コラム〜『なぜなにダブルクロス』8・彩られる物語〜




黒岩真姫:今コラムの受講生。


「寒い時でもおこたとみかん。あとあにさまが一緒なら満足なのです」という……実に甘え猫な性分の持ち主。


 あんまり甘えすぎてると、こーしてネタにしちゃうので……ネタに詰まり易い書き手としては大変ありがたいです。どしどしやってください。


黒岩賢介:今コラムの講師。


 妹に甘えられる時が最も心安らぐ時だ、と真顔で断言しちゃえるぐらい完膚なきまでに妹魂


如何に本人が「妹魂じゃないッ!!」と否定しようとも、傍から見たらじゅーぶん妹魂なので、それをネタに弄られるのは最早お約束である。


 つーかさ……もう受け入れちゃおうよ。きっと楽になるよ(笑顔)?


ディック・W・アーヴ:今コラムの受講生。


 恐らくは賢介氏の日頃の言動を最も弄っているであろう人。もー、ぐりぐりといぢってます。


 ただし、本人の言動もまたネタ芸人レベルのネタっぷりであるため、お約束の如くに相打ちになってしまうこともしばしば。傍から見たら楽しいことこの上ないけど……やっぱ義兄弟だ、アンタら。


橋尾晃太:今コラムの受講生。


 「前回のコラム、そして黒崎の死を経て人間的に成長した」とは本人の談。


 しかし、お約束大好きなGMが管理するNPCがそんな事を言ってしまっては、星空に笑顔を浮かべ、流れ星とともに消えなければならなくなってしまうことは明白!ましてや、最終回間近で、尚且つ『PC@の親友』というポジションでそんな事を言っては、その危険度は1.25倍に跳ね上が……あんまり変わんねーな。


 降りかかる危険を回避するためには、キュマイラピュアの満力と張り合って夕焼けに染まる河原で鼻血が出るほど殴り合い、友情を確かめ合うぐらいはせねばなるまい……どの道死んだな、こりゃ(合掌)。





賢介&ディック&晃太:なんだ、この紹介文はーッ(一同絶叫)!!


真姫:あああ……皆さん、落ち着いてー(あたふたあたふた)!


賢介:大丈夫、落ち着いてるさ……しかし、昔から言うじゃないか―― ものには限度があるって(怒筋笑顔)。


晃太:『限度についちゃ他人の事言えねーだろーが、アンタも』―― って、ちょっと待てGMッ!!俺を使って代弁すんなッ!!


 確かに賢介せんせーはいい加減にしろって言いたくなるぐらいおねーさん食い散らかしてるけどッ!!つか、少しはオレにも回してくれよ、ジゴロドクターッ(卓袱台錬成&叩き)!!


賢介:だから捏造すんな―― ッ(惨殺)!!


晃太:ギャースッ(死亡)!!


ディック:晃太……いくらなんでもそれはあまりに正直すぎるぞ(汗)。


賢介:……ぶらざー(イイ笑顔)?


真姫:まったくもう……ほら、皆さんこれでも食べて落ち着いて(溜息)。





 落ち着かせるには甘いもの―― それに加えて時節柄というものもあって供されたのはトリュフ仕立てのティラミス。手間は掛かるけど、手間の分だけ美味しいですよ。





《リザレクト》で蘇生した晃太:これはアレっスねッ!オレに対する愛のあか……ギャースッ(再び死亡)!


再度惨殺した賢介:何だ愛だ、何がッ!?義理に決まってるだろうがッ!!


真姫:ああッ!?晃太くんが横島くん(@『GS美神極楽大作戦!!』)ばりの愉快な死に姿にッ!?


一緒に惨殺したディック:はっはっは。身の程を弁えろ、ということだ……(ばたーん!)。


真姫:……ディ、ディックさーん?!


ディック:ぱ〜んち、どらんか〜、刹那〜主義(へべれけ)♪


賢介:……真姫……酒、入れた?


真姫:えっと……生地にカルーアとアマレット、それとグラッパを少々というか、多少というか、多々というか……ちょっとわたしの好みに合わせちゃったのは否めません。・w・ミ;


賢介:そ…そうか。


 それにしてもぶらざー……ここまで弱いとは(汗)。





 本来『ティラミス』とはイタリア語で『ハイにして』『天国に連れて行って』という意味を持つ言葉――しかし、教室には半死人一人と死人が一人……ハイテンションはまだしも、天国にはほど遠い……地獄絵図の出来上がりであった。





賢介:ま、まぁ講義に入るとしようか(汗)。


 今回は『演出』についてだったな。


真姫:何事もなかったかのように放置しないでください、あにさま(ジト目)。


賢介:……大丈夫、気にするな。


 こんな状態から何事もなかったかのように復活するのもまた、今回の講義の主題である『演出』の一環といってもいいんだからな。





 賢介の言葉とともに、錬成したタオルで大量の血を吹き吹き起き上がる晃太と、一度大きく痙攣したかと思うと、何事もなかったかのように立ち上がるディック。


 二人は奇しくも同じ言葉を発した。





ディック&晃太:あー、死ぬかと思った。


賢介:どっちも死んでただろ、どっちも(笑)。


晃太:うるせー、少なくとも俺殺したのはせんせーだろーが。それも二回も。


賢介:やかましい。自業自得だ、そんなもの。


 それはそーと、今晃太がやったように、卓袱台やタオルのような『データを持たない小道具を錬成する』というのは、モルフェウス・シンドロームのキャラクターならではの、代表的な能力の演出と言っていいな。


 この他にも、突然の暗闇に光を生み出して対応するエンジェルハイロゥや極寒の雪山でピバークするために火を起こすサラマンダーなどのように、ルール的には明示されてなく、エフェクトと呼ぶには大した効果を持っていなくても、『その位の効果なら普通に起こせるだろう』と言うような効果を描写するのは、実際にプレイを楽しむ上では有効になってくるな。


ディック:ああ、それもそうだね。さりげない行動でそのキャラクターの秘めた能力を提示する、というのは、直接的な表現で提示するよりも効果的な場合もあるからね。


賢介:そういうこと。この辺りの描写については、追加サプリメント『アウトランド』で追加された第二次大戦直前の世界を舞台にしたワールド―― “ウィアードエイジ”を舞台にしたリプレイ・トワイライトシリーズ……別名快男児シリーズの方が詳しいな。


真姫:なるほどー。そう言えば、トワイライトシリーズに出てきたキャラクターは、大悟さんは『修行とチャクラを回すことで得た武術』、クリスさんは『ヴリルパワーによる超能力』……といった具合にレネゲイドに対する認識や描写が個々人でそれぞれ違ってましたからねー。


賢介:そしてもう一つ、演出の代表的なものといえば、『エフェクトの描写』というものがあるけれど、こちらはさらに大きく分けて二つの側面を持つ。


 どのような側面を持っているか、判るか?


晃太:二つ……やり方としては、ルールブックにあるエフェクトの描写をさらに詳細に掘り下げるやり方と、効果そのものは同じでも、ルールブックにある描写からあえて外して、キャラクターのイメージに合わせた描写に変更するやり方っスよね。


賢介:そこまで判っていれば、半分答えは出ているようなものだな。


 前者は『エフェクトそのもの―― ひいてはシンドロームを強調する』という側面を、後者は『キャラクターの個性を強調する』という側面を持っている。


 例えばぶらざーだけど、さっき真姫の持ってきたチョコで酔っ払った―― データ的には『気絶』状態と『目眩』状態になっていた状態から復活するために、《冥府の棺》を使ったよな?


 《冥府の棺》っていうのはルールブック的には『わざと心臓を止めて一旦仮死状態になる事で身体機能をリセットする』という描写で表現されていて、さっきのぶらざーはこれをそのまま使った…だから俺も「どっちも死んでた」ってツッコんだんだ。


 対して、後者の場合はリプレイ・オリジンシリーズの椿の使っていた糸や、ぶらざーの《緑の鞭(領域の力を注ぎ込むことで、適当な植物を射撃距離にまで届く白兵武器に変化させるオルクスのエフェクト)のように、データそのものは変わらないけれど、描写としてはルールブックで紹介されているエフェクトの描写からは離れたものになってくるものなんだ。


真姫:え、えと……あにさま、椿さんの『糸』は《爪剣》と《伸縮腕》を組み合わせたものを、“爪を単分子ワイヤー状に変化させた”と描写しているというのは判りますけど……ディックさんの《緑の鞭》って、どんな風にアレンジされているんですか?


賢介:ああ、植物の代わりに《アニマルテイマー》で支配したタコの触し……。


ディック:(ノ∀`)つ)Д■)・∵.  ぶらざぁぁぁぁぁぁぁっ(殴打)!!


賢介:(#)Д■) い、いきなり何をするんだぶらざー。


ディック:(;゚Д゚)y-~~ いや、蚊だよ、蚊。まったく、こんな季節だというのにいるところにはいるもんだなぁ。





 ―― いや、GMの職場にもいるんですよ、実際(2008年2月現在)。





晃太:(キャラクターのコンボデータを読んでる)……ディックさん―― 一生ついていくっスッ(感涙&サムズアップ)!!


ディック:判ってくれるか!そうだよな、SYOKUSYUは漢の浪漫だよなッ(がっき)!!


真姫:(じー)


ディック&晃太:スンマセンしたッ!!調子こいてましたッ(土下座)!!


賢介:……続けようか。


 エフェクトをアレンジ―― 特にキャラクター独特の演出を組み込んだアレンジをするのには多少の慣れが必要になってくる。しかし、DXに限った事じゃないけど、数字だけを追っていたら途端に味気ないものになってしまうことも多いから、エフェクトの効果を描写する事はプレイそのものを盛り上げるためにも積極的に行うことをお勧めしたいな。


晃太:あー、『パールシード3倍の法則』っスね。あれもまたダメージだけ追うのと、効果を演出するので大分違ってくるっスからねぇ(しみじみ)。


賢介:だから何でそんな古いことを知ってるんだ、インチキ高校生!?


晃太:古いネタに対する食いつきについては他人の事は言えんでしょーが、アンタもッ!!





 ※[パールシード3倍の法則]:『深淵』『真・女神転生RPG』をデザインしたゲームデザイナー・朱鷺田祐介氏が『聖珠伝説パールシードRPG』をオンラインセッションでプレイした際、なんの判定もない、普通は読み上げるだけのシナリオ導入部だけでロールプレイが走るわ、戦闘における判定ダイスでもロールプレイが走りまくるわで、結局通常なら1プレイあたり1時間未満というプレイ時間が軽く2、3時間ほどかかったことに由来する法則。


 なお、『聖珠伝説パールシードRPG』は管理人が二番目に購入したTRPGシステムだったりする。うーん、のすたるじー。





賢介:まぁ俺達の扱うネタの古さはどうでもいいんだ。それよりも、演出を語る上で外しちゃいけない重要な要素がもう一つあるけど、何だと思う―― 真姫。


真姫:えと……演出戦闘、でいいんですよね?


賢介:正解。


 特にFEARのシステムに顕著ではあるんだけど、冒頭からデータ的に相手にならないような雑魚を倒す事でPCの強さを演出しつつ、ヒロインや重要アイテムのような、所謂シナリオロイスがそのような敵に狙われていることを提示して、PLに対して『守らなきゃ』といった目的意識を喚起するために、形だけの簡単な戦闘を行わせる事があるんだ。


 そういった戦闘を演出戦闘と言うんだが、ここで注意しておかなければいけないのは、演出戦闘というものは否定的に取れば慣れ合いの産物でしかないということと、兎に角ダイスを振りたい、判定に勝ちたいという性格のプレイヤーにしてみたら、ダイスを振るチャンスを潰されてストレスを溜めるだけだから、多用しすぎると逆効果としかならない、という面を持っているな。


ディック:あと、逆の方向性の演出戦闘もあるんだよね(ニヤニヤ)?


賢介:そうそう……その演出戦闘については―― 晃太に語ってもらおうか(ニヤニヤ)。


晃太:そのネタオレに振るなよッ!負けロールプレイだろ、どーせッ!!


賢介:そこまで判ってるなら話が早い。さぁ、続きを説明してくれ(にやり)。


晃太:オレも負けたくて負けてる訳じゃねーよッ!!


 それは兎に角、負けロールプレイ―― 演出戦闘でわざと負けるってのは、所謂普通のRPGに慣れてる人には受け入れ難いものっスから、普通の演出戦闘に比べたらかなり難しいっちゃ難しいものっスね。特に、ソードワールドなんかじゃ顔見せで登場したシナリオのボスをいきなり倒してしまうようなリプレイが幾つか出てるから、そのノリで「リザレクトで復活してやる!倒すまで戦い続けてやる!」と主張するPLがいたら途端にシナリオ……というか、プレイそのものが崩壊する事にもなるっスからねぇ。


 でも、DXってシステム的にオープニングとクライマックスの強さの振れ幅が大きいシステムっスから、あえて負けることで逆転のカタルシスにつなげるって考えから負けロールに走るのも、悪くはないっスよ。





 ―― でも、お前本編じゃ負けばっかりじゃん。





晃太:やかましいわッ!!挽回の機会与えてくれねーアンタが言うなよッ!!


賢介:いや、挽回って……PCの見せ場奪おうとするなよNPC(笑)。


真姫:それは兎に角……負けロールプレイ、というのも難しいんですね。


ディック:まー、普通の演出戦闘以上の―― 『慣れ合い』の最たるもの、と言えるからねー。


 でも、これを慣れ合い、と取るのではなく、プレイを楽しむためにGMとPLとが協力する手法の一つ、と取れば、より一層プレイを楽しむ事が出来るんじゃないかな?


真姫:そうですねー。すがたけさんも、プレイヤーの皆さんと協力して楽しいプレイを演出して欲しいものですねー。





 ―― あ、はい。頑張ります。








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