藍色の空の下〜6〜『鈍色の鏡』


 


PREPLAY GMすがたけ思案中


 今回のすがたけはというと……恐れを抱いていた。


 まぁ、毎回失敗への恐れは抱いている。しかし、実際失敗した後のマスタリングに対して抱く不安の度合いはどうしても他の比ではない。


 こー見えて神経細いのだ……お願い、信じて。





 のっけから出た信用出来ない台詞ではあるが、今回のセッション受け持ちは後半(頻繁に集まる事が出来ないため、当サークルでは通常1日に2セッションを行うことになっている)……マスタリング巧者の『先輩』の後なので、場のテンションが高めなのが有り難い。


 惜しむらくは、欠席者がいるということだが……こればっかりは多忙なので仕方ないこと。


 挽回のチャンスを失いはしたものの、兎にも角にも今回の成長は以下の通り。





PC@:牧場広志


 《零距離射撃(接近距離の相手に対して射撃を行う事が出来るようになる上、その際の攻撃力を[LV×3]点上昇させる事が出来るノイマンのエフェクト)》を2LV、《暗号解読(隠匿された情報や暗号に対して暗号解読を試みる事が出来る用になるノイマンのエフェクト。また、その際にLV×3個のダイスボーナスを得る事が出来る)》を1LV、《確定予測(ノイマンの思考演算能力を最大限に発揮する事で、全ての行動に対して先を読み、有利に事を運ぶ事が出来るエフェクト)》を1LV、《カウンター(侵食率が80%以上の上、未行動、もしくは待機中でない限りは使用出来ないが、相手の攻撃に併せて攻撃を繰り出すことにより、相手の攻撃を紙一重で躱しながら攻撃を行う事が出来る攻防一体のエフェクト。なお、このエフェクトの対決に勝利した場合、相手は防御行動を取ることは出来ない)》を1LV修得。


PCA:羽鳥真琴


 《竜鱗》1LVを3LVに成長。《獣の王(格の違いを思わせるかのような圧倒的な殺気を放出する事により、1セッションにつき1回だけ相手の動きを封じるエフェクト。このエフェクトを組み合わせた攻撃に対して、対象はリアクションを行うことは出来なくなる)》を1LV、《戦闘本能(強靭な戦闘本能によって、自らを蝕む障害を捻じ伏せるエフェクト。マイナーアクションで使用する事によって、受けているダイスペナルティを[LV×2]個打ち消す)》を2LV、《獣の殺意(殺気によって相手を萎縮させる事で、相手の防御行動に対して[LV]個のダイスペナルティを与えるエフェクト)》を3LV修得。


PCB:御園早苗


 《フラットシフト》1LVを2LVに成長。《異形の守り(体組織を再編する事により、バッドステータスから即座に回復するエグザイルのエフェクト)》を1LV、《ジャイアントグロウズ(ほんの一瞬身体の一部を巨大に成長させる事で攻撃力を上昇させるとともに、白兵攻撃の対象を『範囲』に変更した上、さらにその攻撃によってダメージを受けた対象に対してそのラウンドの終了まで2個のダイスペナルティを与える、使用に100%の侵食率を必要とするエグザイルのエフェクト)》を2LV、《音速攻撃(音速に達するほどのスピードの白兵攻撃を繰り出すハヌマーンのエフェクト。<白兵>に対して[LV]個のダイスボーナスを得る事が出来る)》を2LV、《波紋の方陣(侵食率が80%を越えている時点で使用できる、振動を発生させる事で自分以外の対象に対する実ダメージを[LV]D10点軽減するハヌマーンのエフェクト)》を2LV修得。





GM:んでは、今回のハンドアウトはこんな風になってます。


 なお、今回のPC@はいつもの真琴とは違い、牧場さんになってますので、どうぞヨロシク〜!





牧場広志(PC@)


 警視庁処刑課―― 警視庁キャリア・武田信晴を頭に頂き、公に裁くことの出来ない巨悪に断罪の鉄槌を下す、警察内暗殺組織である。


 だが、ここ数日『処刑課』の構成員が続けて狩られている。


 ある者は事故に見せかけて、ある者は『殉職』という形で、そして、またある者は、『裏の業務』の最中に…。


組織の中に、裏切り者がいる―― その疑念を頭によぎらせる牧場を、携帯電話が呼んだ。


 シナリオロイス:『もう一人の自分(ドッペルゲンガー)』 推奨感情=P:慕情/N:憎悪





・羽鳥真琴(PCA)


 小野寺薫の一件からおよそ三週間―― 新学期を翌日に控えた真琴は、藍空支部の医療研究班長である黒岩賢介に呼び出された。


 呼び出されたのは、『壊れた魔獣』と呼ばれていた少年……現在は『黒岩真児』という名前で呼ばれる少年の横たわるベッドの傍らであった。


 シナリオロイス:『かつての魔獣』黒岩真児 推奨感情=P:連帯感/N:不安





・御園早苗(PCB)


「や、悪いね。こんな朝早くから来てもらって」


 支部長室の執務机でショゴス丼(※『蓬莱学園の冒険RPG』に登場する、目玉焼きと納豆の丼。結構人気)・キムチつきを掻き込みながら軽く言い放つその男に、早苗は軽く怒りを覚える。


 そう言えばそうだった。この男は殺そうとしてもなかなか死なない奴だった。


 あの時もそうだ。


 三週間前のことが思い出される。





 空港のロビーに悲鳴が響く。


 藍空支部の支部長代理としてUGNアメリカから派遣されたディックに対して繰り出された攻撃は、明らかにオーヴァードのもの。


 惨状に併せて張り巡らされるワーディングに戦慄する早苗の背後に、唐突に気配が生じた。


  シナリオロイス:『牧場草市』 推奨感情=P:遺志/N:不快感





真琴:あ、そう言えば前回忘れていたという状況やら人物相関図やらは、今回は用意しているんですよね?


GM:はっはっは。それに関してはちゃんと準備しております。


 まぁ、前回でキャラは削ったので相関図の方は用意してはいませんが(苦笑)。





前回からの情報・状況


・真琴の賢者の石は、《次なるもの(プライメイト)》と呼ばれるものへと進化する可能性を秘めており、小野寺薫の配下である内海の賢者の石を吸収する事でさらに成長を果たした。


・現時点での<賢者の石>は仮称《プライメイトβ》。通常の賢者の石の効果に加え、『エフェクトの対象を<シーン全体>に変更する事が出来る』という特性も持っている。こちらも上昇する侵食値は同じく2D10。


・黒崎は元ギルドのチーム『不死のグリフォン』の一員だった。


・『不死のグリフォン』のリーダー、内海は10年前に殺害され、薫によってオーヴァードとして復活した。


・黒崎は薫の誘いに応じてUGNを裏切った。


・真琴の<賢者の石>を指して、薫は「姉さんが眠る石」と言った。


・その『姉さん』については“某おねーさん好き”がやけに鼻息荒くして調査中。


・薫達は日下部仁と敵対関係にあり、黒崎を通して薫の陣営に流出した真琴に関する情報は、日下部陣営には流出していない。


・牧場広志の弟・緑川高志は『ドッペルゲンガー』と呼ばれる強力なオーヴァードであり、元『壊れた魔獣』こと黒岩真児のオリジナル。


・真児のレネゲイドの暴走は沈静化したものの、鎮静剤の副作用で余命半年。


・牧場の母親・緑川五月は南米にあるFHとギルドの共同研究所、通称『緑川ラボ』の責任者。





 では、今から開始します。シーンプレイヤーは……時間の経過的に早苗さんからですね〜。





OPENING PHESE


01 血は風に乗り


シーンプレイヤー:御園早苗





 嗅ぎ慣れた臭いが拡がる。あまりに長い人生で嗅ぎ慣れてしまった、血の臭い。


 鉄錆を思わせるその剣呑な臭気が研ぎ澄ます彼女の意識だが、その気配に反応することは、出来なかった。





GM:背後に立ったのはディック本人です。斬られたのは辛うじて生み出した従者であり、従者は瞬時に液体に戻って崩れ落ちますよ。


早苗:「あ、アンタ一体何しでかしたのよッ?!」


GM:「話は後だ!歓迎レセプションにしちゃ迷惑すぎるからな―― とっととお暇するぞ!」と、早苗さんの手を掴んで《縮地》発動!地面をベルトコンベアのように動かしながら、視線の通らないであろう場所まで逃げますよ。


早苗:では、落ち着いたところで改めて……「アンタ一体何しでかしたのよッ?!」


GM:「おいおい、人聞きの悪いことを言うなよ〜。こっちはぶらざーの依頼を受けて“蛇(セルピエンテ)”について探りを入れてきたってのにさぁ〜」あ、ちなみに『ぶらざー』というのは、黒岩賢介先生のことです。アメリカに留学してた時に発症―― そのままUGNアメリカに所属した際に知り合って、ソウルブラザーになった、てな感じ。


早苗:そ…ソウルブラザー(汗)。


GM:で、“蛇”というのが、緑川ラボの後ろ盾となっている、ギルドを構成する組織の中でも巨大な部類に入るところなんですが……ディックがそこを探っている最中に壊滅したんです。


早苗:おお、それはめでたい。


GM:めでたいかどうかは判りませんね。何故なら、壊滅させたのはギルドの切り札的な暗殺者である『ドッペルゲンガー』……そして、今ディックを攻撃してきたのも、ドッペルゲンガーだったという訳です。


早苗:「一体どうして日本にまで来た訳なのよ?まったく、迷惑な話ね」


GM:「むしろ、日本だからかも知れないね。何しろ、奴もまた<賢者の石>を持っている。羽鳥真琴…彼が侵蝕されているものと同じ部類の、世界に既に三つしかないという特別な<賢者の石>を……それに引き付けられる、というのも、ない話じゃないだろ?」


 と言うわけで、回想シーンは終了……三週間後の現在に時間を戻しますよ。


 改めてディックは早苗を呼び出した理由を説明します。


早苗:そういえば、ディックって何しに日本に来てたんでしたっけ?


GM:そもそも藍空支部が支部長不在になったから呼ばれたんですよ。次の支部長が来るまでの、暫定の支部長代理という形で。


真琴:暫定?


GM:ええ。ディックもまぁ能力はあるんですが、基本的に性格にいろいろと問題あるわ、仕事はしないわで出来る限り呼びたくない、という事情があったんですね。





 ―― 言うなれば、セクハラする霧谷さん……もしくは、別ベクトルに向かった八坂十字と思って頂きたい。





「この三週間でいろいろ調べて、プロジェクト・ジュエルボックスとプロジェクト・アダムカドモンという二つの計画……そして、その大本となっていた旧軍時代の超人兵士計画『ち9号計画』と、その責任者『牧場草市』という名前にまで辿りつくことは出来たんだけどな」


早苗:ジュエルボックスはまぁ判るけど……プロジェクト・アダムカドモンって?


GM:ヘブライ語でいう、『原初の人』という意味の―― 言うなれば、ジャーム化しない人を人為的に作り出す計画です。





 ―― 詳しくは『ダブルクロス・リプレイ・オリジン』シリーズを参照…興味を抱いてくれれば幸いです。





早苗:それにしても、旧帝国軍時代の超人兵士計画……。


牧場:……零式防衛術〜(名状し難いポーズを取りながら)。





―― 『覚悟のススメ』……名前だけしか知りませんでした(笑)。





GM:「牧場さんとは知らない間じゃないだろ?それとはなしに、牧場草市氏の情報を知っている範囲で提供してくれるよう頼んではくれないかい?」


早苗:「オッケー、判ったわ」


GM:「話が早くて助かるねぇ。じゃあ、お願いするよ」と、笑顔で言ったところでシーンを切ります。





02 バーボンと硝煙


シーンプレイヤー:牧場広志


 いつもの酒場で、いつもの戦友と、いつもの酒を―― 。


 いつもと変わらぬ、この時間。


 しかし、戦友の疑念と焦燥が、今宵の酒を苦いものにしていた。。





GM:では続いて牧場さんのオープニングになります。


 携帯の相手は武田です。ここ三週間で頻発している『処刑課』狙いの殺人で苛立っていることは判りますが、それを差し引いても牧場さんを呼び出すその声は明らかに尋常ではありません。


牧場:「どうした、アンタから呼び出すなんて、珍しいじゃないか?」


GM:「挨拶はいい。それは兎に角……これを見てみろ」


 そうして呼び出されたBAR『雁の巣』で、武田は傍らに置いたノートPCを示し、「どう言う事だ?」と尋ねますよ。


 画面に写るのは、牧場さんと瓜二つの男が五日前に起こした殺人事件の画像―― 鴻央会系の組織・稲波(いなみ)組の幹部を、生み出した大鎌でばっさりと切り裂いている姿や、その取引相手であろう首相秘書を大口径の銃で吹き飛ばす姿が映っています。


牧場:「これは……俺に似ているが―― 俺か(笑)?」


GM:いや、大鎌を生み出している時点で明らかに違うでしょ(笑)。そして、思わず飛び出してきた処刑課の仲間を指を伸ばして引き寄せ、小型爆弾を炸裂させたかのように吹き飛ばした姿が余すことなく捉えられています。


牧場:これは……ディ○ダグ(一同笑)。


GM:ちゃいます(笑)。「鴻央会の会長代行が持ってきた映像だ。鴻央会でも臓器売買の疑いがある奴らを排除しようと考えていたから、殺しそのものには問題はないが―― お前が立花も殺した……少なくとも、こういう映像と死体が証拠として残り、『処刑課』に亀裂が入っている―― 向こうにそう思われているであろうこと自体が問題だ」


牧場:「……俺はこんな殺し方はしない。殺しは、もっとエレガントにやらなければな」


真琴:そんなキャラやったんですかッ(笑)?!


GM:「だろうな。そう言うと思っていた―― と、いうわけで指令だ。お前の姿を使って立花を殺した奴に……報いをくれてやれ」


 と、いう訳でシーンは終了……最後の真琴のオープニングに入りまーす。





03 焦燥の結晶


シーンプレイヤー:羽鳥真琴


 この三週間毎日続く検査。憂鬱には違いない。だけど、任務につくことがない分だけまだマシ―― そう思わなければ、やっていられなかった。


 だからこそ、「ひとまず、今日で検査は終わりだ」と言われた時は気が楽になった。


 


GM:という訳で、真琴が連れてこられたのは病院のICUです。そこにいるのは元『壊れた魔獣』こと真児と、白衣に身を包んだ賢介先生。そして、心配そうに立ち会う真姫さんです。


「わざわざ呼び出して済まないな。追って説明するから、まずはこいつの胸の上に右手を置いてみてくれ」ベッドに横たわる真児を指し示しながら、賢介先生が言いますよ。


真琴:「み……右手ですか?」ちょっとだけ蟠りを見せながら、<賢者の石>を気にしつつ、そっと置きましょう。


GM:「ああ、お前にしか出来ないことだからな。意識を<賢者の石>に集中して―― <賢者の石>から右手を通して巨大な網が真児を包んでいるようにイメージしてみろ。そしてそのままその網を引き絞るようなイメージを―― 」


 その言葉に併せて、真琴の右腕にすっぽ抜けるかのような感触。そして、掌に米粒大の赤い結晶が乗っていることを発見する。


「それがレネゲイドの結晶体―― <賢者の石>だ。レセプターじゃない限りこれを受容出来ないというのに生成されかけていたからな―― ジャーム化しかけるのも当然、といったところだろうな」と、真児にアンプルの薬剤……これまで抑制剤として投与していたアポシートス・トランスの中和剤を注射しつつ言いますよ。


早苗:兎に角、これで真児くんは助かる、ということでいいんですね?


GM:そーですね。で、真児の身体から出てきた小さな<賢者の石>は程なくして真琴の<賢者の石>に吸い込まれていきます。


真琴:うぉっ?!複雑な思いで<賢者の石>を眺めます。って、い…いいんですか?


GM:まぁ、別に問題はありません。影響を与えるほどの大きな奴でもありません……というか、真琴の石の方が桁違いの純度ですし。


 そんな真琴に賢介さんが声を掛けますよ。「この三週間、お前の<賢者の石>について洗い直してみたんだけどな―― どうやら<賢者の石>は大雑把に言えばレネゲイドに対して『結合・吸収・増幅・解放』という四つの作用をもたらす特性を持っていてな……その中でも、今までのお前の<賢者の石>は『結合』作用の方が突出して高かったんだ。


 だからこそ俺も、真琴の<賢者の石>が純度を増せば、真児のように過剰にレネゲイドウィルスの侵蝕を受けていても、こうして比較的安全に過剰侵蝕したレネゲイドウィルスを結合吸収することが出来るかもしれないと思っていたんだが―― この間の一件で内海の<賢者の石>を吸収したことによってだと思うんだが、結合作用だけでなく、『解放』作用についても特に高い値を示しているんだ」


真琴:解放作用……眠っているレネゲイドの力を解放することが―― 。


GM:いえ、むしろ賢者の石の中に溜め込んでいるレネゲイドの力を解放する、という意味での『解放』ですね。


「あの時何が起こったかは、覚えているだろ?」


真琴:他の人達は忘れてしまっているけど、僕達ははっきりと覚えている、ということでいいんですよね?


GM:ええ、あの場に立ち会ったオーヴァード達はしっかりと覚えています。


「あの時に起きた世界レベルでの情報の錯綜や記憶の混乱……信じられないかも知れないが、似たような事例は少なくとも二件確認されている」と、リプレイ二冊を提示します(実際に無印リプレイ2巻・『聖夜に鳴る鐘』リプレイ・オリジン1巻・『偽りの仮面』を出す)。


早苗:い、いやぁ……(微妙笑)。


真琴:富士見文庫の方は冗談ですよね?ちゃんとした報告書ですよね(汗)?


GM:「まぁ、リプレイそのものは冗談だが、<賢者の石>には世界規模の変異をも引き起こせるぐらいの力が宿っている、と思っていて間違いない……それも、<賢者の石>の核となった適合者の複製体が干渉しただけでもな」


 と、そこまで言ったところで真児が起き上がります。


「行かなくちゃ……呼んでる……行かなくちゃ」


 そう呟きながら、その場からフラフラと歩いていこうとする真児を真姫さんが抱きついて押し止めます。なお、賢介先生はというと……それを見て慌てて鎮静剤を注射しようとして近づくんですが、反射的に殴り飛ばされて、「こんな役回りは晃太にやらせろー」とメタな発言をしつつ吹っ飛ばされております。


真琴:ああっ!それは僕も止めに入ります。


GM:まぁ、真姫さんが必死に縋りつくことで落ち着いてきますが、真児はこんな風に呟きつづけておりますよ。


「『戻って来い。戻って来て“思い出”を聞カセロ』そんな声がずっと聞こえてくルンダ。ココニいたいのに……おねえちゃん、守りたイノニ」


真琴:「真児は……誰に呼ばれているというんだ?」


GM:恐らくは、真児のオリジナルである『ドッペルゲンガー』緑川高志の本能が呼んでいる、と思って頂いて間違いないでしょうね。


 そんな本能と感情との板ばさみが苦しいんでしょう。真児はぽろりと涙を流します……という訳でこのシーンは終了です。


 続いては、マスターシーンを挟んで、ミドルに入って頂きますのでー。





MASTER SCENE


 南米系の陽気な音楽が流れる、その大半を不法滞在民で構成された、租界〜イリーガル・ポイント〜……日本でありながらも、明らかに異国の雰囲気を醸し出すメインストリートから少し入った暗い路地―― その一角で、日下部仁が男に何かを渡しながら……言った。





「次の仕事だ」


 日下部の言葉とともにそれを受け取りながら、男は応じる。


「次は誰だ……誰を殺せばいい?」


「残念だが、次は殺しじゃない。今渡した資料にある場所に行き、俺が連絡をするまでターゲットを監視する。それだけだ。


 用意したカヴァーの詳細も、そのメモリーチップに入っている。それを使え」


 その言葉に、渡されたもの―― メモリーチップを握り締め、男は応じて言った。


「……なんだってやってやる―― お前が、俺に記憶をくれると言う限りな」





真琴:ターゲット……やっぱり、僕なんだろうなぁ。





 ―― お覚悟を。





MIDDLE PHASE


01 そこにある危機


シーンプレイヤー 牧場広志

GM:では続きましてミドルに入ります。まずは牧場さんと早苗さんの出会い系シーン、ということで。

早苗:…出会い系(笑)。





 ―― 予想通りの反応、ありがとう。





牧場:まぁこちらとしても『自分に似た何者か』を探す手伝いをして欲しい事だし、連絡を取り合うのは都合がいいけどなぁ。


早苗:じゃあ、『雁の巣』ででも待ち合わせしましょうか。こちらとしても支部に呼びつけるよりは気が楽だし。





 ―― いいのか、名目高校生(笑)。





牧場:しかし、本当に似ているのか、それとも能力か何かで俺の姿を使っているのか……(思案)。


早苗:姿を使うにしても、メリットが感じられないんですよねぇ……牧場さんって、それほどの大物ですかねぇ?





 ―― 仲間に対してさらりとひどい事を言わないで頂きたい。





GM:いや、大物は大物でしょう。処刑課ではエース的な存在でしょうし(笑)。


真琴:しょ…処刑課のエース。


牧場:「今日は4人殺ったぜ」「いやぁ、俺は5人だ」「女子供関係ないぜぇ」(一同笑)


真琴:き、企業戦士(笑)。


牧場:(某副部長に似た甲高い声で)「君ぃ、最近殺しが足りないじゃないかぁ」(一同爆笑)


早苗:「いいからさっさと二、三人殺って来い!!」(爆笑)


GM:ンな奴いたら粛清対象にしちゃります(きっぱり)。


 それはそーと、牧場草市、という人物に対する情報収集もあったんじゃないんですか?


早苗:ああ、そうでした。


牧場:って、どの辺りまで知っているんでしょうか?


GM:まぁ、牧場さんなら、父方の祖父で軍医として満州に行っていた、ということぐらいは知っていて構いませんが、それ以上については、押入れでも引っくり返して―― <情報:裏社会>か<情報:学問>か<情報:軍事>あたりで調べてください(笑)。


牧場:「協力するのは構わないが……そちらも俺の弟を探し出すのに手を貸してくれ。それが交換条件だ」


早苗:「それについてはこちらも協力を惜しみませんよ。一応あんなのでも支部長代理が殺されかけて、遺恨が出来たことですし」


牧場:(突然ディック)「HAHAHA!あんなのでボクが死ぬって?あんなので死ぬんだったら、ボクは毎晩ワイフに殺されてるよ!」(一同爆笑)


真琴:こ、小粋なアメリカンジョークだ(爆笑)。





 ―― 身振り手振りまで交えての、完璧なアメリカンジョーク……お見せ出来ないのが残念です(笑)。





GM:ディ……ディックのキャラが思いもよらない方向に構築されていってる(笑)。


牧場:じゃあ、<情報:裏社会>で……クリティカルして―― 17!


GM:17?いきなり真相にぶち当たりましたよ(笑)。


 ……つーわけで、その出目だったら、思いもよらない量の膨大な情報が押入れの奥から出るわ出るわ、といった感じでぞろぞろ出てきます(笑)。





 ―― 【社会】1の上にエフェクトもなしだというのに、のっけからこんな目を出すとは……この人、銀一郎先生が宿ってませんか?!


 ※銀一郎先生:日本におけるアナログゲーム業界の長老・鈴木銀一郎先生のこと。ロールプレイの力量やここぞという時のダイス目の強烈さは伝説となっている。ちなみに、某麻雀漫画の主人公の最大のライバル『鈴銀』のモチーフであるという逸話もあるほど、麻雀の腕前も桁違いである。


 お願いです。たまには俺にも宿ってください。





 牧場草市:国内における遺伝学の権威だった人物。ただし、既に故人。牧場広志の父方の祖父。


 戦時中は軍医として満州へ。独身だったはずだが、帰国時には『息子』として牧場の父である繁を連れて復員。


 学者として頭角を現わしたのは帰国後。帝大出身でもないのに不自然なまでに実績を積み上げて押しも押されぬ名声を手にし、藍空大学の名誉教授として名を残している。


 実は陸軍がナチスドイツの技術供与を受けて行っていた『超人兵士計画』の中心的人物であり、繁は超人兵士計画によって生み出された強化実験体。


 ただし、繁本人はそれを知らないまま死去。Dロイス<変異種>としての適性を持っていた。





真琴:超人兵士計画……いよいよ『トワイライト』と化してきたよぅ。


牧場:超人兵士計画といえば、鉄人計画と並び称される計画として……(唐突に)「行け、鉄人!がんばれ、鉄人!」(ペンをリモコンに見立てつつ)


GM:いや、ホントに『トワイライト』にも鉄人計画ネタ出てますから(笑)。


 あと、藍空大で教えていた時代の弟子に緑川五月がいるというのも判ります


早苗:おお、そこで繋がったかぁ。


牧場:緑川五月……どこかで聞いたことのある名前のような気が……。


真琴:あなたの母親です(笑)。


GM:ま、判るのはそのくらいですね……って、牧場草市に関する情報、一切合財出しちゃったよ!


 つーか、何で軍事機密まで押入れに残してやがったんだ、このじーさん!といった感じです(笑)。


牧場:じゃあ、手掛かりは藍空大に行けば手掛かりを掴む事が出来る、ということか。


真琴:(情報収集MAPのリストを見ながら)あ、藍空大『他』、か。『藍空大地』って人物名に見えた。


GM:どんな人ですか、MAPに載ってる人って(笑)。


牧場:それか、防衛省の戦史資料部に行って、超人兵士計画について調べてみようか(一同爆笑)。


GM:待った待った待った待ったッ(爆笑)!そんなんで行ったとしても、追い返されるのが関の山です(笑)。


牧場:教えてくれないとかもすぞ。


真琴:かもすんですかっ(爆笑)?!


牧場:それはそうと……誰か止めて(イイ笑顔)。止めてくれないと、ホントに行っちゃうよ?


早苗:本当に行こうとしてたんですか!?冗談かと思って見てましたよ(笑)。


GM:大惨事だなぁ……まぁ、ここで一旦シーンを切りまして、続いては真琴のシーンですよ。





02 忍び寄る凶兆


シーンプレイヤー 羽鳥真琴





 日焼けした顔と、退屈なスピーチを以ってしても隠すことが出来ない歓喜。


 “友”という名の日常がここにはある。


 しかし、その澄み渡る日常に、一つの染みが……落ちた。





GM:という訳で、続いて真琴のシーンですが…。


真琴:侵食率は……8点上昇ー。早くも50越え〜!


GM:早ッ?!つか、また8ですかッ?!


真琴:侵食率で苦しむの、本来は牧場さんの役目なのに〜(笑)。


GM:……ま、まぁ新学期ということで、舞台は始業式です。


真琴:ああ、またゆう菜さんとしばらく会えないのかぁ(しょぼん)。


GM:『毎日メールしててナニ抜かしてやがる、このラブラブ小僧め!』とは晃太の弁です。なお、晃太はこの場にはいません。任務で、現在ちょっと離れた場所に行っている、ということです。





 ―― インチキロシア人・フクセンスキーの登場であった。





真琴:晃太かぁ……元気かなぁ、あの戦闘用人格(笑)。


GM:あの戦闘用人格だったら、多分そろそろ消えるんじゃないのか、という勢いで忘れ去られておりますな(きっぱり)。晃太にしても、そろそろ昇華するんじゃなかろーかと思います。


真琴:兎に角、またしばらく退屈な日々が続く、ということで―― 。


GM:と……そこで保険医の先生が産休に入る、ということで、新たに着任してきた保険医の方が紹介されます。


 ショートカットと理知的な眼鏡が特徴的な、緑川五月という30代前半といったところの女性ですね。


真琴:ぶ!


 思わずそちらを見てしまいますが……牧場さんに似ているところとかはありますか?


GM:似てるっちゃ似てますが……むしろここは真琴に似てるんじゃないんでしょーか?牧場さんの弟とどことなく似てる上に、真琴は明らかに女顔ですから(笑)。


牧場:AV女優で言ったら―― 。


GM:判んねーよ、そんなの(素)


真琴:……全部入ってるんですけど、いいんですか(笑)?


GM:まったくもぅ……リプレイに全部書いちゃうよ?


 って、書けないんだった!一応全年齢対象なんだったッ!!





 ―― 惜しいことですが、えっちっちなビデオ問題はここまでです。一応全年齢対象ですから(笑)。





真琴:今まで得た情報の年齢とは明らかに違うから、動揺してます。


 思わず「いつも牧場さんにはお世話になっています……じゃなくって!!」(一同大爆笑)





 ―― 混乱しすぎです。





早苗:同じ学校でしたよね……緑川五月の写メを何枚か撮っておきます。


真琴:では、きょろきょろと早苗さんを探して……目を合わせますよ。


早苗:じゃあ、こちらも目を合わせて驚きます。


GM:んでは、そーいった感じでシーンを切りますよー。





03 面影を追い


シーンプレイヤー 御園早苗





真琴:じゃあ、今『緑川五月』について尋ねたいので、牧場さんに連絡をとります。「今日こんな事があったんですが、来ていただけますか?」と……場所は―― 藍空支部の支部長室(ちょっと考えて)……はいいや。やっぱり情報部かどこかで。


早苗:写メ見せて「この顔に、見覚えは?」とお尋ねしましょう。


牧場:母親の写真は、持ってていいんかねぇ?


GM:持ってていいでしょう……というか、モルフェウスだから記憶を元に作る事も出来ますよ。


真琴:な、なんて便利な。


GM:ちなみに、牧場さんの記憶を元に作った写真と写メの顔は似てるといえば似てますが……明らかに写メの方が若く見えますね。





 ―― 「モルフェウスを使えば、あっという間さ」「ワーオ今すぐ電話しなくっちゃ!」思ったけど、言えない(笑)。





牧場:(突然ディック)「オーウ!これはワタシのワイフでーす?」(一同爆笑)





 ―― 思った途端にやってきたーッ?!





GM:そんな事実はねぇッ(爆笑)!!


早苗:ディックだー(爆笑)!


真琴:ああッ!そのアメリカンジョークが聞きたくなかったから支部長室は避けてたのにー(爆笑)!


牧場:それは兎に角、今病院に入院してる……真児にこの写真と写メ見せて「こいつを知ってるか?」って聞いてみたら、何か判るかも知れんと思うんだが。


真琴:じゃあ病院に……シーン変わりますよね(←侵食率上昇しまくり)?


GM:いや、それぐらいはいいですよ(苦笑)。合流しただけで何もしてないのにシーンだけ変わるのは流石にあんまりだし(笑)。





 ―― いちいちシーンのタイトル考えるのも面倒だし(笑)。





真琴:「黒崎さん、実は……」


牧場:黒崎?


真琴:いや、黒崎じゃなかった(笑)。「黒岩さん、実はこんな事があったんです。真児くんにこの写真を見てもらいたいんですが、今真児くんはどのような状況ですか?」


GM:「まぁ、今は経過を見ている状況だが、順調に行けば二、三日中にはICUから一般病棟に移ることも出来るだろうな。で、その後はUGNのチルドレンとして面倒を見るということも視野に入れているってところだな」


真琴:再・洗・脳(一同爆笑)!


GM:しません……つか、あーたも元々FHのチルドレンからUGNのチルドレンになった口でしょうがッ!!


牧場:頭に電極はめられて―― 「UGNに忠誠を!忠誠を〜ッ!!」


GM:そんな事実はねぇッ!!


牧場:「所長!それ以上やってはッ!」「ヘイ!ミーは黙りなさーい!」(一同大爆笑)


GM:ミーが黙ってどーすんだッ(大爆笑)?!





 ―― ディック大人気。





真琴:じゃあ、まともな意識があるうちに真児くんに尋ねてみます。あえて写メの方見せて。


GM:最初から最後までまともな意識ッ!!


 それは兎に角、写メ見た真児は明らかに恐怖の表情を見せて、ガタガタ震えだしますよ。


真琴:ああっ!予想した通りマジガクブル。


GM:ちなみに、カタコト口調はメンドくさいから省略しますけど、異様なまでに怖がりながらも、実験されたり電気ショック受けたりといろいろやられてたことを言いますよ。


真琴:まぁ、緑川ラボの被害者だからねぇ、彼も。


 しかし、これで学校にやってきた代替の保険医の先生があの緑川五月である、ということは間違いなくなった、と言う訳ですね。まったく、誰を狙ってやってきたんだ(笑)。


牧場:じー、と真琴を見る(笑)。


早苗:じー。


GM:では、賢介先生と真児も、じー、っと真琴を見る……という訳で―― というか、それを含めて調べていただくのがこれからのシーンの大筋ですから(笑)。


 なお、牧場さんは知ってて構いませんが、緑川五月は某企業に引き抜かれるまでしばらく藍空大で研究をしていました。


真琴:じゃあ、大学で緑川五月について調べてみましょうか。


GM:判りました。じゃあ、一旦シーンを切る、ということで侵食率を上げてください。





「幼い頃に分かれた母親について調べているんだが」この上ない身分の証明となる警察手帳を提示してのその問いに、大学の職員は丁寧に応える。


 しかし、調べ上げ、辿り付いた後、自分は何をするべきなのか―― 牧場は、自らの進むべき道を決めあぐねていた。





GM:出目は9ですか……じゃあ、これだけの事が判りますよ。


 年齢は32歳。医師免許所持。


 優秀な医師や研究者を多数輩出した藍空大出身。その中でも特に高名な『牧場草市』の薫陶を受け、その研究を受け継いだ。





牧場:一体何を研究していたんでしたっけ?


GM:牧場草市と同じく、遺伝子関係ですね。牧場草市にとっては、『息子』の嫁であると同時に、研究をそっくりそのまま受け継いだ特別な弟子でもある、という感じです。


牧場:……そ、そうだったのか……ノストラダムスは、この『若返り遺伝子』のことを言っていたんだ!!


一同:な、なんだって―――ッ(超絶棒読み)?!


牧場:あなたは何度私達の前に立ち塞がると言うんだ。


GM:ノストラダムスー(ノリノリ)!!


 ……って、DX的にはむしろ『ノートルダム』でどぞヨロシク(笑)。


真琴:なにぃ、知っているのか月光(一同爆笑)?


GM:いや、むしろ雷電で(笑)。


牧場:冗談はいいとして……本人と思うべきなんだろうか?もしかしたら、自分のクローンでも作ったんじゃないのか、と思ったんだけど―― 。


真琴:おお(ぽむ)!それは予想外でした!


GM:まぁ、その辺は<情報:裏社会>で調べてみたらいいんじゃないのかな、とマスター的には思うな(笑顔)。


牧場:何でも知ってるな、裏社会(笑)。


GM:いや、思い切り裏社会に染まってたでしょ、緑川ラボの所長だったわけだし(笑)。


真琴:緑川五月は、オーヴァードだという確認は取れていますか?


GM:取れてはいませんね。


真琴:そうですか……もしかしたらブラム=ストーカーの従者かも知れないとも思ったんですが。従者って、そこまで出来ましたっけ?


GM:結論から言えば、出来ますよ。従者って、ものごっつぅ使い勝手いいですから。ディックも日頃は従者に仕事押し付けてサボってるくらいですし。


 まぁ、ディックの場合は従者も従者で本体のサボり癖まで受け継いじゃってるから、結局殴り合いの喧嘩に発展してまで仕事を擦り付け合ってる、という感じになってしまうんですが(笑)。


真琴:のび太のコピーロボットかーいッ(笑)?!





 ―― コピーロボットは光男です(笑)。





真琴:でも……早苗さんが教授を色仕掛けで垂らし込んだり、僕が『遺伝子工学を学びたいんですッ!』といった感じで僕らも情報収集に挑戦したいところですけど―― よく考えてみたら、僕も早苗さんも【社会】低いんですよ(笑)。だから牧場さんがさっき出した9なんて、そうそう出るはずもない(笑)。


GM:まぁ、全員【社会】1ですしねぇ。むしろここまで揃ったらなんか綺麗じゃね?って奴ですよ(笑)。


早苗:まさか【社会】が必要になるとは(笑)。


GM:そうは言っても、緑川早苗について<情報:学問>で得ることの出来る情報はあらかた出た、という感じですけどね。


 あ、あと、ヘッドハンティングによって某巨大企業の研究室に引き抜かれたことくらいは判りますよ。


真琴:その企業名は?


GM:シャ○トです(さらり)。


真琴:ああッ!多国籍企業〜(笑)。





 ―― 名作『機動警察○トレイバー』…小学館より、ワイド版も絶賛発売中です。





GM:ま、そっちもいいですが、『プロジェクト・ジュエルボックス』についても調べておいた方がいいかと思いますよ。


真琴:ジュエルボックス……前回で終わったかと思ってました(笑)。まぁ、そっちに関してはUGNの方で調べてみますから、牧場さんには引き続き盗賊ギルドの方で……。


GM:ちゃうわッ(ずびしっ!)!!まぁ、似たよーなもんだけど。





 ―― 違います。





04 追憶は消え


シーンプレイヤー:牧場広志


 手繰り寄せるは母の面影。しかし、過去を想う感傷はない。


 ただ、知る程に嫌悪にも似た感情が渦巻くばかり。





GM:では、引き続いて牧場さん。一旦シーンを変えて雁の巣で情報収集、ということですね。


牧場:それはそうと、《知識の泉》も使って<情報:裏社会>で緑川五月について調べてみます……またクリティカルして―― 18。


GM:あ、いや…技能あるから19です……って、またクリティカルですかッ?!また情報根こそぎ持っていきましたよッ(爆笑)?!


 ま…まぁ、兎に角その出目なら興味深い事が判ります。


 三週間前、緑川ラボが壊滅したことは言いましたが―― その際に、所長である緑川五月の死亡が確認されている、ということです。


早苗:な、なにぃー?! 死体でも揚がりましたか?


GM:ええ。歯の治療痕や指紋で、本人であると言う確認もしっかりと取れています。


牧場:クローンだからと言って治療痕まで一緒な訳ないし……本人である、ということに間違いはないんですね?


GM:間違いないですね。で、その壊滅する直前にですが、FHのマスターレイス―― 日下部仁らしき人物が緑川ラボを訪れている、という情報もありますよ。


牧場:日下部が……。


GM:はい。そして、それが切っ掛けになったのかどうかは判りませんが、その直後に『ドッペルゲンガー』緑川高志が暴走を起こし、緑川ラボは壊滅した、ということですね。


 そしてもう一つ、付随しての情報ですが……緑川ラボがFHと協力して追い求めていたものとして、より強力な<賢者の石>の研究開発というものがあったんですが、その完成形の一つの姿として緑川高志は捉えられていた、と言ってもいいんです。


真琴:ふむ。


GM:で、その内容はというと、言うなればゴリゴリDロイスを埋め込んでいくという研究です。


 緑川高志がもともと持っていたのは、牧場さんと同じく<変異種>……そこに<秘密兵器>として調整した『特別な』<賢者の石>を埋め込む……さらに、この二十年近くの間被検体として生きて来たこともあって、<実験体>としての特性も備えている―― つまり、少なくとも4つのDロイスを保持している、ということになるんです。


牧場:……Dロイスを4つ。


GM:ええ……少なくとも、ですがね。


 だからこそ強力ではあるものの、精神的に不安定であり、暴走やジャーム化の危険性も高い、ということですね。


真琴:それだけの情報が、裏社会の情報を調べて判った、ということですか…なるほど


 しかしまー……なんというか―― 迷惑な一家ですね(一同爆笑)。





 ―― ぶっちゃけ過ぎもいいとこです。





GM:では、この辺でシーンを切りまして……藍空支部の二人にカメラを向けましょう。





05 姿は朧に


シーンプレイヤー:御園早苗


 


牧場:ノイマンとしては、保険医襲撃、という意見が……いや、襲撃は冗談だけど、会ってみるというのが(笑)。


真琴:まぁ、今は藍空支部の情報部でPCと格闘してますから(笑)。


牧場:(真琴を乗っ取りつつ)「先生!僕、先生のことがッ!先生のことを考えるとっ!!」(爆笑)


真琴:(それを拾いつつ)「違った意味で胸がドキドキするんですッ!!」(爆笑)





 ―― すんのかよ!つか、この打ち合わせもなしで間髪も入らないコンビネーションって一体何ッ?!





GM:てか、違った意味って何ッ?!


真琴:いや、『何で死んでるのに保険医やってるんですか?』と言う意味で(笑)。





 ―― それを調べるのが、今からのあなた達(はぁと)。





GM:まぁ、冒頭のマスターシーンでちょっとだけヒントはあげましたからね。あれも手掛かりにして下さい。


早苗:あのー……勘ですけど……ドッペルゲンガーの能力に、姿を変える能力なんかはありましたっけ?


GM:ドッペルゲンガー特有の、というよりは……エグザイル、エグザイル〜(ルールブックを開きながら)♪





 ―― でも、ルールブックを持っていないプレイヤー氏にはこの言葉はちと酷すぎたなぁ……折角ルールブック無しでも気付いたんだから、そっちについて言及すべきでした……反省、反省。





牧場:そういえば言ってたなぁ……萌え少年を監視せよ、とかなんとか。


真琴:萌え少年って……誰でしたっけ?


牧場:(無言で真琴を指差す)


真琴:今も監視してたじゃないですかッ!!てゆーか牧場さんがッ(爆笑)!!携帯の履歴とかチェックされてるじゃないですか(笑)。


GM:まぁ、今は協力者がいないのでそこまでは―― 。


牧場:今じゃ教室に監視カメラが設置されていて、非番の時にはそれを椅子の上で膝抱えて見てるんですよ(どきっぱり)


GM:怖ッ!!それ、絵面的にむっちゃ怖ッ(爆笑)!!


 つか、何時の間にッ?!


真琴:話を戻しましょうか。





 ―― ありがとうございます。





牧場:兎に角、姿を変えることが出来る能力がある、ということも考えておいた方がいい、ということですね。


GM:そうですね。エグザイルの《擬態の仮面(姿形、声に至るまでを意のままに変える事が出来るエフェクト)と言う奴がありますね。


真琴:整理してみましょう……あの緑川五月の正体として、可能性としてはクローンとエグザイルのエフェクト、それと従者の三つが挙げられる、ということですね。


GM:まぁそうですけど……従者は考え難いかと思いますよ?本体死んだら従者も崩れちゃうんだし。


真琴:いや、まぁそこは誰かの従者、ということも考えられますし、誰かのメイクということも考えられる、という訳ですね。


牧場:ディグ○グの能力については何か判りませんか?


真琴:ディ○ダグって(笑)。


GM:ま、まぁそれについて……『ドッペルゲンガー』や『ジュエルボックス』については、今からUGNで調査する、ということで(笑)。


牧場:でも……ここに登場していいものかねぇ?


真琴:登場して侵食率上げても仕方ないですし―― はっはっはっ!既に侵食率69%!皆さん、さようなら、さようなら!


早苗:ああ、何時の間にか一緒の侵食率に。


牧場:……俺、侵食率まだ53%。


GM:低ッ!!アレだけ出ずっぱりな上にエフェクトも使ってるというのに……今日の先輩、なんかいつもと違いますよッ?!


真琴:お願いします。一緒に来てください牧場さん(あっさり)。


 でもまずは僕ら二人で……ファンブル(爆笑)!


「ああッ!『不正な操作が行われたので、終了します』って文字がッ!!」


早苗:「早くコンセントを抜きなさいッ!!」(爆笑)……こちらは一応6です。


牧場:じゃあ俺も登場……56%。「まったく……あのアメリカン支部長、苦手なんだよなぁ」


 それは兎に角、《知識の泉》を使って……クリティカル!―― 達成値は14です。





 ―― あの個性的というか、典型的なアメリカンジョーク支部長にしたのは、紛れもなくあなたです。





GM:またクリティカルですか?!今日クリティカル出すぎですよッ?!


牧場:まぁこれだけ出てると、戦闘では役に立たないと思いますから(笑)。


真琴:いやいや、自律判定で悪くなるんですよ(笑)。


GM:それ、めっちゃ駄目じゃん(笑)!





 ―― この時には、まだ洒落で済んでいました。





GM:ま、その出目で入手出来る情報はというと……ジュエルボックスに関連した情報ですね。


 <賢者の石>の特性として、大きく分けて四つあることは言いましたが、『ドッペルゲンガー』の石については『吸収』作用に特に大きな作用を示す、ということが挙げられていますね。ちなみに『マスターレイス』の石は消去法で『増幅』作用になるだろう、ということで推論立てられています。


真琴:日下部の行方は、庸として知れないんですよね?それに、緑川高志についても判らない―― でも、こちらについては緑川五月と言う手掛かりはある……。


GM:そーですね。


 で、緑川高志の<賢者の石>についてですが、FHから提供された『オリジナル』である特別な<賢者の石>―― Dロイス的に言えば<起源種>としての特性も持ってしまっている特殊な<賢者の石>というのも判ります。


 つまり、現在の高志は、7つあるスロットのうち、5つを埋めてしまっている、ということになる訳ですね。


真琴:そんな危険なのじゃなくって、<生還者>を入れておけばいいのに(笑)。


GM:<生還者>は複合Dロイスが出来ない、と明記されてるので無理です(あっさり)。で、負荷かけすぎてOSすら立ち上がらない状態になってしまうのが所謂ジャーム化、という状況になるわけですね(笑)。


真琴:じゃあ、学校で聞き込みすれば、緑川五月の奇妙な行動、という情報が入手出来るかも知れない、という訳ですね?


GM:システムがクトゥルフだったらそーいった行動が見受けられる、というのは出てきてもいいでしょうが―― DXですからどうでしょう(笑)。


早苗:そういえばウチの学校って、UGNが管理しているんでしょうか?


GM:管理はしてはないですね。まぁ、エージェントやらチルドレンが2、3人常駐してる時点でかなり特殊とは言えますが(笑)。





 ―― 本来なら常駐自体しないからなぁ(笑)。





早苗:でも、そうなると私って……どうなるんだろう(笑)?


 十数年後、「まだ卒業してないのかッ?!」と赴任してきたここ出身の教師に言われたりして(笑)。


GM:……『永遠の18歳教』(ぼそ)。


 まぁ、そっちの方はいいとして、もう一つ、『ドッペルゲンガー』についての情報としてですが……まずシンドロームはモルフェウス×エグザイル。あと、“記憶”について異様なまでに執着を示している、というのが判ります……まぁ、コレについては真児に擦り込まれた本能からして推論だてる事も出来ることではありますがね。


真琴:……でも、そうなったら『処刑課』の人を殺しまくっていた、ということについて説明が―― ああ、そう言えばあれは日下部の指令でしたね。それか、あとは『プランナー』のプラン


GM:あ、一般的な情報としてですが……FHの中では『マスターレイス』と『プランナー』の仲は正直言って最悪、というのは、UGNの構成員ですし、普通に知っていてもいいですよ。


真琴:エグザイル……ということは、《擬態の仮面》の方ですか―― とすると、<知覚>で見破る事が出来る……【感覚】なら3あるぞぅ(笑)。


早苗:あ、私も3ありますよ。牧場さんは……。


GM:射撃キャラだから高いですよ。


牧場:【感覚】なら……4あるなぁ。


真琴:じゃあ、牧場さんに見破ってもらって―― 見破れなかったら母だと思い込んで攻撃出来なくなる(笑)。


GM:ま、それは兎に角……そこまで調べる事が出来た、ということで一旦シーンは切れて、数日後の学校に時間は飛びます。





06 世界は歪む


シーンプレイヤー 羽鳥真琴


 滞りなく日常は進む。


 一度落ちた染みも時間とともに薄まって、周囲と溶け込んでいるかのように見えている。


 しかし、この平穏が偽りのものである、ということを―― 彼らは肌で悟っていた。





GM:では、始業式から数日たち、クラスメイトの間でも新任の保険医の噂がさほど囁かれなくなった頃、真琴のクラスメイトの一人が体育の授業中に脚を挫いてしまいますよ。んで、体育教師が「羽鳥ぃ、ついていってやれ」と言いますよ。


真琴:え?なんで僕がっ?!


GM:その右手につけてる包帯はなんなんでしょうか(笑顔)?


真琴:ああッ!そういえば今はバスケだったんだ〜(笑)。





 ―― 対応、ありがとうございます(笑)。





早苗:じゃあ、その光景を見て、「先生、今日はアレでっ!」と(笑)。


GM:どれだッ(笑)!!そもそもクラスも違うでしょーに(笑)。


 という訳で、二人とも1D振って下さい。同じ目だったら、同じクラスということで(笑)。


真琴:……2組ですね。


早苗:……7組―― 違いますね。じゃあ、3回目だか4回目だか判らなくなった授業をダラダラと受けておきます。


真琴:じゃあ新しい友達と一緒に保健室に……名前、何でしたっけ(微笑)?


GM:(サプリメント『ラディカルドライブ』の“名前決定チャート”を参照しながら)……神城…三郎太と言うことで(笑)。


真琴:「じゃあ行こうかサブちゃん」


GM:サブちゃん?!


真琴:(突然三郎太)「おいおい、俺脚挫いたんだってばぁ」「ああ、ごめんごめん」という訳で、そんなこんなで、サブちゃん連れて保健室まで付き添います……内心どっきどきしながら(笑)。


GM:おっけー、了解です。


 では保健室ですが……真琴は慣れた手捌きで処置する緑川の姿を見ることが出来ますよ。


「捻挫だな…大方、準備運動を適当に済ませた、といったところだろう?」


早苗:男口調だったんですか。


真琴:その間も僕はその姿を食い入るように眺めていますよ。


GM:「……ん?お前も右手を怪我してるのか?ちょっと見せてみろ」そんな風に言いながら、手を伸ばしてきますよ。


真琴:「い……いやッ!これはッ!!いいんですッ!もう治りますからッ!!」反射的に手を引っ込めます。


GM:じゃあ手には触れませんが、強引に伸ばした手が真琴の身体に触れてしまいます……では、真琴は<意志>で対抗して下さい……こっちは28点。


真琴:……8点……失敗しました。


GM:では……失敗した場合、真琴は「見られた」という感覚を覚え……同時に、唐突に蒼白になった緑川センセの顔を見てしまいますよ。表情にありありとした驚きの感情を浮かべている、といった感じで。


 で、真琴の言葉を受けて、「……あ、ああ…すまなかった」と力なく返します。で、怪我した生徒に「処置は終わった。念のために今日の授業は見学しておけ」とだけ言って、二人は追い返すように保健室から出されますよ。


真琴:「じゃあ帰ろうかサブちゃん。今日は二人で見学だね」


GM:「そーだな。あーあ、今日はオレのダンクを披露してやれると思ってたのにさぁ(笑)」


真琴:じゃあ、「先生ありがとうございました」と礼を言って戻りますが……内心では『見られた、見られた』という意識で一杯です―― どこかに隠しカメラないだろうな?と、きょろきょろと(笑)。


GM:そっちの『見られた』ですかいな(笑)。


 まぁ、シーンはそこで切りまして……牧場さんのシーンに入ります。





07 壊れた記憶


シーンプレイヤー:牧場高志





GM:では牧場さんの自宅ですが……自宅に戻って来た牧場さんは、部屋に人の気配を感じますよ。


牧場:人の気配……《ハンドレットガンズ》の準備しておいた方がいいかなぁ―― まぁ、気をつけながら様子をうかがいます。


GM:では、様子をうかがいますと、ショートカットの女性の後ろ姿が目に入ります。―― 向こうの方もその気配に気付いたらしく、牧場さんに対して振り返りますが……その顔は記憶にある母親・緑川五月の顔そのものです。


牧場:えっと……見破るには【感覚】でいいんだよね?


GM:あ、判定の必要はないです。「久しぶりだな……生きて逢えるとは、思わなかった―― 兄さん」と、顔を一撫ですると、その顔は母親のものから、牧場さんにとっては鏡を見るかのような……牧場さんと瓜二つの顔になりますよ。


牧場:「……お前―― 高志か?」


GM:「お互い、いろいろあったみたいだが……まさかめぐり巡って同じ道に立っているとは思わなかった」


牧場:「お前達……一体何を考えている?」


GM:「……お前達?」


牧場:銃口を向けながら「お前一人の考えじゃああるまい」


GM:「今の俺は、いろいろあってFHに雇われている……あのマスターレイス、日下部仁にだ。


 今のところは監視だけだが、近いうちに日下部は俺にターゲット…兄さんと関わりの深い羽鳥真琴という子供を殺すように指示を出すだろう―― しかし、今日偶然にも彼の記憶を通じてこうして兄さんのことを思い出し、記憶を取り戻す事が出来た以上、これ以上奴の言うままに動く義理はなくなった。


 だから、俺に協力してくれないか、兄さん。日下部を殺して奴の<賢者の石>を奪い、この<石>を完全なものにするんだ」そう言って、胸をはだけますが―― 胸の中心に緑色に輝く<賢者の石>を見て取ることが出来ますよ。


牧場:「……お前―― Dロイスで4つもスロット埋めてそんな危険なことを……」


GM:メタなことを言わんで下さい(笑)。ちなみに、Dロイスは結局5つある、ということが発覚してますよ。


牧場:それにしても、日下部の<賢者の石>を奪ったら、またDロイスでスロットが埋まるということになるんじゃ……。


GM:あ、この場合はDロイスの<賢者の石>が強化される、ということになりますからスロット数は変わりませんよ。


牧場:じゃあ、それなら……「お前は何を思う―― そんな力を……それほどに力を追い求めて、お前は何をするというんだ?」


GM:「力を……求める?ああ、そうだ。この力があれば、世界を作り変えることも出来るこの力さえあれば、あの時に戻る事も出来る―― 私を疎んじて追放した学会の奴らも見返すことが出来る」


一同:成原教授〜(大爆笑)!





 ―― 声揃えて言うことかッ!?





GM:違うッ!!「…ふふふ、ああ、そうだ。やり直すことが出来るんだ―― はは…はははははははははははは」と、途中から明らかに会話の流れを無視した、熱に浮かされたかのような言葉を呟きながら、像を崩して退場しますよ。





 想いはすれ違い、ただ哄笑が響くばかり。


 憤りとともに呟く言葉は、行き場のない怒りと虚しさに染められていた。





牧場:「高志……最悪の場合は―― この俺の手で……いや、仲間がやるかも知れないけど





 ―― そこで落とさないで下さい。





GM:ではシーンを切りまして……皆さんお待ちかね、春日恭二の登場するマスターシーン―― そしてクライマックスへと向かいますよ。


真琴:おおー、春日恭二……何というか、懐かしささえ覚えてしまう(←春日恭二好き)。





MASTER SCENE


 闇の中、『ディアボロス』春日恭二は誰かに電話を掛けていた。


「はい。『マスターレイス』、実験は滞りなく進行しています。『ドッペルゲンガー』の石は予想通り、いや、予想以上の成長を続けています。あとは、『ピュア・カタストロフィ』とぶつけ、生き残った方を狩れば、完成です……はい、判っております」


 会話が終わり、春日恭二は深い溜息を一つ吐く。


 水差しから水を汲み、一息に煽る。


「ふふ、どちらを殺しても、純度99.999999999(イレブン・ナイン)、最高の純度の賢者の石が手に入る。明日には……この俺がマスターレイスだぁッ!!





GM:と、まぁ明らかに小物の死にフラグっぽい発言をぶちかましております(笑)。


真琴:まぁ、彼は好きですよ(笑)。


GM:で、さらにシーンが変わりまして、その春日恭二の独白をどことも知れぬ闇の中で聞いている『マスターレイス』といった感じのシーンになります。





「ふふふ……そうだ、それでいい。お前のちっぽけの企みが二人に更なるストレスを掛け、さらに<賢者の石>を成長させる。全ては<賢者の石>の成長のため。お前も所詮、そのための供物の一つに過ぎないのだ」


 『マスターレイス』のその呟きを聞くものは、誰もいなかった。





CLIMAX PHASE


染め上げる絶望


シーンプレイヤー:牧場広志





GM:で、翌日になりまして、学校では避難訓練が行われています。


 校庭で体育教師が「コラー!お前らー、私語は止めろー!そんな事でいざと言う時に対処出来ると思っているのかー?」とハンドマイク使って注意してるけど、まぁ、当然のようにざわざわざわつきまくっております。


早苗:じゃあ、私もお約束どおりダラダラしてます。


牧場:体育教師が、ヤマジュンの描く体育教師のように思えてしまって……とても、しょうがないです。





 ―― 勘弁してください。





GM:止めてー(絶叫)!!


 と、まぁそんなことはいいとして……突然、校門を突き破ってハマーが飛び込んできます!


真琴:ハマー?!なんかどこかで見たことあるような光景が(笑)。





 ―― ここで読者の皆様にアナウンス。以前、別GMのセッションでハマーを駆るエージェント女医というPCが登場したのですが……そのPLが他でもない真琴のPLだったりするのです。つまり、GMはややダレ気味になるであろう戦闘直前のテンションを、PLに関連する状況を生み出す事で高める事を狙った、というわけです。





GM:まぁ、当然ながら生徒はもちろん、体育教師も大いに慌てふためきますね。


真琴:「な、何だあのジープは?」「ふふふ、アレはハマーっていうんですよ」「誰だッ?!」





 ―― いや、誰だよホントに。





GM:では、ハマーを中心にしてワーディングを張りながら、春日恭二が叫びますよ。「ドッペルゲンガー!次期マスターレイスからの命令だぁ!お前ら二人、殺しあえぇ!ここにいるもの全てを巻き込んでなあぁぁぁッ!」


早苗:それにしてもこの男、ノリノリである(ぼそ)。


GM:いや、仰る通りですな(笑)。


 ま、それはそうと「お前の命令など誰が―― 」そう言おうとした高志の言葉を遮るかのように、春日恭二は続けます。


「ああ、それはそうと今までの報酬を忘れていたなぁ……お前の求めていた記憶―― 『優しい母の記憶』という奴だが―― そんなもの、そもそも存在はずなどないだろう。


 実の息子を実験体にしただけでなく、賢者の石に意識を移す事で永遠の生命を得ようなどという奴が、人間らしい感情など持っていると思っていたのか?」


 という訳で、緑川五月が殺されたのも半分以上わざと、というものではあるんです。緑川高志の<賢者の石>の特性は『吸収』……その力は犠牲者の能力はもちろん、意識すらも取り込み、自分のものとする―― そういうことが出来ると言うわけです。


真琴:つまり、<賢者の石>に取り憑いて生きる、という感じ?


GM:そーいうことです。


真琴:ひえー、牧場さんのお母さん、すごいですぅ(笑)。


牧場:まぁ、こっちとしても20年以上逢ってないから感慨も何もないがな。


真琴:まぁ、憐憫の情も湧きませんな。これで父親の方も……。


GM:あ、父親の方は死ぬまで自分の力に対して自覚症状はなかったようです。でもまー、惚れた相手が実は自分の事をサンプルとしてだけ見てたり、結局生体サンプルを作るためだけに緑川五月と一緒になったり、『データ取りが終わったから』という理由で別れたという真相を知ったりしたら、自殺してもおかしくはないでしょうけどね。


真琴:ひどいザマス。


GM:ええ、まったくひどい話ザマス。


 で、春日恭二はさらに続けます。「お前達は我ら超越者と同じ力を持ちながら、ヒトという形に拘る愚か者。だからと言って、旧人類が自分達より進んだ者達を受け入れるはずもない。どちらでもないお前達は……どちらの側からも裏切り者―― ダブルクロスだ!!


真琴:いや、チンピラにタイトルコールされても(一同爆笑)。


GM:まぁ、それには同意しますが……春日恭二の言葉を聞いた高志は、本来の姿に戻りながら慟哭とともに砂埃を巻き上げ……その砂全てを刃と化してシーン全体を攻撃します。《インフィニティ・ウェポン》と《レインフォース(武器の攻撃力を引き上げるモルフェウスのエフェクト)》《錬成の掟(モルフェウスのエフェクトのクリティカル値を下げるエフェクト)》《ギガノトランス(モルフェウスの錬成能力をフルに使うことにより、その対象をシーン全体に拡大するエフェクト)ッ!!


真琴:シーン全体攻撃ッ?!生徒達はー?


GM:巻き込まれるでしょうね(きっぱり)。


早苗:カヴァーリングでかばう事は―― ?


真琴:シーン全体をかばう事は出来ません。


GM:ええ、まー一応、対抗手段は渡す事は渡しましたよね(笑顔)?


真琴:頂きましたけどー!頂きましたけど――――ッ(絶叫)!!


GM:まー、俺もそこまで侵食率が上がりまくるとは思いませんでした……つか、侵食率上昇が最低7って想像もつきませんよ!


真琴:では……「みんなに指一本……触れさせはしないッ!!」と叫んで《竜鱗》を使用―― その範囲をDロイス<プライメイトβ>の力で拡大します!


 賢者の石が輝くとともに、校庭全体を一瞬巨大な竜の幻影が包み込む―― といった感じの演出ですね。


GM:うぃ……イベント使用なのでダメージは40固定で……当然春日恭二やトループ達、ハマーは対象外ですね?


真琴:当然です(笑)。


GM:では、春日恭二たちは巻き込まれまして―― 当然ながら《ヴァイタルアップ》もしてなかった春日恭二は一度死にますが……「く……狂ったかぁッ?!」と叫びつつ《魔獣の証》を使って復活します(一同爆笑)。


早苗:さすが春日恭二ッ(爆笑)!!


GM:挑発してやられてんなよお前は、とでも言ってやりたいところですが……まぁ春日恭二ですし(爆笑)





で、ここから戦闘の配置になりますが……生徒達を挟んで両端に、血涙を流す高志と血みどろの春日恭二。両者の距離は60mといったところですが……真琴と早苗さんはちと3D振って下さい。その出目で二人の位置関係を決めますので。


真琴:21です。


早苗:同じく21です。


GM:ぶ……ということは……奇跡的に同一エンゲージにいる、と言うことになります。





 ―― 銀一郎先生が、やはり銀一郎先生が宿ってるよ、今日のセッション(笑)。





牧場:俺はどこに登場すれば…普通に考えれば、春日恭二の横に登場するのがいいかも知れないけど……あと、校舎の屋根の上とか(笑)。


真琴:どこのバカ暗殺者ですか(笑)


GM:まぁ、普通に考えたら、外の方から来るのが自然だから……塀を変成して穴を作って、通った後にまた穴を塞ぐ、とかでしょうか?


真琴:フェンスの隙間からにゅるーん、と(笑)


GM:それエグザイルだからッ(笑)!!


「まだだ。世界そのものになることが出来れば死んだ母さんも生き返らせることだって出来る。兄さんや父さんのいたあの頃に戻って…戻って……戻って戻って戻って戻ってえぇぇぇぇぇぇッ!!」


 世界が歪むかのような感覚をその場に立つオーヴァード達にもたらすワーディングとともに、衝動判定です!





 衝動判定には全員成功……しかし。





真琴:衝動には捉えられないけど……侵食率は103%〜♪もう《リザレクト》だって出来やしない〜(ヤケ)♪


GM:わはは(笑)。なお、今回のレギュレーションを発表しますが……現時点の高志は、春日恭二の言葉によって唯一持っていたロイスである母へのロイスがタイタスに変わったことで狂気へと転げ落ちた、ということになりまして、何らかの方法を取れば正気に戻す事は可能、ということになります……ゲーム的に言えば、牧場さんと高志との間でロイスを互いに結び、そのロイスをタイタスに変化させなければいい、ということです。


牧場:では、高志との間にロイスを結びます。


GM:了解です。では、配置も終わった事ですし……戦闘開始です。





 第1ラウンド


 開始時の配置は以下の通り。


(校舎)


―――――――――――――――――――――――――――――――――




(10m)




 春日恭二←(39m)→[真琴&早苗]←(21m)→高志




(30m)




牧場


―――――――――――――――――――――――――――――――――


(金網つきの塀)





牧場:まずマイナーアクションで《ダブルクリエイト》と《ハンドレット・ガンズ》で二丁拳銃を生み出して……《確定予測》《シューティングシステム》《オウガバトル》で……命中は18。


GM:それは受けます。《歪みの体(柔軟さを活かして相手の攻撃を受けるエグザイルのエフェクト)《錬成の掟》《砂の盾(砂を周囲に展開することで射撃攻撃に対しても受けを試みる事が出来るモルフェウスのエフェクト)》《フォームチェンジ(武器の形状を受けに適した形に変化させる事により、受けに対して修正を加える事が出来るモルフェウスのエフェクト)》《還元(モルフェウスの練成したものを砂に帰すことにより、モルフェウスのエフェクトが絡んだ攻撃に対するリアクションに大きなアドバンテージを得る事が出来るモルフェウスのエフェクト)で……全部止めた上で―― 《自動触手(『受け』に成功した場合、相手に対して僅かなダメージを与えるエグザイルのエフェクト)による反撃として、針と化した髪の毛を飛ばしますッ!!コレに関してはリアクション不可で……8点の実ダメージ!


早苗:では、私も高志を狙って……《オールレンジ》《貪欲なる拳》《浸透撃》《疾風剣》その他で……命中は47!それと、ダイスペナルティが2個ですのでー。


GM:ダイスペナルティか……失敗です。「お前も敵かッ?!お前も敵かぁぁぁぁぁぁッ!!」と、狂ったかのような表情を浮かべつつ、ダメージを喰らいます。


早苗:「あなたが敵に回ったのよッ!!」と言いつつ……ダメージは……32。


真琴:御園さん怒らせると怖ええー(笑)。


早苗:私の名前を言ってみろー……って、言わせちゃいけないんだった(笑)


GM:では、早苗さんと同じイニシアティブ12で高志も動きます。その両手に二丁拳銃を生み出したかと思ったら、春日恭二も含んだ全員に対してガンカタ撃ちで射撃してきますが……<射撃>にダイスボーナス与えるエフェクト……ないんだよなぁ(苦笑)……ともあれ、《レインフォース》《錬成の掟》《スプリットアタック(武器を分割する事により、攻撃対象を増やすモルフェウスのエフェクト)で……クリティカルは一回だけで―― 命中は15です。


一同:喰らいました〜。


GM:しかし、ダメージはデカいぞ…………装甲有りですが……ダメージは27点!


早苗&牧場:死にました。


真琴:……27ですよね……2点残った(笑)。人間の姿なのに2点残った(笑)。


 では、次は僕の番ですね?


《リザレクト》で復活した牧場:「早く……弟を楽にしてやってくれぇ……というか、俺も楽にしてくれぇ(←HP1)」


真琴:では、マイナーで《一角鬼》《完全獣化》《ハンティングスタイル》を使って……《鬼の一撃》《大蛇の尾》《獣の殺意》で―― ダイスペナルティ3個をプレゼントしつつ、命中は……ああッ!クリティカルが出ない〜ッ!!最高で9……命中は13です。





 真琴、ここで痛恨のミス!《一角鬼》によってクリティカル値が下がっている事を忘れていたのです。それに気付かなかったGMもGMですが。





GM:それに関しては……さっきと同じ受けで…一応ダメージをどうぞ。ただし、装甲値15点に加えて受けに成功した場合、こちらの防御力は35プラスされますので、それを突破することは難しいかと。


真琴:ダメージは18だから……駄目でした。それと、受けということは……。


GM:ええ、さっきと同じように針と化した髪の毛を飛ばして8点ダメージですね。


真琴:死んだー!折角生き残ったかと思ったら、速攻で死んだー(笑)!


 でも今のところロイスは温存(笑)。


GM:では続いて春日恭二の攻撃ですが……牧場さんの言葉を聞いて「なるほど……執着する奴がいたか―― ならば狂え、狂え、狂ってしまえぇぇぇぇッ!!」と叫びながら、腕を伸ばして牧場さんを攻撃します。命中は21!


牧場:HP1で、命中しただけで死ぬから……《リザレクト》―― これで俺も100%超えた!


真琴:あっ!そーいえば、さっきの攻撃、クリティカル値下げるの忘れてたッ!


GM:そ……それは―― まぁ仕方ないです。間違いがあっても遡及しないのがルールですし―― つか、俺も《ヴァイタルアップ》宣言するのを忘れてましたからッ!!





 ―― 駄目GM、ここに極まれり。





第2ラウンド


 開始時の配置は以下の通り。


(校舎)


―――――――――――――――――――――――――――――――――




(10m)




 春日恭二←(39m)→[真琴&早苗]←(21m)→高志




(30m)




牧場


―――――――――――――――――――――――――――――――――


(金網つきの塀)





GM:では、第2ラウンド……配置まったく変わってないけど(笑)。


 という訳で、高志と春日恭二、二人とも「もとい!」と叫びながらセットアップで《ヴァイタルアップ》を宣言―― 一気にHPを引き上げます。


真琴:ここからが本番だぁッ!!


 ところで、タイタス使用で復活するタイミングって、どのタイミングでしたらいいという制限とかは……?


GM:ないですよ。どのタイミングで使用してもOKです。


真琴:やったぁ!ド〜ラマティ〜ク(笑)!





 ―― 詳細は拙コラム“『なぜなにダブルクロス』3・タイタス運用術”をご覧下さい(笑)。





牧場:じゃあ、俺は……『デミタース・オリジナル・スペシャル』を(一同笑)。


真琴:そ……それ、コンボ名ですか(笑)。


早苗:『何故なら彼が特別だからです』(笑)。


GM:すいません……ここ一年以上、TV見てないから判りません(笑)。


 ……んが……(コンボデータに目を通しながら)……《プレディクション》入れるんですよね―― どーせなら、《カウンター》を織り交ぜるのはどーでしょう?それなら、一方的に相手の攻撃潰して攻撃入れることが出来ますよ?


牧場:おお、そんなことが……なら、一旦待機します(笑)。





 ―― 毎度おなじみ、GM自らマンチキン講座……厭がるPLもいるかも知れないけど、こういった技も使えることを知っておくか否かで戦略に……ひいては楽しみに幅が出るというのなら、喜んで教えてやるッ!!





GM:では、早苗さんと同時だから……早苗さん、どうぞ!。


早苗:じゃあ殴ります……さっきと同じ攻撃を……《フラットシフト》使って侵食率上昇を0にして―― 命中は…………76!ダイスペナルティは3つで〜す。


GM:了解です……しかし、ちと間違いがありまして……素手を強化していない現時点では組み合わない受けエフェクトがありました(《フォームチェンジ》は使用する白兵武器にもともとの受け修正がない場合は使用出来ない)ので、今回だけは回避で応対しますが……そこまで回らんッ!!ダメージどうぞッ!!


早苗:ダメージは……38!装甲無視で〜!


GM:それでしたら、半分は減ったけど、まだ生きてる!


 という訳で高志ですが……拳銃を捨てたかと思うと、今度は手を…正確には指を鞭のように伸ばして無差別攻撃―― ただし、60mの距離も届くほどの、桁違いの長さがある奴ですが―― マイナーで《爪剣》、そして、《踊る髪(髪やそれに準ずる身体の一部を使った、意表をついた攻撃を行う事で足をすくい、命中した相手を『転倒』状態にするエグザイルのエフェクト)》《エンタングル(体組織の一部を相手に巻き付けることで、命中した相手の持つ武器を『捕縛』)状態にするエグザイルのエフェクト》《インスタント・ボム(触れた箇所を爆弾に変え、それを起爆する事で相手の装甲を無視した攻撃を行うモルフェウスのエフェクト)《レインフォース》その他でッ!!……牧場さんと早苗さん……あと春日恭二にも39で攻撃が行きまして……春日恭二は防御エフェクト持ってないから喰らいまくりです。


早苗:回避は……出来ないッ!喰らいました!


GM:では、ダメージ43点に、バッドステータスとして『転倒』『捕縛』をプレゼント♪


早苗:《異形の守り》でバッドステータスはキャンセル♪


GM:おお、そーいえばそれがありました(笑)。ちなみに、この高志の一撃によって……春日恭二、死亡(一同大爆笑)!!弱えぇ――ッ!春日恭二弱えぇ――ッ!!


真琴:大丈夫か春日恭二(大爆笑)!


GM:ああっ!次の春日恭二の攻撃は『止めをさす』予定だったのにぃ〜(笑)。


真琴:でも、その瞬間にタイタス使用で復活するから……。


GM:うむ……春日恭二の攻撃、無意味ッ!!しかも、その次の瞬間には復活した真琴の『底辺×高さ÷2=破壊力』が待ってる(爆笑)!


牧場:では……こちらの《カウンター》が発動して……27だけど―― 。


GM:《プレディクション》が入ってるから、無条件で対決には勝ちます。なので、ダメージどうぞ!!


牧場:ダメージは…………51!装甲無視でッ!!


GM:それは…………駄目ッ!高志、その一撃で昏倒しましたッ!!凄いよ、兄さん(一同拍手)!!





 ―― なおGM、この時点で気付いていませんでしたが……鈴木銀一郎先生が乗り移ったかのような劇的なダメージと展開に押されて、高志の切り札エフェクトである《魂の錬成》を使うの忘れてました。でも、一番盛り上がる展開で終わったからいいや。





ENDING PHASE


……もしくは NEXT OPENING


 一つの因縁は幕を閉じる。


 しかし……幕は再び上がる。





GM:では……エンディングですが―― まず牧場さん、高志のロイスはタイタス化してはいないですよね?


牧場:あ、それは大丈夫です。


GM:ならば……高志はまだ息はありますが―― 高志をどうするかは、牧場さんの判断にお任せします。


牧場:助けることは、出来るんですよね?


GM:まぁ、無理矢理埋め込まれた<賢者の石>を真琴が吸収することによって、助けることは出来ますよ。ただし、真児と同じように<アポシートス・トランス>のお世話になって、しばらくの入院生活―― もしくは一生を病院で過ごすことを余儀なくされる事は否めませんがね。


牧場:戦闘でなら仕方ないと思っていたけど……さすがに面と向かって撃つのは気が咎めるしなぁ……。


「……高志―― 大丈夫だ。お前にはまだ俺という家族がいる。だから……まだ死ぬな!」


早苗:おお、家族の絆……美しい。


真琴:(突然高志)「……兄さん、兄さーん!!」(一同爆笑)


牧場:「瞬ー!!」(一同爆笑)


GM:いや、そこはむしろ、ベジータか横島で(笑)。



 ―― 結局中の人は一緒です。


GM:高志は牧場さんのその一言によって完全に母親の呪縛から解き放たれ―― ゲーム的なことで言えば……タイタスを昇華して復活することになります。

 そんな風に美しく締めて下さって、マスター感激ですが……今からちと次回に繋がるイベントを起こしますよ(携帯電話、操作)。


メールを受け取った牧場:な……なにぃっ?!


真琴:「い、一体何が起こったんですか、牧場さん?」


GM:(またもや携帯操作しながら)言ってしまえば『武田が何者かに撃たれた』というメールです。


牧場:ええー!?言っちゃうのー(笑)?!



 ―― よくよく考えてみたら……仰る通りでございます。



GM:まぁ、プレイヤーが知っておくのは別に構わないわけですし……UGN側の二人にも牧場さんのメールに構う暇はなくなってしまうからね(再び、送信)。


メールを受信した真琴&早苗:うおー、こっちはもうボロボロだというのにー(笑)!


GM:ま、心配せずとも次回の話ですから(笑)。


 では、最後の最後にではありますが、マスターシーンをいれて、今回の締めと行きましょう。



MASTER SCENE






 幕が上がり、暴走が―― 血の宴〜Grand Guignol〜が……始まる。






 ファルスハーツ日本支部本部ビル・最上階。その男はこのビルの最も高い位置にあるオフィスを目指していた。

「お待ちください、“マスターレイス”!!一体何を?!」

 濡れ雑巾を壁に叩きつけるような音とともに男が一人吹き飛ばされ、壁に大輪の血の華が咲いた。

 ノックもなく、乱暴にこじ開けられた扉を見て、携帯端末を操作していた“プランナー”都築京香は呟く。

「あら、“マスターレイス”……思ったよりも、早かったわね?」


 全てを見透かしたかのような奇妙な言葉。


「……ふむ……新しいプランを考えなくてはね。さようなら、“マスターレイス”。次のあなたに、期待することにするわ」


 終末を告げる、預言者のような言葉。


 しかし、“マスターレイス”は“プランナー”の言葉も、直前まで操作していた携帯端末も意に介することなく、その右手で“プランナー”の頭を掴む。


 その手に力を込める。


 容易くその掌中は爆ぜ、全ては血の色に変わった。


「くくく……もう貴様のプランに従う必要などないのだよ。この俺は―― 世界の支配者(ルール・オブ・ザ・ワールド)なのだからな


 血の色よりもより紅い色に包まれ、“マスターレイス”日下部仁は……哄笑を放った。





GMすがたけ反省会


 今回はちょっとした変化球でシナリオを演出したが、随所にプレイヤー諸氏の好演もあり、巧くいったと言えるセッションだった。


 前回の大失敗を引き摺るGMを引っ張ってくれたプレイヤーの皆さんに感謝。


 だからこそ、最後の最後のダイス運が惜しくて仕方ない。



真琴&牧場:ロイス6個丸々残ってるのに失敗したー?!


 まさか、ダイス6個で30%に満たない自律判定に二人が失敗するとは。


 結局今回の経験点を放棄する形で日常への帰還を果たす事は出来たけど……『良いロールプレイをした』『セッション中、他のPLを助けた』『セッションの進行を助けた』という経験点のチェックを満たしていたのに、ダイス運で配布出来なくなってしまったのが残念でならない。





 ともあれ、次回で『藍空』キャンペーンは最終回。


 気合、入れさせていただきます!





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