藍色の空の下〜4〜『鮮紅の魔獣』


PREPLAY GMすがたけ思案中

 GMすがたけは、今回は不安を憶えていた。

 まぁ、GMをやるときには毎回若干の不安を感じているが、今回のシナリオは今キャンペーンの行く末を左右する転換点となる予定であり、プレイヤーの選択如何では最悪の結末へと向かいかねないものとなり得る。

 だからこそ、充分に説明をなさないとならない、という特に大きな緊張感があるのだ。

 さらに、頻繁にプレイヤーが集まれないため、今回のセッションは『先輩のT&Tとのダブルヘッダー』となっている―― つまり、最悪の結末をプレイヤーが阻止するための情報を、通常よりもはるかに短い時間で纏め上げて開示しなければならないのだ。

 正直難しい。しかし、通常のプレイは4時間いかないぐらい―― 無駄を極力省けば、3時間程度でいけるか?

 その思いから、シナリオからは無駄を削ぎ落とせるだけ削ぎ落とした。

 足りない部分はアドリブでカバーすればいい。

 そう思い、シナリオ作成を終えた翌日……会長からのメールがすがたけの下に飛び込んできた。



会長(のメール):『クボケンくんが仕事で来れなくなりました。あと、はせがーくんも夜勤なので16時までしかプレイ出来ないそうです。連絡遅れまして申し訳ありません』



 思考が一瞬止まる。

 あれ?確か…クボケン君のPC―― 粟飯原さん以外って―― 。

 今回のコンセプトを覆しかねない厭な予感と共に、すがたけはキャラクターシートを確認する。



 オゥ、ジーザス。

 脳内コメリカ人が、大仰なポーズと共に呟いた。





 そんな修羅場セッションとなった今回に臨むPC達の成長は、以下の通り。



PC@:羽鳥真琴

成長→能力値;【肉体】7を9に成長。技能;白兵3LVを4LVに成長。

PCA:牧場広志

成長→エフェクト;《知識の泉》(ありとあらゆる情報に通じていることを現わすノイマンのエフェクト。全ての<情報:>に[LV×2]のダイスボーナスを得る事が出来る)を2LV修得。《シューティングシステム》(機械の如き正確さによって射撃を行うエフェクト。<射撃>に[LV×2]個のダイスボーナスを得る)を1LV修得。

PCB:御園早苗

技能;白兵3LVを4LVに成長。エフェクト;《オールレンジ》(四肢を自在かつ正確に動かす事により、戦闘を有利に進めやすくするエグザイルのエフェクト。<白兵>と<射撃>のクリティカル値を[LV]分マイナスする)を2LV修得。



GM:では、今回のハンドアウトでーす。



 羽鳥真琴…シナリオロイス:『クレヴァー・ハウンド』黒岩賢介 推奨感情=P:尊敬/N:自由(隔意を選択)

 黒岩賢介……藍空支部の医療班の班長であり、優秀な研究員であるのだが、最近、その顔色が冴えない。

 そして、月に一度の検査を受けたその日……黒岩は真琴に向かって一言を投げかけた。



 牧場広志…シナリオロイス:『壊れた魔獣』 推奨感情=P:慕情/N:憎悪

 牧場広志は刑事である。

 所属は新宿北署・捜査一課。階級は巡査部長―― 裏では暗殺を生業とするという矛盾を抱えながらも、強行犯を相手にする警察官の最前線に立つ自分の表の顔には多少の誇りも持っている。

とある殺人事件の捜査のためにコンビを組む後輩とともに管轄である魔都の市街地を駆けていた牧場は、不吉な空気を感じ……振り返った。



 御園早苗…シナリオロイス:後述

 『スリーパー』――ジャック・ザ・リッパーの襲撃の際に藍空支部の情報をFHに提供した何者かの呼称である。

早苗らエージェントは姿なき『スリーパー』を捜し求めるが、以前の一件から三月もの刻が流れたというのに、その正体に繋がる手掛かりは未だ掴めていない。

 胸中を支配しようとする諦めを捻じ伏せ、捜索を続ける早苗の携帯に入った見知らぬアドレス。削除しようとした早苗は、その件名に―― いや、正確には件名に付記された差出人の名に目を奪われた。



早苗:えっと……シナリオロイス、『後述』になってますが?

GM:あー、今回はちょっと特殊になってまして、プレイヤーの選択次第でシナリオロイスが変化する、というスタイルでやってみます。お手数をおかけしますが、そこはご勘弁ください。

早苗:なるほどー。判りましたー。

GM:では、オープニングはまずマスターシーンから。



OPENING PHESE

MASTER SCENE



「申し訳ありません。“壊れた魔獣”が脱走いたしました。“ディアボロス”」

 闇夜の研究所にサイレンが鳴る。

 爆発によって生じた炎が、闇に朱の彩りを加えていた。

 “ディアボロス”と呼ばれた白スーツの男は、報告を続けていた黒服の男に向けて軽くその手を振る。

 何気ないその仕草とともに、黒服の喉に赤い血の華が咲いた。

「新しい警備主任を決めなければな……いや、研究所の撤収の方が先か」

 倒れる男を意に介することなく、“ディアボロス”は呟きながら携帯端末のディスプレイを見つめる。

「しかし、“壊れた魔獣”め……ブリーダーもなしにどこに行くと言うのだ?」

 液晶画面に浮かび上がる画像には―― 狼を模したアイコンが一つ映っていた。



01 見えざる悪魔 シーンプレイヤー:羽鳥真琴



 大半のUGチルドレンにとって、定期検査は憂鬱以外の何者でもない。

 羽鳥真琴にとってもそれは例外ではなかった。

 薬の臭い、最早何度目かかも数え切れない採血注射―― もしかすると自分はヒトではなく、何らかの実験動物なのではないのか、という錯覚を思い起こさせる冷たい風景。

 その中にあって、UGN研究班の若き班長・黒岩賢介の存在は、親友である橋尾晃太と並び、彼を人に繋ぎとめるだけの強い感情を―― 強力なオーヴァードでありながら、人の輪に溶け込み、忙しくも充実した日常を生きる『先駆者』に対して抱く尊敬の念をもたらしている。

 その黒岩が、カルテを手に…呟いた。



GM:「今のところ、異常はない……か。しかし、『何があった』というよりも、実のところ、判らないことが多すぎるんだけどな」

真琴:「判らない事、ですか?」

GM:「ああ、俺達の体内に宿るレネゲイドウィルスがそうであるように、『異常はない』と言っても、あくまで表面上のことに過ぎないように、賢者の石が本当に沈黙しているのかも判らないんだ。

 判ることといえば、『賢者の石はレネゲイドを吸収して育つ』という事だけ―― それに、賢者の石そのものもだが、適合者(レセプター)の絶対数も少なすぎる。だから、これから賢者の石が適合者にどう作用し、真琴にどういう影響をもたらすのかも、残念ながら見当がつかないんだ」

真琴:右手の賢者の石を不安そうに見つめながら、「でも、 僕なら大丈夫です。なにがあっても、きっと乗り越えて見せます」

GM:「そうか、それは心強いな。

 しかし、データが少ない、という点においてはFHにとっても同じことが言えるだろうからな―― そういう意味では、《賢者の石》と癒着したお前はUGNの最重要人物になっているといってもいい。だから、気をつけた方がいいぞ」そう黒岩さんが言ったところで、シーンが切れます。



02 魔獣、襲来 シーンプレイヤー:牧場広志

 路地裏に足を踏み入れた牧場が違和感を覚えたその瞬間、視界がセピア色に染まった。

 ―― ワーディング?!

 そう思った矢先、牧場からやや遅れて路地裏に入り込んでいた後輩の背後に、人の形をした『何か』が落ちてきた!



GM:んでは、続いて牧場さんですが……突然ですが、不意討ち判定です。<知覚>でこちらの<隠密>と対抗判定をお願いします。

牧場:クリティカルで……15!

GM:こっちもクリティカルして……15ですが―― こういった場合は防御側優先ですから……成功です。

 ビルの屋上から地響きを立てて落ちてきたそいつは、外見的なイメージとしては、古典的なホラー映画にある『狼男』をより一層狼に近づけたような印象ですね。

牧場:「やれやれ……お前さん、一体何者だ?」

GM:「ぐるるるるるるる」と、唸り声で返して、言葉では答えませんね。で、後輩に向けて腕を振り上げます。

牧場:カバーリング……した方がいいやろうなぁ。

GM:ですね。後輩は一般人ですので、攻撃を喰らえば間違いなく一発で死亡です。

牧場:カバーリングします。

GM:では、刃と化したそいつの腕に貫かれて、牧場さんは昏倒しますが、倒れる瞬間、ふとそいつと目が合います。で、牧場さんの視線に何かを感じたのか、怯えるような風情を見せて逃走するのを見ながら、牧場さんは昏倒していき―― 気がついたら病院のベッドの上にいる、というところですね。

牧場:「全く、コンビニ弁当の割り箸についてた爪楊枝が刺さった程度で大げさな」

真琴:(突然後輩)「牧場さん、落ち着いて下さい!一体何を言ってるんですか」

GM:(特徴のある声で)「驚きましたよ、牧場さぁん。気が遠くなったと思ったら、牧場さんが血塗れになって倒れているし。一体何があったんですかぁ?」と、フジワラ、というその後輩が尋ねますよ(笑)。

真琴:フジワラかい(一同爆笑)。



 ―― 内輪ネタで申し訳ありません。ウチのサークルで『後輩』というと、かなりの高確率でフジワラこと『Kスケ』といういぢられPLなってしまうんです。何故って……。



早苗:(唐突フジワラ)「ホントに心配しましたよ、牧場さぁん。あ、お見舞いのメロン食べていいですかぁ?」(一同爆笑)



 ―― こんな風にいちいちキャラが立ってる愛すべき後輩キャラなので、誰もが演じやすいのです(笑)。



牧場:「なに、コンビニ弁当の爪楊枝には気をつけろ、と言う事だ。何はともあれ、お前が無事で良かったな」

真琴:(当然フジワラ)「何をいってるんですか、まったく。本当に、牧場さんは面白い事を言うなぁ」

GM:というわけで、シーンが切れまして―― 続いて早苗さんですねー。



03 アキバの伏魔殿 シーンプレイヤー:御園早苗



「私は…何でこんなところにいるんだろう?」

 御園早苗は自問する。

「お帰りなさいませ……ご主人様」「フッ、お帰りなさいませ、お嬢様」自分の周囲では、長い任務の中で見たこともあるエージェントやイリーガル達が、一見して『それ』と判る《ご主人様》や《お嬢様》に傅いている。

 悪夢だと思いたかった。

 むしろ、同類と思われたくなかった。

 だが、数時間前に受けたメールがそれを許してはくれない。

 メールの送信者は小野寺薫―― 表向きはアイドルでありながら、真琴の友人である橋尾晃太を操り、早苗とも敵対したFHの一級のエージェントだ。不信感は計り知れない。

 しかし、「スリーパーについて教えてあげるわよ?」というその文面に、早苗は直感的に何かを感じていた。

 だから、彼女は指定の場所に赴いていた。

 メイド喫茶と言う表の顔を持ちながら、その裏ではこの混沌の街・アキハバラに流れる無数の情報を収集するUGN支部秋葉原としての顔も併せ持つ喫茶店『ゆにばーさる』に……。



 入り口にしつらえられたカウベルが鳴り響く。

「へーい、いらっしゃい…ま…?」

 やる気なさげに開いたドアに向けて声を掛ける青年の目が―― 点になっていた。





GM:では、次は早苗さんですが―― 。

早苗:あれ?シナリオロイスがまだ決まってないんですが?

GM:あ、今回はちょっと特殊なロイスの決め方になりますので、今のところはまだ空欄でお願いします。

 んで、メールの差出人は、前の事件の黒幕だった小野寺薫です。『スリーパーについての情報を教えてあげるわよ?』てな内容の文面ですね。して、詳しく交渉をするためにとある場所を指定しております。

早苗:罠かなぁ。罠だろうなぁ?

GM:さぁて、それはどうでしょうねぇ(笑顔)?

真琴:ん?確か、小野寺薫は倒してませんでしたっけ?

 ―― 流石に9ヶ月のブランクはでかいなぁ。

GM:倒してませんよ(笑)。《猫の道》(空間を歪めるなどして、シーンから自在に退場するオルクスのエフェクト)使ってしっかり退場しましたから。

 兎に角……どーします?ぶっちゃけると、無視しても、それはそれでシナリオは進みますけど。

真琴:そーゆー身も蓋もないことまでぶっちゃけるなーッ(爆笑)!!

早苗:罠の可能性は高いけど―― 三ヶ月も情報がなかったことですし……上司に相談してみます。万一に備えて伏兵を用意して欲しいし。

GM:ほほぅ……でも、その報告を受けた支部長……黒崎はというと、指定の場所を見て、びくぅッ!!とモロに焦ります。

早苗:「どうしたんですかッ?!あまりにもあからさまに挙動不審になりましたよッ?!」

GM:「いえ……この『場所』が問題でしてね(眼鏡を直す仕草)」

 メールで指定されているのは秋葉原のメイド喫茶『ゆにばーさる』というところなんですが―― 実は、ここ……UGNが経営してる、UGN秋葉原支部なんですよ。

 つまり、『この野郎、堂々と敵地に乗り込んで来るなんて、いい度胸してるじゃねーか?』てなモンなのです。

一同:(数秒、沈黙)

真琴:(おそるおそる)ちょっと待って……UGNが経営している?!本当に?

早苗:それ、オフィシャル設定でッ?!

GM:はい(沈痛な面持ちで頷く)。

牧場:ふぅ、これだからライトファンタジーは。

 ―― 俺も始めて見た時には、びっくり通り越して呆れたわい(笑)。

真琴:ま、まぁあるというのは仕方ない。

早苗:「何かの嫌がらせなのかしら、それとも、ただの趣味?!」(落ち込み)

GM:秋葉原、と言う場所に即した情報収集にはもって来い、という事情もあるんですが―― 料理好きで紅茶淹れるのが得意、という某日本支部長の趣味も多分に混じっている、と言う噂もありますね(笑顔)。

早苗:ゆ、UGNって、一体。

GM:あ、秋葉原にはあとFHが経営していると噂の家電店『ファイナルハーツ』と言うのもありますので(笑)。

早苗:「い、行かなきゃ駄目ですか(びくびく)?」

GM:(黒崎)「指名されてる事ですし―― 行って頂けれるのなら、非常に有り難いですね(さらり)」

 ―― うーむ、『無視してもそれはそれでシナリオは進む』と明言してるんだから、行きたくないのなら行かなくてもいいのに。というか……行きたくないのなら、黒崎に意見を求めるのは間違いかと思われ。



 結局、早苗は罰ゲームのような状況に置かれながらも薫を待つ事を選択した。

 場違いな空気に晒されながら待つ事暫し。不意に店内のざわめきが増す。

「おかえりなさ……はにゃあぁあぁぁぁぁッ?!」

 動揺した『天然系』マスターメイドが、紅茶の乗ったお盆を引っくり返す。

 その騒ぎで増幅されたざわめきをよそに、ざわめきの『原因』は早苗の前の席に腰を下ろした。



GM:周囲―― 主に店員のざわめきをよそに、薫はおもむろに言いますよ。「このところ、この辺りで連続殺人事件が起きてるのは知ってる?」というわけで、<情報:>の噂話かWebか警察かUGNか裏社会のどれかでチェックしてください。

早苗:4ですね。

GM:その出目なら、二週間ほど前から東京近郊で無茶苦茶に破壊された人間の死体が発見されているということが判りますよ。

「お恥ずかしい話なんだけど、この犯人って言うのが、FHの実験施設から脱走したジャームなの。この『壊れた魔獣』って呼ばれてるジャームが、ある条件に合致したオーヴァードに引き寄せられているってのが、この脱走の真相なんだけど―― そのオーヴァードと『壊れた魔獣』が接触してしまったら、いろんな意味でまずい状況が起きてしまうのよ。特に、あの刑事さん辺りにはね。

 で、私としてはUGNに協力を仰いででもその状況は避けたい。そして、あなた達はスリーパーを探している―― ビジネスとしては妥当でしょ?

 という訳で、生死を問わずに『壊れた魔獣』の身柄を確保。見返りとしては、スリーパーについての情報……どう?」

早苗:上司に相談して決めたいけど―― ひとまずOK、と言う事で。

GM:「話が早くて助かるわ。じゃ、生死を問わずに『壊れた魔獣』の身柄を確保ってことでお願いね」

早苗:「その前に……牧場さんがどう絡んでいるっていうのかを教えて欲しいわね」

GM:「あんまり教えたくはないけど、ヒントだけはやるわよ。

『緑川ラボ』―― あとはあの刑事さんにでも聞いてみたら?」

早苗:『なんでヒントだけなんだよぉ、ケチケチしてんじゃねーよ、このアマぁ』と目で訴えます。

GM:殺気のこもった視線をスルーしながら、「じゃ、頼んだわね」と言って伝票を持ってすたすたと立ち去っていきますよ。

早苗:「二度と来るな、この腐女子ー!!」

GM:腐女子ちゅーか、UGNに対する嫌がらせ目的っちゅー方が大きいんですけど……早苗さんに思い切りダメージ来てますね。

 ともあれ、シーン終了です。で、シナリオロイスは『壊れた魔獣(好奇心/恐怖or脅威)』ということで。



MIDDLE PHESE

MASTER SCENE

「なるほど――『ブリーダー』にはそんな特性があった、ということか」

 ディスプレイを見つめる『ディアボロス』春日恭二の顔に笑みが浮かぶ。端整なはずの顔立ちに下卑た印象のみを付加する笑み。

「これは思わぬ拾い物をしたな……アレが手に入るのであれば、研究所一つを補っても余りある。ひとまず、『壊れた魔獣』はこのまま泳がせるが得策、ということだな」

 闇に光るディスプレイでは、アイコンがゆっくりと移動を続けていた。



 01 忍び寄る運命 シーンプレイヤー:牧場広志



 『胴体創傷により、全治一ヶ月』

 それが、牧場広志巡査部長のカルテである。

 一命を取り留めたものの、現場復帰には程遠い―― 上層部が下したその判断に、牧場はその身に馴染んだ空気を感じる。

 人間ならば致命傷であってもおかしくなかったはずの傷口は、その名残すらも存在せず、当然ながら現場復帰への支障はない。

 となれば、何らかの事情で動かねばならぬ事があるのだろう。

 ―― やれやれ、『仕事』か。

 苦笑を浮かべ、些かくすんだ色合いのジャケットを羽織る牧場の胸ポケットが、振動した。



GM:病院のベッドの上で目を覚ました牧場さんに、UGN日本支部長・霧谷雄吾からの『協力を要請したい』とのコールが入ります。

「このたびは災難でした―― お身体のほうはいかがでしょうか?」

牧場:「なぁに、心配ない。あんなものは爪楊枝が刺さったようなものだ」

 ―― まーだ引っ張りますか、この人は(笑)。

GM:「こんな時にお願いするのは心苦しいのですが、あなたに一つ協力をお願いしたいんです―― 内容は……UGN藍空支部の調査です」

 依頼内容をかいつまんで言うと、『スリーパー』と呼ばれる裏切り者の割り出しですね。

 三ヶ月前の橋尾晃太の一件以来、UGNの作戦行動が先を越されているケースが多いこと。先手を打たれる作戦行動は常に『賢者の石』絡みであること。容疑は藍空支部にも及んでいるため、藍空支部の人間には秘密にしておきたい、ということですね。

牧場:「任務……了解した。接近しての暗殺は俺の得意分野―― 」

GM:どこに『ピストルズ』を配置してますかッ!?

「藍空支部にイリーガルとして頻繁に接触しているあなたなら、ごく自然に接触できるはずです。ただし、当然ながら黒崎さんも調査の対象です―― 最悪の場合、黒崎さんとも事を構えることになりますから……くれぐれも慎重にお願いします」

 霧谷さんがそう声を硬くして言ったところで、シーンを切ります。

 

02 南より来たる者 シーンプレイヤー:御園早苗

GM:では続いて早苗さん。

早苗:上司に報告した上で調査します。「あんな恥ずかしい思いをしたんだから、協力してくださいよ(目を血走らせながら)」

 ―― うーむ、事あるごとに『上司に相談』が入るなぁ。現実世界なら仕方ないにせよ、こういった場合にはある程度のスタンドプレイもやむなし、と思うんだけど……。

GM:「ふむ、判りました」と言うわけで、情報に長けた人にも協力して頂くように手配します(キャラクターシートを取り出す)。

 ということで、情報収集では粟飯原さんのネットワークも駆使出来るようになります。まぁ、ほぼアイテムみたいな扱いですが(酷)。

 ―― アイテム扱い……本来ならやっちゃいけないことなんだけど、粟飯原さん以外、ことごとく【社会】1(<情報>技能の判定に必要)だもんなぁ(なお、この時GMは牧場の所有エフェクトである《知識の泉》をすっかり失念していた。というか、リプレイ起こす際に知った)。

早苗:では、『緑川ラボ』について調べてみたいと思うんですが―― 。

GM:<裏社会>か<UGN>で調べて下さい……9ですか。それなら、この程度の事が判りますよ。

緑川ラボ:コロンビアにあるギルド所属の工作員養成施設を母体としている実験施設。10年程前からFHと協力関係にあり、人体実験から得たデータをフィードバックしている。現在の責任者は緑川五月という妙齢の女性。

早苗:……『ギルド』って?

GM:ギルドってのは、主に中南米にある組織を中心として世界規模で活動している犯罪者の互助組織です。で、緑川ラボはそのセクションの一つ、ということですね。

早苗:あとは……何か判りますか?緑川ラボが日本で最近暗躍してる、とか。

GM:いや、そもそも『壊れた魔獣』について調べるのが本題だったでしょう(苦笑)。

 まぁいいや……緑川ラボに関連して、ということなら、『壊れた魔獣』ってのはもともとこの緑川ラボで作られた実験体……というか、とあるオーヴァードの複製体、という事実が判明します。

 戦闘データのサンプルとして数多くの実験に駆り出され、ジャーム化―― K市にあるFHの実験施設に収容されていたんですが、『本体』……もしくは、本体に値する存在と言うべき『飼い主』を求めて施設から逃走したってのが、この一連の事件の起こりとなるんですな。



 ―― うーむ、情報の出し方をまずったなぁ。あんな情報開示の仕方じゃ、意識が『緑川ラボ』だけに集中するのも無理ないか。



早苗:では、ひとまず調べることは調べましたから……牧場さんと接触します。

GM:うぃ、ならばシーンを一旦切りましょう。



03 追憶 シーンプレイヤー:牧場広志

GM:と言うわけで、続いて登場は牧場さんと早苗さん。

早苗:侵蝕率は……2しか上がらん。やっぱりメイド喫茶に行かされた事でテンションが上がってくれないなぁ。

牧場:うわっ!また9上がったッ?!

GM:ま、またですかッ?!滾ってますねぇ。

牧場:三回振って10・9・9……もう侵蝕率が60超えた(ヤケ)!!

早苗:こっちも三回振ったけど2・3・2……明らかにテンションに差がありますね(笑)。

 ともあれ、緑川ラボについて何か知っているか聞きましょう。

GM:ラボについては知りませんが、『緑川五月』という名前には聞き覚えがありますよ。というか、双子の弟を連れて家を出て行った母親の名前です。

牧場:「まさか……いや、よくある名前だからな―― 気のせいだろう」

GM:では、その話を聞いたところで……牧場さん、唐突ですが、<意志>でチェックをお願いします。

牧場:おお、クリティカル……18。

GM:それなら判ります。そういえば、牧場さんを攻撃した時の『魔獣』の目には見覚えがあります。具体的に言えば、弟―― 高志の子供の頃の眼差しに何故か似た印象がある、と言う感じですね。

牧場:ああ、確かにそうだ……斬られた時―― 嬉しかった(一同大爆笑)

GM:いやいやいやいや、それ、ただの変態ですからッ(一同爆笑)!!

牧場:兎に角、確信は持てないが、そう言った話がある、と言うことですね?

GM:うぃ。

牧場:で、俺と『壊れた魔獣』を会わせてはいけない、という理由は?

GM:あああ、違います違います違います。会わせてはいけない、というのは牧場さんではなくって、別口のオーヴァードのことです。そのオーヴァードと『壊れた魔獣』とを接触させてしまうというのは薫にもそうですが、牧場さんにも別の意味でまずい状況が起きてしまう、と言う話であって、牧場さんが『壊れた魔獣』と出会ってしまっても別に問題はないんです。つか、オープニングでもう接触したやないですか(笑)。

早苗:兎に角、牧場さんは何かを知ってる、とだけは判りますね?

牧場:「まぁ、確かに気になることはある。しかし、よくある名前だからな。名前だけでは判らんな」

真琴:ともあれ、そういう情報交換をした、と言う事で、このシーンは終わりですか?

GM:いや、まだありますがな(笑)。この『壊れた魔獣』についてですが……牧場さん、<情報:警察>か<情報:裏社会>でチェックをお願いします。

牧場:低いなぁ…6。

GM:あ、6なら判ります。その『魔獣』の被害者はですね……一般人は殆んどいません。大半が特殊部隊並みの装備に身を包んだ奴らです。で、その被害分布は東京を西から東へと渡るように進んでいまして、徐々に藍空市へと向かっている、ということまで判ります。

牧場:特殊部隊並みの装備、か。

早苗:UGNがそんなのに接触した、と言う記録は?

GM:ありませんね。では、ちょっと<情報:UGN>でチェックをお願いします……7だったら判りますが―― FHの『ディアボロス』こと春日恭二率いる部隊が『魔獣』の討伐部隊として動いている、というのが判りますよ。

早苗:春日恭二?また新しい名前が(ルールブックを持っていない)。

GM:ああ、すいません。これはオフィシャルなキャラでして……頻繁にボスになりながら、よくやられるキャラです。

なんと言うか、小ボスと言うか……雑魚ボス(ひでぇ)?

真琴:ホラ、よくいるじゃないですか。「今度こそは!」とか言って何度も挑戦しながら、「覚えてろー!」と言って退却するタイプの。あーいったキャラですよ。

早苗:「春日恭二……だったら楽勝!!」

GM:ひでー……ともいえねーな(笑)。

 で、ですね。『魔獣』が『飼い主(ブリーダー)』と呼ばれる特殊な条件を満たしたオーヴァードの存在を嗅ぎつけて、それに向かって動いていることは言いましたが、春日恭二の方にちょっとした事情があって、『魔獣』を始末する以上に『飼い主』を確保したいってのが出てきたんですよ。なので、今はあえて泳がせている、といった状況なんですが―― 『飼い主』を確保される事が、薫にとって最も避けたい事態だ、ということです。

真琴:なるほどね。

GM:今判るのはそれくらいですね。では、一旦シーンを切りましょう。



04 憧憬 シーンプレイヤー:羽鳥真琴

GM:続いては真琴です。病院からの帰り道なんですが……聞き覚えのある声が聞こえます。

「すいません、手を貸してもらってもいいですか―― あれ、真琴くん?」

真琴:……ゆう菜さんじゃないんですね?

GM:うぃ。ゆう菜さんだったら『羽鳥くん』ですからね(笑)。

 で、この方はというと、黒岩賢介センセの妹さんで、藍空大の学生でもある、黒岩真姫さんです。定期検査の時に黒岩先生に差し入れ持ってきたりしてたので、何度か会ったことがありますね。

真琴:UGNの人…ですよね?

GM:いえ、一般人ですね。少なくとも、オーヴァードとして登録はされてません。

真琴:「えっと……真姫さん、一体どうしたんですか?」

 何か持ってます?

GM:「あ、そうだった!この子を運ぶのを手伝って欲しいのッ!!」

 よく見たら、真姫さんは血塗れの子供……というか、少年を抱えてます。

真琴:外傷はどの程度か、とかよく観察してみましょう。

GM:そーですね。年の頃は13、4歳程度で、衣服には幾つもの穴が開いてまして、かなりの血が流れた事が見て取れますよ。

真琴:「この近くの病院は……そうだ、黒岩先生のところにッ!!」少年をお姫さま抱っこで抱えながら言いますよ。

GM:「あ、ありがとう!」

真琴:「すいません、急患なんですッ!!」

 そう言いながら窓口に駆け込むと、UGN絡みの人が意図を察して黒岩先生のところに運んでくれるんですよ。そして数分後、鎮静剤が効いているのか、ぐっすりと眠っている少年の脇で、安心しきった真姫さんと僕が会話をしているんですね。

 ―― うーむ、こーまであっさり演出してくれると……俺、楽チン(駄目GM)!

GM:わはは、概ねそんな感じですな(笑)。「ありがとう、真琴くん。お陰で助かったわ」

真琴:「いえ、いいんですよ」

GM:では、そーいったやり取りをしていると、真琴を黒岩先生が呼びますよ。「ちょっと、いいか?」

真琴:ああ、思い出した。こっちも確認したいことがあったんだった。その少年の怪我ですけど、どんな具合ですか?例えば、獣の爪か何かで引き裂かれたかのような傷、とか?

GM:それではなく―― むしろ主に銃創とか切り傷とかですね。

牧場:「お、俺じゃねぇッ!俺はやってねぇーッ!!」

GM:違いますッ!というか、登場してないのに出ないッ!

 ともあれ……呼び出したところで一旦シーンを切ります。



05 秘匿 シーンプレイヤー:羽鳥真琴

GM:で、黒岩先生から呼ばれたところで連続して真琴です。

 処置が終わってから、麻酔が効いているんでしょう。ぐっすりと眠っているベッドの脇で、複雑そうな顔をしてますよ。

真琴:……真姫さんは?

GM:呼ばれませんね。あくまで彼女は一般人ですから、こーいった話に絡ませるわけにはいかない、というのがあるんでしょう。

「この子供だけどな……あれだけの出血ではあったけど、傷も塞がりかけている……あれだけの再生能力がある以上、まず間違いなくオーヴァードと思っていいだろう」

真琴:「やっぱり、そうでしたか?僕もおかしいと思ったんですよ。あれだけ銃で撃たれていたなら、普通の子供だったら即死だと言うのに、まだ息があった」

GM:「判ってると思うが、妹にはこのことは黙っててくれないか?あいつにオーヴァードのことを知らせるわけには行かないし、これからも知らせる心算もないからな」

真琴:何か身分証明みたいなものを持ってたりはしませんか?例えば免許とか。

GM:持ってたまるかッ(笑)!!

真琴:では、この病院でしばらく経過を見てもらえる、ということでいいですか?

GM:そうですねー。

「ま、とりあえず万一に備えて採血だけはしておこう。もしかすると、ジャームが一時的に沈静化して人間に戻っているだけかもしれないからな」

真琴:判りました。

 では、帰る前にもう一度その子供の顔を見てみましょう。もしかすると、誰かに似ているかもしれない(笑)。

GM:そうですね。どことなく、ですが……牧場さんを思い切り若くした、という印象があるかも……。

牧場:「……俺の子か(一同爆笑)」

GM:(スルー)で、ですね…さらに言うと、真琴にも似てるかな、という印象も、本当に微かにですがありますよ。

牧場:「……二人の愛の結晶か」

真琴:「い、何時の間に――ッ(一同大爆笑)?!」

GM:あってたまるか(笑)!!

真琴:では、去り際に黒岩先生に言いましょう。「じゃあ、僕はこの辺で失礼しますけど、何かあったら、連絡をいただけますか?気になる事があるんです」

GM:「ああ、判った。何かあったら連絡する」

 んで、シーンを切りますが……その前に、真姫さんが「ありがとう!お陰で助かったわ、真琴くん!」と両手で握手してきますよ。

真琴:ついつい顔を赤らめて、はっとします。「いけないいけない、僕にはゆう菜さんがッ!!」

 それはそれとして、安堵の笑みを浮かべる真姫さんを眺めながら、僕は決意を新たにするんですよ。「絶対に、僕達はこの人たちを巻き込むわけにはいかないんだ」と……そこでシーンを切ります。

 ―― うわ、自分からシーン切った!ホントにこの人がシーンプレイヤーの時は楽だなぁ(笑)。



MASTER SCENE


 藍空医大を見下ろすように佇む鉄塔―― 誰も省みる事もないその鉄塔に、違和感を見出すものはいない。

 ただ行過ぎる風のみが、鉄塔の一角に座する者の存在を知っていた。

「あーあ、結局あの子と接触しちゃった、か」

 深刻さを感じさせない声を上げるのは、無骨な鉄塔に似合わぬ、見るものにふわり、とした印象をもたらす栗色のやや長めの髪を、スポーツキャップに押し込んだ少女。

「このままじゃ『マスターレイス』にも知られてしまうことにもなっちゃうし―― いくらなんでも、今『マスターレイス』と真正面からやりあうのは得策じゃないわね」

 少女―― FHのエージェント・小野寺薫は、己の中で下した一つの決断を確かめるかのように、呟いた。

「しょーがない、プランBに移るとしますか」

 呟きと共に、その姿が…掻き消えた。



真琴:マスターシーン入ったッ?!

GM:これが何を現わしているかは、まぁ後のお楽しみ、ということで(笑)。



06 見出されるピース シーンプレイヤー:牧場広志

牧場:そういえば、俺はまだ調査中だったぜ。

GM:ですね。どっちかっちゅーたら『調べられる方』がメインで、藍空支部の調査は殆んど進んでませんでしたから―― とりあえず合流する、ということですね(何故か嬉しそう)。

真琴:ああ、僕も疑われちゃうんですね。

牧場:嘘をついているかどうかは、肌を舐めてみれば判る……判るのだッ(爆笑)!!

 ―― ジョ○ョとシ○ルイの複合で来たかぁ。

真琴:で、「ごめん、判らんかった!もう一回舐めさせて?」とか(笑)。

GM:ともかく、藍空支部について情報収集するんなら……<情報:UGN>で調べてみて下さい。『賢者の石』自体トップシークレットですから、やり方によっては情報をかなり絞り込む事は出来ると思いますよ。

牧場:じゃあ、藍空支部のPCを使って、データを絞り込んでみます。

GM:でしたら、藍空支部で大きく関わっているのは、真琴を含めて4人……支部長の黒崎、医療班の一員であり、研究主任でもある黒岩、真琴―― そして、研究員でもある陽賀ということまでは判定なしでも判りますね。

真琴:陽賀さん……そういえばいたなぁ、そんな人(笑)。あ、僕も登場していいですか?

「あれ?牧場さん……珍しいなぁ、こんなところで会うなんて。何か調べものですか(PCを覗き込みつつ)?」

早苗:画面には個人情報がずらずらー。

牧場:「いや、ちょっと人探しでな。『ペンフレンドになりませんか』と」(笑)

GM:いきなり何をいいますか(笑)。

真琴:「あ…そうだ、牧場さん」と、病院であった事を話しますよ。その少年がなんとなく牧場さんに似ていた、ということも含めて。

牧場:「何っ?!まさか、あの時の…?その子供は一体幾つぐらいだったんだ?」

真琴:「中学生になるかならないかぐらいです。僕には幼い頃の記憶がありませんが……もしかすると、僕にもあんな弟がいたのかもしれないな」

牧場:……流石に高校生の頃に弟は難しいだろうなぁ。となると、弟の子供――双子の弟だから、弟も32歳?

GM:そこから違えば、『双子』も『弟』もなくなってしまいますがな(笑)。

牧場:だとすると、高校生の頃の子供―― おのれ(笑)。

GM:何に反応してますかッ(爆笑)?!

真琴:それはそうと、弟については秘密、ということなんですね?

牧場:流石に確証が持てませんから。「いや、ちょっと気になる事があってな」

真琴:「そうですか。だったら、ちょっと行ってみませんか?多分、その子供もオーヴァードだと思うんですよ」

牧場:じゃあ二人で病院に向かう、ということで。

真琴:そういえば、早苗さんは?

早苗:あ、もう少し情報収集してみます。

GM:判りました。じゃあ、二人が退場したところで一度シーンを切ります。



07 垣間見えた深淵 シーンプレイヤー:御園早苗



「別にあなたに頼みたくて調べてもらってるわけじゃないんですよ?任務なんだから仕方ないんです!」

「あぁ、それは判ってるって、イソノさぁん」

「何か……いいましたか?」

 早苗が思わず反応したその時、粟飯原は既に軽口の仮面を取り払っていた。

 強固なプロテクトの隙を見出し、正確にそれを衝くためのある種の鋭さのみしか残さないその粟飯原の脳裏に浮かぶのは、早苗がもたらした『緑川ラボ』『緑川五月』『牧場広志』……繋がりがあるのかないのか掴みきれない三つの言葉。

 警察の内部情報……不発。

 UGNの情報……該当なし。

 となると―― 粟飯原は、発想の角度を変えてみた。



早苗:それでは、粟飯原さんに頼んで今度は牧場さんについて調べてもらいましょう―― <情報:警察>辺りで、出生から。

 ―― やっぱり『緑川ラボ』絡みの情報が欲しいのか…けど、個人情報について調べたい時に警察じゃあ、思い切り的外れなんだよなぁ。

GM:警察ですか……牧場さん自体は表向きは犯罪者というわけでもないんですし、履歴書に書かれてるような個人情報しかありませんよ。つーか、そーいったものはむしろ<情報:裏社会>でしょ(笑)?

 ―― というか、裏の情報まで警察情報で手に入るんだったら、暗殺者というのがバレて速攻逮捕されると思われます。

早苗:<情報:裏社会>ですか……だったら、11です。

GM:では……やはり牧場さんが幼い頃に家を出て行った母親は緑川ラボの現在の責任者である緑川五月と同一人物ということですね。で、その時に母親に引き取られていたのが、高志という双子の弟、ということが判ります。

早苗:なるほど。

GM:そして、もう一つ―― 緑川ラボの前身である研究所についても幾つかあります。

 まず一つは、十年前に研究所がFHと提携する前までの研究者の名前が内海という男であること。そして、もう一つは現藍空支部長の黒崎がその内海の片腕として暗躍していた、ということ。

早苗:え?それって……?

GM:そして、最後の一つですが……黒崎もまた、その研究所で調整を受けた《実験体》である、ということです

 ―― 本当は、黒崎絡みの情報はこっち(緑川ラボ関連の情報)からのアプローチで判明する事じゃなかったんだけどなぁ……あまりにも『ラボ』が印象強すぎたか。

牧場:まさか、黒崎も南米の組織と関係があったとは―― 。

真琴:『サンタマリアの名に誓い……(一同笑)。』

GM:あーたはどこのデスメイドじゃッ(笑)?!

真琴:(華麗にスルーしつつ)『若様……これは復讐ですらないのです(一同爆笑)!』

GM:はい、戻す戻すッ!!

早苗:な、なんかえらいことに気付いてしまったような。

 黒崎が怪しい、ということは……黒崎に相談出来なくなった、ということだし、牧場さんにこのことを話していいものかどうか。

 ―― そらまぁ、こーいった情報収集ってのはそもそも『えらいこと』に気付いてナンボなんだし(笑)。

GM:では、一旦シーンを切る、ということで。



 早苗、そして、粟飯原が覗き込んだ深淵にあるものは、不審という名の闇。

 その闇のあまりの深さは、永い時を生きて来た早苗の判断をも鈍らせるものでもあった。



08 カルテ シーンプレイヤー:羽鳥真琴

 藍空大病院の一角―― UGN医療研究施設のカヴァーとして巧妙に様々な隠蔽工作がなされているその病棟の一室に、少年は一人横たわっている。

 名前も素性も判らぬ少年―― しかも、検査結果では高濃度のレネゲイドに侵蝕されている少年を保護することは、如何に真琴の頼みとはいえ、黒岩には正直躊躇われた。

 しかし、妹も絡んでいる以上、無下にも出来ない。

 研究途上のレネゲイド鎮静剤―― アポシートス・トランス―― これを使う事になるのか否か。避けたい選択肢を胸に、黒岩はその貌に苦味を浮かべた。



GM:では、病院ですが……登場するのは、真琴と牧場さんで―― 。

真琴:集中治療室に厳重に隔離されている少年を、こう僕達はガラス越しに覗き込んでいるんですよ。「ほら、牧場さん。あれがさっき僕が言っていた―― 」

GM:いやいや、そこまで厳重には出来ませんよ。『見た目よりも軽傷だった』と言って真姫さんを帰した訳だし。

 それに、研究室自体のセキュリティもあるわけですから、あまり厳重にする必要もありません。

牧場:改めてその少年の顔を見てみますが―― ?

GM:本当にどことなく、ですが、自分達の顔にも似てなくもないかなぁ、という感じはあります。明らかに野性味を増した、と言いましょうか……その程度の特徴はありますけどね。

牧場:怪我は……治ってるんですよね?

GM:まぁ、カモフラージュで包帯を巻かれてはいますが、完治はしてます。で、麻酔を打たれているんでしょうね。今はぐっすりと眠っていますよ。

牧場:じゃあ、近寄って……。

真琴:頬でも撫でてみます?

牧場:近寄ってみたはいいけど……これと言って、やることもないなぁ。

  (少し考えて)――――僕は、最低だ(一同大爆笑)。

GM:待ていッ!?アンタ一体何やってんだッ(爆笑)?

真琴:で、僕はそれを監視カメラで見ている、と(爆笑)。

 ―― 下ネタになると、ホント生き生きするんだよなぁ、ウチのサークル(笑)。

GM:最低なのは判ってる事だからいいとして!

牧場:まぁ、眠っているんだったら……今のうちに撃ち殺してしまっても……。

GM:やるなぁぁぁぁぁぁぁッ!!

 で、それは兎に角、しばらく病室の外で女性から懸かってきた電話に応対していた黒岩先生が戻って……。

真琴:(突然黒岩)「い、いや、違うんだ!!あの女性は前僕が診てた患者で……」

GM:……まーいいや。概ねそんな感じですし(笑)。

 ―― まだキャラ設定完璧に明かしてないというのに、既に『ジゴロライダー』確定か、黒岩先生(笑)?!

真琴:「どうですか、黒岩さん?」

GM:「思った通り、オーヴァードだったよ。しかも、レネゲイドの血中濃度から見るに、何時ジャーム化してもおかしくないくらいだ」

真琴:そんなのも判るんですか?

GM:そりゃまぁ、検査すればあらかたは判ります。で、さっき採血した血液から万一の際に備えて創った特製の抑制剤を投与するかも、ということですが、黒犬先生はちょっと浮かない顔してますね。

真琴:「どうかしたんですか?」

GM:「いや、その抑制剤ってのがな―― その個体の血液を基に作り上げていることもあって効果は高いんだが……効きすぎるんだ」

早苗:ブーン、とか言って高いところから飛び降りるとか?

GM:違います(微笑み)。「俺達オーヴァードってのは、ある意味レネゲイドウィルスによって生命活動を維持している、と言ってもいいだろ?そのレネゲイドウィルスの力を抑制するということは、それによって維持されていた生命力にも影響を及ぼすことになりかねないんだ。ましてや、ジャーム化した人間のウィルスの働きをも抑制するほどに調整された抑制剤ともなれば、ウィルスにとっては毒以外の何者でもない。そんなものを投与されたら、全身に浸透したレネゲイドの構成が崩壊―― そのまま細胞死する可能性も0ではないんだ」

真琴:リスクが大きすぎる、ということですか?

GM:ですね。そんな副作用があるのを使うのはどうか、というので悩んでる、といったところです。「まぁ、現時点ですぐジャーム化する、ということもなさそうではあるが……何時堕ちるかもやっぱり判らない。かと言って、これを使うということイコール時限爆弾のスイッチを入れてしまうことにも繋がるんだ」

真琴:「判りました。そう言うことならお任せしますが……何かあったら連絡をお願いします」

GM:「もちろんだ。一人でジャーム相手に立ち向かうような気はないからな」

早苗:GM〜、登場しても宜しいでしょうか〜?

GM:あ、いいですよ。

早苗:「……探しましたよ、牧場さん。失礼とは思いますが、あなたの過去について調べさせてもらいました」と、調べて判った事を全て話します。

真琴:でも、やっぱりこういった情報交換は病室でするよりかは、屋上でしょう(きっぱり)。こう、屋上でシーツがバタバタバタバタ、と。

GM:演出するのはいいけど……場所を変えるんだったら、シーン切り替えますよ(笑顔)。

真琴:侵蝕率が心配だけど……判りました、CM明けたら屋上で「そんなことが、あったんですか」と呟きましょう(笑)。

 ―― 一体どこの二時間ドラマか(笑)。

GM:OK、判りました。じゃあ、シーンは変わって屋上で(笑)。



09 錯綜する疑問 シーンプレイヤー:御園早苗



 屋上についた頃―― 風が、出ていた。



早苗:では、改めて全部話します。かくかくしかじか〜。

真琴:「……そんなことが、あったんですか(一同笑)」

牧場:「『南米に行った』と噂で聞いたが……まさか、本当にそんなことになっているとはな(笑)」

真琴:『魔獣』の事件とあの少年が繋がったのはいいとして……『飼い主(ブリーダー)』かぁ―― 誰ですか?

 ―― やっと気付いてくれた。みんな、思考のベクトルが思い切り『緑川ラボと牧場』に向かってたからなぁ。

真琴:……もしかして、牧場さん?

 ―― またもやコースを大きく逸れました_| ̄|○。

牧場:ああ…そういえば、マスターシーンでなんか言ってたなぁ。

真琴:春日恭二が言ってましたねぇ。『このまま泳がせて置いた方が得策だ』って……。

 で、結局ここにいるわけですが、今のように麻酔が効いて安静にしていれば……。

早苗:「でも、あの少年は既に何人もの人を殺めている、という事実を忘れる事は出来ないのよ、真琴くん」

真琴:「でも、僕はあの子を助けてやりたいんですッ!!」

牧場:「しかし、だ。そうは言っても、彼は一生懸命働いて稼いだなけなしの金で裸同然の抱き枕を買ったりした青年達をだな…(一同大爆笑)

GM:離れようよ、そこ(秋葉原ネタ)からッ(一同爆笑)?!

 それに、被害者は大半が特殊装備を身につけている、という情報もちゃんと渡したでしょうがッ!?

牧場:ああ、確かに『特殊装備』ですねぇ。アニメのキャラクターがプリントされたTシャツとか(笑)。

早苗:アキバ仕様A装備(ぼそ)。

 ―― GM、心の中の卓袱台を引っくり返す。

真琴:とりあえず、調べられる事は調べたんだし―― その緑川ラボってのは、何で日本に……空輸?

GM:空輸って(笑)。いや、緑川ラボ自体が日本に移って来たんじゃなくって、単にFHに提供した実験体が日本でジャーム化した、ということです。

真琴:で、スリーパーについては?

GM:スリーパーについては、“『飼い主』に接触させる事なく『魔獣』の身柄を確保する”という依頼を果たしたなら、見返りに情報を渡すよ、ということですからね。

早苗:なーんか、交換条件の割に、依頼内容が矛盾しているような気がするんですけどー。

 ――そうなのよ。そこに踏み込んでくれれば(じたばた)。

真琴:でも、こうしているのも『身柄を確保している』という目的は達成してるんじゃないんですか?

早苗:でも、今連絡するのも、ちょっとなぁ〜。「消すだけよ」と言われてそれで終わり、なんてことになりそうな気がするんですけど?

 ―― ああ、結局<矛盾>……『FHに潜在する対立構造』に踏み込んでくれない_| ̄|○。誘導下手なのが悪いんだけど。

牧場:「そうなる前に……せめて俺の手で(一同爆笑)」

GM:だからそーいう方向に持っていかんで下さいッ!!

牧場:でも、そういう流れになるような気が―― 。

GM:どーなるかは、選択次第ですよ(にやり)。

牧場:いや、でもやっぱり結論を出すには早いか……こんなに早い時間だったら、バレるし(一同笑)。

GM:そーゆー問題ですかッ(爆笑)?!

真琴:「もしそうだとしても―― 僕は……僕は、あの子を助けてあげたいッ!!」そう言いながら、病室へと駆け出します。

GM:では、真琴はシーンから退場、ということですね―― 残ったお二方は、どうします?

早苗:小野寺薫に指示を仰ぎたいところですが……病室に戻りますよ。

牧場:じゃあ、シーンが変わる前に、携帯で霧谷さんに経過報告と確認をしておきます。黒崎がかつてある犯罪組織に所属していた事を、知っていたかどうか、というのを問い質したいし。

GM:「黒崎さんがかつてギルドに荷担していた、という件ですか―― 知っては、いました。ですが、我々が彼をスカウトしたのは、彼は上司を喪い、組織からも捨てられていたという時期でしたからね」

早苗:つまり、それでもって、『スパイである』という確証にはならない、ということですね?

GM:ですね。で、今までの話を総合しての霧谷さんの推論としては、容疑者は黒崎と黒岩の二人には絞られた、という感じにはなりますね。

 ―― まぁ、片方は全く情報収集もしていないけどなッ!!

牧場:……黒崎っていうのは?

真琴:僕のシナリオロイスで……影でちらちらと女の人と電話してたりした―― 。

GM:『絶対可憐チルドレン』でいうところの賢木修二先生です(きっぱり)

真琴:あ、それは判りやすい(笑)。

 ―― でも、このサークルでその喩えが判る人……多分GMと真琴だけだろうなぁ(笑)。

牧場:まぁ、黒崎はないだろう(じゅるり)。

GM:何故『じゅるり』?!

早苗:そうですね。黒崎はありえないでしょう(妙に殺意のこもった口調で)。

 ―― な、なんだ……この殺意の波動ッ? 賢木先生、逃げて、逃げて――ッ!!

GM:では、シーンを切り替えて……病室に行きますが―― 皆さん、<知覚>で対抗判定して下さい。こっちは<隠密>で……ぐあッ!!技能足しても5ってなんだよ?!

真琴:クリティカルして……16でーす。

牧場:9です。

早苗:6ですね。

GM:じゃ、みんな判ります。窓の外に、複数の気配―― 明確な殺意を纏った気配が現れたかと思うと、窓ガラスを突き破って―― 特殊部隊風の装備を纏った奴らが四人、進入してきますよ。



10 強襲 シーンプレイヤー:羽鳥真琴



 突然の強襲ではあったが、真琴の応対は早かった。

 一般人を無力化し、忌避せしめる<結界>を張り巡らせる事で、この病室近辺に常人を近寄らせないという、UGNエージェントのマニュアルに則った行動―― 。

 しかし、その<結界>は、オーヴァードにはその存在を逆に感知させ、衝動を喚起させる効果も持つ。

 そして、この病室には―― 衝動に取り込まれかけたオーヴァードが一人、いた。



真琴:特殊装備の兵士達、か……ワーディングかけてみますが、無力化は出来ませんよね?

GM:はい。よく見たら、顔にはガスマスクのようなもの(対ワーディングマスク)をつけてますね。

真琴:病室は……何階?

GM:一階ですね。

真琴:真昼間に、一階の病室に?まぁ、ワーディングかけてるからいいんだけど。

 ともかく、<完全獣化>を使ってその四人を纏めて吹き飛ばしてやりたいんですが。

GM:その前に……何時の間に目を覚ましたのか、ふと見たら少年が起き上がっています。で、同じく<完全獣化>を使って―― 狼のような獣の姿になりますよ。で、メジャーアクションで四人の内の一人に<一閃(全力移動しながら白兵攻撃を行える、ハヌマーンのエフェクト)>を組み合わせた攻撃で全力移動攻撃をぶちかましまして―― 中庭に飛び出ます。

真琴:えっと……演出で?それとも、イニシアティブ?

GM:基本は演出ですが……イニシアティブは?こちらは11ですが?

真琴:はー、はっはっは、7ッ!!ハヌマーンとってないからこんなものさッ!!そちらが先ですね(納得)。

「ぼ……僕より、早いッ?!」という訳で、完全獣化で僕も変身します(笑)。

GM:了解(笑)。では、ここから普通の戦闘ターンになりますが……こっちのイニシアティブは8……いや、装備修正入れて6、か。

牧場:じゃあ、13の俺から―― <ハンドレット・ガンズ>!!バナナを銃に変化させて……と(一同爆笑)

GM:いや、それ自分撃っちゃいますよッ(一同爆笑)?!

 ―― 独房ッ!?何時の間に独房に?!

GM:ともあれ、射撃の達成値は……22か。回避は失敗―― ダメージも22なら、トループ(『名もなき雑魚』『チンピラ』など、背景ではないが、明確な存在感もない―― 所謂『典型的なやられキャラ』のグループを総称したもの。人数=HPという、紙風船並みの存在感)の三人は装甲値引いても一発で一網打尽ですね。

早苗:押さえ込みとか、やってみたいんですが?

真琴:―― <捕縛>状態にできるタイプのエフェクトがないと、難しいんじゃないんでしょうか?

GM:調べてみますが―― やっぱり出来ませんね。

早苗:うーん……じゃあ、様子を見ます。

真琴:で、こっちの番ですが……こっちにも<グラップル(力づくで押さえ込み、攻撃が命中した対象を<転倒>状態にするキュマイラのエフェクト)>はないんですよねぇ―― じゃあ、「止めろ!止めるんだ、君ッ!!」と叫びながら、普通に殴る。達成値は……20

GM:結局殴るんかいッ(笑)?!回避は……20だから、防御優先で回避成功!

 では、『壊れた魔獣』の行動ですが―― 何らかの臭いを嗅ぎ取ったのでしょう。鼻をひくつかせたかと思うと、ある方向に向かって一直線に走り出します。

早苗:追いかける事は?

GM:難しくはないでしょうが……ここで一つイベントがあります。さっき『魔獣』がぶん殴った奴―― 致命傷を負ってはいますが、苦しげに「くそッ」とか毒づいてます。

真琴:完全獣化した状態で脅迫―― いや、このまま放っておいても喋ってくれそうな……。

早苗:「助けに来たぞッ!!」

GM:(無視して)そいつらの持ってる階級証から、春日恭二の配下の者、ということは判ります。で……端折っていいますが、『魔獣』が求めていた『ブリーダー』には幾つかの条件がありまして、その条件の一つに『賢者の石』の適合者としての資質、というものがあるんですよ。

早苗:(真琴を指差す)?

GM:いや、そっちではなく、もう一つ―― <アニマルテイマー>という、動物と意識を直結することの出来るオルクスのエフェクトがあるんですが、それを持っている相手を『壊れた魔獣』は『ブリーダー』と認めてしまうんですよ。で、『ブリーダー』の資質を兼ね揃えているのが黒岩真姫である、ということを突き止めまして―― 春日恭二率いる本隊は真姫の身柄を確保しようと動き出したんですよ。

早苗:な、なんだってー?!

GM:(スルーしつつ)で、『賢者の石』の適合者を絞り込めた以上、その探知のために泳がせていた『壊れた魔獣』にはもう用がなくなった、ということで処理しようとしていたことを言い残して死亡しますよ。

牧場:「ふっ、後は我々に任せておけ(ばきゅーん)」

GM:いや、もう死んでるから(笑)。それは兎に角として、持ち物を探れば『壊れた魔獣』のアイコンが映った携帯端末が手に入りますよ。

真琴:なるほど……じゃあ、追いかけます。

GM:あ、その前に黒岩先生が舌打ちしながら言いますよ。「しかし、まずいな。真姫が潜在的なオーヴァードだったってこともだが、あいつ―― このままじゃ、ジャームになっちまってもおかしくないぞ」

 とりあえず、さっき言ってたアポシートス・トランスって名前の鎮静剤を出来るだけ早く精製して追いかける、ということを伝えて、彼らを助けてくれるように皆さんに託しますよ。

真琴:しかし―― 真姫さんもオーヴァードだったとは…なんでだー!オーヴァードはオーヴァードと引かれあうとでもいうのかー?!。

GM:まーそんなモンです(さらり)。

真琴:そんなモンかいッ!!

 ―― そもそも『スタンド使い同士は、引かれ合う』という古典的法則を知らんとは言わせんぞッ(笑)!!

牧場:でも、彼が裏切り者……(ぶつぶつ)

GM:さて、どうでしょうねぇ(笑顔)。

 ともかく、皆さん追いかける、ということで一旦シーンを切りますよー。



CLIMAX PHASE

朱に彩られ シーンプレイヤー:羽鳥真琴



 返り血にその身を紅に染め、『魔獣』は駆ける。

 名もなく、心も知らぬ一匹の獣。その胸に去来するものは、本能なのか―― はたまた、懐旧か。

 それを知らぬまま、ひた走る。

 匂いを、感じる。

 心を和ませる匂い。そして、それに近づく不快な臭気。

 名もなき『魔獣』は、不快感が後押しする焦燥を振り払うべく……匂いを、追った。



GM:という訳で、魔獣は真姫さんの前に立ちます。

 当然真姫さんは驚きますが、その雰囲気を感じ取ったのでしょう……というか、<アニマルテイマー>の変形発動による精神直結でコンタクトを果たしているんですけどね。

 ―― 本当は、<アニマルテイマー>というエフェクトは人間に効果を現さないのですが、『魔獣』こと少年が理性をなくしかけている&真姫の持つ資質から来る変形発動、という解釈のため、今回に限っては例外的に意識を通わせております(笑)。

牧場:つまり――心で理解したぜ、兄貴(爆笑)。

GM:誰がペッシかッ(爆笑)!!

 で、戸惑いながら「あれ……まさか?」といい、恐る恐る、その首筋に手を当てて撫でようとした矢先、声が掛けられるんですよ。「処分できなかったか―― ふん、役立たずどもが。まぁいい、こうして『マスターレイス』が最優先事項にしている<適合者(レセプター)>の身柄を確保できる事に代わりはないんだからな」

早苗:役立たずって(笑)。

GM:「それにしても私はツイている。こうして失敗を取り返すチャンスに恵まれたんだからな―― ある意味そいつには感謝せねばならんかも知れんなぁ」

真琴:ツイているって……絶対DXの中では一番ツイてないというのに(ぼそぼそ)。

早苗:きっと、自分のことは判らないのよ(ひそひそ)。

GM:「まぁ、<適合者>を確保した以上、そいつを泳がせる意味もない―― 殺れ」

 と、春日恭二がサブマシンガンを持った三十人ばかりのトループ達に命令したところで……登場お願いします!

真琴:「止めろぉッ!!」

牧場:「あいや、あいやしばらくッ!」

GM:ここに来てキャラを変えんで下さい(笑)。

「ふん……何かと思えば、UGNか。こいつはもともと我々の実験体。その処分をどうしようと、持ち主である我々の自由とは思わんか?」

早苗:「そんなこと、思ってたまるもんですか!」

牧場:「…一つ聞かせろ。緑川、という女とそいつの関係を、知っているか?」

GM:「緑川? ああ、緑川所長のことか?確かに、こいつは10年前に緑川ラボで最初に造られた、『ドッペルゲンガー』のクローン体だが……それがどうかしたか?」

真琴:よりによって所長だよ(苦笑)。

早苗:『ドッペルゲンガー』?

GM:言ってしまえば、牧場さんの双子の弟―― 緑川高志のコードネームです。で、強力なオーヴァードである彼を素体にしたクローンとして『魔獣』は生み出された、というわけですね。

「無駄話に付き合うのもここまでだ―― 殺れ」と、改めて後ろのトループ3グループに『魔獣』を撃つように命令しますよ。

真琴:真姫さんは?

GM:一応「―― 駄目ッ!」とは言っておりますが……完全に覚醒してないし、動けない、というところではありますね。

真琴:カヴァーリングには……?

GM:入ってくれたらありがたいですね。まぁ、入らなくてもいいんですが、その場合には3グループ分の一斉射撃を受けて、『魔獣』は一度は死にますね。

真琴:入りますよ、もちろん。

 ―― よーし、これで最悪のシナリオは回避されたか。

GM:では、誰が―― まぁ、この場合は侵蝕率が低い方がやった方が何かといいかと思いますが?

早苗:じゃあ、私がカヴァーリングに入ります(クライマックス突入時点で70%)。

GM:「え?……えっ?!」自分達を庇って撃たれた早苗さんに―― 撃たれて死んだはずなのに、生き返っていることに、何が起こっているのか理解出来てないようですね。

早苗:「速く!速く逃げなさい!!」

GM:それを見ながら、春日恭二が言いますね。「無駄なことを……まぁ、こちらとしては、だ。その『ブリーダー』のみならず……UGNの完成間近いレセプター……『ピュア・カタスロトフィ』も一緒に確保できるとは、今までの失敗を帳消しに出来るいーいチャンスではないかぁぁぁぁぁぁッ!!」と、叫びながら、ワーディングを展開しますよ。

早苗:「そんなんじゃ、無理無理ぃ」

真琴:失敗してる自覚、あったんだ(笑)。

 それに、真姫さんにワーディングは……あ、覚醒前か。

GM:そーですね。なので、身動きは取れません。では、衝動判定をお願いしますっ!!

真琴:衝動は押さえ込んで……侵蝕率は95%〜♪やばーい。

早苗:衝動判定には成功して……86%ですね。

牧場:衝動判定にはクリティカルで成功して……侵蝕率……106%

GM:……そういえば、今日、侵蝕率のダイス、5が一回出ただけで、あと全部7以上でしたよ。それはかなり滾りまくりじゃないですか(笑)?

真琴:あ、真姫さんにロイスを結びます。ネガティブは、不安で……ポジティブは、憧憬…と。「この人を……こっちの世界に近寄らせるわけには、行かないんだー」

GM:では戦闘開始ですね。



 第1ラウンド



 第1ラウンド開始時点の位置関係はこの通りです



         春日恭二・トループA・B・C←15m→ 真琴・牧場・早苗(・『魔獣』・真姫)



GM:まず、セットアップ・セグメントで何か出来る人は……いないなら、こちらは春日恭二がヴァイタルアップを発動!体力を大幅に増強させますよ。

 で、最初に宣言しておきますが、『魔獣』は真姫さんを庇い続けます。

牧場:じゃあ、こっちは……マイナーで《ハンドレッドガンズ》! メジャーアクションで《ギガンティックモード》その他を組み合わせて……巨大な銃を生み出して―― 全体を攻撃!

GM:トループCが春日恭二のカヴァーリングに入ります。トループA・Bの回避は……失敗で、と。ダメージは?

 18なら、AとBはまだ生きてますが、カヴァーリングに入ったトループCは、二倍ダメージになるので(自分の分と、庇う分の二つ分のダメージを受ける、ということで)、全滅です。

早苗:じゃあ、こっちの攻撃は……<伸縮腕>とかいろいろ組み合わせて攻撃しますけど……範囲攻撃がない。

真琴:まぁ、春日恭二を狙ってれば、トループは一掃出来ますよ。どうせカヴァーリングするんだし(笑)。

GM:まー、普通はそうなんですけどね(笑)。

 ――ふふふ、しかし、そればかりと思ってたら、大間違いじゃよー。

早苗:命中は……18、あと、ダイスペナルティが2個入りますよ。

GM:18なら―― いいや、これは春日恭二が回避を狙ってみるッ!!残りHP1の奴が装甲無視攻撃なんか、喰らってられんわッ(『じゃらじゃらッ!』と、大量のダイスを取り出す)!!

 ……これだけ振ってクリティカルしないッ?! 回避失敗ッ(一同爆笑)!!

早苗:ダメージは……8。

GM:その程度なら、まだまだ大丈夫ッ!!

 では続いては春日恭二の攻撃ですが……まずはマイナーで<鷹の翼>を使用!!で、上空から腕を伸ばして……早苗さんを攻撃します。「貴様ぁ!よくもやってくれたなぁぁぁぁッ?!」 というわけで、命中31で攻撃です。

牧場:空を飛んでる、ということは……?

GM:射撃攻撃か、それに値する射程の攻撃以外は受け付けませんね。

牧場:でもカヴァーリングも出来ない、と(笑)。

GM:その辺の考え、浅いんでしょう(一同爆笑)。

早苗:回避は……失敗です。

GM:でしたら、ダメージは30点で……それプラス<吸収>の効果で、このラウンドの全ての判定にダイスペナルティが2個入りますよ。

早苗:リザレクトで復活ー

GM:では、続いてトループの攻撃は……サブマシンガンによる範囲攻撃ですね。

 Aは……8で、Bは……と、33です!

真琴:トループの分際でッ!!

GM:しゃーないやないですか、オープンダイスで2回クリティカルしたんだしッ!?



 ともあれ、雑魚のものとは思えない威力のこの攻撃を受けて、牧場と早苗は昏倒……両者共に侵蝕率が100%を上回っていたため、タイタスを消費して蘇る。

 しかし……。



真琴:ダメージは、22点でしたよね?

GM:あ、はい。

真琴:じゃあ生きてます。<巨人の生命>3レベルで持ってたし。やったー、初めて攻撃喰らって死ななかったー(歓喜)!

 で、僕の番ですね?春日恭二には……届かない、か

GM:そうですね。射撃距離に届く攻撃は持ってませんし。

真琴:じゃあ、トループに攻撃するしかないか。

GM:さて、届きますかね?

 ―― ふふふ、何のために今回から明確に距離を設定したと……。



 ぺき。

 いい気になってたGMの鼻っ柱が、へし折れた。



 マイナーアクションで行える移動『戦闘移動』の移動距離は、【肉体】+5m…そして、15mといえば、普通ならそうやすやすと詰める事が出来ない距離である。

 しかし―― 真琴の【肉体】は…9。15−(9+5)=1 そして―― 接近戦の射程距離となるのは、2m圏内……充分届く距離であった。



GM:と、届きましたね(唖然)

真琴:マイナーで移動して、<鬼の一撃>だけで攻撃……命中は、37。ダメージは……素手だから……7点。

GM:7なら、装甲引いてちょうど0になりましたね。トループA、これで陥ちました!

真琴:しかし……これで侵蝕率が丁度100!ヤバイッ!!

牧場:何を言っている。俺なんか、次攻撃したら130だッ(一同大爆笑)!!

真琴:ヤバい、それはヤバいッ(爆笑)!!

 それはそれとして、セカンドアクションで……今度はマイナーで<完全獣化>と<破壊の爪>も一緒に使って……トループBを攻撃します。

GM:ダメージは……20ですか?!じゃあ、それでBも死亡!



 第2ラウンド



GM:第2ラウンドの位置関係は、大方こんな感じですね。



       春日恭二

         ↑

         8m

           ↓

    真琴←15m→牧場・早苗 (・『魔獣』・真姫)



真琴:こうして見てると……射撃距離の攻撃って、大事だったんだなぁ(←射撃・射撃距離攻撃持っていない)。

GM:まぁ、それに関しては、次があればということで(笑)。

牧場:しかし……二人だけで倒さないといけないということは……出し惜しみはしておれん!

 ダイスペナルティ3個は辛いけど、防御行動不可の<プレディクション>も使って攻撃しますッ!!

 クリティカルは―― 一回だけで……攻撃力は、30ッ!



 ノイマンの高速思考を経て放たれた避けるも受けるもならぬ弾丸は、確かに上空を舞う標的を捉えた。



GM:装甲無視だから素通しで……まだ生きてるッ!!



 しかし、『ここで倒さねば』という焦りが僅かに急所を外した。



GM:「ふ……ふははははははははははははッ!驚かせてくれるッ!しかし、甘いぞぉッ!?」



 傷口を覆う紅色の水晶を高笑いと共に引き剥がすその様は、まさしく『悪魔(ディアボロス)』の哄笑。



早苗:では次は私がッ!!またさっきと同じコンボで―― 命中は、40!それプラス、今度はリアクションにダイスペナルティが3個入りますー。



 が、牧場の渾身の攻撃を凌いだ、という油断が、間髪入れずに放たれた早苗の拳に対する反応を鈍らせていた。

 遠心力をも加味して放たれたその一撃は……槍の鋭さで、春日恭二の胸板を貫いた。



GM:それは……駄目ッ!

早苗:ダメージは5Dだから……18の……22!

GM:22……装甲値無視だから―――― ちょっきり墜ちたッ!!

 という訳で……早苗さんの一撃を喰らって春日恭二は撃墜されますが……地面に落ちる直前に<魔獣の証(強力な生命力を発揮して強引に致命傷を塞ぐキュマイラのエフェクト)>を使用して、復活します。

 でも、明らかな失敗を確信したんでしょう。春日恭二は、そのまま飛んで逃げていきます……ちょうど自分の行動順にもなりましたし、戦闘移動と全力移動をフル活用(笑)。「お、おのれっ!撤退するッ!!」

 で、全てが終わった頃にバイクに乗って追いかけてきた黒岩先生が『魔獣』に鎮静剤を打ったところで、この場は終了―― エンディングに移ります。



ENDING PHASE



 黒岩の作り出したレネゲイド鎮静剤―― <アポシートス・トランス>のアンプル、そして、真姫が必死に押さえ込んだことによって、さしたる混乱もなく『魔獣』は沈静化する。

 ただし、過剰増殖したレネゲイドウイルスを死滅させる事によって鎮静化を図るため、このままならもって半年、という黒岩の言葉は、あまりに重かった。。



真琴:……半年。

GM:で、それを根本的にどうにかするためには、レネゲイドを吸着して結晶化する賢者の石の中でも、特に純度の高いもの―― 【パーセンテージ・イレブン・ナイン(99.999999999%)】と呼ばれるぐらいのものならば、或いは他人の体内に入り込んだものであっても吸着・除去が出来るかもしれない―― というところだ、と黒岩は言います。「あくまでも、仮定に過ぎないけどな」

早苗:(首筋に手を当てて)吸着、ということはつまり……「UREYYYYYYYYYY!」と(笑)。

GM:それはいいとして、全体エンディングはひとまず終了……個人エンディングです。まずは早苗さん。

早苗:『スリーパー』についてですね?ということは……またメイド喫茶?

GM:一度やったネタだけに流石にやりません(笑)。指定の場所にデータチップを置いていますよ。

 ―― ましてや、空振りだったしなッ!!

早苗:「あれだけのことをやらせてたったそれだけぇ?目一杯文句言ってやりたかったのにぃ」

GM:そーはゆーても(笑)。まぁ、要約すると、『スリーパー』…てのは真姫さんのことだったんです。

 文字通り『眠れる者』という意味でして、たまたま真姫さんの潜在的な能力に目をつけた薫が洗脳…暗示をかけて一定の条件を満たした時にその能力を発現させるという仕掛けを施されていたんですな。しかし、その暗示は本人がオーヴァードであることを自覚したら醒める、という不安定なものでしかなかったわけです。

 でも、今はもうたっぷり活用させてもらったし、スリーパーの代わりも前の一件で確保した、ということをそのデータチップで教えていますよ。

 その代わり、というのは……前の一件でジャックに殺されかけた黒崎さんです。

早苗:「な、なにぃぃぃぃぃぃ?!黒崎さんがぁ?」

GM:と、ココで場面を変えまして…続いてUGN藍空支部で、真琴……あと、牧場さんもいる、ということならば一緒にお願いします。

真琴:黒岩さんはこっち側なんですよねぇ?

GM:そうですね。

 では、黒崎の指示で、藍空支部の主だったエージェントとイリーガルが藍空支部に緊急で集められます。が、呼びつけたはずの黒崎はそこにはいません。



 支部長室の執務机は、日頃から片付いている。

 しかし、真琴が見るこの日の机は、明らかに違っていた。

 いつ何時たりともそこに座っていたはずの『主』が、いないのだ。

 息を弾ませ、最後の一人である橋尾晃太が支部長室に駆け込んでくる。

 あたかもそれを見計らったかのような精緻さで、聞きなれたはずの声が、聞こえた。

 『藍空支部の皆さん。これは私からの別れの挨拶だと思っていただきたい』

 『別れ?』その言葉に、真琴の胸に不意に不安がこみ上げて来る。

 『あの日以来、生ける屍となっていた私がUGNに招聘されて9年―― 死者には過ぎた充実した日々ではありました。しかし、世界の裏側では『死者』が蘇るということも珍しくはない。

 私を生かしてくれた《あの人》の望みを受けて―― 今、私は蘇る……裏切り者の謗りを受けようとも、『不死のグリフォン』の名においてねッ!!』

 高らかに響く声―― それは、黒崎の決別の叫びであり、蘇生した者の上げる、『産声』であった。





GM:と、言うわけで―― 今回はここで終了します。いろいろと謎を散りばめる事になりましたが、次回が解答編になる、ということで御了承頂けたら有り難いです。

 ともあれ、ひとまずお疲れ様でした!

真琴:容疑が濃すぎる、と思ってたら、本当にそうだったとはねぇ。

 ―― だったら、調べましょう(笑)。何はともあれ、黒崎について殆んど調べていなかった以上、次回に不利益が働く事は否めんぞよ?



AFTER PLAY

GM:では、皆様お待ちかねの自律判定の時間です……が、問題があるのは牧場さんぐらいか(笑)。

真琴:そうですね。僕は110%でロイスは6個だし。

早苗:ロイス6個で114%ですー(笑)。

牧場:ロイスの残りが5個で、侵蝕率が127%ということは……期待値よりも上か―― 厳しいなぁ。

 ―― ここでちょっと『確率・統計』のおさらい。10面ダイスの場合、出目として用意されている1〜10までを合計しての平均値……《期待値》は一つあたり『5.5』。それを5倍したら『27.5』となります。この場合、牧場さんが静観するに必要な値は127−99=『28』以上なので、『27.5』には残念ながら足りませんね。

 しかし、活躍し、経験を積むごとにエフェクトによって上昇する侵蝕率も高くなる以上、出目を出せ!と言っても無理な場合がありますし、生還したいがために強敵相手に出し惜しみし、その結果全滅したら本末転倒です。

 だからこそ、それに対して用意された救済措置として……。

GM:じゃあ、倍振りでもしてみます?侵蝕率による経験点を放棄することで、自律判定の時に触れるロイスの数を倍に増やすことが出来ますよ?あと、それに失敗しても、全ての経験点を放棄することで、さらにロイスの数だけダイスを足す事も出来ます。

 この場合、倍振りならダイスの数は10で、経験点は『侵蝕率による経験点』……大体2・3ぐらいを差っ引いた3とか4ぐらい、それに失敗したら、全ての経験点も0になる代わりに、さらに出目に5個振り足せる、ということになりますね。ただし、倍振りなしで挑戦して失敗したら、振り足しは経験点を0にして5個振り足す、ということになりますよ。

 ――という救済措置も、用意されているのでした。

牧場:……普通にやりましょう。倍振りしてのたった3点ぐらいの経験点になったところで、別にどうでもいいし。

GM:ぎ、ギャンブルですねぇ(汗)。

真琴:大丈夫!0が三つぐらい出ればいいんですよ(笑)!

牧場:えっと……18の、27の……。

GM:げげッ!マジにいい目が出てるッ!!

牧場:合計は、33!はっはっはっ、楽勝!!

GM:本当に、今日は侵蝕率絡みではいい目が出まくってましたねぇ。

 ―― こーいうことはたまにあるけど……ダイスの神様って、相変わらず凄い事をしてくれるよなぁ(笑)。

早苗:こっちも成功しました〜。

真琴:問題なく成功です。

GM:では、皆さん……ひとまずお帰りなさい!

 今回でてきた謎については次回に続く、ということで―― お疲れ様でしたーッ!!

一同:お疲れ様でしたー!!



GMすがたけ反省会

 今回の緊急コンセプトは『出来るだけ短く』。

 そのため、『前編・後編』という形でシナリオを調整していたのですが、想定してなかった部分をプレイヤーが重視してしまったこともあり、誘導に失敗。修正もスカされて空回り……結果、黒崎の裏切りを半ば悟りつつもノーマーク、という事態に陥ってしまいました。

 まぁ、伏線大好き病のGMに振り回されたPC達には悪いけど、手に入れた情報を放置しておいたツケについては、次回のアドバンテージ、という形で活用させてもらおうかな。

 ―― それにしても……酷いGMだぁねぇ(苦笑)。



真琴:まさか、ここで牧場さんにスポットライトが当たるとは……。



 うひひ、これからもいろいろやりまっせ(笑)。




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