コラム〜『なぜなにダブルクロス』6・素晴らしき?世界(後)〜
黒岩賢介:今コラムの講師。
本人曰く「非モテキャラなんじゃー!」などと主張しているが、そんなパーソナリティの持ち主から文化祭で一本釣りなどという発想が出て来よう筈もないので、光の速さで嘘っぱちと断定されてしまう自業自得なジゴロライダー。
妬き餅焼きな妹君の心配の種は多忙すぎることによる健康面の不安に加えてその辺りにもあるので、世界のバランスという面も含めて少しは控えて頂けたらありがたいと思うが、いかが?。
黒岩真姫:今コラムの受講生。
賢介氏、そして賢介氏の友人曰く、『キュマイラピュアの方がキャラに合ってる』という性質を持っているとのことだが、モデルの方のHN、そしてぶっちゃけて言えばシナリオの都合上(ぶっちゃけ過ぎ)、索敵・諜報に長けたアニマルテイマー持ちのエンジェルハィロゥ×オルクスになってしまったお方。
また、兄君曰く、『質量兵器』と呼ばれる稀有かつ胸囲的……いや、驚異的特性をお持ちだが―――― い、いやッ!違う、違うでゴザルッ!拙者が言っておることではあり申さ……ぎゃー(断末魔)。
ディック・W・アーヴ:今コラムの受講生。
本人曰く、『逃げ足が欲しいからオルクスになったんだッ!自分で仕事したくないから<従者>使いのブラム=ストーカーになったんだッ!!』という……端的に言えば不良支部長。
しかも、<従者>もまた本体の特性をきっかりと受け継いでいるので、仕事のなすりつけ合いになってしまい、結局仕事をしこたまこんがらがらせた挙句に部下に回してしまうこともちょくちょくあるという、図らずも、実際のセッションではキャラは立てやすいものの、上司にするには激しく厭なキャラクターになってしまった。
アニマルテイマーで支配している動物は『タコ』だし……誰がこんなキャラにしたんだ、誰がッ(←じゃあ止めろ)!
橋尾晃太:今コラムの受講生。
GM曰く、『死にそうで死なねーんだよなぁ、こいつ』という、愛されてるのか、はたまた、いい加減、別のパターンで演出する頃合かなぁ、とタイミングを計っているのかGMにすらもよく判らないが、妙に美味しいキャラ。
最終エピソードも近いが、生き残って今後作成を予定しているNPCリストに登録されるのか、はたまたPCの心にだけ生きる存在になるのかは―― 残念ながら不明です。
UGN藍空支部〜情報部・オペレータールーム
カメラがオペレータールームを映し出す。
インカムを装着した数人のオペレーターとそれに倍するPCが並ぶ室内では―― 新米情報部員である黒岩真姫もまた、他の情報部員と同じく慌しくPCと格闘を続けている。
俯瞰で室内を捉えていたカメラが切り替わり、彼女をアップにした。
真姫:―― えっと、皆さん、こんにちは。黒岩真姫です。
今回は前回の『世界観』についての講義の続きとして“キャンペーンの身近な舞台”……つまりはメインの舞台となるこの『藍空市』についての詳細になる予定でしたが、前回の途中で、今回のキャンペーンでファルスハーツの日本支部長……都築京香さんが何らかの形で動いていることが明らかになりました。だから、医療研究班の班長のあにさまはもちろん、晃太くんのような戦闘部隊の中でも情報収集に動ける人達、逆に、ディックさんのように情報部の中でもある程度の単独行動が出来る人達を含めて藍空市の隅々を回って情報を精査している所です。
私もUGN藍空支部のオペレーターとして、藍空市の各地に散っている皆さんと連絡を取り合いながら、今までの真琴くん達が提出した報告にある情報を改めて確認していきたいと思います。
―― と、真姫のインカムに入電。
晃太:あー、こちら晃太っス。まずは警察情報の情報源として警察無線傍受してみたんスけど、あんまり有益な情報はないっスね。判ったことといえば、報道規制敷かれてるけど、このところ裏でこそこそ動いて悪さ働いてる奴と一緒に、そいつら張ってたらしい刑事が殺されてるって事件が多発してるってぇ事ぐらいっスね。
真姫:け…警察無線傍受って(汗)。
晃太:大丈夫っスよ。足つくようなヘマはしないっスから。
けど、都築京香を相手にするって以上、なんでも陰謀に思えてきて、結局何調べたらいいか判りゃしねぇんだよなぁ―― なんつーか、とっ散らかり過ぎててどっから片付けたらいいかわかりゃしない部屋に放り込まれたみたいな感じっスかねぇ?
ディック:(突然入電)ブリーフィングの最中に飛び出していったお前が悪いんだろーがッ!!
晃太:向こう見ずこそ俺の味ッ!!
ディック:開き直るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!
真姫:あ、あははははは……少しは見た方がいいんじゃないのかなぁ(大汗)。
ディック:まぁ、晃太みたいな悪い例は置くとして……情報収集パートでは、『どこで』『何を』『どのように』調べるというのをはっきりと述べておくことが肝要になって来るね。
結局のところ判定になるから、ということでその辺りのロールプレイを省略するのも一つのプレイスタイルかもしれないけれど、適切なロールプレイや捜査する内容の指定……特に、『どのように』の部分がGMの想像を大きく上回るものだったりしたら、判定の目標値もある程度の修正を得ることも出来るんだから、やって損はないだろうね。
という訳で晃太―― やり直し!せめて『ドッペルゲンガー』なり『マスターレイス』なりの情報に絞って調べるぐらいはしておくよーに。
晃太:へーい。じゃあ、とりあえずは『ドッペルゲンガー』に関する情報に絞り込んで拾ってみるっス(通信切れる)。
ディック:……全く、しょうがない奴だなぁ、あいつも。
真姫:でも、確かにキーワードを絞り込んで情報を収集するのとしないのとは大違いですよね。
ディック:まー、情報収集に限らず、TRPGというのは会話で進めるゲームである以上、会話するには最低限の要点くらいは押さえておかないとね。
それはそーと、コネとして持ってたFHの研究員を経由して手に入れた情報だけど、どうやら『マスターレイス』のところには、黒崎が持ち出したはずの真琴の<賢者の石>についてのデータは渡っていないらしいようだね。
それに加えて、“プロジェクト・ジュエルボックス”に対しての力の入れ方は『プランナー』と『マスターレイス』の間ではかなりの開きがあるようだし……その辺りから考えても、『プランナー』のグループと『マスターレイス』のグループには決定的な溝があるのは間違いないみたいだね。
じゃあ、続けて<裏社会>のコネを使って『“プロジェクト・ジュエルボックス”』について調べてみるよッ!!
真姫:はい、ではお願いしますねっ♪
……って、『藍空シリーズ』での<情報:裏社会>の情報源って確か……『BAR雁の巣』―― 。
ディック:じゃあそーゆーことでッ(通信切れる)!!
真姫:ディ……ディックさーんッ?!
電話の向こうの賢介:まー心配しなくても大丈夫だろ。ぶらざーは下戸だし、『雁の巣』の二代目マスターも、そうそうナンパされるよーな人じゃないし。
真姫:い、何時の間にッ!?
賢介:ん?電話ならぽぷら(《アニマルテイマー》によって端末になった、黒岩家の飼い猫)が取ったぞ。
ぽぷら:・w・ミノシ にゃあ♪
真姫:……ぽ、ぽぷら?何時の間にそんな器用な子に(汗)?
賢介:それはアレだ……ネームレス以降の《アニマルテイマー》使いの基礎技術だ(どきっぱり)。
―― そんな事実はありません(笑)。
賢介:それはそーと、このようにDX2では本来情報収集の内容ごとに舞台の中の特定の場所を指定する『情報収集マップ』という方式を採っている。
特定の場所を指定して情報収集を促すという方法は、どうしても押し付けられているという感を与えてしまいがちになるから、普通のTRPGで見られるような会話で得た情報を基に『自分で判断を下して』その場所に向かう、というフレキシブルなプレイには向かないという難点はあるな。
事実、GMやPL達がそんな『普通のTRPG』に慣れていたこともあって5話までの藍空シリーズでも採用はされていなかったようだけど、プレイの際に情報の入手先をあらかじめ提示することによって、『情報量が少なすぎるために、シナリオで想定していない方向に向かってしまう』ということはかなりの部分避けられる、と言う訳だ。
真姫:……えっと、それはどうして?
賢介:DX2では、シーンに登場するたびに侵食率が上がっていくというリスクを背負ってしまうだろ?だから、情報収集で効率よく動かなければ、ミドルで戦闘したというわけでもないのに、事件を解決するために必要な情報を手に入れてクライマックス・フェイズに入る頃には侵食率が100%を超えてしまうという危険性も出てくるんだ―― これは藍空シリーズに限ったことではないけど、余程考えてキャラを作らない限り、実際のプレイでは情報収集を担当する人員が実質一人だけという状況はかなりの確率で起こり得るからな。
真姫:確かに戦闘能力を重視したら、【社会】の能力値はどうしても低くなりがちですからね。
賢介:その情報収集を行うキャラが情報収集にエフェクトを使用するようだったら尚更だ。
だからこそ、その危険を避ける最も有効な手段として挙げられるのが、さっきぶらざーも言っていた『適切なロールプレイによる目標値の修正』と今挙げている『情報収集ポイントの指定』による効率良い情報収集になるんだ。
そして、その『情報収集ポイントの指定』の発展型として、ロイスを頼るというやり方もある。
真姫:ロイス……ですか?
賢介:そう。特に、シナリオロイスは個人だけではなく、シナリオのキーとなる集団名や暗号名、重要アイテムや土地すらもロイスになるから、そのロイスそのものや、それに関連した人間を調べることでGMの用意したストーリーを読み解き、自分達なりの解を出すキーワードとして活用することが出来る。
ただし、個人のシナリオロイスに対して言えばレネゲイドに対してのある程度の理解というか、耐性があるか否か、というものも問われるがな。もし万が一そういった事情を知らない者を情報源として活用しようとした場合、恐怖から即座に関係を断たれ、折角のロイスがタイタス化してしまうこともありえるから、注意しないといけないな。
まぁ、ぶっちゃけて言えば、俺達のようなUGN関連のNPC連中が今こうやって情報収集しているのも、関係をこじれさせることのないロイスやコネとして頼られることを前提としているんだけどな。
真姫:……あ、あにさま……またそーいうメタな話を(汗)。
賢介:それはそれとして、だ。GMによってはロイスにも人間関係の拡がりが設定されている場合があるということを意識してもいいな。例えば俺は真姫との間に兄妹という関係があり、ぶらざーともUGNアメリカで知り合っている……そんな人間関係の繋がりをつついていけば、PCから見たら関係の薄い方面の情報源とも繋がりを作ることも出来る―― こともある。
真姫:『こともある』程度なんですね。
賢介:ああ、あくまでガチガチの設定馬鹿なGMだったらありえる話、というだけだから、あまりおおっぴらにはお勧め出来ないやり方ではあるな。しかし、挑戦してみるのも悪い話じゃない。
別に難しい話じゃない。GMに「このNPCは○○の関係者だから、これこれこういう方向に関係を持っていませんか?」と聞くだけでいいんだし、GMが却下したらしたでまた別のやり方を考えればいいだけのことだからな。
また、ロイス活用の応用としては、最初から情報源として活用することも見越して、初期ロイスの職種や携わっている分野を幅広く設定するというやり方もある。
特に、背景設定を大雑把に決める程度に留めて、GMがシナリオに絡め易くする余地をしっかりと残しているオリジナルの初期ロイスは、有力な情報源となるだけでなく、何度かシナリオに絡むことによってキャンペーンを進める上での大きなモチベーションとなったりすることもあるからな。
真姫:ゆう菜さんや晃太くん……あとは、牧場さんの親友の武田さんもその典型例ですよね。
賢介:そうだな。そういったキャラクターを重要な位置に配置し、シナリオに絡めていくこともまた、GMの楽しみの一つであり、プレイヤーも自分のキャラクターとの間にロイスという名の強い絆を持つキャラクターがシナリオに深く関係することによって、より強く感情移入し易くなる。それが、このダブルクロスというRPGの面白いところだな。
真姫:なるほどー、だからこそ、ダブルクロスは絆のRPGと呼ばれているわけなんですね。
賢介:そーいうこと。
ただし、さっきも言ったけど、あくまで俺達オーヴァードが全てを明かすことが出来るのは、余程の場合を除いて同じオーヴァードだけしかいないということは忘れちゃいけない。俺達の心はどうであれ、俺達のこの力は一般人からしてみたら、ただの化け物のものでしかないんだからな。
GMもプレイヤーも、その辺りを踏まえた上でプレイすることが望まれる、ということは頭に入れておくべきだな。
真姫:……判って、います。
賢介:じゃあ、納得したところで俺からの報告だ。
UGNアメリカ時代に知り合った<賢者の石>の専門研究員に今までのデータを送って真琴の<賢者の石>について洗いなおしてみたんだが、一つ面白いことが判ったぞ。
<賢者の石>は大雑把に言えばレネゲイドに対して『結合・吸収・増幅・解放』という作用をもたらす特性を持っていてな……その中でも、今までの真琴の<賢者の石>は結合作用の方が突出して高かったんだ。
だからこそ俺も、真琴の<賢者の石>が純度を増せば、真児のように過剰にレネゲイドウィルスの侵蝕を受けていても、比較的安全に過剰侵蝕したレネゲイドウィルスを結合吸収することが出来るかもしれないとは言っていたんだが、この間の小野寺薫達との一件で内海の<賢者の石>を吸収したことによってだと思うんだが、解放作用についても特に高い値を示しているらしい。
あの時……何があったかは、覚えてるよな?
真姫:薫さんについての世界規模での記録の抹消と、それに伴う記憶の混乱、ですよね?
賢介:そうだ。で、それによく似た事例が、UGN的には表沙汰にはされていないが、日本支部でも二件報告されていたんだ。
真姫:(紹介されたリプレイを読みながら)なるほどー、無印の方は知ってましたが、その後にもこんな事件があったんですね……って、あれ?そう言えば、『世界の支配者』さんが起こした事件って、『藍空シリーズ』の時間軸で考えたら、矛盾が―― 。
賢介&GM:わすれろ〜、忘れろ〜!!
真姫:す、すがたけさんまでですかッ?!Σ(゚ロ゚ノ)ノ
GM:GM力貸しますから忘れて下さい、お願いしますorzハハァーッ!!
真姫:……わ、わかりました。判りましたからそんなにかしこまらなくても(おろおろ)。
賢介:そんな迷惑な力を与えるなーッ(めごしゃ)?!
GM:GM力もなければオルクスでもないのに、時空を捻じ曲げて攻撃しないで頂きたい(だくだく)。
確かにこのゲームって、射撃攻撃に明確な射程はないから、普通に投げたナイフやら石やらを上空500mにいる敵にも命中させることも出来るけど、視線通ってないところに攻撃とか時空曲げて攻撃ってのは、オルクスじゃない限り流石に無しだから(吐血笑)。
賢介:……よくよく考えてみたら、本当にまっとうなように見せかけて凄いトンデモRPGだよな、DXって。
GM:まったくだ。
真姫:……ところであにさま―― 『迷惑』って?(にゅっふり)
賢介:い……いやッ!そ、それは―― そうそう、GM力で情報を得たとしても結局はシナリオの都合と照らし合わせて封印しなけりゃいけないんだから情報部員としてはそんな力持ったところで迷惑極まりないというかなんというか……スイマセンでしたッ!!(ジャンピング焼き土下座)
GM:……で、電話の向こうだというのに……器用な人だ(笑)。
と、それはいいとして……今回貸与するGM力は、登場人物それぞれがいるところにぽぷらを通して映像も含めて相互アクセス出来るようにするGM力―― 言うなれば《ハンドリング》と《天使の外套(本来は像を変化させることにより、任意の姿に変装する事が出来るエンジェルハィロゥのエフェクト。しかし、像を作り出すという点を抽出して演出すれば……)》を演出利用して相互にホログラムを作り出すようにした、3DTV電話のようなものですので、ご活用くだされば幸いです。
ボケ&業務連絡は以上です。それでは〜。 ノシ
―― GM、退場。
真姫:はい、お疲れ様です♪
それでは早速―― まずはあにさまのところを見たいけど……ディックさんのところの方が先かな?
新宿副都心〜BAR雁の巣/情報:裏社会
登場ゲスト:『雁を継ぐ者(ギース・セカンド)』橿原七瀬
四方を高層ビルに囲まれた、雑居ビルの屋上―― 天を照らす月の他にはこのBARの存在を知る者は少ない。
それもそのはず、このBARは、曰く、国内最深の裏社会の入り口。曰く、国内最高の情報屋。曰く、国内最強の殺し屋を斡旋する、国内有数の武器ブローカー。
即ち、この国のダークサイドの入り口としての顔を持つBAR―― 雁の巣。それが、この店の名だ。
年の頃は二十代半ばを過ぎたか過ぎぬ頃だろうか……長く美しい黒髪を持つ女性が、レコードに針を落とす。
ひっそりと目立たぬこの店の佇まいによく似合う、しっとりとしたジャズナンバーが流れ出した。
七瀬:はじめまして、雁の巣へようこそ……UGN藍空支部の、黒岩真姫さんですね?
私が店主の橿原七瀬です。宜しくお願いします(一礼)。
真姫:えっ?!あ、はい、はじめましてっ?!あれっ?!自己紹介した覚えはないんだけどなぁ。
七瀬:―― ごめんなさい。驚かせてしまったようね。こんな商売をしていると、大抵の情報なら揃ってしまうから、つい…ね。
お連れの方なら、こちらのカウンターにいらしてますよ。
指し示す先には―― 瓶に入った牛乳を前にしたまま、カウンターに突っ伏すディック。
ディック:……。 _| ̄|○
真姫:えっと―― ディックさん?
ディック:そーだよなー。ナンパ師は俺のキャラじゃないからなー。むしろぶらざーのキャラだよなー(うつろ)。
七瀬:大丈夫ですよ。店に入ってくるなり「情報を生業とするもの同士、僕達はもっと判りあうべきだっ!!」なんて言って飛びかかってきたから、ちょっとウォッカを飲ませてやっただけだから(さらり)。
……しかし、情報通りとは言っても、ウォッカ一杯でこれだけ酔っ払える人も珍しいわね。
真姫:(うわぁ)
七瀬:という訳で、この『雁の巣』で情報収集を行った場合、<情報:裏社会>を筆頭にして、質量共にかなりの情報が入手出来るわ。ただし、組織によっては特に極秘としている情報もあるから、そこに対する情報は当然ながら入手し難くなるわね。
特に、<情報:学問>については取り扱う情報の質が違うこともあって、入手出来る情報の確度はどうしても低くなりますから、そこには注意しておいて下さいね。
◎=情報:裏社会/軍事/ウェブ
○=情報:噂話/警察/報道
▲=情報:UGN/FH
×=情報:学問
※◎=出目に+修正(大) ○=出目に+修正(小) ▲=修正なし ×=出目に−修正
真姫:ディックさんも言ってましたが、場所によって差が出るものなんですね。
七瀬:情報マップの場所によって情報の確度に差をつける、というやり方そのものはこの世界のGM独特のやり方のようですけど、情報収集の適切な判断に対してはその程度のボーナスやペナルティはあって然るべきですからね。
それともう一つ。ここでは一般装備品の中でも『武器』『防具』に属するアイテム、それに加えて『応急医療キット』『暗視ゴーグル』といった、戦闘に何らかの関係を持つアイテムの購入判定も行うことが出来ますよ。
真姫:えっと、購入判定って……?
七瀬:アイテムデータの<購入>欄に記載してある数字を達成値として、アイテムをそのセッションに限って入手するための判定のことです。
こちらも商売だから、残念ながらこの判定の達成値に関してはボーナスを与えることは出来ないけれど、その分、品質に関しては保証しますよ?
真姫:次以降のセッションには持ち越せないんですね。
七瀬:そうですね。
アイテムを常備するには固定化ポイントを支払わないといけないけれど、それなりのアイテムを常備するためのポイントを確保するには、やはりそれなりの【社会】と<調達>が必要になって来ますからね。
でも、購入判定で入手したアイテムを受け渡すことは出来るから、ここで情報収集をするついでに在庫を確認することも、悪いことじゃないですよ。
あ、でもカクテルは判定の必要なくいくらでも召し上がることが出来るから、次は端末ではなく、本体でいらして下さいね(浅手の皿に温めに温めた牛乳を注ぎながら)?
実はザルの真姫:あ、あははは。そんな事まで情報に入ってたんですか…………すがたけさん、うらみますよ?
―― ぎくり。
『雁の巣』で出会うことの出来るNPC
『雁を継ぐ者』橿原七瀬(情報屋/バーテンダー) ノイマン×オルクス
ボウタイとサテンのベストで決めている『雁の巣』の二代目店主。
『ゼロ』(暗殺者/暗殺者) ノイマン×ブラックドッグ
夏でもトレンチコートを羽織った男。体温ゼロ・感情ゼロ・痛覚ゼロ―― 故に『ゼロ』と呼ばれる殺し屋。
『ドクター・トゥモロウ』粕羽明日郎(医師/うだつの上がらない医師) モルフェウス×ハヌマーン
拠れた白衣を纏った青年。報酬次第で、たとえ犯罪者であっても治療する裏社会の凄腕外科医であり、元殺し屋。
ダウナー気味に酔ってるディック:_| ̄|○ ………………『雁の巣』のネットワークから手に入れることが出来た“プロジェクト・ジュエルボックス”の情報だけど、その大元になっているのは、旧軍時代、ナチスからの技術供与で行われた超人兵士計画で、その研究の中心になってたのが、牧場草市博士という人物なんだってさ〜。
判ったのはこれだけー、ゴメンね〜(Zzz)。
真姫:牧場博士、ですか……あにさまのところで調べてみたら、何か詳しい情報が掴めるかもしれませんね。
ディックさん…それに、七瀬さん、ありがとうございましたッ(退場)♪
七瀬:行ってらっしゃいませ(笑顔で一礼)。
藍空市学園台〜私立藍空大学/情報:学問
登場ゲスト:『福音の頭脳(チャペル・ブレイン)』アル=ボーエン
チョークが黒板を叩く音。
時折遠慮がちに上がる咳払い。
わずかな冷気を伴う石造りの床を打つ高い靴音。
そして、この空間で唯一高く響くことを許された、青年のよく通る声。
ホールに響く声の主―― 短く刈り揃えた亜麻色の髪とハシバミ色の瞳を持つその青年と、席についたまま青年の一挙手一投足に注視する者達の関係は、さながら宗教家とその教えを乞う信者の如くに見えなくもない。
だが、その喩えは大きく外れてもいない。
見るものを魅了し、捉えて離さない神託にも似た言葉に、その一つ一つに意味を持つかのような所作。そして、瞬き一つ、しわぶき一つを惜しんででも彼の言動全てを自らのものとしようとする、憧憬と崇敬の色を含む視線と意志が、ホールの大半を支配する静謐とあいまって、彼に強いカリスマをもたらしていることに違いはないのだ。
「…―― それでは、今日の講義はここまで」
青年―― 弱冠二十歳でありながら数々の博士号を有する藍空大学医学部教授・アル=ボーエンの言葉と共に、刻を告げる鐘の音が鳴り響いた。
賢介:……相変わらず、講義では人気者だな?
アル:そりゃあ僕は人類の誇る超天才だからな。僕の講義を受けることで僕の頭脳に秘められた叡知をごく一部とはいえ目の当たりにし、僅かなりとも身につけることが出来るんだ。それまでの20年近くの人生をただただ浪費し続けてきた凡人どもにしてみれば、それまでの生活では手が届かなかったであろう至宝に触れることが出来るようなものなんだから、僕の講義に受講生が集まるのも当然のことだろう。
賢介:…………この口さえまともだったら、もっと友達付き合いも出来るんだろうけどなぁ。
アル:天才とは孤独なものなのさ。
それはそうと、どうした?
賢介:ちょっと判らないことがあってな―― 宇宙一の天才様のご意見とやらを伺いに来た。
アル:いや、それは構わないが……いくらお前が人類有数のシスコンだとは言え、オプションパーツのように妹を引き連れてやって来るのは流石にどうかと思うぞ?
賢介:誰がシスコンだ……って、うぉッ?!
真姫:こんにちはー。ノシ(←手を振っている)
賢介:い、今さっきまで電話に出てたよなッ?!だって……ホラ(携帯端末操作)
電話越しの真姫:それはぽぷらですよ、あにさま♪
ぽぷら:(GM力による強化ホログラフを解いて)・w・ミノシ にゃあ。
真姫:すがたけさんから貸して頂いたGM力で、何時でも何処でも登場出来るようにして頂いたんです。しかも、ホログラフがバリアのような力場を帯びているから、一般の人にもバレないそうですよ。
賢介:―― 理屈は判った……でも、急に来られると心臓悪いから映像はなしにしてくれないか?
ぽぷら越しの真姫:でも、映像があった方がわたしもあにさまの姿が見れて安心しますけど(小首かしげ)?
賢介:(///×///)ゞ
アル:…………気は済んだか、シスコン(ジト目)?
賢介:シスコンについては全力で否定したいが……ひとまずはやり遂げたぞ。
―― その言葉と共に賢介、手にしていたノートPCを起ち上げる。そこに示されるのは、纏められた<賢者の石>の研究データの数々。
アル:―― <賢者の石>、か。これはお前達UGNの専門じゃないのか?
賢介:本来なら、な。
だが、俺達UGNにしても解明出来ていない部分が多いことには変わりないからな。不明確な命題を解明するには、多種多様の視点からの考察が最も有効―― 外部の知恵を借りるのも一興、という訳だ。
その点、ここ藍空大学がそうであるように、大学という場所はこういった外部の知恵を借りる場合には最適の場所だからな。
アル:言えているな。UGNの専門家だからこそ見えてこない角度からも学者の目からすればまた違うイメージと方向性で捉えることが出来る可能性はあるからな。ましてやレネゲイドの謎に対して、UGNがタブーとしている領域からでも学術探究心と無知と無自覚という強力な武器で以って切り込むことが出来るというのは、意外性のある知恵を借りる場のみならず、シナリオを作る上でも事件の発端の有力な場所として活用することも出来る。
賢介:そうだな。特に、大学病院までを含んだこの藍空大学やルールブックに用意されている国際環境情報大学のような総合大学というものは、出入りする人間の多種多様さを加味しても、舞台として登場させることはシナリオを進めるためのキャラを配置する上でも悪い選択ではないな。
◎=情報:学問/噂話/ウェブ
○=情報:警察/報道
▲=情報:UGN/FH
×=情報:軍事/裏社会
※◎=出目に+修正(大) ○=出目に+修正(小) ▲=修正なし ×=出目に−修正
アル:他にも、直接情報収集に入るのではなく、ワンクッション置いて<知識:○○>などの適切な判定を行う事で、関連した情報の判定にボーナスを得ることも出来る、ということも覚えておいた方がいいテクニックだな。
幸い、ここには僕や賢介をはじめとした、名だたる才能の持ち主が何人もいるからな。知識判定でその人物に行き当たることが出来れば、持ち込まれた謎や疑問も氷解する、というものさ。
『私立藍空大学』で出会うことの出来るNPC
『福音の頭脳』アル・ボーエン(大学教授/大学教授) ノイマンピュアブリード
白衣の下は年齢に見合ったラフな格好が多い青年。尊大ではあるがその頭脳と心臓外科をはじめとした外科術手腕は比肩するものがない、自称『宇宙一の頭脳』の持ち主。UGNのイリーガルでもあるアメリカ人。
『魔法の手(マジックハンド)』沢渡優人(研究者/医療技師) シンドロームなし
基本的に白衣の下にはストライプのネクタイと白いYシャツ、時折ベストを羽織る程度という、さほど衣服には気を使わない男。高い技術を持った外科医であり、技術者。オーヴァードではないが、レネゲイドに対しての見識は一定以上持っており、ルールブックにある『義肢(「DX2」P225)』をゆくゆくは一般人にも普及させることが出来るよう、日々研究・改良を重ねている。
『不可思議教授(プロフェッサー・アンノウン)』御手洗辰巳(セルリーダー/非常勤講師) ノイマン×ソラリス
王室御用達の三つ揃えを隙なく着こなす、紳士然とした初老の男。特に動物行動学に優れた著述が多い世界有数の昆虫学者ではあるが、齢50を過ぎたその年齢に似合わず、専らフィールドワークを中心にこなしているため、めったに講義を行うことはない。なお、彼が帰国している期間、藍空市近辺のFHの活動は非常に統率が取れている、という情報もあり、UGNの中には彼とFHとの間に何らかの関係性があると見る向きもあるが、現時点では関係性は立証されてはいない。
賢介:そこまでここでの趣旨が判っているなら、早いとこ意見を述べてくれ。急かすようで悪いがこっちとしても緊急だから、なるだけ時間は掛けたくないんだ。
アル:そういうことなら、この間起きたデータ異常をはじめとした事件と賢者の石の関連性についてのごく簡単な仮説に留めるぞ。
J・E・ラブロックが提唱したガイア仮説というものがある。地球と太陽系の他の星との差異を挙げつつ、地球を一つの生命と捉える仮説なんだが……その『地球の生命活動』の一つに、地表と大気の電離層との間で常時7.8MHz近辺という低周波の電磁波を交換する、シューマン共振というものがある。
このシューマン共振による電磁波を地球の脳波だ、と提唱する学者も存在するんだが……ほんの一瞬だがこの電磁波が一万倍近くまで跳ね上がったという事例がごく最近観測された……それが―― 。
真姫:そのタイミングが、データ異常事件と重なる、というわけですね?
アル:そういうことだ。
それでここからが僕の推論だ。本格的に調べないとなんとも言えないが、賢者の石とはもしかすると地球そのものとアクセスするための媒体なのかもしれないな。
賢介:(言えない……こいつに『真姫が賢者の石の適合者』だなんてことは、絶対に言えない)―― 聞けば聞くほど、ARMSの世界だな。
アル:当然だろう?僕がこうして出演してるのも、この藍空シリーズがARMSを下敷きにしたキャンペーンだというのもあるんだからな。
賢介:まったく……卵が先か、ニワトリが先か、どっちが先かは知らないが、オフィシャルのシナリオとはいえ、ここまで脱線したキャンペーンらしく、オリジナリティは出して欲しいものだな。
―― 大きなお世話様である。
真姫:あ、そういえばあにさま……一つ調べたいことがあったんですが―― 牧場草市博士って、知っていますか?
賢介:牧場……草市?牧場というと……もしかして―― ?
アル:知っているも何も、この大学の医学部の名誉教授だった人だぞ?三十年以上前に死んでいるがな。
賢介:いや、俺達的にこの「もしかして」はそっちの意味ではなくてだな……。
アル:判ってはいる。しかし、世界意志が言うんだ―― いくらバレバレだからと言っても、ここでのネタバレしすぎは駄目だと。
賢介:おいそこッ!!あんまりメタなことは言うなッ?!
アル:という訳でこの話題はここまでだが―― シナリオ内で提示された情報は、一見して関係なさそうであっても調べてみると意外なところで繋がる可能性はあることは間違いない。
システムの特性上、他のRPGと違って罠発見や解除よりも情報収集がメインとなるDX2をより一層楽しむためにも、情報収集で得た情報はある程度出揃った頃にもう一度精査してみる、というのは、悪いやり方じゃないな。
まぁ、戦闘重視のシナリオを志向する場合には、情報の数や謎は極力抑え目にして、その分プレイヤーの思考を戦闘に傾注させるというやり方もあるから、あらかじめ「今回は戦闘重視で行く」「今回のキーワードは『ロイス』です」というように、開始前にシナリオの傾向を宣言しておくのが、GMとしては賢いやり方だといえるな。
??:へーい、了解っス。
アル:……なんだ、この聞くだけでおバカだということだけは直感できる声は?
真姫:……って、晃太くん?!どうして声だけでッ!?
賢介:―― あ、携帯か。そういや真姫のところに掛けっぱなしだったな(ぴっ←携帯を切った音)。
改めて賢介の携帯に掛け直した晃太:切るなぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!!
そんなに俺の侵食値を無駄に増加させて、ジャームにしたいのか、アンタはぁぁぁぁぁぁぁぁッ!
賢介:悪いな……わざとに決まってるじゃないか(爽笑)。
実は《タッピング》で無線傍受しながら話を聞いてた晃太:なお悪いわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
アル:……なんと言うか……晃太、だったか―― こいつが絡んだとたん、急に活き活きしだしたな(汗)?
真姫:ええ、あにさまにも困ったものです(溜息)。
晃太:ぜー、ぜー……そ、それはそーと、さっき言ってた『一度得た情報をもう一度精査してみる』ってので、一つ面白いことが判ったから、ちょっと裏取りに行ってくるっス。さしあたってはその報告ってことで―― じゃッ(携帯切れる)!!
アル:……慌しいヤツだな。
真姫:あはは……まぁ、あの元気が晃太くんのとりえですし。
賢介:一歩向こうのただの暴走バカ、という可能性は否定出来ないがな―― それにしても、何をしでかすか心配だな
真姫:大丈夫ですよ、あにさま。心配しなくても、わたしが様子を見に行きますから―― 。
賢介:……でも、だからと言って真姫が様子を見に行くのもなぁ。
アル:そうは言っても……もういないぞ?
賢介:ちょっ!ちょっと待て、真姫ッ!!あんなヤツのところに一人で行くなんて自殺行為、そもそも誰も許さんが、特に俺は許さんぞッ!!
アル:すまない……お前からシスコンを否定出来る材料が、全くない。
藍空市郊外〜住宅街近辺
登場ゲスト:『怜悧なる白刃(クリティカルエッジ)』武田信晴
涙川河川敷―― 東京23区側から伸び、藍空市を貫く幹線道路を一つ折れた、住宅街へと繋がるこの道を、一台の黒塗りの車が静かに進んでいた。
秋の近づく空はその色を目まぐるしく朱から藍、そして群青へと変化させ、黒塗りの高級車を闇へと溶け込ませようとする。
包み込もうとする闇色に抗うべく、ヘッドライトがその役割を果たす。
そして、ハンドルを握っていた警視庁警視正・武田信晴は、闇に溶け込んでいた道の真ん中に蹲る『何か』を見出した。
武田:……これは―― マネキンか。
その呟きと共に、武田の前に転がっていたマネキンが急速にその形を崩し、砂となって風に流れていく。
晃太:どーも、はじめまして―― 『警視庁処刑課』の武田……信晴さん?
武田:……?!(ドンッ!←振り向き様に抜き打ちで拳銃を撃った)
眉間に銃弾喰らった晃太:問答無用で銃撃つなよ警察官僚ッ?!
武田:この場合、いきなり背後を取ってあんなことを言う奴の方が問題ありだ。
ましてや、俺が『処刑課』の人間だということを知っているオーヴァードだったら、尚更だ。
晃太:ま、それもそっスね。勘弁、勘弁。
特に、処刑課のメンバーが立て続けに殺されてるよーなタイミングだし、ピリピリすんのもしゃーないっスよね。
武田:……何故、それを知っている?
晃太:いろいろと調べたんスよ。殺された警察官の通信履歴にその殺された手口……一緒に殺された奴らの殺され方も含めてね。
で、気づいたんスよ。蛇(セルピエンテ)の暗殺者・ドッペルゲンガーの手口……あえてその得物を幾つも用意した上で、一箇所に固めた挙句に嬲り殺すって胸糞悪いやり方と、このところ続けて起こっている殺人事件が奇妙に一致してるってことにね。
武田:そうか……そこまで調べ上げたか。
晃太:ま、アンタのトコにまで辿り付いた経緯ってのは、ドッペルゲンガーについて調べてたら、偶然そっちの方向に話が転がったってぇのがホントの話なんスけどね。
で、ドッペルゲンガーに網を張りたいUGNの一員として一つ提案なんスけど……。
武田:―― 共闘、か?
だったら、まず礼儀というものを身につけてくるんだな?裏の社会には裏の社会也のルールと礼節がある。それを無視して手を組もう、というのは通じないぞ。
晃太:…………。
武田:まして、他人の生命を奪うこともある以上、軽率な行動は生命取りになってくる。そんな俺達がお前のような軽率さを剥き出しで歩いているような奴と手を組むことは出来んな。
こちらも撃ったことだし今回限りは礼儀知らずについては不問にする。礼儀を学んでもう一度来い。
晃太:…………スンマセンした。じゃ、また今度―― 。
武田:ああ、また今度―― お互いに、生きていればな。
――車に乗り込み、武田、退場。
その他『藍空市』で出会うことの出来るNPC
『怜悧なる白刃』武田信晴(ネゴシエーター/警察官僚) シンドロームなし
公安警察の中でも警察官の犯罪を取り締まるセクションにある、所謂『キャリア』。ただし、その裏では法の網目を掻い潜って悪事を働く者達を狩る組織『警視庁処刑課』のリーダーとして暗躍している。
『ジーザス』藤沢真吾(暗殺者/新星高校日本史教師) エンジェルハィロゥ×ノイマン
既製品のスーツとレンズの厚い黒縁眼鏡を身につけた三十前後の教師。しかし、一度裏の世界に回れば数々の伝説と共にその名を轟かせた暗殺者としての素顔を見せる歴戦の戦士。
『イージスの楯』楯雁人(ボディガード/ボディガード) ブラックドッグ×ノイマン
幽鬼を思わせる黒いコートと黒いスーツの下に、鍛えられた肉体とマグナム弾をも容易く弾き飛ばす鋼鉄の右腕を隠し持つ『護り屋』。
真姫:―― えっと……晃太くん?
晃太:……心配ないっスよ。自分で言うのもなんスけど、落ち込むようなタマじゃないっスから。ただ単に、何時までも礼儀も何もない『チルドレン(ガキ)』のまんまじゃいられねぇ―― あの人には、そう教えられただけっスよ。
つー訳で、来てもらってそうそうで悪いっスけど、暫らく一人にしてもらっていいスか?
呟きの中に悔しさを滲ませる晃太の求めに応じ、ホログラフを消す真姫。
ぽぷら:にゃあ ノシ
河川敷に一人残され、こみ上げる悔しさに星空を見上げる晃太を見守るのは、接続を解除され、ただの仔猫となったぽぷらだけであった。
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