクト・ジュエルボックス』であり、そのためにFHは世界中からレセプターを掻き集めていた。
C真琴の右手に宿る賢者の石もそうして生み出されたものの一つであり、真琴自身もまた、かつてFHによって集められた者の一人。
Dプロジェクトの頂点に立つのは<マスターレイス>日下部仁。日下部自身もレセプターであり、そこで生み出された無数のクリスタルを吸収することで高純度の賢者の石を宿すに至っている。
E現時点で次の過程――<プライメイト>と呼ばれる段階に移行出来る可能性を秘めた高純度の賢者の石は四つ。一つは日下部のもの、もう一つは真琴のもの、さらにもう一つは研究素材として日下部から緑川ラボに提供され、緑川高志に移植されたもの。最後の一つは、十年前に薫によって持ち出され、現在は内海に移植されているもの。
F薫もまたこのプロジェクトの一環である『人工的にレセプターを作る』という目的により、クローニングで生み出された存在。ただし、適性因子を持たなかったことで計画から除外、廃棄された。
G緑川ラボで行われた実験は遺伝子強化実験。もともと内海ラボ時代から神経強化人間を作り出すことに定評があったが、緑川五月が責任者になってからはさらに踏み込んで遺伝子強化を行うことになった。ただし、現存する遺伝子強化による適合者は緑川高志のみ。
真琴:ちょっと待った!『真琴もFHに集められた』って……?
GM:ん?生まれ『記憶喪失』でしょ?そのときの出来事なんですよ(きっぱり)。
真琴:うわー、そういえば書いてるー(笑)!
粟飯原:……しかし、旦那の―― 双子の弟?この顔がもう一つッ?!厭だなー!
――牧場広志(32)……『藤岡弘、』と『刑事コロンボ』を足して2で割ったっぽい顔の持ち主の男であった。
真琴:えーっと、整理してみると、こんな感じ?
[FH]小野寺薫←(日下部への恨み)→◆内海―(部下)→黒崎
↑
(反目)
↓
[FH]◆日下部仁―(部下)→春日恭二
↑
(協力)
↓
[ギルド]緑川五月―(息子・実験体)→◆緑川高志
(ギルド側の二人と牧場高志、血縁関係)
[UGN]◆真琴←(仲間)→牧場・早苗・粟飯原
[UGN]黒岩賢介←(兄妹・ラブラブ)→◇黒岩真姫
※◆は<プライメイト>に移行する可能性を秘めた賢者の石の保持者。◇はレセプター。
GM:『ラブラブ』という部分にはツッコミたいけど―― 実際仲いいもんなぁ、あの兄妹(ぼそ)。
―― この兄妹(のモデルになった方々)は、実際に『ラブラブ』と言っても過言ではないくらいだったりする(笑)。つか、それらしい描写はまだしてないというのに……何故だ(笑)?
粟飯原:……こーいったものは、普通GMが用意するようなものじゃあ―― (呆れ)。
GM:申し訳ない!用意はしてたけど、ハンドアウトと一緒に忘れてしもうたんですッ!! |||_| ̄|○|||
粟飯原:で、この小野寺・内海・黒崎組が日下部を中心とするFHの本隊から離反したっちゅー事で間違いないんですね?
GM:実際はちと違うんですが……まぁ概ねはそんな感じです。
―― 残念だが……今は『テロ組織論』を講義する暇はないんじゃッ!!
牧場:でも、チップの解析ということは―― 俺はいないと不自然じゃあ…?
GM:まー、病院ですし、牧場さんは今回は出番なしです―― ちと後で出番をお願いしますから。
牧場:俺が見つけたというのにー(一同笑)!
GM:まーまー(笑)。
粟飯原:それはそれとして、牧場さんは母親や双子の弟がこのようなことに関わっている、ということは把握しているわけですか?
真琴:いや、むっちゃ殺したいと思ってる(間髪入れず)。
牧場:まぁ、緑川ラボという名前が出てきた時には「『緑川』なんて名前はそれこそ無茶苦茶いるから」とか言ってたら、実際に母親だったわけで。
真琴:たまたま、偶然レセプターを量産する実験なんかを行ってたってだけでね(一同笑)。
粟飯原:で、何で牧場さんだけは?
牧場:いや、離婚してそれ以来会ってない、ということだから会ってなかったんでしょう……ちょうど良く同じ顔が二つあったから、それぞれ一人ずつ引き取った、ということで(笑)。
―― さて、そんな単純な理由をこのインチキロシア人・フクセンスキーが考えてるとお思いかな?
GM:で、一通り解析が終わった頃にですが―― 監視班の一人である晃太がなにやら不自然な態度で部屋を出て行こうとしますよ。
真琴:「……?晃太、どこに行くんだ!?」
GM:「なぁに……ちょっと、 裏切り者を殺しにな」
早苗:「勝手な行動は止めなさいッ!!一人で一体何をしようって言うのッ?!」
GM:「スンマセン、隊長―― でも、こーいった状況なら俺一人の方が動きやすいんスよ」
実際、藍空支部の戦闘部隊の中じゃ《タッピング(無線電波やケーブルを通して直接会話を聞くことが出来るブラックドッグのエフェクト)》とか《サイコメトリー(物品等から情報を読み取るモルフェウスのエフェクト)》といった変則情報系エフェクト持ってるし、《セキュリティカット(電子機器に異常を生じさせ、セキュリティをカットしたり、電子ロックを解除するブラックドッグのエフェクト)》なんかを駆使して潜入することも比較的容易ですからね。
早苗:「でも一人で行ってどうしようっていうのッ!!」
GM:ま、やられてしまうことは間違いないでしょーね(あっさり)。
一同:おぉ――いっ(総ツッコミ)!!
真琴:でも、僕らは結局晃太を止めることは出来なかったわけで(一同笑)。
早苗:さらば晃太(敬礼)!
GM:と……まぁ、そんな風に大空に晃太が笑顔でキメているところ悪いんですが、真琴の携帯にメールが入って来ます。
真琴:?誰からですか……やっぱり―― ?
粟飯原:「(間髪入れず)あ、オレオレ。粟飯原!今UGN食堂でUGN定食食ってるから」
GM:そんなものァねぇッ!!「チケット届いたよ。びっくりしたけど……誘ってくれてありがとう♪」と、『誕生日プレゼントとして真琴が送った小野寺薫のライブのチケットと往復の新幹線の乗車券が届いた』旨を告げるメールが、ゆう菜さんから入って来ますよ。
真琴:ええッ?!そんなチケット、送ったっけ?
GM:送った記憶はありません(にこり)。
真琴:とりあえずメールを返信しますよ……そんなチケットを送った覚えはないし、そもそもそんな人気の多いところをデートコースに選ぶはずもないし―― 。
粟飯原:なんて奥手な……いや、奥手じゃないッ!!
真琴:まぁキュマイラですから(笑)。
―― 人気の少ないところを選ぶ辺り、キュマイラというより立派なケダモンです。
GM:っと、ちょい待ち!そのメールが届いた頃とほぼ時を同じくして、黒岩さんが真琴に「よぉ……こんなのが届いてたぜ?」と、すっげぇ渋い顔をしながら封筒を差し出しますよ。
その封筒の中身もまた、明後日に行われる薫のライブチケットが一枚―― その差出人はというと……黒崎です。
真琴:えっと……黒岩さん宛てに、黒崎さんから?
GM:あ、いえいえ―― 真琴宛てですね。
ひとまずここでシーン終了しますが、チケット状況を確認すると―― こんな感じです。
粟飯原;内海からチケット五枚 真琴;黒崎からチケット一枚 ゆう菜;『真琴から』チケット一枚
02 陥穽
シーンプレイヤー:牧場広志
内海達の仕掛けによって作り上げられたこの状況に、当然ながらPC達は困惑する。
GMとしては粟飯原が得た五枚のチケット―― 真琴を除く三名がその『余り二枚』をどのように活用するかをこのシナリオ……そして、それ以降を左右するポイントとして考慮していた。
現状としては真琴、そして黒岩真姫というUGNサイドに存在する二人のレセプターがFH―― 正しくは、日下部仁に狙われている。
明らかに裏があることを臭わせつつ粟飯原に五枚のチケットを手渡した内海の言葉を額面通りに受け取って、JK等を連れて行った場合には、真姫に対する護衛が薄くなる好機とみなした日下部にその身柄を奪われ、このキャンペーンのラスボスである日下部の能力をさらに引き上げる材料とされてしまうように設定していた。
『日下部への復讐』という目的がある薫&内海サイドとしても、これは避けたい事態なのである。
だからこそ『余り二枚』を使って真姫と適当な護衛を一緒にライブ会場に連れて行き、日下部の強襲を抑えることが出来ればこのシナリオを乗り切る条件は整う。
―― はずであった。
以前にも述べたことではあるが、繰り返そう。
RPGというものは、GMの思惑通りに進むことなど絶対にありえないのだ。
真琴:えっと、状況を整理すると―― 。
早苗:敵に彼女連れてデートしに来い、と言われてる(一同笑)。
真琴:ううう、しかし何で関係ないゆう菜さんまで。
GM:関係あるでしょ?真琴の賢者の石を成長させるには、ストレスをかけるのが一番なんだから。
真琴:そんな関係だったのかよぉぉぉぉぉぉッ(一同笑)?!
―― そんなこと言っても、個人情報握ってるんだから、それくらいやるさな。
早苗:じゃあ彼女には事情を話して断りを入れたら?敵のど真ん中に連れて行くわけには行かないし。
真琴:そうだね、じゃあゆう菜さんには電話で断りを……。
GM:どーやって一般人に(笑顔)?
真琴:ああッ!そういえばそうだったぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!
じゃあ、ちょっと粟飯原さんに連絡をとってみます。確か小野寺薫について探ってたり、バッシングしてたり、むしろ荒らしてたりしてたから、こういったことには詳しいでしょうし(一同爆笑)。
GM:うぃ。ならば三人で対策を練る、ということですね?
こうして、真琴と早苗に粟飯原を加えた三人は情報を交換し合い、対策を練ることになる。
このように、あーでもない、こーでもない、と思考し、議論し、独自に対策を見出そうとするのもまた、TRPGの楽しみの一つの形。
しかし、それを纏めつつ、一定の方向に誘導していくのは本来アドリブを得意とするGMに適したもの。
少なくとも、アドリブの利かない下手っぴぃには向かない。
粟飯原:チケットは五枚で、俺と早苗ちゃんと旦那を入れたら残りは二枚……手駒を揃えろ、ということですね?
じゃあ、『テンペスト』と『ストレンジャーズ』の隊長を呼ぼっかな……そういう風に使っていいんでしょ?
GM:はー、別に構やしませんよ。でも、言うときますが……どっちもオーヴァードを利用しようとしとる組織ですよ?
―― 在日米軍オーヴァード部隊『テンペスト』……そして、防衛隊対レネゲイド部隊『ストレンジャーズ』……基本ルールブックでは触れられてはいなかったが、後の展開でどちらも裏でFHと手を結んでいると判明した組織―― つまり敵である。
粟飯原:じゃあ上月兄弟(ルールブックにも掲載されている、富士見書房刊のオフィシャルリプレイ『ダブルクロス・リプレイ 闇に降る雪― Queen of Blue ―』、並びに、『ダブルクロス・リプレイ 聖夜に鳴る鐘 ―Dynast ―』登場のキャラクター、上月永斗(PL・田中天)と上月司(PL・矢野俊策))を呼ぼう。
真琴:あぁ、そうだね……どっちも有名だし(笑)。
GM:おーい、そいつら北海道、北海道……って、今は秋葉原にいるんだったんだッ!!
―― 前回悪ノリで『アキハバラ』ステージのネタを使ったツケがこんなところで出るとはッ?!
粟飯原:「もしもし矢野さん?マイミ○シィの粟飯原なんですけどー」
GM:ちょっと待て!矢野さんかよッ(素)?!
――メタにもほどあるわーッ!!ノ `Д´)ノ ┻━┻(←心象風景)
と、見ての通りの暴走である。
思えば、この時に釘を刺しておけば良かったかもしれない。
または、シナリオに情報を提示することで内海、そして薫の側の『理由』を探らせる切っ掛けを持ち出せば良かったかもしれない。
だが、身の程を知らないGMがとった判断は……。
GM:じゃあ、そちらはそちらで進める、ということで話し合って対策を練って下さい。こっちはその間に牧場さんのシーンに入りますんで、侵食率を上げるのを忘れずにお願いします。
『流れに任せての放置』であった。
そしてこの判断が、後の混乱と軋轢を招くことになるとは―― 想像するにはGMはあまりに場数が足りていなかった。
GM:一方その頃、牧場さんは同志でもあるキャリア―― 武田信晴から呼び出しを受けます。
雁の巣でバーボンを酌み交わしながら、武田は言いますよ。「話は聞いた。『不死のグリフォン』部隊が復活したことも、黒崎がその一員だったこともな」
牧場:「黒崎については―― 俺のミスだ」(グラスを傾ける仕草)
GM:「お前が黒崎と友人だったことは知っているが―― やれるか?」
まぁ、言ってしまえば指令ですね。『不死のグリフォン』部隊である黒崎と、その上にいる内海を『処理』するための。
牧場:「…………仕事に私情を挟んだ事はない」
GM:「ああ……そうだったな―― だからこそ、俺もお前に生命を預けることが出来る。
もし俺が最初の志を忘れたと思ったなら―― その時には……頼むぞ」
牧場:「ああ……任せろ」そう言いながら、さらに酒を酌み交わします。
GM:では、二人で静かに飲みつつ……ここでシーン終了です。
早苗:早ッ?!
真琴:まぁ、冗談がなければこんなモンだよ。
―― まったくだ。
03 無明
シーンプレイヤー:粟飯原裕樹
牧場が静かに意志を固めていたその頃、真琴らの間では対策として様々な案が飛び交っていた。
曰く、ゆう菜に真琴の正体を晒さないために《黒き明かり》で一時的な盲目状態に陥ってもらう。
曰く、真琴とゆう菜は別行動で昼間から(中略)な場所にでもしけこんでゆう菜に眠ってもらう。
曰く、待ち伏せに乗るのも馬鹿らしいので、すっぽかしてムエタイVS巫女の試合を観に後楽園ホールに向かう。
曰く、ゆう菜に戦闘訓練を積ませて自分の身は自分で護れるように鍛える。
とはいえ、『何故敵の手駒を増やす』という愚を冒してまでも、内海が五枚のチケットを粟飯原に与えたのか、という一点が引っかかり、決定的な案が出てこない―― というか、ろくな意見なんぞ出やしなかった。
粟飯原:じゃあ、確認を取ろうかねぇ―― 五枚のチケットは早苗ちゃん、旦那、俺……あと、黒岩兄妹で固めてゆう菜を護る、ということでいいんだね?
故に、『ゆう菜を怪しませる』ことを避けるため、罠と判っていても虎口に飛び込まざるを得なかった。
GM:判りました……じゃあ、牧場さんと粟飯原さんが連絡を取り合うシーンという感じで……BARでもいいし。
牧場:赤提灯とか(ぼそ)。
粟飯原:じゃあ村さ来辺りで。
いきなり場を庶民的な場所に変え、『交渉のイロハもわかってない。しかも前金代わりにチケット五枚だけ』と内海をコケにしつつも二人は情報を交換するが……。
粟飯原:「こっち一つ豚足追加ねー!豚足ウマッ!テラウマッ!」
『日下部を敵視している』という要素を考慮していないため、情報を総合してもなお内海らの行動に論理的な整合性を見出せないこともあってだろうか、のっけからやる気がない。
そして、そのやる気のなさから『幼稚園児に対する保父(保母)さん以上に優しく、懇切丁寧に』というマスタリングの基本理念を削ぎ落とし、既に半ばキレかけてしまっていたGMには、状況に応じた適切な誘導など出来るはずはなかった。
GM:……じゃあ情報を精査するって形で、<情報:UGN>か<情報:FH>で情報収集をお願いします。
牧場:《知識の泉》を使って……クリティカルはない、9!
GM:うーむ…その出目だったら、賢者の石に関する追加情報として『賢者の石は賢者の石を吸収することによってさらにその成長の度合いを高める』と言うのが判ります。特に、さっき挙げた<次の段階>に移行するだけの力を宿した四つの賢者の石ともなれば、飛躍的に力を増すには、レセプター同士が殺しあってお互いの持っている賢者の石を吸収することが必要不可欠になって来る、ということが判りますよ。
これは紛れもなくGMの失態である。
ここでキャンペーン全体のラスボスである日下部について触れていたならば、プレイヤーが懸念している『チケットの枚数』等のようなシナリオの謎に関する理解度は大分違ったかも知れない。だが、GMは冷静さを欠いて賢者の石についての情報しか渡さなかったのだ。
自分で言うのもなんだが、なんというか……『アホか、こいつ?』としか言いようがない。虚仮にされるのも当然である(自己嫌悪)。
牧場:で、それと俺達をわざわざ呼ぶ、ということについてはどんな意味が……?
GM:真琴の仲間を目の前で殺すことに加え、元仲間だった黒崎とも殺しあうということで真琴に与えるストレスをさらに高める、というのが狙いでしょうね。
粟飯原:つまり俺達ただの餌ッ!?しかも黒岩兄妹を殺すことでレセプターを減らすことになるから、まさに一石三鳥ッ?!
GM:待てそこの百目鬼幻夜斎ッ(どめき・げんやさい…ちょっと昔の忍者漫画『ムジナ』に登場する忍者の首領。『一石二鳥』『一石三鳥』が口癖)!!
牧場:なるほど……兎に角、そういうことを閃いた、という訳で―― 「粟飯原、君に会えてよかった……おかげでボクの頭の中で全て解決したよ、はっはっはっはっ(一同爆笑)!!」
粟飯原:いやぁ、俺も豚足喰えてよかったっスよ。
どの道、このまま放っておいたら真琴も真琴の彼女も待ってるのは破滅だけだから、防ぐには仕掛けられた形だけど、出向いてやって水際で食い止めるしかない、ということですよ。
GM:……と、兎に角全員ライブ会場に行く、ということで、一旦ここでシーンを切りますよー(汗)。
真琴:で、明日の新聞の一面には『小野寺薫死亡ッ!!コンサート中止ッ!!』となって終了(笑)。
GM:やらんッ!
つか、そんなに打ち切りにしたいんかッ?!『すがたけ先生の次回作にご期待下さい』ですかッ(一同笑)?!
04 再会
シーンプレイヤー:羽鳥真琴
新幹線が停車する。
扉が開き、一人の少女が駆け下りる。
探す瞳が右、左。
見つけた表情が、輝いた。
GM:ちゅーわけで、シーンは変わって二日後―― ゆう菜が乗ってる新幹線がやってきます。
真琴:もちろん東京駅ですよね?じゃあパンダの前で待って……それは上野駅だッ(一同笑)!!
―― 一人ノリツッコミ、ありがとうございます。
GM:(ジト目)……。
真琴:いや、もちろん東京駅のホームで待ってますよ?凄く嬉しそうに、新幹線止めてますから(一同爆笑)。
GM:ちょっと待てッ!!いろいろあぶない真似するんじゃないッ(絶叫)!!
真琴:そしてむくむくと成長する賢者の石(笑)。
―― するな。
GM:(疲れきった口調で)……ともあれ、別にやることないですよね。だったら、そのまま千葉のライブ会場に向かう、ということでお願いします。
「あっちも楽しいし、伯母さん達も親切にしてくれるんだけど、やっぱりこっちに帰りたいなぁ」
「羽鳥くんは大学はどうするの?」
「出来たら、同じ大学に行って……それから―― 」
久しぶりに出会えた嬉しさがあるのだろう―― 取り留めのない会話は堰を切ったかのように止まるところを見せることなく続く。
真琴にとってかけがえのない、護らねばならない日常。
頷きの軽さとは裏腹に、その価値は真琴にとってあまりにも重いものであった。
真琴:大学……出席日数が。 |||_| ̄|○|||
粟飯原:じゃあ、国際環境情報大学辺りを狙ってみれば何とかなるんじゃないですか?
GM:まー、オフィシャルの設定ではUGNのカヴァーの一つですからね(笑)。
ちゅー訳で、ライブ会場となる幕張スタジアムに到着して……程なくしてライブが始まります。
牧場:じゃあ、ピンク色の法被を着て、団扇とペンライトで……。
GM:いや、そんなアイドルアイドルしてる皆さんのイメージとは違って、かなりの本格派シンガーです。という訳で、マスターシーンに入ります。
05 熱狂の終焉
MASTER SCENE
ライブの熱狂の裏で、男が呟く。
「―― 準備完了。あとは、それを上手く使うだけ。
羽鳥真琴の最大の弱点は、自分よりも他人を優先してしまう点……そう思わないかな?」
「思うさ……だから俺はここにいるんだよッ!」男の呟きに応じる言葉と共に、少年の右腕が金属の光沢を帯びる。「あんたが何を企んでいるかは知らねぇ――知りたくもねぇ。けど、確かなことは一つある。あんたが何を企んで真琴を狙っていようが、ここであんたを殺せばそれで終わり―― そいつが俺に出来るたった一つのやり方だ」
無骨な正体を晒したのは少年―― 藍空支部のUGチルドレン・橋尾晃太の<銀の右腕>だけではない。持ち主の筋電位を読み取り、滑らかに動く白銀色の義手―― 高分子筋電義手―― をカムフラージュするためにコーティングされていた人工皮膚が、本来の姿を―― 長大な両手剣としての姿を取り戻していた。
「そう言うと思ったよ―― これも教育の賜物かな?」銃身をスライドさせる黒崎の貌から氷点下の笑みが零れる。
そして、銃火と剣戟が―― 交錯した。
早苗:さよなら、晃太(笑)。
牧場:そして、その銃声を俺は会場を警備しながら聞いたわけで。
―― 無茶言うな。
GM:という訳で、シーンに入りますよ……っと。
ライブも終わりを迎え、アンコールの声が巻き起こる。
だが、この『終わり』の真の意味を知る者は少ない。
それは、賢者の石に魅入られた者であっても―― 。
GM:アンコールの声に応じて、舞台袖に引っ込んでいた薫がステージ中央に戻ってきます。
粟飯原:(突然薫)「じゃあ皆死ね」
GM:それはないから。
「みんな、来てくれてありがとう。ここでみんなにしとかなきゃいけないお知らせがあります。私、小野寺薫は……今日一杯で芸能界から引退します!」
真琴:(突然観客)「ええ〜〜〜〜ッ!!」
早苗:(当然観客)「やめないで〜〜〜〜ッ!!」
粟飯原:荒らした甲斐があったぜッ(非常に誇らしげに)!!
GM:はい、そっち行かない行かないッ!!
ともあれ、そんな観客の声に応じて、薫は笑顔を浮かべる。
「あ、大丈夫!デキ婚とかじゃないから―― そんな相手もいないしね。ただ、どうしてもやらなきゃならないことがあって……そのためには芸能活動を続けることが難しいの」
粟飯原:(突然薫)「だから皆死ね」
―― (カチン)いちいち乗っ取ろうとしてまでしてキャライメージを損ねたいのか?なんつーか……ここまで嫌うかなぁ?
GM:(無視しながら)「勝手なお願いだけど、笑って……送り出してくれるかな?」
粟飯原:だから何で、そこで「勝手なお願いだけど……皆死ね」じゃないんですか?
―― (カチン)いや、だから何でさも当然のようにンな無茶を要求するかなぁ?
GM:で、その言葉と共に、今までのアップテンポの曲とは違うバラード、そして、微かな香りが流れ……。
真琴:ワーディング!!
GM:その通り。ワーディングと《忘却の彼方(対象の記憶から、自らのことを消すソラリスのエフェクト)》がシーン全体に発動しますよ。
<意志>で5以上なら抵抗には成功しますが、一般人はワーディングの効果もあってか、ぽぅっと呆けている感じですね。
「お待たせ―― じゃあ、始めようか?
言っとくけど―― 本気でね。じゃないと意味がないし、マスターレイスを越えるための踏み台にもならない」
その言葉と共に、薫の目が輝きます。《ナーブジャック(レネゲイドを操り、精神支配によって領域内にある相手を自らの意のままに操るオルクスのエフェクト。ただし、オーヴァードを支配した場合、そのエフェクトを使用させることは出来ない)》《要の陣形(組み合わせたエフェクトの対象を増やすことが出来るオルクスのエフェクト)》《絶対の空間(<RC>のクリティカル値をLV(最大3)分下げるオルクスのエフェクト)》!!
全員<意志>で対抗……目標は26!
粟飯原:え?誰が抵抗するんですか?
GM:皆さんです。
粟飯原:ちゃんと言ってくれませんかねぇ?メリハリないんですけど。
GM:(カチン)…………ともあれ、皆失敗ですか?
粟飯原:じゃあ、これでGMにキャラシートを返して……終わりと(嬉々とした口調で)。
―― (カチン)やる気ねえなら、マジに回収したろかッ?!
GM:失敗は強制ジェネシフトで、侵蝕率+3dです。
牧場:うわ、22上がったッ!合計で……82%ッ(笑)!
GM:いつもながら派手ですねぇ(笑)。
真琴:でも、やっぱりこれがないと牧場さんって感じがしないというか(一同爆笑)。
GM:ステージに上がる準備は出来てますよね?ステージに上がってからシーンが変わりますんで(笑)。
牧場:じゃあ、ステージに上がる前に、小野寺の名前がプリントされたタオルと団扇を《ハンドレッドガンズ》と《ダブルクリエイト》で二丁拳銃に変化させます(一同爆笑)。
粟飯原:なんちゅーか、相変わらず相手の神経を逆撫でする演出が得意ですねぇ。
―― どの口が言うか?つーか……牧場さんのこの手の演出で神経逆撫でされたことなんてないんだけどなぁ、俺は(苦笑)。
GM:まー、《ハンドレッドガンズ》《インフィニティウェポン》って……実は、シーンが変わると効果切れるんですけどね(笑)。
牧場:いや、まぁそれは演出、ということで(笑)。
真琴:では、ステージに上がる前に―― 聞こえるはずのないゆう菜さんに一言呟きます。
「……行ってくるよ、ゆう菜さん」
その呟きにゆう菜は答えるはずはない。だが、死地に赴き、そこから戻ることを誓うには、その存在だけで―― 背の向こうにそれを感じるだけで充分であった。
CLIMAX PHASE
決別の死戦
シーンプレイヤー:羽鳥真琴
GM:皆さんが舞台に上がるのとほぼ同時ですが、舞台袖から内海、そして、ボロボロになった晃太を引き摺って黒崎が登場します。
セッション始まる前に言ってた通り、黒崎は特殊素材で出来ている特殊スーツ……スプリガンに出てきたAM(アーマード・マッスル)スーツみたいなヤツ(正式名称・パワーアシストスーツ)を身につけてますよ。
早苗:ボスクラスが三人もッ?!
GM:『キャンペーン早く終われ』とせっつかれてますからね(笑)。まー、テストプレイでは勝ってますし、大丈夫ですよ(笑)。
第1ラウンド
配置は以下の通りです。
_[粟飯原・牧場・早苗・真琴]←12m→[薫・内海・黒崎]
[ゆう菜・黒岩賢介・真姫]←20m→|
粟飯原:(配置を見て)なんで黒岩兄妹が参戦してないんですか?!何のために呼んだんですか?!
GM:内海にしてみりゃ、日下部に真姫さんの身柄を押さえられたくないからですよ。まぁ、参加させてもいいけど……メンドくさいし、その分PCの見せ場なくなるよ?
―― 明らかに弾除け要員としか見てなかったようだけど……ハナからゆう菜を護るために配置して置いた方が理に適ってるわな―― つか、どの道NPCが働いたら働いたで「NPCに活躍させすぎ」なんて文句つけるんだし。
真琴:で、晃太は?
GM:黒崎の足下に転がってます(きっぱり)!「まだ、生きてはいますよ。しかし、このまま放っておいては―― 判りますね?」
真琴:あああ、晃太ぁ……そんなことになってるとは思ってたけど(爆笑)!
粟飯原:やっぱり『コウタ』って名前ついてる奴にはろくな奴いないなぁ。
―― 健康ブラザーズ……テーブルネットワークの誇る『兄弟』ユニットであった。
GM:いいじゃないですか、所詮噛ませです(どきっぱり)。
「それにもう一人―― 君にとって大切な人がそこにいるはず。彼女を守り抜くためには、躊躇は不要です」
では、戦闘開始……という訳でセットアップは三人ともヴァイタルアップ!
粟飯原:(不満たらたらな口調で)あー、はいはい、どうせイニシアティブは20とかでしょ?ワロスワロス!
GM:(売り言葉を買いながら)はい、その通りっとッ!
まずイニシアティブ17で、内海が《血の従者(血を始めとした体液から<従者>と呼ばれる疑似生物を作成するブラム=ストーカーのエフェクト)》《愚者の軍団(本来ならば一度に一体しか作れない従者を同時に複数作成するブラム=ストーカーのエフェクト)》《血族(ブラム=ストーカー独自のエフェクトのクリティカル値をLV(最大3)分下げる、ブラムストーカーのエフェクト)》を使い……。
粟飯原:(クリティカルが続くのを見ながら)『内海はザラキを唱えた。真琴は死んでしまった。広志は死んでしまった。早苗は死んでしまった。弘樹は死んでしまった。真琴達は全滅した…』
GM:勝手にそんなエフェクト作らんで下さい(冷淡)。兎に角、子供の姿をした従者を一度に4体作成します。
――(カチン) 一刻も早く止めたいのは判るけど……まったく、なんちゅーギスギスしたセッションやねん(←自業自得)。
真琴:……ということは、ブラム=ストーカー×バロール?
GM:ですね。で、14で薫は待機で……黒崎は《シューティングシステム》《マルチウエポン》その他を組み合わせて、真琴をアサルトライフルその他で射撃……命中は34!
真琴:研究されてるぅッ!?
真琴がそれまで使っていた戦術の肝は『《復讐の刃》による、接近してからの潰しあい』である。しかし、キュマイラのピュアブリードである真琴が有する遠距離を攻撃出来るエフェクト―― 《大蛇の尾》はメジャーアクションでのみ発動する。つまり、射撃やそれに順ずる距離を取っての攻撃に対してはその戦術は通用しないのだ。
GM:「……君の戦い方は、今まで近くで見ていましたからね」まぁ、こんな時こそ《竜鱗》の出番やないんですか?
真琴:そうですね―― 《竜燐》を使って受けます。その時、真琴の身体は一瞬にして竜の鱗に覆われてしまったとさ(笑)。
GM:ダメージは……31点!
真琴:10点軽減して……HPは8点残り!
GM:「ほう……前よりも硬くなってますね――」……って、やべぇッ!!俺今変な台詞口走ってしまったッ(一同大爆笑)!?
真琴:「一皮剥けたんですよッ!!」(一同大爆笑)
GM:ううう、なんで俺らの盛り上がるツボはこんなネタでしかないんだ。|||_| ̄|○|||
真琴:ホント、ガチホモネタが一番盛り上がるよなぁ。
牧場:じゃあ……俺はさっき言ってたようにマイナーで《ハンドレッドガンズ》《ダブルクリエイト》を使って二丁拳銃を生み出して、メジャーで《シューティングシステム》《ギガンティックモード》、あと、黒崎の装甲が硬いらしいから《崩壊の一点》も組み合わせて……と。
GM:待った!密集陣形でそんなの喰らうのはまずいから―― 《時の棺(超重力によって押し潰す事によって、対象の判定を自動的に失敗させてしまうバロールのエフェクト)》!弾丸が発射されると同時に内海の眼が銀色に輝き、弾丸は地面に叩き落とされますッ!!
……よく考えてみたら次の早苗さんも範囲攻撃持ってるんでしたよね(苦笑)
粟飯原:従者は厄介だなぁ……俺も《茨の輪》使って削るかなぁ。
真琴:……範囲攻撃持ってないの、まさか俺だけ?!
GM:はいッ(きっぱり)!!
真琴:いいんだッ!真琴は一匹一匹潰すのが仕事ッ!ガン○ムと一緒ッ!!&(←膝を抱えて蹲る)
GM:そこッ!膝抱えて拗ねないッ!!
早苗:《貪欲なる拳》に《伸縮腕》《浸透撃》《獅子奮迅》とかいろいろ組み合わせて……命中は41!
GM:41?!そらまたデカいなぁ……薫が61で回避。それ以外は全員失敗です。ではダメージどうぞ!
早苗:……ダメージは、4プラスの……28点!
GM:全員生きてます……つか、さっき言ってた『4』は足してます?
早苗:あ、足してます。
GM:あっぶねーッ!従者、一気に残りHP4点ですわ(笑)。
粟飯原:じゃあ、《スターダストレイン》《光の弓》《全知の欠片》《茨の輪》を組み合わせて……俺が大間のマグロ漁船で生み出したこの光るマグロでッ!!
真琴:しかも全部冷凍……キャー、かっこいー!
―― 時々、この二人のセンスが判らんくなるとです。
粟飯原:クリティカルはない……11―― こりゃ当たらんだろうなぁ。
GM:いや……こっちも内海は回避エフェクト持ってないから……内海と従者が回避失敗ッ!!
粟飯原:ダメージは2dで……。
GM:あ、いや……《光の弓》のLV分攻撃力を足しますから、2d+2ですね。
粟飯原:攻撃力って……命中の時に使うんじゃあ?
GM:それはソードワールドですから(苦笑)。
粟飯原:(釈然としない口調で)じゃあ、ダメージは……21と、《茨の輪》の分の5点がラウンドの最後に実ダメージとして入ります。
GM:まぁ、そこに行くまでもなく、従者は全部崩れます。
粟飯原:「見ろ、マグロ漁船の修行の成果ぁ!!」
真琴:じゃあ皆動いた後で……って、そういえば薫ちんはまだ動いてないんですよね?
GM:はい。真琴が動くまで様子見、という感じです。
真琴:マイナーで《ハンティングスタイル》《完全獣化》《破壊の爪》を使って……《大蛇の尾》《鬼の一撃》で、薫ちんに攻撃、と……命中は33ッ!
GM:それは……喰らったッ!!ダメージどうぞッ!!
真琴:「僕の怒りを受けてみろぉッ!!」……というわけでダメージは30です。
GM:ぐはッ!デカいなぁ、やっぱり。
でも、まだ生きてる―― なので、待機を解除して……まずオルクスのエフェクトの《縮地(地面ごと移動することで、シーン内のどんな場所にでも移動できるエフェクト)》を使って一気に牧場さんに接敵しますッ!!
そして、セカンドアクションとして……《大地の加護(領域の力を集めることで、オルクスのエフェクトによる攻撃のダメージを高めるオルクスのエフェクト)》《要の陣形》《光の弓》《絶対の空間》を使って全員に攻撃ッ!!
真琴:オルクスと……エンジェルハイロゥ?!
GM:さぁて、なんでしょうかねぇ(笑)。ともあれ、51で回避をお願いします……失敗なら、ダメージは38点ですね。
粟飯原:(やる気ないことこの上ない口調で)はいはい、リザレクト、リザレクト。
GM:では次のラウンドです。
第2ラウンド
配置は以下の通り(観客席側は省略)
[粟飯原・牧場・薫・早苗・真琴]←12m→[内海・黒崎]
GM:まずは内海から……全滅させられた従者を残念がりながら「あーあ、仕方ないなぁ」と言いつつ、目を光らせる(じゃらじゃらとダイスを準備しながら)。
真琴:『仕方ない』でそんだけダイスを振るなッ!!
GM:そして、マイナーで《ダークマター(メジャー・アクションでバロール・シンドロームのエフェクトが使われる場合に限り、LV分のダイスボーナスを加えることが出来るバロールのエフェクト)》使って、メジャーで《血の呪縛(凝固性の高い血液を付着させることで、しばらくの間相手の動きを封じる(戦闘中、<回避>と<運動>にダイスペナルティを与える)ブラム=ストーカーのエフェクト)》《封印の呪(相手の体内に血液を打ち込むことで、僅かなりとも相手の動きを阻害する(このエフェクトの影響を受けた直後の判定のクリティカル値を+1する)ブラム=ストーカーのエフェクト)》《夜闇の幻想(相手を大量の血液の奔流に飲み込み、圧殺するブラム=ストーカーのエフェクト)》《因果歪曲(バロールによる『力』を捻じ曲げ、その効果範囲を『範囲』に拡大するバロールのエフェクト)》《魔王の腕(重力を相手の平行方向に掛けることによって、相手を転倒させるバロールのエフェクト)》《冥界の檻(重力によって相手を捕らえ、短い間相手の行動を阻害する(そのラウンド中の全ての行動にダイスペナルティを与える)バロールのエフェクト)》ッ!!
超重力で圧縮された血液の弾丸が全員に襲い掛かるッ!!命中は……59!
粟飯原:はいはい、ワロスワロス。
GM:あ、これダメージよりもむしろダイスペナルティをガッツリ与えるのが目的だから、誰かカヴァーリングした方がいいと思いますよ?
真琴:……誰か庇ってくんないかなぁ……あっ!ここで黒岩兄妹に庇ってもらうのはどうでしょう?
粟飯原:てか、何かしてるんスか、黒岩兄妹(吐き捨てるように)?
早苗:(突然黒岩兄妹)「がんばれー」「駄目だ、見るんじゃないッ!!」(一同笑)
真琴:役に立たんオーヴァードやなぁ。何のために連れて来たんかねぇ(侮蔑の口調)?
粟飯原:全く、何のためにいるんでしょうかねぇ(非難の眼差し)?
―― (カチン)つーか、「真琴の本気を引き出す」とか言って、黒崎あたりにゆう菜が撃たれていいとでも……まぁ、いいんだろうなぁ。明らかにキャンペーン自体を破壊する意図が見えてるから。
真琴:まぁNPCに無理矢理行動させるのも悪いから、PC同士で庇いましょうかねぇ(仕方なさそうに)。
粟飯原:だったら上月兄弟呼んだわッ!!俺が田中天張りの勢いで動かしたわッ!!
―― (カチン)で、悪いトコだけ真似してシナリオをさらに壊しに掛かる、となるんだな。第一、PC達のスペックは既にルールブックに掲載されている上月兄弟は越えてるんだから、ハナから捨て駒として認識してない限り、『使えない』って言って苛立つのは明白だと思うんだけどな。
真琴:あ、死んだらペナルティは解除……。
GM:されませんよ(きっぱり)。身体そのものに外的要因として影響与えてるわけですから、蘇っても縛られたままです。
―― 死んでも簡単に蘇ることが出来るDXで『死亡で状態変化解除』なんて真似やってたら一気に緊迫感がなくなるし、そもそも《完全獣化》やら《破壊の爪》やらのようなエフェクトの恩恵も殺されるたびに消えるのだが?
真琴:納得いかんなぁ……まぁいいや。兎に角、牧場さんを庇います。粟飯原さんは早苗さんを庇ってください。
GM:ダメージは……40で、倍になるから80です。
真琴:(うんざりと)あー、死んだ死んだ。はー、リザレクトリザレクト……これで侵蝕率100超えた、と。
粟飯原:「い〜ぃカヴァーリングしてきたよ、サザ○〜ェ(←某日曜夕方6:30の国民的アニメの物真似)」……99%(一同驚嘆)!
早苗:……水際の人だ。
GM:で、続いては黒崎と薫が14で行動……まずは黒崎がマイナーで接近して、メジャーで撃ちます。
粟飯原:接近して銃で撃つ……男の世界―― ようこそ男の世界へッ!!
早苗:さらばドット=ハーン。
―― そんなやられ役まっしぐらなキャラなんぞ、とっととお別れしていただきたい。
GM:まぁ、まだ4mありますから、普通に<射撃>で……命中は31です。
牧場:《守りの弾》と《シューティングシステム》使って……駄目か、29。
GM:ダメージは……低いッ!12で。
牧場:死にました。「ああ、黒崎に殺られるなら本望よ……我が生涯に一片の悔いなしッ!!」
GM:あ……えっと、タイタスは?
牧場:使いません(きっぱり)。このまま死なせてくれぇ(一同爆笑)。
GM:な、なるほど……では同時に薫の行動ですが―― 《絶対の恐怖》に《ポイズンフォッグ》を組み合わせて範囲攻撃します。
真琴:避けれんわッ!どーせ喰らうわ、的じゃ的(<回避>にペナルティ喰らいまくり)。
GM:……<意志>で抵抗してください。命中は……32で、失敗したならダメージは28です。
このダメージにより、一旦は全員が死亡するものの、粟飯原は最後のリザレクト、そして、真琴と早苗はタイタスを昇華させてそれぞれ蘇る―― なお、牧場は薫の攻撃をやり過ごしたにも関わらず、まだ復活しない(というか、PLがトイレに立ったのだが)。
しかし、PCは蘇りはしているものの、一方的に打ちのめされ続けている上、先が見えないテンポの悪い戦闘を延々と続けなければならないという多大なストレスから、プレイヤー達の精神は極限までに磨り減っていた。
その精神状態のままプレイを続けても傷口が広がるだけなのは最早明白である。
だからこそ、GMはここで一つのアドヴァイスを与えることにした。
GM:……粟飯原さん、どうせダイスの数ガタ減りしてるんやったら、《狂戦士》使ってパーティの戦力の底上げしたらどうです?このままシーン全体攻撃狙ってもダイスまともに振れんのだし、クリティカル値が悪くなったままじゃ失敗するだけでしょ?
粟飯原:でも結局ダイス1個しか振れないんだったら一緒じゃないですかッ(憤慨)?!
―― あー、全滅してバランスの悪さを詰ってやりたいんだろうなぁ。
GM:それがどうにかなるんです。
GMがここでレクチャーしたのが、《狂戦士》や《アクセル》といった支援系エフェクトに対して攻撃系エフェクトに属する《暗き明かり》を組み合わせる、というやり方である。
エフェクトの発動に対して目標値が設定されているエフェクト同士を組み合わせた場合、高いエフェクトが設定されている方が優先されるが、目標値が設定されているエフェクトと対抗を要求されるエフェクトを組み合わせた場合には対抗を要求されるエフェクトの方が優先される、というルールを利用したのだ。
そして、攻撃系エフェクトとして分類されてはいるものの、《暗き明かり》は『組み合わされた攻撃によってダメージを与えた相手にダイスペナルティを与える』という効果を持ってはいるが、単体ではダメージを与えることが出来ないため、エンジェルハイロゥのエフェクトの中でも『攻撃系エフェクト以外とは組み合わない』という欠点を持つ《スターダストレイン》と組み合わせて支援効果をパーティ全体にもたらすにはもってこいなのだ―― 些か反則じみてはいるが、同じ<RC>で組み合う以上、ルール上は問題はない。演出上の解釈としては『ハレーションにより、トランス状態を引き起こす』と言ったところである。
というか、『多少マンチキンに走ろうが、智恵を絞らず、惰性でプレイするよりはマシ』というのはTRPGの持つ一つの側面であり、GMの信念でもある。
だが、この考えは正直受け入れられ難い。だからこそ……。
粟飯原:(憤懣と嘲りに満ちた口調で)まぁそれでいいんならやりますけどー、大して重要視せんでただ単に《狂戦士》が強そうだからってんで取ったんであって、そんな裏技前提でコンボ組むのって正直どーなんでしょー、そう言う誘導はッ(吐き捨てるように)?
このように、『正統派プレイヤー』には否定されることもまた否めない。
しかし、PCを全滅させて喜ぶGMなどいない―― いや、どっかにいるかも知れないが、少なくともこのGMは違う。
何せ、日頃から『盛り上がるにはピンチと逆転ッ!!』やら『逆転のカタルシスッ!!』やらほざいてる奴である。戦闘自体に手を抜くことはないが、PLが感じていたストレスを爽快感に転化するためなら、ルールの穴を衝くようなアドヴァイスぐらい大したことではないのだ。
だが、こーいった『GMの姿勢』はあくまで特殊な例なので、あまり真似しちゃいけないぞッ!!
真琴:まぁいいんじゃない、出来るんだったら。
早苗:今までのコンボにフラットシフト組み合わせて……んっと、死にそうなのは?
GM:まぁ、一番死にそうなのは、薫かなぁ?
早苗:じゃあ薫殺ろっと♪薫ムカつくッ!!
粟飯原:いや、全員ムカつくッ!!
―― 嫌われたもんだねぇ……こうまで敵意を向けられてると、逆に冷静になってくるや。
粟飯原:兎に角、行動してない二人に《スターダストレイン》《黒き明かり》《狂戦士》を掛けますよ。
GM:……?《アクセル》つけて早苗さんにも掛けないんですか?
粟飯原:(無視して)じゃあ『光のマグロ』を二人にッ(一同爆笑)!!
真琴:避けたいッ!凄く避けたいッ(爆笑)!!
一人寂しくダイス転がしてた早苗:24で小野寺攻撃ー。
真琴:(突然ナレーター)早苗の目玉が鞭のように伸びて……。
カタツムリ扱いされた早苗:目玉ッ?!鼻の方がいいなぁ。
粟飯原:素直に髪にしましょうよ。
GM:……24だから、防御優先で回避です。
象扱いの方がよかった早苗:駄目だったー、あとよろしくー。
粟飯原:では行きます!旦那と真琴に《アクセル》《スターダストレイン》《黒き明かり》《狂戦士》!!
―― 結局早苗は無視か……一通り行動を終えた後に行動出来る『セカンドアクション』って概念について、いまいち理解してないってことか。
真琴:じゃあこっちが小野寺やりまーす。マイナーで《ハンティングスタイル》《一角鬼》《奥の手》を使って……33か。回避のダイスペナルティ3つでお願いします―― で、これに攻撃力を足して、最終的な攻撃力は44!
GM、痛恨の聞き逃しである。
GM:……1点足りんかったッ!!
真琴:ダメージは……46点か。
GM:それは……一撃で沈んだッ!!
真琴:わーい、わーい、小野寺沈んだーッ。
粟飯原:ナイスビッチ(サムズアップ)!
真琴:ナイスビッチ(サムズアップ)!
―― (カチン)ビッチ、ね……キャラ立て的には完全に失敗だったという訳やな。しかし、薫に止め刺したのが真琴……か。シナリオ的には一番いい展開だな。
真琴:これであと二人か。
粟飯原:まぁ牧場さんが二人まとめて沈めてくれますよ(笑)。
牧場:まとめて沈めますよ(笑)。
真琴:……距離違うんやないかなぁ?
真琴の言う通り、黒崎が移動して攻撃したことにより、エンゲージそのものが違ってしまった黒崎と内海を、攻撃対象を[対象:範囲]までにしか拡大出来ない牧場の攻撃では一度に捉えることは出来ないのだ。
それについて釈然としない牧場ではあったが……。
牧場:じゃあ、さっきのコンボから《ギガンティックモード》抜いて、代わりに《クリスタライズ》入れて……ダイス33個、クリティカル値6で黒崎で愛憎渦巻く弾丸を撃ちます。
真琴:愛してるけど……死ねッ(笑)!!
牧場:命中は……58!
GM:《守りの弾》使ってのこっちの回避は……クリティカルなしで13!恐らく、かつての友を狙ったということで銃口が鈍ったんでしょう(笑)。
早苗:ンなヌルい戦いかーッ(笑)!!
真琴:さっき思い切り殺してたやないかーッ(一同爆笑)!!
―― おっしゃる通りでございます。
粟飯原:まったく、勝手口やから。
GM:ええ(きっぱり)。
牧場:……ダメージは37の、装甲値無視。
GM:……? 攻撃力、足してないんじゃないんですか?
牧場:あ、攻撃力って……ダメージのこと?
GM:だからそれソードワールドの方ですッ!!
粟飯原:このダブルクロスの場合、攻撃力といったらダメージのことらしいんですよ。俺達の中では『命中判定=攻撃力』でデフォルトやけど、ダブルクロスは違うらしいんです。
―― 前回まで皆普通に『攻撃力=ダメージ』でやってたのに……今回に限って、なんでじゃ?!_| ̄|○ノシ バンバン。
牧場:じゃあ、この判定は……。
GM:あ、間違いがあっても遡及はしません。ルールにも明記されてますッ!!
―― いや、ホントに明記してるのよ、FEARのゲームって。
粟飯原:……まぁ、判定をややこしくしたからといって面白くなるわけじゃないんですよね。そういった意味では、T&Tは本当に名作だったんですね。
―― (カチン)勢い余ってルール批判まで来ましたか?
牧場:……ダメージは65で、装甲無視やから―― これで生きてる?
GM:装甲無視やから効きました―― 死にましたッ!!
残るは内海のみッ!!
牧場:「黒崎……君はいい友人だったが、君の父上がいけないのだよ(一同大爆笑)」。
真琴:(突然黒崎)「図ったな、牧場ぁ!!」
―― 予想はついてたけど……やんな(# -皿-)(ギゴリゴリゴリ←歯軋りの音)。
粟飯原:ま、先に図ったのは黒崎ですけどね(笑)。
早苗:では次のターン〜。
粟飯原:ずっと俺のターン。
GM:いや、まだ二人のセカンドアクション残ってますから……というわけで、牧場さんからですね?
真琴:いや……牧場さん侵蝕率何%ですか―― 122%?だったら、114%の僕が先に攻撃します。「牧場さん、僕が先にッ!!」牧場さんが帰ってこれなくなっちゃう(笑)
命中は32で……攻撃力は39〜♪
GM:……ゴメン、まだ駄目でしたー。
牧場:じゃあ、さっきと同じコンボで…………………………………。
GM:一度クリティカルして……こっちの回避は16ですが…………まだ振ってるッ?!
牧場:80の……惜しい、84の……89で、ダメージは9d+32で……80ッ!!
GM:死んだッ!!内海死にましたッ!!
「あーあ……やられちゃったか。流石はM(マテリアル)−A05……羽鳥真琴とその仲間、と言ったところかな?」
粟飯原:何?俺達『その仲間』扱い?ホン〜マ、腹立つわぁ。
―― (カチン)じゃあ何様でごさいますか?何なら<生還者>から<特権階級>にでも鞍替えいたしますか、粟飯原様?
GM:「まぁいいか。君の力が僕の血で洗われ、僕らの生命で磨かれる―― それもまた、プラン通り、さ」。そう言うと、内海の身体は砕け散り……真琴の賢者の石に吸い込まれます。
真琴:吸い込まれた?僕の賢者の石に?!見た目とかは変わります?
GM:今のところは変わりませんね。
粟飯原:起動音が煩くなるだけでしょう(笑)。
GM:で……ですね。薫の方も虫の息ですが、生きています。
粟飯原:よし、遺言、遺言!
GM:では、遺言モードに突入しまして……「ひと……」
粟飯原:ハイ、そこまでーッ(一同爆笑)!!
GM:……おい。
粟飯原:ハイ、そこまでーッ!!シーンしゅうりょーうッ(嬉々)!!
――GM、この瞬間に最大にブチ切れました。いや、次に予定されていた『D&D』のセッションがなければ、正直ここで帰っちまおうかと思うくらい。普通なら、『――』の後にはGMの心象を包み隠さず書いてますが、こればっかりはすっぽり包んで隠します……それくらいの悪口雑言が翌日目が覚めても脳内で飛び交っていた、ということだけは察して頂きたい。
GM:あー、はいはい(←呆れ果ててる)。
真琴:ま、まぁ情報だけでも。
GM:じゃ、情報だけですが……『ドッペルゲンガー』緑川高志の賢者の石はオリジン―― つまり、全ての賢者の石のオリジナルと呼ばれており、ある意味では『マスターレイス』以上のものかも知れない、ということを言います。
真琴:まぁ、仕掛けられない限りこっちからは手出しはしないんですけどね。
―― つーか、続きが行われる確率は限りなく低くなったと思うけどね……今日のセッションの限りでは。
GM:「別にあんたのために言ったんじゃないんだからねッ!!あんたの中で生きてる『姉さん』をドッペルゲンガーだのマスターレイスに渡したくない―― それだけのことよッ!!」そう言いながら、こちらもまた真琴の賢者の石に吸い込まれますよ。
早苗:ツンデレだーッ(爆笑)!!
真琴:うわぁ、厭だなぁ。
粟飯原:判ったッ!真琴はカ○ーユのポジションなんだね?人の生命を吸って強くなるっていう。
―― シナリオを壊すことしか考えてなかったって、いい証拠だな。
牧場:じゃあ、『小野寺ラブ法被』を着た俺がステージの上で言おう。「皆ッ!薫さんは自分のやりたいことを見つけたんだ!!送り出してあげようじゃないかッ!!」
一同:(突然観客)「わー!」(←アジられている)
GM:ちょっと待ったッ!そんなことやる前にですね……「いやぁ、いいライブだったなぁ―― でも、誰のライブだったっけ?」「あれ、お前も思い出せないの?」「そうなんだよなぁ、そこだけぽっかりと……」と、そんなざわめきが周囲に起こっているのが判りますよ。
一同:記憶操作されてるーッ(笑)!!
GM:うひひ(笑)。
牧場:じゃあですね……「皆、今日はボクのためにありがとうッ(一同超爆笑)!!」
粟飯原:(突然観客)「ま・き・ばッ!!ま・き・ばッ!!」
牧場:しかし、記憶の消し方が中途半端やないんですか?せめて小野寺薫のライブに来ていたって記憶ぐらいは残して置いた方がいいんじゃ……。
GM:まー、結局のところはUGNが頑張って処理するでしょ。
真琴:そんなの出来るわけないでしょう。千葉ロッテの観客と同じ人数ですよ?そんな捜査力があるんだったら、我々苦労しませんよッ!!
粟飯原:とりあえず、次の週刊レーザーは『小野寺薫、引退後の私生活に迫る!』って特集組もうかな?
牧場:でも、ここに来てない人間は小野寺薫のことを忘れてるんじゃ―― 。
GM:いや、そうでもないんですよ。
粟飯原:それってどうなんですかぁ?引退でいいんじゃないんですかぁ(侮蔑)?
強力なオーヴァードだからであろう―― なまじ耐性を持っていたがために、彼らはその異変に気付くことに遅れた。
いや……あまりに大きすぎる異変であるがために、無意識に『それ』を事実として受け入れることを拒絶しようとしていたのかもしれない。
だが、その『変化』は確かに―― 『ここ』から世界に向けて拡がっていた。
真琴:小野寺薫の存在が日本から……いや、世界から消えるのって……それってホントにどうなんですか?痛すぎですよ、それ。
粟飯原:ネットに記録残ってるんですよぉ?
―― はいはい、ネットの申し子、ネットの申し子。
牧場:このDVDは……一体?
GM:それが出来てしまう方法があるんですよ、エフェクトの組み合わせ次第ではッ!!
粟飯原:はっきり言わせてもらいますが、それ頂けません!もう引退でいいやないですかッ!山口百恵みたいに、マイク置いて去ったんですよッ(投げ遣り)!!
―― やりたくないのは百も承知だが……理解力の都合で勝手に決めるな(冷淡)。
GM:で、さっき言ってたDVDですが……別の人のDVDになってますね。
真琴:ちょっと待って、ちょっと待って。勘弁してよ、それは(素)。
粟飯原:そんなことが出来るんだったら、世界の何よりも大きな組織になっちゃうじゃないですか?!
―― 本当にFHってのはそれくらい大きいぞ?そっちが勝手に抱いてるイメージでは『吹けば飛ぶような雑魚テロリスト集団』程度の認識でしかないかも知れんが……雑魚なわきゃねぇだろ!!
真琴:『DVDが別人のになってる』ってのはマジ勘弁して。あまりに痛すぎる。 |||_| ̄|○|||
粟飯原:だからもう山口百恵でいいでしょう。『マイク置いて去った』でいいやないですかッ!!山口百恵も引退後は人前に姿を露わさなかったんやし。
―― もーやめた。全く聞く耳持たない相手に説明するのも馬鹿らしい。
真琴:もう小野寺薫については終わった、ということにしましょう(疲れ)。
で、牧場さんを見ながら思うんですよ―― 彼はもう出てくることはないだろう、と(一同爆笑)。
牧場:今世紀最大のニューヒーロー 牧場広志ッ!!とかいう見出しが舞っているわけですね(一同大爆笑)。
粟飯原:牧場さんが、こうステージ上でジャンプしながらポーズを決めている映像が(爆笑)。
牧場:スポーツ新聞の一面に載っているわけですね(笑)。
真琴:もういいから自律判定行きましょうよ(うんざりとした口調で)。
―― まったくその通りである。
ENDING PHASE
……もしくは、NEXT OPENINIG
自律判定の結果、牧場がロイスを2倍振りしたものの、全員が日常に帰還を果たすことは出来た。
しかし、彼らの置かれた混沌は、その『日常』をどこか現実感を伴わないものに変えている。
だが、如何に悪夢に彩られていようとも、あくまでこれは現実である。
それを示すかのように、真琴の手の中にある魔石は輝きを見せていた―― この藍色の空の如き色に。
GM:という訳で、皆さんお帰りなさい(微笑み)。
エンディングに入りますが、まずは真琴から。検査入院で病院に押し込まれてるってトコですね。
真琴:学校は?
GM:おーい、夏休み夏休み(笑)。
真琴:ゆう菜さんは……もう帰ったんでしょうね。
GM:もちろん帰ってますよ。まぁ、お泊りはしたかも知れんけどッ(一同爆笑)!!
真琴:そんなことはしませんッ!学生なんだから、清く正しい交際に決まってるじゃないですかッ!!プレイヤーは知らんけどッ(一同大爆笑)!!
―― よらないで、けだもの!
GM:で、ですね……賢者の石の検査結果を見て、黒岩先生が戦慄と共に呟くわけですよ。「成長している……だと?」と―― まぁ、レネゲイドの濃度が桁違いに上昇している、という感じですね。
んで、目に見える変化も一つあります。
最初は血のように紅かった真琴の右手の賢者の石ですが、青に変わっています。
真琴:いたんだ、黒岩さん(笑)。
GM:まぁ、医療班の主任でもあるわけですし(笑)。
牧場:で、賢者の石の中では犠牲者の魂たちが漂っていて……助けてくれ、と叫んでいるんですね(笑)。
早苗:あれだけ潔かったのに(笑)。
真琴:じゃあ黒岩さんに言います。
「これを見ていたら感じるんです―― 自分を止められない自分の存在を」
GM:うぃ。
で、ですね―― 一方その頃早苗さんですが、UGNアメリカから藍空支部に新支部長が到着します。で、早苗さんとも何度か組んだことがあるため、早苗さんが迎えに行く、ということになりますよ。
ディック・W・アーヴ……いろいろと癖が強い男だが、曲者揃いの査察部の中でも屈指の実力者ではある。
送迎ゲートの向こうに見知った顔が見えた。
女と見れば途端に愛想が良くなる、以前の印象そのままに相好を崩し、ディックがその右手を挙げ―― 動きを止める。
何が起こったのか―― 思わず駆け寄った早苗の目の前に、血の雨が降り注いだ。
何時の間にか切り裂かれたディックの首から溢れる、滝のような血であった。
―― 空港に、悲鳴が響いた。
時を同じくして、闇の中でスーツを纏った男が呟く。
「そろそろ……<ドッペルゲンガー>が日本に着いた頃、か」
スーツの男―― 日下部仁の表情の薄い貌に、亀裂のような笑みが浮かんだ。
GMすがたけ反省会
見ての通り、今回に関しては大失敗である。
今回のセッションの日程が決まる前から『ルールを把握しきれていないからDXはパス』と公言していたにも関わらず、結局プレイを強いられたことでテンションが上がらなかったプレイヤー氏と、その明白なやる気のなさとプレイを破壊するかのような度々の発言にGMが共にキレ、プレイそのものが完全に崩壊したのだ。
正直な話、今回はリプレイに起こすことは躊躇われた。
筆者としても怒りと不快感、そして屈辱の記憶がつきまとうこの時のプレイは、思い起こすだけでも反吐が出そうになるし、何より、このような不特定多数の方々の目に留まる場所に、筆者の主観に満ちた解釈の文章を掲載することは、プレイヤー氏にとっては個人攻撃に等しいことである。
だからと言って、目を背けていても仕方ない。
『GMは神である』とは、TRPGではよく言われるが、所詮は人間だ―― だからこそ、その時の感情で揺れ動き、今回のような失態を犯したりもする。
だが失敗を反省し、歩み寄る努力も行える。
そして、そのような『人間』同士の行うものだからこそ、TRPGというのは楽しいのだ。
次回があるかどうかは判らない。しかし……。
早苗:ディ……ディックって、これで終わり?
機会があるならば、ディックの行く末……そして、世界規模の異変を引き起こした、『真琴の』<賢者の石>に秘められた謎について語りたい所存である。
謝罪としては足りないかもしれない。
いや、そもそも謝罪として受け取ること自体、したくないかも知れない。
出禁処分になっても仕方ない程なのだから。
だが、プレイヤー諸氏にはこの場を借りてお詫び申し上げる。
本当に、申し訳ありませんでした。
2007年6月27日 管理人拝
|
|