コラム〜『日常からかけ離れる個性』〜Dロイス




 真琴に融合した、瞬間的に爆発的な力を引き出させる、高純度のレネゲイトの結晶体……《賢者の石》をきっかけに、拙リプレイ『藍色の空の下』の第3話から採用された新システム『Dロイス』―― “Descript”……つまり、“設定”という意味合いを含むこのロイスは、キャラクターに強烈な個性を与えています。


 まぁ、そんなものに頼らなくてもキャラクター自身が既に強烈な個性の持ち主である、というのは否定出来ませんが、リプレイ中でも作ったばかりの早苗というキャラクターの個性が即座に決定づけられたように、不慣れなプレイヤーでもキャラクターのイメージを増幅することが出来るツールとしても優秀なものであるといえます。





 ここではそのイメージを膨らませるDロイスのうち、基礎的な12種について個人的な見解を交えつつ解説していきたいと思います。





 ・賢者の石…正しくは『《賢者の石》適合者(クリスタル・レセプター)』。高純度のレネゲイドの結晶体《賢者の石》と融合している者。


 『《賢者の石》の力を解放することによって、1シナリオに一度だけクリティカル値を−2する』という効果を持っているが、その際には侵食値も2D上昇してしまうという副作用もある。


 なお、賢者の石の真の力はそれだけに止まらないというが……ぶっちゃけるとシナリオのネタバレになるので不明(笑)。


 ・起源種…レネゲイドウイルスの『オリジナル』に侵食された者。


 他のオーヴァードと違い、侵食率上昇によるダイスボーナスや達成値の低下(つまり、判定に成功しやすくなる)がなくなる、と、一見するとマイナス面が目立つものの、侵食率が低いうちからエフェクトレベルが上昇するという特性は、マイナス面を補って余りある大きな利点であるといえる。


 エフェクトの組み合わせ次第では、他のオーヴァードを大きく凌駕する力を発揮する。どれくらい強力かと言うと、Dロイスを自由取得する、というスタイルだったら高確率で選択するプレイヤーが出て来て揉めるぐらい強力。


 自由取得とは言っても、プレイヤー間でしっかり話し合いましょーね。


 ・変異種…文字通り、突然変異を起こしたウイルスに侵食されたことで、他のオーヴァードとは一風変わったエフェクトを有する者。


 リプレイ第3話において、ノイマンの変異種である牧場が見せた『プレディクション』からも判るように、総じて強力なエフェクトを持つことが出来るため、切り札的な存在として重要な位置を占める。


 ・対抗種…『レネゲイドを殺すレネゲイド』を有する者。


 他のオーヴァードやジャームを攻撃する場合、攻撃力が増幅(ルール上では攻撃力に+5)されるが、レネゲイドに対しての攻撃性は同時に自らを侵食するウイルスすらも蝕み、その生命を削り続けることになる。


 ・実験体…人体実験の結果、もしくは事故からの蘇生などによってその心身を増強された存在。


 大方の場合、実験データは散逸しており、レネゲイドを活性化させる、という副次的な効果があった―― もしくはレネゲイドによる生命維持がなければその生命維持もままならなかったのかは現在は不明だが、基本侵食率が5%上昇するというリスクはあるものの、能力値そのものを合計で3点上昇させることが出来る。


 ・戦闘用人格…レネゲイドが活性化することによって目覚める特性を持つ、戦闘に適した人格を有する。


 データ的には『侵食率が100%を超えた際、侵食率によるダイスボーナスを2倍にする』となるのだが、リプレイ第3話に登場した橋尾晃太の第二人格『ヌアザ』のように侵食率が100%未満であってもひょいひょい表に出てくる人格も存在するため……一人二役なロールプレイを楽しみたいならば、戦闘を抜きにして組み込んでも面白い。


 ・特権階級…特権の座に座る者。しかし、彼らが恩寵を垂れたその時、限界を超える力を下々の者にもたらすことになるため、反逆を試みるものはそうそういない(笑)。


 具体的にぶっちゃけると、自らのロイスを昇華して他者に与えることが出来る。だからといって、あまりに尊大な真似をしているとリアルで嫌われることになりかねないので控えよう(笑)。


 ・生還者…強靭な精神力の賜物なのか、はたまたレネゲイドのもたらすストレスをあっさり流すことが出来るのかは不明だが、深い侵蝕の彼方からでも日常に生還する可能性を秘めている者。


 このDロイスを使用すれば自律判定の際に振るダイスの数を三つに出来る(つまり、二つ増やせる)ため、多少の無茶も出来るが、巧く立ち回らないと、ただ壁役として重宝するだけになりかねないので、見せ場はしっかり自分で主張しよう(笑)。


 ・複製体…キャラクターが別のオーヴァードの複製体であることを示すDロイス。


 一つだけではあるのだが、ピュアブリードでも別のシンドロームのエフェクトを取得することが出来る(ただし、古代種や変異種のエフェクトは取得出来ない)ため、選択次第では強力になるが、うっかりシンドロームに依るエフェクトを取得しようものなら途端に使えなくなってしまうため、ルールブックはしっかり読んでおいたほうが無難。


 ・伝承者…ある一つの分野に対して特化した技術を修得していることを示すDロイス。


 ルール上では、1セッションに1回だけその分野の判定の達成値に3D10を振り足せるという特性を持つ。なお、サプリメントである『コントラストサイド』掲載のリプレイにおいてはこのDロイスを指定してシナリオ進行の上で重要な位置を示させたことで、Dロイスというものはプレイのみならず、マスタリングの幅を広げることにもなる、ということを管理人に提示してくれた。


 ・秘密兵器…レネゲイドを組み込まれたアイテム、もしくは伝説の逸品を所有していることを示すDロイス。


 このDロイスを取得しているからといって、「お前は秘密兵器だから」とハブられてる訳ではないので、安心して欲しい。


 ・古代種…レネゲイドにより、古代から生き長られている者。または、古代から生き長らえているレネゲイドに侵蝕された者。古代から生きている者らしく、攻撃的なエフェクトではないものの、生き残りに長けた独特なエフェクトを身につけることが出来る。


 なお、『イロイコ・アラーキ』氏はやはり古代種で間違いないと思うのだが、いかが?





 と、このようにプレイに有利に働くDロイスではありますが、問題もあります。キャラクター達が人として踏み止まるために必要な、たった七つのロイスのスロットを一つ使い潰してしまうのです(特に、『戦闘用人格』は更に一つのロイスを自動的に消費してしまい、最大でもロイスを5つしか使用できなくなる。これについては、個人的には『もう一つの人格も繋ぎとめるために無意識にロイスを使用している』と解釈しています)。また、侵蝕率も高くなりやすいというデメリットを有するDロイスも複数存在(『実験体』は初期侵蝕値が上昇し、『複製体』はそのエフェクトを使用する際の侵蝕率が+2される)するため、このDロイスというロイスを使用するということは、人として立ち戻るには常に不安が付きまとうといっても過言ではありません。


 しかし、その不安もロールプレイの味付けとすることも可能です。また、昏倒してもタイタスを昇華して即座に復活出来るという、いわば死と蘇生を安易に受け止めがちになりやすいDXというシステムに大きな緊張感をプラスする、という意味でも非常に優秀なツールになっているといえます。





 このツールを使いこなし、プレイを印象深いものに出来るかどうか……うーん、精進せねば。







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