日報バインダー7








表紙:工具楽屋ガールズ勢ぞろいショット!




折り返し・表:アシスタントT橋氏から「真面目だから」と指摘され、落ち込む藤木先生




折り返し・裏:國生さんの弱点っ!!




第59話 辻原の告白




「人を殺すコツは、 何も考えないことだ――」





 何時の頃かは覚えていない。何処のことかも興味は薄い。ただ、その記憶は、常に雨とともにあった。銃火を潜り、降り注ぐ赤い雨に己の身を朱に染める……『殺人者』という“モルモット”の記憶――感情を殺ぎ落とし、命ぜられるままに戦場を渡り歩く モルモットの名は……『辻』といった。


 という、我聞らしからぬどシリアスな展開から始まった辻やんの回想シーン……あまりにもシリアスすぎて、仙核を埋められた跡を見せる辻やんに対して優ねーさんがいくらボケようとも、置き去りです。まぁ、本来それに応じてくれるはずの辻やんがシリアスモードに突入しているという、ボケには最悪のタイミング……優ねーさん、ショックでロボになっても見向きもされません





 実験部隊に取り付けられた真芝第二研の開発した試作仙術兵器“仙核”の実験は順調であり、その順調な成果を証明すべく、実験部隊に命令が下される。その命令は、『工具楽我也の暗殺』―― 仙術兵器の実戦投入を目指す真芝グループの最大の障害となっている、最強の仙術使いと名高い男とはいえ、仙核によって強化された『最強のモルモット』ならば、それを排除できるかもしれない―― その心算でぶつけられた『辻』ら実験部隊だったが、意思をもたない実験動物と、強靭な意志を持つ人間の差はあまりにも大きすぎた。


 仙術も使わぬ、無造作な拳の一撃で吹き飛ばされ、あっさりと戦闘不能になる『辻』。戦闘不能に陥ったことで見捨てられ、あまりに重い拳に、指一つ動かすこともままならない。


 だが、迫りくる死に対しても、辻の恐怖はなかった。『とどめをくれ。 そうすれば…早く…楽に…』感情を持たないが故に死への恐怖を持たない『辻』は、そう思うことで、意識を閉じた。


 だが、『辻』は目を覚ました。どこかは判らないが、蝉時雨と容赦ない夏の陽光、小さく響く風鈴の音が、あの世でないことを告げている。


 当惑し、周囲を見渡す。


 寝かされてた布団の近くには、簡素な学習机とバットとボール、本棚にはマンガ雑誌の背表紙とプラモデルも覗いていることから、小学生程度の男の子がこの部屋の主なのだろう、ということは辻原の混乱した頭にも理解は出来た。


 覚醒した『辻』を認め、我也が声を掛ける。突然ターゲットから掛けられた声に、身構える『辻』だったが、突然襲いくる痛みに顔をしかめる……気を失っている間に、その胸に埋められていたはずの"仙核”を我也の穿功撃によって砕かれたことによって引き起こされた痛みだった。


 目が醒めた『辻』に我也は有無を言わさず、一つの『仕事』を任せる。


 ナイフ術に長けた彼に任されたその仕事は……芋の皮剥きだった。だが、当惑しつつも振るわれるナイフは、刃を外に向けているためか、皮と一緒に殺ぎ落とす部分の方が圧倒的に多い。


「そんなんじゃ駄目だ、おっちゃん!」


 あまりに心もとないその手際を見かねたのだろう……『辻』の背後から少年の声が聞こえた。


 歳の頃は10歳になるかどうか―― 恐らくは『辻』が寝かしつけられていた部屋の主であろうその少年は、手馴れた手際で芋の皮を剥き、人を殺すためのナイフ術を磨き続けてきた『辻』に『正しいナイフの使い方』を指南する。


 当惑する『弟子』に、『師匠』として技を伝授する少年……それこそが我聞と辻原の初めての出逢いであった。


 しかし……我聞……一匹持って帰ってもいいですか?(*´Д`)ハァハァと、人として大間違いなリアクションしてしまいたくなるくらい、可愛い奴ですなぁ(笑)。しかも、現在と同じくお馬鹿だし(笑)。


 でも、気になるのは、我聞ママがその存在をまったく感じさせない点―― 辻やんが我聞と出逢ったのは8年前だということだから、7年前に死んだ我聞ママはこの時点で存命のはず……勝手に居候を増やして怒られる我也を見たかったのは、俺だけでしょうか(笑)。





第60話 氷が溶けてなくなるかのごとく




「その思いは 裏切れん――!!」





 工具楽我也の暗殺に失敗した『辻』は、旅の武道家『辻原』として暫くの間工具楽家に居候することとなった。


 自分を殺しに来たはずの男であるにも関わらず、息子に体術の基礎を教えてやってくれ、とこともなげに言ってのけた我也と『一刻も早く我也のように強くなりたい』と願う我聞に戸惑い、面食らうものの、その訳も判らぬ問答無用ぶりに圧倒され、手ほどきを始めてしまう。


 だが、その戸惑いもまた、感情を失っていた『辻』という名の“機械”が喪っていた“人の心”を補い、取り戻すきっかけとなっていった。





 というわけで、辻やんの過去その2ですが……首回りに水糸突きつけられて脅されてるというのに、あまりにもあっけらかんと話しすぎです、このヒゲメガネ


 しかし……それはさておき、一打必倒の打突をどのように撃ち込むかを分解して行う解説といい、単純な腕力よりもバランスとタイミングを駆使して上手に体重を乗せるという理論といい……やっぱりこのマンガは『身体の使い方』がおろそかになっていません。どっかの戦闘がアイテム頼りのサンデーの看板作品にも見習ってもらいたいものです。





 我聞とともにあることで溶けゆく氷の心―― しかし、その時は長く続かなかった。『辻』の胸に埋め込まれていた仙核は我也によって破壊されたものの、その内蔵電池はまだ生きており、それを辿って機密保持のための追っ手がやってきたのだ。


 追っ手としてやってきたのは『凪』―― 同じモルモット部隊の中でも『辻』に次ぐ実力の持ち主であった。


 我聞を人質にとられた『辻』は、『凪』のナイフによって斬り苛まれる。身体機能を増幅する仙核も持たず、ナイフもない……徒手空拳、生身の状態で仙核を使用する『凪』を相手取るという圧倒的な不利に、『辻』の心に諦念が忍び寄る。


 だが、「やめろヒキョー者!!」諦観にとらわれた『辻』の意識に我聞の声が飛び込んできた。


 真っ直ぐに自分を信じる我聞の思いを、裏切ることは出来ない―― その思いが、力となって溢れた。


 紙一重でナイフをかわしつつ、カウンターの一撃を『凪』の左眼に叩き込む辻原―― 魂のない殺人機械・辻ではなく、我聞によって感情を取り戻した人間・辻原として始めて放った、魂のこもった一撃であった。





 と、辻やんによってボコられた挙句、ここで我也が登場したこともあり、凪やんは撤退したわけですが……親父、絶対見てたな(笑)


 というわけで、我聞のお陰で人間として生きていくことが出来るんだ、と言うことを述べた辻やんですが……人間らしく生きていくというのなら、仕事しろ、辻!!あれだけ仕事しない営業部長、他に見たことありません(笑)。


 でも、オチの部分見る限りじゃ……辻やんとかなちん……いい感じだなぁ(笑)。





第61話 単位が足りない!?




「納得のいく説明をお願いします 社長」


 久々の学校編!


 しかし、我聞の胸中にある『爆砕が通用しなかった』という厳然とした事実が、学校編の平和さをどことなく打ち消しています。とはいえ、我聞の偽装工作……『エジプトに行った』はまだしも『アメリカで女神像』『墜落したUFO』ってなんやねん(笑)。二つ目はテロリストとして逮捕されるし、三つ目はMJ12にとっ捕まります(笑)。


 一方その頃、我らがGHKも久々に活動を再開!「実は『H』の部分は誰でも良かった。何なら優ねーさんでも」ということを明らかにしたGHK総帥・果歩りんですが、第三研壊滅作戦に行く前のゆびきりですっかり参ってしまった果歩りんは、その方針を覆し、「私がもう陽菜さんがお姉さんじゃなきゃイヤなのです!!」と、素晴らしいまでの自己中心的な発言をぶちカマシてくれます。


 行け、GHK!負けるな、GHK!!犯罪行為も辞さずに頑張れGHK(駄目)!!!でも、中之井さんが呆れてるから、仕事はした方がいいよ、優ねーさん(とたんに現実)


 そして放課後……いつもの河川敷を歩いて帰る我聞と國生、そして番司だが、國生はその『いつもの風景』に潜む言い様のない不安を感じる。


 数学教師・田中の『一週間休まず出席しない限り、単位はやらん!』の説教から湧き出てきた我聞の留年の可能性、そして、その時に我聞が見せた思案げな表情に対して、なんとなくではあるが、言い知れない不安を國生が感じていたその時、三人の前にヘリが降り立った。





 というわけで、我聞にとってのターニングポイントで再びさなえばーちゃんの登場です。今までは『全てを背負えるように強くなる』と言っていた我聞ですが、我也を相手にしないといけない、という点から生まれた精神的な変化もあり、我聞は単位を省みることなくヘリに飛び乗ります。


 そんなことでいいのかっ!?と思っていたら、嫁もそんな我聞に居ても立ってもいられなくなってしまったらしく、飛び立つヘリの脚部に飛びつくという荒業で我聞を追います。


 國生さんを引っ張り上げた我聞が見たものは、旦那のわがままカチンと来た鬼嫁の怒りの表情……やはり、我聞はどう足掻いても嫁の尻に敷かれる運命のようです。


 それにしても、二人の愛の逃避行を阻止出来ずに取り残された挙句、突如現れたGHKに目を白黒させるしか出来ない番司と、何の前置きもなく、電話で國生さんに「単位をお願いします」と無理難題を言いつけられて途方に暮れる中之井さん……どっちが不幸なのでしょうか(笑)。





第62話 特訓開始




「なんでだろう…… こんなにイヤな気持ちになるのは……」


 静馬神社の裏手の洞穴―― 仙道で行われる我聞の特訓は、はかばかしくなかった。


 基本技のみで滝の裏に吊るされた林檎を砕くという氣の操作の修行―― 言葉にすれば単純極まりないが、我聞の放つ螺旋撃は水圧に負け、当たれば容易く砕くことが出来る林檎にまでも届かない。


 この修行を一日や二日で終えることは至難、と判断した我聞は、さなえの傍らに立つ國生に今からでも帰ることを勧めるのだが……。


 旦那のそんなわがままを許せない嫁が久々に発する氷の世界に、我聞、速攻蒼ざめております。


 しかも、久々の氷の世界は毒電波のおまけまでついているという荒業(笑)。基本ヘタレな我聞がこのコンボに太刀打ちできるはずもありません。


 その【毒】國生さんを納得させるべく登場したのがかなちん。外氣の流入で引き起こされる暴走を抑えこみ、理の技である爆砕を強化するには氣……ひいては我聞自身の力の底上げが必須。我聞が第三研の『こわし』で最も大きな働きを残したからこそ、急遽我聞を呼び寄せ、修行を課したこと……そして、暴走の危険を孕む我聞の修行に最適な場所は、特殊な結界によって外氣を遮断されているこの『仙洞』以外にない、ということを述べて反論を封じるかなちんに、國生さんは我聞の留年を避けるために必要な一週間の先延ばしを要求しますが、肝心の我聞はよりにもよって『修行に集中したいから黙ってていて欲しい』と言ってしまい、より一層の嫁の怒りを買います。


 で、犬も食わない夫婦喧嘩でヘソまげた國生さんはというと、一宿一飯の恩を返すべくかなちんに巫女装束を借りて境内掃除……メイドさん以来久々にコスプレバリエーションを増やします(笑)。


 國生と並んで掃き掃除をするかなえは告げる。


 比較的時間が自由に取れる職業を表の職業にしている他のこわしやと違い、我聞や國生はまだ学生……その立ち位置にはどうしても時間的な制約が出来、修行にも時間は取れないだろうこと―― ゆくゆくはそれがネックになってくるだろうことを忠告し、恐らくは『今のこの生活を続けたい』と思いはじめていた國生に対して、これから先の身の振り方に対しての覚悟を決めるべく言い置く。


 かつての國生ならば、一心に修行に打ち込み、ただひたすらにこわしやとしての力量を求めていた我聞の『今現在の態度』こそを望んでいただろう。だが、大切な何かを捨てて強くなろうとするようにしか見えない我聞に國生は言い知れない不安を覚えていた。


 で、そんなシリアスな空気を無視して登場したのが、走る車のサンルーフから『おっぱいの感触』をヴァーチャル体験していた珠と睡眠充分な斗馬、そして、バカ長い石段にへとへとになった果歩りんと神奈川−大牟田間の運転で半死半生の呈を晒す羽目に陥った優ねーさんのGHKの面々―― なんだけど、今回の扉の光線の具合から考えると、明らかに北上してます。北上しながら反対車線に海……優ねーさん、絶対大分方面に行ってる!


 で、道案内のために拉致った番司に「バカ、違うだろ!」と言われて引き返す最中に「何よ!アンタちゃんと『オオイタ』っていったじゃない!」と返す果歩りんと「大分じゃねェよ!大牟田だっ!!」と応じる番司のやり取り――そして、それを気にせずにおっぱいの感触を楽しんでいる珠ちゃんの姿が容易に想像できます(笑)。


「ガッコをぶっちぎって何故ここに?」という國生さんに対して珠がGHKの存在を明かしかける、という危険はあったものの、果歩りんが國生さんをあっさりとだまくらかすことで、その信用を勝ち得たGHKは、我聞が置かれた状況を理解するとともに、國生さんは既に我聞と離れたくないくらい我聞とゾッコンラブラブだ、ということも背中を煤けさせながら誤解し、我聞を連れ帰ることを確約します。


 そして、GHKが國生さんと共闘する、という異常事態に陥ったその頃、御川高校でもまた異常事態が発生しております。


 なんと、静馬神社にいるはずの我聞がそこにいるではありませんかっ!!いや、単に中之井さんが我聞のヅラをかぶっただけなんですが……そのことに気付いてるのは中村一人だけ……気付け、お前らっ!!





第63話 特別講師?




「無理しないでいい――」


 静馬神社の一室に佇む人影一つ。受話器を握るその人影が語り掛けるは、ファイアーパターンをペイントしたキャデラックに寄りかかった、軽薄な優男。


 はかどらぬ我聞の修行に道を指し示す者として選ばれた優男―― 光の仙術使い・帖佐理来は自分を選んだその選択を賞賛することで電話の相手―― こわしやを取り纏める静馬かなえに対してアピールを狙うものの、かなえの返事は『この人選は祖母さなえのものである』とつれない。


 僅かな落胆……しかし、フェミニストを自認する理来は、どうあれ女性の頼みは断れない、とその依頼を受諾。ただし、報酬については望みのものを得ることなど出来ようはずもなかった―― 。


 というわけで、我聞が修行を開始してから5時間経っても成果は見えず、元気がとりえの我聞の表情にも疲労と焦りの色が覗く―― そんな状況を離れた場所から覗き込むGHK本隊から、別働隊への指示が飛ぶ。別働隊としてGHKの作戦行動に参加することになった國生さんにつけられたコードネームは『狼』―― ターゲットである我聞につけられた『羊』、そして、GHK本隊につけられた『狩人』のコードネームから言っても、明らかに、あとでまとめて狩ってしまえ!というのがありありと判るコードネームです。危うし、國生さん!


 しかし、『巫女さん國生さんによる休憩攻撃』は、修行にしか視界が回っていない朴念仁我聞には通用しません。


 しかし、嫁も食事も無視して修行に専念しようとする旦那のワーカーホリックが行き過ぎて家庭を崩壊させる灰色の将来を幻視させるその物言いに、怒りに侵食された國生さんが氷の鬼嫁に変化しようとしたその時―― 優ねーさんの手に握られたサイレンサー付きの拳銃が火を吹きます!


 國生さんを無視して放った我聞の螺旋撃と同じタイミングで放たれたその銃弾は、絶妙のタイミングで標的である林檎を撃ち抜き、修行の成功を偽装することで我聞に帰還を促しますが、このときばかりは我聞も勘を働かせ、修行はまだ続きます。


 我聞のくせに勘付いたコトに立腹したのでしょう、GHK司令部は実力行使を指令!『実働部隊二人によるX攻撃〜はるるんの膝枕』という無敵のコンボを発動させるのですが―― これがまずかった!『必殺技は名前を叫ばないといけない』という珠ちゃんの漢気溢れる主義によって奇襲の隠密性はあっさり消滅!攻撃を察知した我聞によって躱されてしまい……ついにGHKの介入が我聞に知れてしまいます。


 介入がばれたことで優ねーさんはお約束の自爆!!証拠隠滅を図りますが……流石のマッドサイエンティスト、59話でのロボへの変形と併せてマッド特有の技能を惜しみなく披露した優ねーさん―― 残された技能はもう分離合体だけです!出来ることならば、『ガッシュ』に出て来たロボ系の魔物の子『コーラルQ』並の得体の知れないプロセスを経て欲しいものです。


 漸く到着した静馬神社―― その裏手……仙洞から立ち昇る白煙に、理来が呆れの内包された疑問の声を上げたその時、我聞は妹弟に優を加えた四人と向き合っていた。


 学校や仕事をサボってのその馬鹿げた行動に怒りと憤りとを露わにする我聞。我聞が心配だったからこそ、こうして追いかけてきたのではないか、と庇う國生の言葉にも耳を貸さず、あまつさえ、國生に「四人を連れて帰ってくれ」とまで言い放つ。


 明らかにいつもと異なる言動を繰り返す我聞に憤慨する國生に――「オレは親父より強くならなきゃならないんだ」我聞は言った。


 さて、ストーリーがシリアスなのでちょっと真面目に語らせていただきます。


 『真芝の中にあり、その力を利用されている我也を連れ帰るためには、我也との戦いすらも視野に入れなければならない。学校もやめる。全てを捨てる覚悟じゃないと到底我也には追いつけない』と、兄としての決意の程を語る我聞ですが、これは明らかに我聞らしからぬ発言です。


 我聞の力の源は“何一つ捨てることなく、背負っていく”という『想い』の力である、ということは以前にも語られたことなのですが、この我聞の発言は、その想いを自ら踏み躙る、といっても過言ではありません。


 その我聞の熱によって氷の仮面を溶かされた國生さんにしてみては、特に戸惑いがあったのでしょう。秘書としての信頼云々よりも、むしろ家族の一員としてその決意を明かしてくれなかった我聞にその感情をぶつけますが、『社長である自分がやらなければいけない』という意識で凝り固まっている我聞はその言葉に耳を傾けることなく、「無理しないでいい――(単行本では『君は関係ない…』)と自らの誓いはおろか、國生さんの心までも踏み躙る発言をぶちカマしてしまいます。


 嫁を蔑ろにする我聞の発言に怒りを見せる果歩りん!しかし、その怒りの声は視野狭窄状態にある我聞には届かない。その我聞を叩きのめすべく(違)「“光”の仙術使い、帖佐理来さんただ今見参!!女性を泣かすには10年早いぜ!!」理来さん、満を持しての登場!役立たずだの雑魚扱いだの影薄いだの成功率0%のナンパ師だのという不遇の日々から脱却できるのか?!その辺も併せて注目です(ひでぇ)!








第64話 開眼




「分身の術だ――!!」


 実は眼鏡っ子だった“鉄”の仙術使い・如月湧次郎とともに登場した理来さん。第3研壊滅任務後の病院で一度会っただけの優ねーさんに覚えてもらっていた事に喜びますが、優ねーさんの理来さんに対する記憶フックは「前の仕事で真っ先にやられた人」。ちょっと人には……特に我聞に言えない間柄だというのに、冷たいですよ、優ねーさん(6巻のあとがきまんがで、二人して我聞に落書きした仲)。


 その認識が我聞にもあるのか、理来さんが特別講師であることに疑問を抱く―― 明らかな疑問の表情と、優ねーさんのあんまりな認識にちょっぴりムカッ腹立っていた理来さんが腹いせ混じりの特別授業を開始するには、うってつけの状況が出来ました。


 その頃、肝心な嫁はというと、旦那に一足先に家に帰るように言われたことで意気消沈し、着々と帰り支度を整えておりました。


 学校を辞めてでも修行に専念する、という身勝手な我聞の決意を『相談してもらえなかった。信用してもらってなかった』と沈み込む國生さんですが、よく考えてみればちょっと前の國生さんも明らかに我聞を信頼してませんでした。「それはないだろ?」とツッコミ入れるか、それを受けて「ええい、惚気やがってこの似たもの夫婦め」と歪んだボケに走るかの二択への欲求に駆られますが、その暇なく果歩りんがやってきて、帰り支度をする國生さんにちょっとだけ待ったをかける。


 そしてやってきた境内で國生さんが見たものは、一方的にボコられる我聞でした。


 『KOされるまでに一発でも入れれば氣の操作のコツを教える』という条件で始められた『特別講義』で、ハンドポケットという余裕を見せつけながら我聞に蹴りを叩き込み、挑発する理来さん。


 無論、我聞も反撃しますが、その拳は虚しく理来さんをすり抜けます。“光”の仙術使いの言葉通り、光を操ることで虚像を作り上げ、像を結び、そして、実体を消す隠密性の高い仙術使い―― それこそが理来さんの正体だったのです!凄いぞ理来さん!ただの役立たずじゃなかったんだ、理来さん!でも、隠密系の能力者だというのに罠発見・感知系の技能を持ってないからやっぱり役立たずに格下げされちゃうぞ、理来さん!!


 しかし、レーザー発振ぐらいしてくれるだろうと思ったのに、理来さん……分身の術で派手さをアピールして、強さを価値基準にしている珠ちゃんのバイオレンスハートをがっちりキャッチしているにも関わらず、こわしやとしての役立たずぶりは深刻です。





 威力がない故に気を失うまで一方的に理来の攻撃を受ける我聞の焦りは痛みとともに増し、焦りとともに繰り出される苦し紛れの発想は通じない。残された我聞の発想は「兎に角一発入れること」―― 発想を積み重ねず、考える事を放棄し、ただ闇雲に我也の後を追おうとする我聞の未熟さに、理来は道化の仮面の下に隠した真剣な眼差しで我聞を見下ろし、「話にならねェ!おウチに帰って出直してこい!」冷酷な言葉の刃を振り下ろす。


 一撃とともに振り下ろされる言葉の刃に斬り下げられ、倒れそうになる我聞。だが倒れるわけにはいかない。


我也を追うためには、社長である自分が強くならなければならないから。家族の悲しみを背負っているのだから。


「社長は!みんなを守るものだから!」


 だが、理来にとっては我聞の言葉はただの我侭であり、身の程知らずなガキの甘えに過ぎなかった。


 一人に出来る事には限界がある。それを認識することなく一人で全てを背負おうとする我聞が社長を語るのはただの思い上がり―― その思いが、我聞を包囲する十数体の理来の右腕に“氣”の渦を纏わせていた。


 貫・螺旋撃―― 我聞を叩きのめし、強制帰宅させるための……理来の本気だった。





「爆砕を!真下に!!」


 と、我聞のピンチに響くのは國生さんの叫び。なんだかんだいったところでやはり工具楽家の嫁!旦那の危機には黙っていられなくなったようです。


 『自分の修行なんだから』と我聞は拒否しようとしますが、「早く!!」と凄まれ、あっさり従う!やはり工具楽家は伝統的にカカァ天下間違いなしです(決めつけ)。


 女性が強い工具楽家の伝統はさておき、放たれた爆砕―― しかし、広範囲に拡散するとはいえ、理来さんは既に有効射程を知っている。その範囲に入らなければ―― と、得意になった矢先、爆砕が副次的に生みだす効果―― そして、國生さんが狙っていた効果が幻影を交えた『理来さんズ』を包みます。


 その効果は土煙。光を操って生み出しているだけの虚像と実体を選別する、単純でありながら、その分避けようのない方策を受け、さんざんいじめられた我聞の目が復讐に燃えてらんらんと輝き―― 哀れ、理来さんの見せ場はあっさりと消えてしまいました。


 合掌(死んでません)。


 生きていた理来さんが我聞に教えた『滝を貫くコツ』は、『細く、小さく』をイメージする事。力むだけで発想を捨てていた我聞には想像に昇らなかったことでしたが、太く、強い『だけ』の力では比例して強くなる水の抵抗を受けて結局滝を貫く事が叶わないのに対し、細く、小さい力ならば、それに掛かる水の抵抗もまた弱くなる。そして、小さい抵抗であれば、元から貫通力を備えている螺旋撃ならば滝を貫き、林檎を砕く事も容易いという―― いとも簡単な道理でありました。


 ただ力任せではなく、自分に何が出来るかを見極める―― 自分だけで何もかもを求めず、時には誰かに支えてもらう。技だけじゃない、全てに於いて、頼り、頼られ……支えあう。


 焦りの中で忘れていたそれを思い出させてくれた大切な嫁に対して犯してしまった過ちを詫びようとする我聞を、嫁は多少の照れを浮かべつつ受け入れようとするその様を、果歩は煽り、優ねーさんは証拠物件として記録する!


 しかし、いいところで邪魔が入るのは世の常人の常


 氣の操作は下準備。本来の目的であった『爆砕の強化』がまだ残っている!


 かつて鳴らした『鬼の静馬』の異名のままに、我聞をさらなる修行へと向かわせるさなえばーちゃんに、『せめて一言だけでも詫びておかないと、あとで嫁の絶対零度を喰らってしまうと懇願するのですが、この修行は成功さえすればすぐに終わる。ただし、失敗したらそれは即ち死を意味する―― といとも容易く言い放つと、さなえばーちゃんはなによりもまず嫁を恐れる我聞をさながら屠殺場に連れて行くかのように引っ張って歩くのでありました。


 そして、相変わらずの強引ぶりを見せつける早苗の姿に國生さんとかなちんが溜息を漏らす中、その修行の内容を知る二人の仙術使いは、我聞を襲う運命を思い、ただ合掌するのでありました。








リターンマッチ




『じー』『にあす?』




真芝グループビル、第八研…バカ様、青参式・改完成させ有頂天!ターゲットは当然我聞





他の研究所も注目の我聞はアピールにはもってこいだが、前と同じ手は使えない





困ったところに千紘、FAX持って登場





我聞、高架破壊でパワーアップ後初仕事





気に指向性がつき、追功穿も格段にパワーアップ!今まで制御なしと言う事実に番司、呆れつつ感心





そこに辻原本業の報せ





黒字目指して意気込むがそこに対象はまだなく訝しむ我聞





「じーにあす!」と壁壊してバカ様登場





偽FAXに釣られたバカ様実験台に、我聞のテストが幕を開けた!












『』




 リターンマッチは修業を活かした我聞の圧勝…バカ様は互いに『全力』出してないこと理由に引き分け強調…我聞納得。バカさでも上だった





 我也の情報引き出そうとプレッシャー与える辻原に対し、我聞はバカ様に頭下げて頼む。





ライバルの頼みにバカ様心動かされるが、喋ろうとすると、本当のひき逃げアタック食らい、回収





逃走計る山岡にリベンジ果たそうとするガダルカナルの凶犬だが、あと一歩でボンドカーに逃げられるが、名刺に情報残し、我也の現在の所在を伝える。「我聞だから」と辻、我聞の成長を認める





翌朝、眼鏡と退職届残し、辻原蛍司…退職




トップへ
トップへ

戻る
戻る