コラム〜『なぜなにダブルクロス』10・キャラクターを作ってみよう!(中)〜
黒岩賢介:今コラムの講師。
藍空シリーズの登場人物中では、PC、NPCをひっくるめても年長組に入るが、実は『出張中は一人寝が寂しい』とこぼすさびしんぼう。
だからと言って、毎晩毎夜猫と称した何かと一緒に二人で夜を越える選択をするというのは、倫理的にいかがなものか?
黒岩真姫:今コラムの受講生。
藍空シリーズの中では唯一の良心というか、数少ない常識人として扱われているが……実はかなりのボケの人である。
幼少のみぎり、匂いに誘われてバニラエッセンスを一気飲みしてしまった程の破壊力に満ちた天然ボケは、10年程過ぎてもなお「ラグビーボールって、丸じゃなかったんですね」と発言して兄君を驚愕させたことからも判るように、そのまま真っ直ぐに成長を果たしている模様である。
ディック・W・アーヴ:今コラムの受講生。
シルバーブロンドの美形キャラという外見とは裏腹に、半ば以上セクハラの領域に達しているエロっちい言動を好むという一面を有しているが、前回のコラムで明らかになった通り、実はロック系の音楽も好きという側面も有していることが発覚した。
弄られキャラなのに、かっこいい面を浮上させ―――― いや、ノーカン、ノーカン。女子高生や人妻、ナースが大好きというだけならまだしも、小学生までにもSYOKUSYUを伸ばそうとしてたんでした。
……いろんな意味でサイテーじゃん。
橋尾晃太:今コラムの受講生。
『本来なら純粋培養されたチルドレンのくせしてやけに世慣れた、というか、砕けたキャラクターの持ち主だが、実はこのキャラはあくまで演技であり、実はハードかつヘヴィな側面もちゃんと有している……』
ヽ(#゚Д゚)ノ┌┛Σ (ノ´Д`)ノ キャラ紹介乗っ取るな、こんバカチンがッ(どげしッ)!!……えっと―― 『ハードかつヘヴィ』というのはあくまで本人談なので、信じちゃ駄目だよ?
黒岩真児:今コラムの受講生。
暴走の危険もめでたく治まったこともあり、この度UGチルドレンとして藍空支部に仮登録されたばかりの少年。とはいえ、緑川ラボでクローニングされた後も、しばらく戦闘用サンプルとして純粋培養されて育ったためか、常識面や情操面にはまだまだ未熟な面が多く、真姫嬢以外の藍空支部の面々にもまだちょっと慣れてはいないようである。
というか、本質的には人慣れしきれていない犬である。直感と第一印象で吠えたり甘えたり牙剥いて威嚇したり尻尾振ったりするので、暖かい眼差しと態度で接してくれたら、真児はもちろん皆さんもハッピー(なんだそりゃ)。
賢介:という訳で、今回の講義は前回からの続きで『キャラクター作成』となるんだが……まずは前回のおさらいと行こう。
キャラクターの能力値と技能をどのように割り振っているか……まずは俺のキャラから見せるから、それを参考にしてくれ。
・狗塚シロ エンジェルハィロゥ×キュマイラ アスリート/中学生
【肉体】:6 【感覚】:4 【精神】:1 【社会】:1
白兵:LV3 RC:LV1 情報:噂話:LV1
回避:LV2 意志:LV1
運動:LV2
真姫:【肉体】に関する技能に集中させているんですね。
賢介:まぁ、もともと『アスリート』というワークスは【肉体】の能力値が高めなのが特徴だからな。フリーポイントの5LV分も、<白兵>に3点と<回避>に1点、と言った具合に、出来るだけ能力値を活かす技能で選んでみたんだ。
そして、残りの1点を衝動判定対策や、ダイスボーナスを得ることが出来る《獣の魂(レネゲイドを活性化させることにより、自身の能力を爆発的に跳ね上げるキュマイラのエフェクト。判定に成功した場合、シーンが終了するまでの間、【肉体】と【感覚】の全ての判定に対して[LV+1]個のダイスボーナスを得ることが出来る)》を使うことを想定して、念のために<RC>に割り振った、というわけだ。
ディック:たった1点でも違ってくるのかい?
晃太:衝動判定に関して言えば、かなり違うっスね。
衝動判定の基本的な目標値は7で、大抵の場合、殆んどのキャラが侵食率が80%を超えてるクライマックスシーンになる訳っスから、実質的な目標値は侵食率の修正で6―― 侵食率の修正でダイスの数も2個は増えてるとは言っても、10面ダイスで6以上じゃ、失敗する確率もそれなりに高いっしょ?
それが、<RC>が1LVあるだけで5以上……つまり、単純に考えても6割以上は成功するんスから、どんなワークスを選ぶにしても、<RC>は持っておいて損はないってわけっスよ。
賢介:まぁ、あくまでも、衝動判定に限定した上でのことではあるし、衝動判定の目標値もその時々によって上下するけどな。
それは兎に角、どんな割り振り方にしたのかを発表するよーに…まずは真姫から。
真姫:はい、わかりました〜♪ ゚ヮ゚ミノ
・ エグザイル×サラマンダー 小学生/小学生
【肉体】:4 【感覚】:4 【精神】:3 【社会】:1
白兵:LV4 知覚:LV1 RC:LV2 情報:噂話:LV1
隠密:LV1 意志:LV1
真児:技能のフリーポイントは<白兵>4と<RC>1―― 真姫おねえちゃん……回避しなイノカ?
真姫:カヴァーリングと《融合》を中心に考えているから、回避に関しては必要ないのです〜♪゚ー゚ミノ それよりも、ギョームさんのように、氷の壁を作り出して、防御に専念したいのですよ〜♪
晃太:《氷壁(氷の壁を作り出すことにより、対決に勝った相手の攻撃そのものを完全に封じるサラマンダーのエフェクト。なお、この対決に勝てなくとも相手の攻撃に対する防御行動そのものは行えるが、このエフェクトを使用するためには『未行動』もしくは『待機』状態でなければならない)》っスね。アレは<RC>で判定するっスから、確かに選択そのものは間違っちゃないっスね。
ディック:……含みがある物言いだねぇ。つまり、何か問題がある、ということかい?
賢介:あるといえばあるかな。前回の講義でも言ってたことだけど、最初のうちから幅広くエフェクトを選択するのは、経験点の下駄を履かせていない限り出来るだけやらない方がいいんだ。
確かに、《氷壁》そのものはLV1であっても問題なく作用するけど、合計8LV分しかないエフェクトの1LV分なんだから、<RC>系キャラをやるんじゃなかったら、最初から覚えようとするのではなく、成長してから覚える、というスタンスでいた方がいいのは間違いないからな。
まぁ、さっきも言ったことだけど、<RC>という技能はどの役回りのキャラクターであっても、衝動判定という形で絶対に使用する唯一の技能だから、高くしていて得はあっても損はないから、高くする分はいくら高くしてもいいんだけどね。
ディック:なるほどねー。
じゃあ、次はこちらの番かな?
・ ハヌマーン×オルクス アーティスト/鳶職
【肉体】:2 【感覚】:3 【精神】:5 【社会】:2
知覚:LV1 機械操作:LV1 情報:報道:LV1
精密作業:LV1 RC:LV4 芸術:音楽:LV1
晃太:<RC>は判るんスよ……なんスか、この<機械操作>LV1ってのはっ?!
ディック:いや……だって鳶職だし(さらり)。
晃太:どーせなら<調達>取って、少しでも装備充実させるって道を選ばんのか、アンタはーッ!!
ディック:駆け出しのミュージシャンが金持ってるはずないだろーがッ!!(力説)
賢介:ぶらざーの言い分にも一理あるな。
ワークス特有の技能が、文字通りそのキャラクターが身につけた技術―― ひいてはそのキャラクターの歩んできた歴史を物語っているという見方も出来るからな。戦力、という見方でキャラクターを作るのも間違いじゃないけど、より一層キャラクターの特性を表現するために、ぶらざーのようなやり方でキャラクターを構築していくのも、間違いじゃないからね。
今回の講義のメインとなるのは、そういったキーワードを繋ぎ合わせていく作業のようなものだから、そのやり方は覚えておいた方がいいよ。
真児:ジャ、次はおレダナ?(わくわく)
・ ブラム=ストーカー×バロール UGチルドレンA/中学生
【肉体】:3 【感覚】:1 【精神】:7 【社会】:1
回避:1 知覚:1 RC:LV4 情報:UGN:LV1
意志:LV3
真姫:な、何というか……シンプルですね;゚ー゚ミ
晃太:仕方ないっスよ。基本的に、チルドレンは社会的な技能はあんまり持ってないっスからね。それが、<RC>型のチルドレンAだったりしたら尚更っスよ。
真児:デモ、その分強イゾ!ヤレルこと集中させタカラ!
賢介:とは言っても、それは戦闘以外ではからっきし、ということとほぼ一緒になるわけだ。
だからこそ、周囲がしっかりフォローしてやらないと、情報収集なんかで手間暇を食って、無駄な侵食率を積み重ねてしまうことになってしまいかねないからな。
晃太:そーいう場合こそ、オレのキャラのよーな、【社会】のエキスパートがいた方がいいわけっスよ。
ディック:御託はいいから、早く見せてくれ。
晃太:……その言い方、何気にひどくないっスか?
・ ノイマン×ソラリス 情報屋/露店商
【肉体】:1 【感覚】:2 【精神】:4 【社会】:5
知覚:1 RC:LV2 調達:LV3
情報:噂話:LV1
情報:裏社会:LV1
情報:軍事:LV1
交渉:LV1
賢介:……こっちはこっちで、またえらくピーキーな作り方をしてきたなぁ(汗)。
晃太:でも、【社会】を高めにしたからには、調達判定で装備を充実させるのも一つの手段っスからね。
それに、クリティカル低下エフェクトに《天性のひらめき》を使うと決めてる以上、クライマックスになって出来ることは支援一本槍っスから、戦闘以外で活躍するための技能と<調達>で固めるのも当然ってモンっスよ。
真児:ソウハ言っても……いきなりUGN戦闘服(10点の装甲値に加え、着用者の<RC>の判定に対して2個のダイスボーナスを与えることが出来る、UGNで開発された特殊戦闘服)まで固定出来るというのはちょっと凄イゾ(汗)。
晃太:ンなモンで大事な固定化ポイント無駄遣いするような真似はしねーよ(きっぱり)。
アイテムってのは、調達判定で手に入れることが出来る装備品と、購入判定では絶対に手に入らないコネのようなものの二種類があるんだからな。コネなんかのような、プレイ中に入手出来ないものを優先して取るのが、やり方としては正しいんだ。
賢介:あと、《天性のひらめき》が使えるノイマンだったら、購入判定のクリティカル値も下げることが出来る、というのもあるしな。
晃太が作っているキャラの場合、1回クリティカルすれば、購入の目標値が15のUGN戦闘服ならほぼ間違いなく手に入れることも出来るから、コネの方を優先して取る、という選択は正しいと言ってもいいな。
真姫:……それはそうとあにさま、これで皆さんのキャラクターの能力値と技能が決まったんですが、これから一体どうしたらいいんでしょうか?・w・ミ
賢介:本来の流れとしては、ここでエフェクトを決める方が正しいんだが……その前にDロイスを決めておいた方が何かと便利になるから、Dロイス―― そして、初期ロイスを決めるために必要なライフパスを先に決めることにしよう。
ディック:……ライフパス、って?
晃太:そのキャラが生まれてからの生い立ちや経験といった奴っスよ。
ちなみに、違うゲームの話になるけど、『可愛い家族』『弟妹』なんてライフパスを素で引き当てた、強運通り越して明らかにダイスの神様垂らしこんでるような人も、世の中にはいるっスけどね(ニヤニヤ)。
ディック:はっはっは、誰のことだろうね(ニヤニヤ)。
賢介:垂らし云うなッ(鉄パイプ)!!
晃太:ええー?賢介せんせーのこととは一言も言ってないっスよー(義手で受け止めつつ、ニヤニヤ)?
ディック:そうだよぶらざー、何をそんなにいきり立ってるんだい(にやにや)?
馬鹿騒ぎをスルーする術を覚えた真児:ジャ、続けヨウカ(溜息)?
真姫:えっと……どうすればいいのかな?
真児:真姫オねえちゃんの場合、どうしても侵食率の負担が大きくなってしまう《融合》を使う(※《融合》を使用した場合、《融合》した相手が使用したエフェクトの侵食率は両者ともに上昇する)んだから、どこかでそれを軽減するか、負担に耐えることが出来るDロイスを選んだ方がいイカナ?
真姫:じゃあ、モルガンさんと同じ『古代種』か、『生還者』のどちらかを選んだらいいんだろうけど……(悩)。
鍔迫り合い中の賢介:……妹よ―― 悩むな、とは云わないが……古代種の小学生、というのは正直どうかと思うぞ。
真姫:そ、そりもそうですね ゚ー゚ミ; じゃあ、『生還者』を選びます♪
鍔迫り合い中の晃太:真姫さんは『生還者』か……オレはまぁ『起源種』って決めちゃいるけど……ディックさんはどーするんスか?
ディック:そーだね……Dロイスの一覧を見てたら、『変異種』や『秘密兵器』なんかは面白そうだったから、その辺りから選ぼうと思ってるよ。
賢介:ぶらざーのキャラからすると……ダイスと攻撃力とを両立するか、判定全般に対するダイスを増やすか、ダイスを増やす回数に制限はあるけど、エフェクトの代わりにアイテムを使うことによって侵食率の上昇を出来るだけ抑えるか―― そう言ったところかな?
今回のコラムから採用するラディカルドライブで『変異種』も『秘密兵器』も……というか、既存のDロイスは軒並み強化されているから、どれを選んでも問題ないけど……『変異種』の場合は強力な代わりに、代償として、『変異種』のエフェクトが絡まない判定全てにダイスペナルティが一つ入るから、そこには注意しておいた方がいいね。
ディック:そ、そーなの(←過去のコラムを参照してた)?
じゃあ、『秘密兵器』にしておくよ。
真児:ラディカルドライブで作っていいんだったら……おれは『精鋭(指定した技能のLVを常時+5する、UGチルドレン専用のDロイス)』ニスル!
晃太:ぶ!その技能で『精鋭』っつーことは……実質<RC>9LVかよッ?!また、おめーもすごいこと狙ってきたなぁ(汗)。
真姫:確か、技能のLVが高ければそれだけ高いダメージを出しやすいんですよね?;゚ー゚ミ
賢介:正確には“出るかも知れない”だけどな。それでも、ダメージのダイスは『達成値の10の位+1』個を基準とするから、ファンブルじゃない限りダメージダイスが2個は最低保証される、というのは間違いなく大きいな。
ディック:そーいえば言ってたよね。『達成値が10あればクリティカル一回したのと同じ』だって。
真児:ソーイうこトダナ。ソレニ、おれのキャラの場合、攻撃そのものよりも、命中させることでそれからのリアクションにダイスペナルティを与えることが重要な役割になってるから、<RC>を底上げして確実に命中させることを狙った方がいインダ。
賢介:OK!判った。
ということは……特殊なライフパスを振る必要があるのは、俺と真児だけ、ということになるわけだな。
真姫:そういえば、特殊なライフパスというのは……どんなものなんですか?
賢介:UGチルドレン専用のライフパスと、Dロイスの中でも、生い立ちそのものに関係を持ってくるタイプの『特権階級』『古代種』『伝承者』の三つが特殊なライフパスを振るものに当たるな。
真姫:シロちゃんというと……『伝承者』ですね?
賢介:正解。
Dロイスの本来の意味は『設定』だからな。明確な元ネタがある場合、その設定にあわせてキャラクターを作る、ということも出来るのが、DXの面白いところといえるな。
晃太:あと、今回は誰も作らなかったけど、FHキャラを作る時に出てくる『欲望』チャートもあるっスね。正直、俺としてはFHキャラを作る心算なんてさらさらないっスけどね。
ディック:こらこら、そこで読者の皆さんの意識を誘導しようとするな。
FHがいい事をしているなんてことはまぁ考え難いけど、だからと言って、対抗組織であるUGNが100%の正義を担っているなんてこともないってことは、以前にもここのコラムで言われてたことだろ?
賢介:ぶらざーの言う通りだね。リプレイ・オリジンシリーズに出てきた狛江を見ても判るようにFHにも色々な奴がいるし、UGNにも自分勝手な正義感に凝り固まった奴がいないわけじゃない。
キャラクターの個性を決めるのは結局はプレイヤー自身なんだし、FHキャラをプレイするからと言って、短絡的な悪に走ることや、シナリオを積極的に崩壊させようとする、所謂『悪いプレイ』が推奨されるわけじゃない。
むしろ、UGN側から見るだけでは判らない事件の真相を見極め、さらにシナリオを楽しむためには、UGNとFH……のPL間で互いに折り合いをつけつつ共同戦線を張ることも大事になってくるしな。
―― それに、FHキャラだったら、春日恭二の部下にもなることが出来るしね。楽しいよ、春日恭二。
晃太:何を差し置いてもそれが一番ヤなんだよッ(一同大爆笑)!!
ディック:かわいそうな春日恭二(笑)。
真児:折角『コントラストサイド』のシナリオフック(※新しく作るシナリオのヒントになるごく短い文言が記された、所謂元ネタの羅列のようなもの)にも“春日恭二と仲間たち”っていうのが用意されてるのニナァ(笑)。
賢介:まぁこの際春日恭二……いや、FHについては置いておこう。
それよりも、ライフパスの決定方法だが、これは[RoC]([Roll or Choice]の略)と呼ばれる手法で決めることになる。
真姫:ろーる・おあ・ちょいす……ですか?;゚ー゚ミ
真児:チャートからダイス目でランダムに決めるか、自分で選ぶか、というこトダヨ。
ディック:……?最初から選べるんだったら、どうしてダイスを使うんだい?
賢介:あ、ぶらざー、逆、逆。こーいったチャートという奴は、TRPGの歴史的に言えばダイスで無作為に決める方が主流だったんだよ。
でも、作ろうとするキャラクターに対して明確なイメージや元ネタがあり、それに即したキャラクターを作ろうとする場合、ランダムに決めていたんじゃ結局やりたいキャラが出来ない、と言うことでRoCという手法が生まれた、という訳なんだよ。
晃太:そーそー。どっかの誰かのよーなおいしいダイス目に恵まれること自体、そうそうないことっスからね。
賢介:(裏拳)……でも、どんなキャラを作るかを決めていない場合や、昔ながらのダイス目で決定する方法にこだわる人もいる、ということに違いないからね。そういった場合にはダイスで決める方が都合がいいから、どちらかを好きに選ぶ、RoCという手法がルールとして明文化されている、というわけだね。
という訳で、キャラクターの生い立ちを決める『生まれ表』と二度の『経験表』、そしてどのようにレネゲイドに覚醒したかを決める『覚醒表』と、そのキャラクターが衝動判定に失敗した場合、そのキャラの意識がどのような感情が塗り潰すのかを決める『衝動表』……合計して五つのチャートで、大雑把にではあるが、キャラクターの特徴や設定を決めることになる。
これが前回言っていた『文字的要素』―― キャラクター各々に関する五つの単語を決めることで、数値だけでは測れない、キャラクターに魂を吹き込むという重要な作業になるわけだな。
真姫:たった五つの単語で……ですか。む、難しそうです ゚ー゚ミ;
賢介:まぁ、言葉にすると難しそうには聞こえるが、そう構えることはないさ。
落語の手法の一つとして、三つの御題を盛り込んで一つの噺を作り上げる、所謂『三題噺』なんてものもあるけど、そのキーワードが五つになった……言ってしまえばただそれだけのことだからな。
例えば、まずは手本としてシロについて―― 最初に生まれ表だが……これは元ネタの方のシロがそうだったように『0 天涯孤独』で決まりだな。あと、幼少期に母親と死別していることから経験表の一つは<幼少期>の『1 死別』、そして、父親が殺されて今はもういない、と言うことで、<伝承者>チャートの中でも『9 末裔』ということになる。
そして、元ネタのほうのシロは元から人狼族だったことから覚醒表は『11 生誕』、感情的になったときのリアクションから衝動表は『11 憎悪』―― この五つを繋ぎ合わせて、キャラクターのバックボーンとなる設定を決めればいい、ということだ……こんな風にな。
人狼の末裔の隠れ里、という伝承を持つ山村で生まれ育った狗塚シロは、幼い頃に母親と『死別』して以来、剣術家の父一人、子一人の生活を続けていた。父はシロの『生まれ持った異能』を恐れることなく、『剣術家としての己の全てを注ぎ込み』つつ、その異能を強い意志と修練によって制御する術を身につけてくれた。
しかし、その『父はもういない』。何者かとの果し合いによってその生命を奪われたのだ。
父の知己を頼って現在の学校へと転入したが、心の奥底では『憎悪』を火種にした復讐の炎が燻り続けている。
ディック:なるほどねー。そういう風に決めていくんだね?
賢介:組み合わせていけばある程度の形にはなってくれるからね。こじつけっぽくはあっても、兎に角作ってみることをお勧めするよ。
ただし、経験表の中でも『その後』を選択出来るのは社会人のキャラクターのみになるから、ワークスを小学生にした真姫のキャラの場合、経験表は『幼少期』『学生1(平穏)』『学生2(波乱万丈)』『学生3(不良)』の中から選ばないといけなくなる、というのは覚えておいてくれ。あと、真児のキャラもカヴァーを中学生としているUGチルドレンだから、生まれ表は『UGの子』で固定、経験表も二度のうちの最低でも一度は『UGチルドレン』のチャートから選んだ上で、残った一回も真姫のキャラと同様、『その後』を選べない、ということが決まっているから、その辺りについても覚えておくよーに。
真姫:判りました〜♪じゃあ、わたしのキャラは経験表を『幼少期』と『学生1(平穏)』から選んでみます〜♪゚ヮ゚ミノ
ディック:じゃあ、こちらの経験表は『学生3(不良)』と『その後』から選ぶことにしようかな。
真児:オレハ『幼少期』と『UGチルドレン』から選ブゾ。
賢介:みんなダイスで決めるんだな……止めはしないけど、DXの場合、チャートの大半が悲劇的なものだから、覚悟だけはしておくよーに。
ダイスを振った真姫:…………え?
そのダイス目は、[義理の両親/虐待/趣味/探求/妄想]という結果に。
あまりのヘヴィさにショックを受けた真姫:…………orz なるほど、こーなるんですね?
同じくヘヴィさにダメージを負った賢介:……orz 判ったか、妹よ。
ともあれ、こういうヘヴィな事態を回避する、という狙いでRoCを活用する、という考え方もある。また、あまりお勧め出来ない方法ではあるけど、一旦ダイスで大方のライフパスを決めた上で、自分のイメージに合いそうにないものを別の項目に差し替えるというやり方もあるという訳だな。
……という訳で、あまりにもプレイしていく上でキツい、と思うものなんかは変えることも出来るけど、どうする?
真姫:大丈夫です……このままで行きます(きっぱり)!
賢介:えっと……本当にこれでいいのか?
ディック:大丈夫だよ、ぶらざー。どん底っぽいイメージがあっても、そこから立ち上がるからこそかっこいいんだよ(力説)。
第一、真姫さんもこの世界の住人であり、UGNに所属しているんだよ。こういった現実にも向き合うことも当然あるんだから、ぶらざーのように過保護すぎるのも問題じゃないかな?
それはともあれ、こちらもダイスは振ったよ。
ディックのダイス目は[貧乏/屈辱/不名誉/憤怒/闘争]
ディック:…………そーだ、真姫さんのキャラを虐待していた本当の両親―― の父親の方を半殺しにしてしまって少年院に送られた、ということにしようかな?覚醒の切っ掛けも『憤怒』だし、衝動表の結果も『闘争』、ということだから、衝動に飲み込まれて暴走……その時に覚醒した真姫さんのキャラに止めてもらって殺す手前で終わらせることは出来たけど、結局やりすぎて少年院送りは免れなかった、ということで。
経験表で振った『屈辱』『不名誉』もその事件を誤解されて受けている世間の目、という解釈にすればいいんだし。
真姫:なるほどー。ディックさんのように、他のPCとも絡めてさらにつながりを深めることも出来るんですねー♪
じゃあ、今わたしのキャラがお世話になっている『義理の両親』は実は孤児院の院長先生ご夫妻で、ご両親がいないシロちゃんも、今はそこでお世話になっている、と言うことにしましょう♪
賢介:ルールにはないけど、その考え方は面白いな。キャラクターの個性を決めるのはプレイヤー本人であることに違いはないけど、DX2はロイス……つまり絆というものを重視するゲームなんだから、そうやって、キャラクター同士の背景を密にすることで、絆をさらに強固なものにする、というのは理に適っているな。
真児:オレモ出来タゾ!
真児の振った出目によるチャートの結果は[UGの子(固定)/大病/平凡への反発/忘却/加虐]
真児:覚醒後間もなく大病を患ってUGN傘下の医療施設に収容、その生命を救われた後にチルドレンニナル。しかし、UGNに傾倒するあまりに普通人に対してなんとなく反発に近い感情を抱いテイル……こんな感ジカナ?
賢介:なるほどなー。確かにチルドレンにいそうなキャラクターだな。それに、その『反発する感情』を解きほぐす何かを掴む、という目標も出来やすいな。
真姫:あれ?それはそうと、晃太くんは……(きょろきょろ)?
その言葉とともに、四人は晃太の姿を探す。
最初に気付いた真姫が見回してから二秒……床にくたり、と倒れ伏した晃太の姿は、どことなく浜辺に打ち上げられたイカか何かを思わせていた。
真児:…………コータ、《リザレクト》してナイゾ?
ディック:おおッ!?晃太の首がすっかりクニャクニャにッ(爆笑)!!
賢介:あー、そう云えば《バリアクラッカー》使ったからなぁ…いくら晃太でも、流石に防御出来なかったみたいだな。
それにしても、チルドレンだからと言って、赤ん坊のようになって笑いを取りにくるとは―― 晃太め……最終回間近だというのに、ここに来てさらに芸の幅を広げてくるとは思わなかったぞッ(爆笑)!!
真児:誰ノセいだ、誰ノ?……トイウか、コータって、今侵食率100%超えてるんじゃなイノカ(汗)?
真姫:わ……笑いごとじゃありませんよっ?!早く手当てしてあげないとっ(わたわたあせあせ)!;><
賢介:大丈夫!昏倒からの回復は、シーンが終わるまでにすれば問題ない。
でも、晃太が大人しくしているチャンスは正直言って今しかないからな……だから、今のうちにダイスを振ってあげようじゃないか(爽笑)!
ダイスを手にしたディック:そうだねッ!これはれっきとした人助けだよねッ(イイ笑顔)!!
イイ笑顔を乗せて、ディックと賢介は交互にそれぞれダイスを振る。
その結果は、次回コラムまでのお楽しみ、と言うことで……。
でも、他人のキャラのチャートを勝手に振っちゃうなんて真似、ホントはしちゃ駄目だからねー。
応急処置を施した真姫:あにさま…ディックさん(にゅっふり)?
真児:(-人-) (←合掌)
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