コラム〜『なぜなにダブルクロス』11・キャラクターを作ってみよう!(後)〜





ディック・W・アーヴ:今コラムの受講生


 物理攻撃あり、<RC>による封じ手あり、と、多種多芸な攻め手の持ち主……だというのに、《猫の道》《縮地》と、逃げエフェクトを二つも持っているという、ハナから逃げる気満々なヘタレ支部長。


 なお、二つの攻撃コンボは、SYOKUSYUによる攻撃とやけに粘性の強い体液によって、攻撃すると同時に動きを封じる攻撃―― 「何時かきっと真姫さんにパーティアタックをッ!」と力説して憚らない中の人の性癖が窺えること受け合いである。





橋尾晃太:今コラムの受講生


 性格的には明らかに攻撃寄りだというのに、ディフェンスに定評のあるUGチルドレン。だからといって、攻撃が弱いわけじゃない。最初から回避を捨て、『受け』を使用するために<白兵>に特化しているからこそ、接近戦にも無類の強さを発揮してくるのだ。


 だが、藍空シリーズに於いてはPC、NPCを含めて殆んどのキャラが射撃距離への攻撃を可能としており、どのキャラも出来る限り敵との距離を取りたがるため、攻撃手段が接近距離以外にないこいつがカヴァーリングをフルに活用するためには必然的に攻撃をキャンセルすることを余儀なくされてしまう。


 ざまーみろである。





黒岩真姫:今コラムの受講生


 《スターダストレイン》《完全なる世界》を基軸にした攻撃コンボ、さらに<賢者の石>によるクリティカル値の低下という裏技も持っているため、一発に限っての純然たる攻撃性能に於いては多分恐らく藍空シリーズの味方NPC中では最強だと思われるお方。


 というか、山田風太郎作『甲賀忍法帳』で言うところの“破幻の瞳”を素で持ってます。なので、ヨゴレの世界の住人である藍空支部界隈のNPCはこの人には絶対勝てません。





黒岩真児:今コラムの受講生


 《獣の王》《リミットリリース》という、強烈極まりない切り札エフェクトを有している元ボス候補。しかも、ハヌマーンのクリティカル低下エフェクト《電光石火》の弱点を最大限カヴァーするエフェクト《呪われし者の証(セカンド・アクションで使用することにより、自らのHPを大幅に回復するエグザイルのエフェクト)なんてものまで持っているので、実質的な耐久性能も高い。


 でも、残念ながらこいつも《完全獣化》系のキャラ。HPは高いかも知れないが、防具を装備することが出来ないため、耐久性能が高かろうとも、高いダメージを受ければ結構簡単に死んでしまうことは否めない。だから、狙って盾にするのは出来たら勘弁してやってください(誰に頼んでる?!)。





黒岩賢介:今コラムの講師


 ノイマン・シンドロームの保持者だけあって、攻撃、防御ともに高い性能を発揮するコンボを有する万能医師。今だから言うけど、スペック的には黒崎と同じ経験点を突っ込んでいるため、もしパーティが『真姫を見捨てたことで賢介がジャーム化する』ルートなんてものを選んでしまっていたら……と思うと、ある意味楽しみでもあったが、結局のところそんな裏切りに次ぐ裏切りの展開なんてPLの忍耐の方が持たないだろう、とも思うので……まぁ結果オーライ(笑)。


 でも、キャラクターとしてのスペックよりもはるかに、人垂らしの才覚の方が強烈であり、ある種驚異的ですらある。


 つーかさ……日頃からジゴロだのホストだの魔王だのだのとは言ってたけど、まさかダイスの神様まで垂らしこむほどとは思いもよらなかったよ、俺も(しみじみ)。





賢介:という訳で……キャラクター作成ついての講義も今回で最後になるわけだが―― 振りなおせ、晃太!


晃太:命令かよッ?!


 つか、そもそも俺が死んでる間に、勝手にアンタらが俺のキャラのライフパス振ったんじゃねーかッ!!


賢介:だから、悪いと思ってるからこそ、振り直すように言ってるんじゃないか(爽笑)。


ディック:というか……字面的には凄いよなぁ、『死んでる間に』って(笑)。





 そう、前回のコラムのラストにおいて、死んでた晃太に代わって賢介とディックが晃太の作ろうとしていたキャラのライフパスについてのダイスを振ったのだが、その結果は[名家の生まれ/ニュース/名誉/命令/殺戮]―― やたらと華々しいものになってしまったのだ。


 もちろん、ライフパスがどうあれ、初期侵食率を左右する[覚醒]と[衝動]以外はキャラクターのスペックには関係ない。だが、唯一恵まれた境遇からの参加である。心情的には納得も出来ないところがあって然るべきである。





晃太:俺だってやりにくいわッ、こんな恵まれたキャラッ!(卓袱台錬成&返し)





 ―― おめーもぜーたく言うな。GMだろーと……いや、GMだからこそ、ダイスの神様には逆らえんのじゃ。GMの取り扱うNPCならなおのこと……文句垂れる暇あるんなら、チャッチャとキャラ設定考えやがれぃ。





晃太:あーんまーりだーッ(号泣抗議)!!


真児:コータ……おまエッテ(汗)?


ディック:まー仕方ないか。『恵まれた境遇』なんて、本来なら晃太みたいなチルドレンは想像ですらも知らないからなぁ


真姫:……そ、それはなんというか…不憫ですよっ!!;><ミ





 * * *





 ■ “ブランカ”狗塚シロ(PL:黒岩賢介)の場合





【FIRE STARTER!! DX2キャラクターシート】


プレイヤー名:黒岩賢介


キャラクター名:狗塚シロ(いぬづか・しろ)


コードネーム:“ブランカ”


シンドローム:エンジェルハィロゥ


        :キュマイラ


ワークス:アスリート


カヴァー:中学生


侵食率基本値:35        HP((肉体+精神)×2+エフェクト修正):現在 14/最大14


イニシアティブ(感覚×2+精神+エフェクト修正):9          経験点:0


固定化ポイント(社会×(調達+1)+エフェクト修正):1





能力値&技能(3経験点で1上昇)


【肉体:6】  白兵:LV3   回避:LV2   運動:LV2   耐性:LV 


【感覚:4】  射撃:LV   知覚:LV   隠密:LV   精密作業:LV    運転( ):LV     運転( ):LV


【精神:1】  知識( ):LV  知識( ):LV   機械操作:LV   RC:LV1  意志:LV1  追跡:LV


【社会:1】  調達:LV     情報(噂話):LV1   情報( ):LV   情報( ):LV    交渉:LV


       芸術( ):LV     芸術( ):LV    芸術( ):LV





エフェクト(2経験点で1上昇。


 LV上限:雑種=2/純血種&一般エフェクト=3/Dロイス[超血統]=4)


  名称      LV  技能   侵食値  目標値  対象   タイミング  詳細


1 リザレクト    1   宣言   [LV]D   ――   自身   後述    昏倒時に使用・侵食率100%未満


2 ワーディング  1   宣言   ――    ――   シーン  後述    一般人の無力化・オーヴァードは感知


3 《光の剣》    1   宣言    2     ――   自身   マイナー  攻撃力[LV+3] 防御力[LV+3/LV+2]の武器作成


4 《猟犬の鼻》   1  <知覚>   2     対決   自身   M/R    <知覚>に[LV]個のダイスボーナス


5 《全知の欠片》 2 シンドローム  3     ――    ――   M/R    クリティカル値を−[LV(最大3)]


6《ピンポイントレーザー》 1 すべて   2     対決   1体    メジャー  装甲無視攻撃。攻撃力に−[4−LV]の修正


7 《獣の力》      2  <白兵>  2     対決   ――   メジャー  攻撃力[LV×3]上昇


8 《獣の王》      1  <白兵>  5     ――   1体    メジャー  対象の防御行動不可。1セッション1回 要100%








ライフパス


生まれ:天涯孤独


経験1:死別


経験2:末裔


覚醒 :生誕        (侵食値:17)


衝動 :憎悪        (侵食値:18)





キャラクターの設定


年齢/性別:15/女


身長/体重:160cm/47kg


詳細な設定:


 人狼の末裔の隠れ里、という伝承を持つ山村で生まれ育った狗塚シロは、幼い頃に母親と死別して以来、剣術家の父親と父一人、子一人の生活を続けていた。父はシロの『生まれ持った異能』を恐れることなく、剣術家としての己の全てを注ぎ込みつつ、その異能を強い意志と修練によって制御する術を身につけてくれた。


 しかし、その父はもういない。何者かとの果し合いによってその生命を奪われたのだ。


 父の知己を頼って現在の学校へと転入したが、心の奥底では憎悪を火種にした復讐の炎が、今もなお燻り続けている。





ロイス  (1経験点で固定)


  関係   名前     感情(P)    感情(N)   設定


・Dロイス 伝承者    □        □       


・仇     父の仇    □執着     ■憎悪    父親を殺した相手。


・恩人   佐倉恵造   ■信頼     □不安    父親の旧友。


・              □        □       


・              □        □       


・              □        □       


・              □        □       


アイテム


  名称    /固定/ 技能 / 攻撃力 / 防御力 / 装甲 / 隠匿 / 詳細


コネ:友人   / 1 / 噂話 / ――― / ――― / ―― / ―― / 噂好きの友人。<情報:噂話>に+2D





コンボ (CR=クリティカル DP=ダイスペナルティ DB=ダイスボーナス ADP=ダイスペナルティ打消し)


・攻撃


[名称]:       [組合わせ]:3の後、5+6+7 [技能]:<白兵> [侵食値上昇]:9


[CR]:8/7  [D]:6 [ADP]:× [装甲無視]:○ [対象DP]:× [対象]:1体 [攻撃力]:7/12 [特殊効果]: 


[名称]:       [組合わせ]:上+8 [技能]:<白兵> [侵食値上昇]:14


[CR]:7  [D]:6 [ADP]:× [装甲無視]:○ [対象DP]:× [対象]:1体 [攻撃力]:12 [特殊効果]:リアクション不可 要100%





侵食率管理 


  侵蝕率   D LV 目標値


 0〜60%   ボーナスなし


 61〜80  +1  − −


 81〜90  +2  − −1


 91〜99  +3  − −2


100〜110 +4  +1 −3


111〜130 +5  +1 −4


131〜160 +6  +1 −5


161〜190 +7  +2 −6


191〜230 +8  +2 −7


231〜    +9  +2 −8





* * *





真姫:シロちゃんということは……霊波刀(“GS美神”シリーズに登場する、霊力を収束・圧縮して生み出す武器の総称)を使っての攻撃ですねッ♪ ・w・ミ


賢介:そーいうことだな。


 まぁ、霊波刀を再現するために《光の剣(文字通り、光を収束して武器を作り出す、エンジェルハィロゥのエフェクト)は必須だが……ただこれだけなら『リプレイ・アライブ』シリーズの主人公、七村紫帆とコンセプトが似てくることは否めないな。


 バランスそのもので言うならばそのままコピーするのもいいが、シロの場合は『人狼族の末裔』という設定があるから一つ個性をつける、という意味であえて《猟犬の鼻(視覚と嗅覚を直結することで臭いを強く認識し、さらにその認識した臭いを記憶することが出来るエンジェルハィロゥのエフェクト)を修得したぞ。


真児:ソンナ事をして大丈夫ナノカ?


賢介:本来なら誉められたことじゃないな。でも、そもそも今回の講義のコンセプトは、あくまでキャラクター作成の一つのやり方、というものを提示することの比重が大きいんだし、他のキャラクターがどのような方向性で作られているのかも、不足分をどう補ってくれるのかも既に判っているだろ?だから、こういった少々の寄り道をしてでもキャラクターの個性を活かすことは出来るんだ。


 でも、あくまで初期エフェクトの修得LVは8であることに代わりはないし、クリティカル低下エフェクトはどのキャラクターであっても2LVはないと厳しいからな。こういった『遊び』でエフェクト修得を行う余裕はそれこそ“少々”がやっとの域で、“多少”には絶対に足りないことを覚えておかないといけないぞ。


晃太:それにしても……前言ってた《獣の魂》は取らないんスか?


賢介:ああ。確かにあったら強力にはなるだろうけど……作ったばっかりのキャラには結局使う機会がないだろうし、晃太の作っているような純然たる支援キャラや、真姫の作っているような《融合》でエフェクトを上乗せしてくれるキャラがいる以上、1行動を消費してまで自前でダイスボーナスを無理矢理作る必要性は薄くなる、と思ってな。それよりも、火力を重視してみた、ということだ。


真児:マー、それもそーダナ。エグザイルは攻撃力が増えるエフェクトは少ないけど、その分<白兵>のダイスボーナスが増えるエフェクトが多いカラナ。


賢介:そういう事。


 いくらボーナスの類はいくらあってもいい、とはいっても、手を広げすぎて器用貧乏になってしまうのもなんだからな。自分の持ち味を出来る限り活かしつつ、足りない部分は仲間に補ってもらう―― このコンセプトが成立しやすいのも、DXというゲームの特徴だな。


真姫:あ……でも今回は《融合》は取らなかったんですけどね。


賢介:そ……そーなのか(汗)。





 * * *





 ■ “アイギス”柏木林(PL:黒岩真姫)の場合





【FIRE STARTER!! DX2キャラクターシート】


プレイヤー名:黒岩真姫


キャラクター名:柏木林(かしわぎ・りん)


コードネーム:“アイギス”


シンドローム:エグザイル


        :サラマンダー


ワークス:小学生


カヴァー:小学生


侵食率基本値:28         HP((肉体+精神)×2+エフェクト修正):14/14


イニシアティブ(感覚×2+精神+エフェクト修正):11        経験点:


能力値&技能(3経験点で1上昇)


【肉体:4】   白兵:LV4   回避:LV    運動:LV   耐性:LV 


【感覚:4】  射撃:LV   知覚:LV1  隠密:LV1  精密作業:LV    運転( ):LV     運転( ):LV


【精神:3】  知識( ):LV  知識( ):LV   機械操作:LV   RC:LV2  意志:LV1  追跡:LV


【社会:1】  調達:LV     情報(噂話):LV1   情報( ):LV   情報( ):LV    交渉:LV


       芸術( ):LV     芸術( ):LV    芸術( ):LV





エフェクト(2経験点で1上昇。


 LV上限:雑種=2/純血種&一般エフェクト=3/Dロイス[超血統]=4)


  名称      LV  技能   侵食値  目標値  対象   タイミング  詳細


1 リザレクト    1   宣言   [LV]D   ――   自身   後述    昏倒時に使用・侵食率100%未満


2 ワーディング  1   宣言   ――    ――   シーン  後述    一般人の無力化・オーヴァードは感知


3《炎陣》      1   宣言     3    ――   自身   後述    行動を消費せずに同一エンゲージの味方を庇う


4《灼熱の結界》  1  <白兵>    2    対決   自身  リアクション 防御に[LV/LV+2]の修正。射撃受け可


5《氷盾》      1  <白兵>     2   対決   自身  リアクション  防御に[LV+3/LV×5]の修正


6《ブレインコントロール》 2  シンドローム 3    対決   自身  M/R    クリティカル値を−[LV(最大3)]


7《炎の剣》     1 <白兵/射撃>  2   対決   ――   メジャー   攻撃力+[LV×2]


8《伸縮腕》     1  <白兵>     2    対決   自身   メジャー   射撃距離に攻撃可。[LV]個のダイスボーナス


9《ジャイアントグロウス》1  <白兵>    5    対決   範囲   メジャー   攻撃力+[LV×3]。ダメージを与えた対象に2個のダイスペナルティ。攻撃を[対象:範囲]に変更 要100%





ライフパス


生まれ:義理の両親


経験1:虐待


経験2:趣味


覚醒 :探求        (侵食値:14)


衝動 :妄想        (侵食値:14)





キャラクターの設定


年齢/性別:11/男


身長/体重:138cm/31kg


詳細な設定:


 孤児院で暮らす少年。実の両親によって虐待を受けていたという過去を背負っている。


 現在は親身になってくれる新たな“両親”と、趣味を同じくする友人も手にし、充実した生活を送っているが、過去の虐待によって受けたトラウマのためか、この『日常』を失うことを恐れており、その恐れを体現するかのように、『守る』ということに強いこだわりを持っている。





ロイス  (1経験点で固定)


  関係   名前     感情(P)    感情(N)   設定


・Dロイス  生還者   □        □       


・友人   安田達弥   ■友情     □劣等感   


・恩人   佐倉恵造   ■信頼     □不安    


・              □        □       


・              □        □       


・              □        □       


・              □        □       


アイテム


  名称    /固定/ 技能 / 攻撃力 / 防御力 / 装甲 / 隠匿 / 詳細


  素手    /――/ 白兵 /  −5  / 0/0  / ―― / ―― / 


コネ:友人   /――/ 情報 / ――― / ――― / ―― / ―― / 噂好きの友人 <情報:噂話>に+2D





コンボ (CR=クリティカル DP=ダイスペナルティ DB=ダイスボーナス ADP=ダイスペナルティ打消し)


・攻撃


[名称]:       [組合わせ]:6+7+8  [技能]:<白兵> [侵食値上昇]:7


[CR]:8/7 [D]:5/6 [ADP]:× [装甲無視]:× [対象DP]:× [対象]:1 [攻撃力]:−3/−2  [特殊効果]:射撃距離可





[名称]:       [組合わせ]:上+9  [技能]:<白兵>  [侵食値上昇]:12


[CR]:7 [D]:6 [ADP]:× [装甲無視]:× [対象DP]:× [対象]:範囲 [攻撃力]:+4 [特殊効果]:射撃距離・R中、ダメージを受けた対象にDP2個 要100%





・防御


[名称]:アイギスの盾 [組合わせ]:4+5+6  [技能]:<白兵>  [侵食値上昇]:7


[CR]:8/7  [D]:4   [射撃受け]:可 [防御判定修正]:5/7 [防御力]:8/14





侵食率管理 


  侵蝕率   D LV 目標値


 0〜60%   ボーナスなし


 61〜80  +1  − −


 81〜90  +2  − −1


 91〜99  +3  − −2


100〜110 +4  +1 −3


111〜130 +5  +1 −4


131〜160 +6  +1 −5


161〜190 +7  +2 −6


191〜230 +8  +2 −7


231〜    +9  +2 −8





 * * *





真児:ナルホど……《融合》を取らなかった分、一人ででも攻撃と防御を両方出来るようにした、というこトダネ?


真姫:そーなのです(えっへん)。


 でも、その分出来ることが中途半端になったかも知れませんけどね♪ ゚ー゚ミ


晃太:そのあたりは仕方ないっスよ。クリティカル値低下エフェクトを2LV取るっていうのは、DXの中でも鉄則中の鉄則っスからね。


 まぁ、クリティカル値低下エフェクトを捨ててでも徹頭徹尾《融合》で支援に徹するというのも、一つのやり方かも知れないっスけど、《融合》を使えるようになる侵食率100%まで、攻撃も防御も捨てて、ひたすら相手の攻撃を受けまくって侵食率を上げるってことになると、ゲームとして楽しむって観点からすれば、楽しみ辛いことは間違いないっスからね。


真姫:そうかも知れませんねー。


賢介:それは兎に角、基本は押さえているけど、ちょっと非力……明らかに『将来が楽しみ』と言ったエフェクトの選び方だな。


真姫:そ、そうなんですか?


賢介:同じ<白兵>系のシンドロームとは言っても、ダイス重視のエグザイルとダメージ重視のサラマンダーだからな。シンドロームのコンセプトに差がある以上、下駄を履かせない限り非力になることは仕方ないさ。


ディック:でも、『将来が楽しみ』っていうことは、将来的にはものすごく強くなる、と言うことでもあるんだよね?


賢介:そーだね。系列が同じでありつつ、コンセプトに差がある、ということは、キャラを作ったばかりの時にはコンセプトが統一されていないことで中途半端に陥りやすいということの現われなんだけど―― 経験を積んで補いさえすれば、比較的簡単にその系統に於いて欠点の少ないキャラが作りやすい、と言うことでもあるんだ。


 たとえば、このリンというキャラについて言えば、現時点では攻撃力の低さという弱点を抱えてはいるけど、武器を作り出すエフェクトや素手を強化するエフェクト……あとはアイテムで補うことも出来るし、防御判定に成功すると同時に相手に実ダメージを与えることが出来る《自動触手》と《蒼き悪魔(瞬間的に冷気を発することで、白兵攻撃を仕掛けてきた相手の武器を凍りつかせ、軽減出来ないダメージを与えることが出来るサラマンダーのエフェクト)というトリッキーな受けキャラだからこその反撃方法で補うことも出来る。


 もちろん選択次第では『リプレイ・トワイライト』に登場したギョームのように徹底した防御重視キャラにすることだって出来るし、当初の予定通りに《融合》を基軸にしたサポートキャラにすることだって出来る。


 現時点では攻撃も防御も中途半端ではあるけど、そのことは今後の選択次第でどんなキャラクターにすることだって出来る―― そういった選択肢の幅が拡がっているからこそ、『将来が楽しみ』ということになるんだ。


真姫:なるほどー。判りましたっ ♪





 * * *





■ “アルチイ・ジルヒル(暗闇の矢)”喜多森勇輝(PL:黒岩真児)の場合





【FIRE STARTER!! DX2キャラクターシート】


プレイヤー名:黒岩真児


キャラクター名:喜多森勇輝(きたもり・ゆうき)


コードネーム:アルチイ・ジルヒル(暗闇の矢)


シンドローム:ブラム=ストーカー


        :バロール


ワークス:UGチルドレンA


カヴァー:中学生


侵食率基本値:37       HP((肉体+精神)×2+エフェクト修正): 20/20


イニシアティブ(感覚×2+精神+エフェクト修正):9         経験点:


能力値&技能(3経験点で1上昇)


【肉体:3】   白兵:LV    回避:LV1   運動:LV   耐性:LV 


【感覚:1】  射撃:LV   知覚:LV1  隠密:LV   精密作業:LV    運転( ):LV     運転( ):LV


【精神:7】  知識( ):LV  知識( ):LV   機械操作:LV   RC:LV9  意志:LV3  追跡:LV


【社会:1】  調達:LV     情報(UGN):LV1   情報( ):LV   情報( ):LV    交渉:LV


       芸術( ):LV     芸術( ):LV    芸術( ):LV





エフェクト(2経験点で1上昇。


 LV上限:雑種=2/純血種&一般エフェクト=3/Dロイス[超血統]=4)


  名称      LV  技能   侵食値  目標値  対象   タイミング  詳細


1 リザレクト    1   宣言   [LV]D   ――   自身   後述    昏倒時に使用・侵食率100%未満


2 ワーディング  1   宣言   ――    ――   シーン  後述    一般人の無力化・オーヴァードは感知


3《血の呪縛》   1   <RC>    2     対決  1体    メジャー   命中すると戦闘中<回避>と<運動>に[LV×2]個のDペナルティ 


4《封印の呪》   1   <RC>    4     対決  1体    メジャー  ダメージを与えた対象の次の判定のCR値に+1


5《因果歪曲》   1  シンドローム   3     ――   範囲   メジャー  エフェクトの効果を[範囲]に変更。射撃距離のみ


6《黒の鉄槌》   1   <RC>    3     対決   1体    メジャー  射撃距離の対象に攻撃。攻撃力:[LV×3]


7《魔王の理》   2  シンドローム   3     ――   ――   M/R    クリティカル値−[LV(最大3)] 


8《斥力結界》   1   <RC>    2     対決   自身   リアクション <RC>で避け。[LV−1]のDB


9《時の棺》     1   宣言     7     ――   1体   後述     対象の判定を失敗させる。1セッション1回








ライフパス


生まれ:UGの子


経験1:大病


経験2:平凡への反発


覚醒 :忘却        (侵食値:17)


衝動 :加虐        (侵食値:15)





キャラクターの設定


年齢/性別:15/男


身長/体重:164cm/53kg


詳細な設定:幼い頃、レネゲイドウィルスに発症したことがもとで生死を彷徨う大病を負ったが、UGNの関連医療機関でその生命を救われ、そのままUGチルドレンになる。


 だが、UGNへのあまりに強い傾倒が、平凡な一般人たちに対する軽侮の意識を僅かながら生み出している。





ロイス  (1経験点で固定)


  関係   名前     感情(P)    感情(N)   設定


・Dロイス   精鋭    □        □       


・上司   霧谷雄吾   ■憧憬     □劣等感   UGN日本支部長


・友人   田中玲二  □友情      ■隔意    級友


・              □        □       


・              □        □       


・              □        □       


・              □        □       


アイテム


  名称    /固定/ 技能 / 攻撃力 / 防御力 / 装甲 / 隠匿 / 詳細


<コネ:UGN>  /  1/<情報> / ――― / ――― / ―― / ―― /<情報:UGN>にDB2個





コンボ (CR=クリティカル DP=ダイスペナルティ DB=ダイスボーナス ADP=ダイスペナルティ打消し)


・攻撃


[名称]:       [組合わせ]:3+4+5+6+7 [技能]:<RC> [侵食値上昇]:15


[CR]:8/7 [D]:7 [ADP]:× [装甲無視]:× [対象DP]:× [対象]:範囲 [攻撃力]:3/6 [特殊効果]:命中した対象のR中の<回避><運動>にDP2/4個・ダメージを受けた対象の次の判定CR+1 


・防御


[名称]:       [組合わせ]:7+8 [技能]:<RC> [侵食値上昇]:5


[CR]:8/7 [D]:7/8 [射撃受け]:―― [防御判定修正]:―― [防御力]:―― 





侵食率管理 


  侵蝕率   D LV 目標値


 0〜60%   ボーナスなし


 61〜80  +1  − −


 81〜90  +2  − −1


 91〜99  +3  − −2


100〜110 +4  +1 −3


111〜130 +5  +1 −4


131〜160 +6  +1 −5


161〜190 +7  +2 −6


191〜230 +8  +2 −7


231〜    +9  +2 −8





 * * *





真児:見テノ通り、<RC>中心にシタゾ。アト、コータが言ったように、ダメージよりもペナルティ優先で作ってミタゾ。


晃太:……つか、立派な反則キャラだな、こりゃ。


 攻撃はもちろん、<RC>で回避出来るから防御面もかなり優秀だし、たとえ当たったとしても、【精神】が高い分HPも高いから、装備次第では一撃では死なないからなぁ。


ディック:?……装備って―― アイテム類は【社会】と<調達>が高くなければ手に入れることが出来ないんじゃなかったかな?


賢介:いや、確かにそういった面はあるけど、セッション途中の調達判定で手に入れた自体は受け渡すことも出来るんだよ。ただ、それをそのセッションが終わったあとも継続して持つことが出来る―― アイテムの固定、というんだけど、【社会】と<調達>が高いキャラはアイテムを固定……つまり、アイテムを所持しているけど、固定化ポイントが低いキャラが<調達>判定で手に入れた場合は、そのアイテムを借り受けることが出来た、程度で考えておくと判りやすいかも知れないね。


晃太:まぁ、装甲値のバカ高い装備の場合はイニシアティブ値にマイナス修正が入ることが多いし、装甲無視攻撃なんかには意味ないっスけどね。


真姫:真児くんのキャラ―― 勇輝くんのコンボって……当たっただけでダイスペナルティが来るんですねー。


真児:ソウダネ。コータも言ってたけど、ダイスペナルティをあたえる、というエフェクトだったら他のシンドロームでも充分にあるけど、『当たっただけで』ということになると、どうしてもブラム=ストーカーとバロールの二つを外すことは出来なインダ。


賢介:まぁ、他のシンドロームにも『クリンナップ・セグメントにダメージを与える』や『“捕縛”“装備使用不可”のような解除し辛いバッドステータス状態に追い込む』といった、相手に不利を与える特殊効果を持ってるエフェクトもあるから、単純に搦め手を使うキャラはその二つを絡めないといけない、とはいえないがな。


 それでも、<RC>系のキャラでダイスペナルティを中心に考えると、どうしてもブラム=ストーカーとバロールが特に優秀ということに代わりはないんだ。今回は選ばなかったが、ダメージを与える代わりに、命中したら次に受ける攻撃に対するリアクションを封じるエフェクトである《悪魔の影(重力によって対象の動きを封じ、対象が次の攻撃に対するリアクションを封じるバロールのエフェクト)や同じくバロールの《死神の瞳(対象が次に受ける攻撃のダメージを増幅するエフェクト)のように、ダメージよりも他のPCとの連携を重視する場合なら尚更『命中しただけでダイスペナルティ』という効果は大きくなるしな。


晃太:あと、やっぱり《時の棺》はボス相手にはデカいっスよ。判定そのものを失敗させるなんて、反則もいいとこっスからね。


ディック:それと、連携を重視するなら、《封印の呪》も効くね。ダメージを与えないといけない、という条件がつくからさっきぶらざーが言っていたような『ダメージを与えない代わりに』という二つのバロールのエフェクトとは重複しないけど、攻撃にせよ防御にせよ、対象が行う次の判定のクリティカル値を上げる……つまり、クリティカルする確率を減らすことが出来るというのは、メリットとしては大きいよ。


賢介:そうだね。特に、このパーティのように各PCのイニシアティブの数値がほぼ似通っている場合、畳みかけるように連続して攻撃を繰り出せるから、やり方によっては相手に間髪を差し挟む隙を与えない連携攻撃の一発目の『崩し』となるこのコンボはかなり有効になってくるな。





 * * *





■ “ギャラクティック・スーパースター”一条寺烈(PL:ディック・W・アーヴ)の場合





【FIRE STARTER!! DX2キャラクターシート】


プレイヤー名: 一条寺烈(いちじょうじ・れつ)


キャラクター名: ディック・W・アーヴ


コードネーム:ギャラクティック・スーパースター


シンドローム:ハヌマーン


        :オルクス


ワークス:アーティスト


カヴァー:鳶職


侵食率基本値:          HP((肉体+精神)×2+エフェクト修正):14/14


イニシアティブ(感覚×2+精神+エフェクト修正):11     経験点:


能力値&技能(3経験点で1上昇)


【肉体:2】   白兵:LV    回避:LV    運動:LV   耐性:LV 


【感覚:3】  射撃:LV   知覚:LV1   隠密:LV   精密作業:LV1   運転( ):LV     運転( ):LV


【精神:5】  知識( ):LV  知識( ):LV   機械操作:LV1  RC:LV4 意志:LV   追跡:LV


【社会:2】  調達:LV     情報(報道):LV 1  情報( ):LV   情報( ):LV    交渉:LV


       芸術(音楽):LV1   芸術( ):LV    芸術( ):LV





エフェクト(2経験点で1上昇。


 LV上限:雑種=2/純血種&一般エフェクト=3/Dロイス[超血統]=4)


  名称      LV  技能   侵食値  目標値  対象   タイミング  詳細


1 リザレクト    1   宣言   [LV]D   ――   自身   後述    昏倒時に使用・侵食率100%未満


2 ワーディング  1   宣言   ――    ――   シーン  後述    一般人の無力化・オーヴァードは感知


3《サイレンの魔女》 1   <RC>    2     対決   シーン  メジャー  攻撃力+[LV−4]・装甲無視・受け不可・<避け>にDP1個


4《さらなる波》   1  シンドローム   2     対決   ――   メジャー  攻撃力+[LV×2]


5《絶対の空間》  2   <RC>    3     ――   ――   M/R    クリティカル値−[LV(最大3)]


6《大地の加護》  1  シンドローム   2     対決   ――   メジャー  攻撃力+[LV+2]


7《リミットリリース》   1   すべて   6     ――   ――    M/R    クリティカル値を−1・1セッション1回 要100%


8《完全なる世界》 1  シンドローム   4     対決   ――   メジャー   [LV+2]のDB・対象の防御判定のCR+1 要100%


9《幸運の守護》  1   <RC>   2      対決   ――   リアクション <RC>で避け・[LV]個のDB





ライフパス


生まれ:貧乏


経験1:屈辱


経験2:不名誉


覚醒 :憤怒        (侵食値:17)


衝動 :闘争        (侵食値:16)





キャラクターの設定


年齢/性別: 20/男


身長/体重: 174cm/68kg


詳細な設定:


 昼は鳶職として建設現場で汗を流しているが、夜になるとインディーズでそこそこ名を知られだしたロックミュージシャンの顔を見せる元不良少年。一本スジの通った正義感は強く、それが元で暴力沙汰…そして、少年院に送致された過去を持つ。





ロイス  (1経験点で固定)


  関係   名前     感情(P)    感情(N)   設定


・Dロイス 秘密兵器   □ ―――   □―――  


・後輩   伊賀デン   ■連帯感    □驚異    後輩。バンドのベース


・腐れ縁  “歌姫”   ■信頼     □不安    ライブハウスのオーナー


・              □        □       


・              □        □       


・              □        □       


・              □        □       





アイテム


   名称     /固定/ 技能 / 攻撃力 / 防御力 / 装甲 / 隠匿 / 詳細


・Rコントローラー/――/ <RC> / ――― / ――― / ―― / ―― / 1セッション3回、<RC>に5個のDB


・スクーター    / 2 / <運転> /  +1  / ――― / ―― / 不可 / ベスパ・回避は<運転>で行う





コンボ (CR=クリティカル DP=ダイスペナルティ DB=ダイスボーナス ADP=ダイスペナルティ打消し)


・攻撃


[名称]:ジャイアニック・ヴォイス [組合わせ]:3+4+5+6 [技能]:<RC> [侵食値上昇]:9


[CR]:8/7 [D]:10 [装甲無視]:○ [対象DP]:<避け>に1 [対象]:シーン [攻撃力]:2/6 [特殊効果]:受け不可・Rコントローラー使用(未使用の場合、D数は5)


[名称]:ジャイアニック・リサイタル [組合わせ]:上+8(+7) [技能]:<RC> [侵食値上昇]:13(+6)


[CR]:7(6) [D]:14 [装甲無視]:○ [対象DP]:<避け>に1 [対象]:シーン [攻撃力]:6 [特殊効果]:上+対象リアクションのCR+1 要100%(括弧内は1セッション1回)


・防御


[名称]:       [組合わせ]:5+9 [技能]:<RC> [侵食値上昇]:5


[CR]:8/7 [D]:5 [射撃受け]:× [防御判定修正]:―― [防御力]:――





侵食率管理 


  侵蝕率   D LV 目標値


 0〜60%   ボーナスなし


 61〜80  +1  − −


 81〜90  +2  − −1


 91〜99  +3  − −2


100〜110 +4  +1 −3


111〜130 +5  +1 −4


131〜160 +6  +1 −5


161〜190 +7  +2 −6


191〜230 +8  +2 −7


231〜    +9  +2 −8





 * * *





晃太:ノ `Д´)ノ ┻━┻ふざけんなッ(卓袱台錬成&返し)!


ディック:な、何だいきなり?!こうして真面目に作っているじゃないかッ(笑)!?


晃太:明らかにどこぞの宇宙刑事だろーがッ?!


賢介:まぁ、ぶらざーが真面目に作るはずはない、とは判っちゃいたが……コンボのコンセプトそのものは一貫してるな。


 それに、キャラは兎に角、コンボのコンセプトそのものは一貫してるから、目を瞑るんだ。


真児:ソーダナ。《サイレンの魔女》のシーン全体攻撃をフル活用するために、攻撃力を増やすエフェクトも目標数が減らないようなエフェクトばかり選んでルシナ。


真姫:えと……目標数が減る、って? ・w・ミ


賢介:エフェクトは何らかの組み合わせをすることで威力や特殊な効果を増していく、ということは判るだろ?だけど、エフェクトにはそれぞれ対象範囲が決まっていてな、下手なエフェクトの組み合わせ方だったら、逆に持ち味をスポイルしてしまうことも有り得るんだ。


 そして、殆んどの場合でシーン→範囲→1体といった具合に、組み合わせたエフェクトの対象範囲は広く、大きいものよりも狭く、小さいものの方が優先されていく、というルールが適応されるんだ。


ディック:殆んどの場合、ということは…例外もあるんだよね?


賢介:そうだね。真姫の持っている《スターダストレイン》や、ぶらざーの使う《要の陣形(領域を調整して、目標とする対象の数を増すオルクスのエフェクト)のような、最終的な対象を変更するエフェクトがその『例外』に当たるんだ。


 でも、折角の“シーン全体に対する装甲値無視攻撃”というメリットを一旦捨てた上で対象数変化エフェクトを改めて重ねる、というのは無駄以外の何物でもないし、何より、侵食値の上昇、という多大なリスクを背負う、というのが問題になってくる。特に《スターダストレイン》は<RC>の範囲をシーン全体に拡大する代わりに、単独で侵食値を8も上昇させる実にリスキーなエフェクトだし、《要の陣形》もまた対象数を増やす、という面ではかなり優秀な部類のエフェクトに違いないが、やはりリスクは大きいことに違いはないからね。


 だから、ぶらざーの作ったキャラように『対象:―― 』という風に、対象に明確な括りを持たないエフェクトを組み合わせることでシンプルに攻撃力を高めることが、エフェクトの持ち味を活かすと言ってもいいね。


真児:デモ、それだけだったらダイスの数が確保出来なイダロ?


晃太:まーな。攻撃力を上昇させるエフェクトを中心にコンボを組んでるから、ダイスの数を増やすのは100%エフェクトの《完全なる世界》まで待たなきゃいけないからな。


賢介:でも、100%を超えたら性能が一気に跳ね上がるというのは間違いない。《完全なる世界》の場合はダイス数増加の他にも、相手のリアクションのクリティカル値を上昇させる効果もあるし、一回だけなら同じ100%エフェクトの《リミットリリース》も使える。ダイス数が多少少なかろうとも、相手のリアクションのクリティカルを出し難くしながら、こちらの攻撃のクリティカルを出しやすくするという効果で補えるから、クライマックスの戦闘では特に力を発揮することが出来るだろうな。


晃太:それに、『ダイス数確保』という面ならオレのキャラで十分補うことが出来るっスからね。


 つーわけで、次はオレのキャラ説明っスね。





 * * *





■ “Mr・K”遣唐使渡(PL:橋尾晃太)の場合





【FIRE STARTER!! DX2キャラクターシート/起源種用】





プレイヤー名:橋尾晃太


キャラクター名:遣唐使渡(けんとうし・わたる)


コードネーム:Mr・K


シンドローム:ノイマン


        :ソラリス


ワークス:情報屋


カヴァー:露店商


侵食率基本値:35        HP((肉体+精神)×2+エフェクト修正):10/10


イニシアティブ(感覚×2+精神+エフェクト修正):10/14       経験点:


能力値&技能(3経験点で1上昇)


【肉体:1】   白兵:LV    回避:LV    運動:LV   耐性:LV 


【感覚:2】  射撃:LV   知覚:LV1 隠密:LV   精密作業:LV    運転( ):LV     運転( ):LV


【精神:4】  知識( ):LV  知識( ):LV   機械操作:LV   RC:LV2 意志:LV   追跡:LV


【社会:5】  調達:LV 3 情報(噂話):LV1 情報(裏社会):LV 1 情報(軍事):LV1  交渉:LV1


       芸術( ):LV     芸術( ):LV    芸術( ):LV





エフェクト(2経験点で1上昇。


 LV上限:雑種=2/純血種&一般エフェクト=3/Dロイス[超血統]=4)


  名称      LV  技能   侵食値  目標値  対象   タイミング  詳細


1 リザレクト    1   宣言   [LV]D   ――   自身   後述    昏倒時に使用・侵食率100%未満


2 ワーディング  1   宣言   ――    ――   シーン  後述    一般人の無力化・オーヴァードは感知


3《天性のひらめき》 2 すべて    4     ――   ――   M/R    攻撃以外のCR値−[LV(最大3)]


4《アドヴァイス》  1   <交渉>    5     15    1体   メジャー  対象の次に行うメジャーアクションのCR値−1・判定に[LV−1]のDB


5《弱点看破》   1   <交渉>    2      9    ――   メジャー  対象の次に行う攻撃のダメージを+[LV×2]


6《戦局判断》   1   <交渉>   ――    ――   自身    常時    イニシアティブを+[LV×2]


7《帰還の声》   1   <交渉>    2     対決   1体   メジャー   <交渉>に[LV+2]のDB・対象は<交渉><RC>で対抗可。


8《声なき声》    1   <交渉>    2     ――   LV体  メジャー   対象数を[LV]体に変更


9《戦乙女の導き》 1   <交渉>    2      9    1体   メジャー   対象の次に行うメジャーアクションのダイス数を+[LV+1]


ライフパス


生まれ:名家の生まれ


経験1:ニュース


経験2:名誉


覚醒 :命令        (侵食値:17)


衝動 :殺戮        (侵食値:18)





キャラクターの設定


年齢/性別: 23/男


身長/体重: 179cm/71kg


詳細な設定:


 街中でシルバーアクセを売る露店商。だが、その正体はヤクザをも手玉に取る手練の情報屋。


 代々海運業で財を為してきた遣唐使家の三男。二人の兄は東大を出、幼い頃から神童ともてはやされてきた本人もそれに続くと思われていたが、退屈なその道を捨て、スリルと充足を求めて刺激的な裏社会に身を投じた。


 的確に情報を読み、そして操作することで街の裏面のバランスを操ってきたが、最近はそこにも退屈を感じ始めている。





ロイス  (1経験点で固定)


  関係   名前     感情(P)    感情(N)   設定


・Dロイス  起源種   □        □       


・顧客    御剣祥弥  ■有為     □不信感   鴻央会系高川組組長代理。


・兄      遣唐使守  □同情     ■食傷    遣唐使家長兄。


・              □        □       


・              □        □       


・              □        □       


・              □        □       


アイテム


  名称    /固定/ 技能 / 攻撃力 / 防御力 / 装甲 / 隠匿 / 詳細


各種コネ    /  8/<情報> / ――― / ――― / ―― / ―― / 情報:UGN/FH/噂話/裏社会/警察/学問/軍事/ウェブの判定に+2D


自動巡回ソフト/  2/<情報> / ――― / ――― / ―― / ―― / 情報:噂話/ウェブの判定に+2D





コンボ (CR=クリティカル DP=ダイスペナルティ DB=ダイスボーナス ADP=ダイスペナルティ打消し)


・支援


[名称]:OK、落ち着いてよーく聞けよ? [組合わせ]:4+5+7+8+9 [技能]:<交渉> [侵食値上昇]:13 [目標値]:対決


[CR]:10 [D]:7/12 [対象]:1/3 [CR低下]:-1 [DB]:2/4 [ADP]:× [攻撃力上昇]:2/6





侵食率管理 


  侵蝕率   LV


 0〜80%  ±0


 81〜99  +1


100〜130 +2


131〜    +3





 * * *





ディック:お前が言うなッ(殴打)!!


晃太:ちょっとは真面目に考えたわッ(はっし)!!


 つか、オレだってゼロから仰々しい名字なんて言われても思いつくの正直この程度だよッ!!そもそもこの出目、誰が振ったんだ、誰がッ?!


ディック:(;゚Д゚)y-~~さ、話を進めようか。


真姫:それにしても……本当に徹底して<交渉>に関係したエフェクトに集中させているんですね。 ゚o゚ミ;


賢介:確かにそうだな。まぁ、攻撃はおろか防御に関しても全く無力である、というのが泣き所ではあるんだが、活躍の場を【社会】に関した行動に集中させてパーティの戦力を引き上げにかかったんだから、こればかりは仕方ない。


 でも、このキャラのコンボには『支援』という特性以上に他のキャラのコンボとは明確な違いがあるんだが……どこだと思う?


ディック:ええッ?!明確な違いって言われても……(黙考)。


真姫:ど、どこが違うんでしょうか(あせあせ)。


晃太:はっはっは。ヒントは今回のコラムやら本編の中でも出て来てるっスけど……『通常のコンボには必要不可欠なもの』って考えたら判りやすいっスね。


真児:……アー、なるホドナ。


ディック:………………必要不可欠 ―― もしかして、『クリティカル値低下エフェクト』を組み合わせてない、ということかな?


賢介:正解。流石はぶらざーだね。


真姫:ええっ?!そ、そんな事をしても大丈夫なんですか?!


晃太:結論から言うと大丈夫っスよ。


 というか、味方に使う性質のエフェクトだけを組み合わせてるから必要ない、ということになるんスけどね。


賢介:そういう事。これはある種マンチキン(ルールの穴を突くなどして他のプレイヤーよりも有利であろうとする、マナーに欠けるプレイヤー。転じて、豊富なルールの知識により、積極的にキャラクターの性能や有利さを追求するプレイヤー、及びプレイスタイルの事)なやり方、と言えるんだが、DXというシステムにおける判定の優先順位が対決>目標値というはっきりとした枠組みで決められている、ということを利用してのテクニックだな。


 《帰還の声》というのは本来対象の精神を安定させ、沈静化させることを目的としたエフェクトだ。だが、ルール的には『対象に対する<交渉>の判定に対して[LV×2]個のダイスボーナス。対象は<交渉><RC>で抵抗出来る』という事は明確に記されているが、それを誰に使うのか、ということについては不明確になっているんだ。


 そして、その不明確な部分を悪用して、『味方に対して』『抵抗されない限り』『メジャーアクションに対するクリティカル値低下+ダイス数&攻撃力増強』という効果を持ったコンボを作り出した、と言う訳だな。


晃太:……悪用かよ。でも、侵食率と防御行動が出来ない程度のリスクで、初期作成パーティにしては反則じみた強さを得ることが出来るのに違いはないっスから、まぁ悪用ってのも間違いじゃねーな。


 特に、ディックさんの作ったキャラが100%超えてからだったら、<賢者の石>使うのと代わらないレベルのシーン全体攻撃が可能になる訳っスからね、反則もいいとこっスよね。


真児:ソノ『反則じみた』というのを支えてるのが、起源種ダナ?


賢介:そうだな。『侵食率管理』の欄を見比べてみれば判りやすいが、起源種の場合、侵食率上昇に伴う目標値変化やダイスボーナスがない代わりに、エフェクトLVが他のDロイスよりもはるかに早く上昇するようになっている。


 普通なら、コンボを組み上げる場合には侵食率によるダイスボーナスやダイス数の増加に伴う出目の期待値もひっくるめて考えるべきだが、その前提を引っくり返し、出目関係なしにファンブルさえしなければ成功する―― 正しくは、抵抗することは出来るけど、抵抗しても損するだけだ、というコンボを組むことが出来ている以上は、エフェクトLVが上昇しやすい起源種というDロイスの特性は有効だからな。


晃太:あと、『起源種の特性』について言うなら、イニシアティブについても触れて欲しいっスね。


 この渡ってキャラのイニシアティブは素の能力値のままだったら8でパーティで一番トロい……《戦局判断》を組み合わせたところでちょっとマシな10にしかならないけど、侵食率が80%を超えたらイニシアティブは12でパーティで一番早く動く事が出来るようになる。


 80%ということは、基本的にクライマックスに突入していておかしくない訳っスからね。《戦局判断》のエフェクトLVも強化される分、早いタイミングで他のPCを増強する事が出来るっていうのは、間違いなくメリットっスよ。さっきも言ったことっスけど、パーティのイニシアティブが殆んど同じタイミングに固まっていて、一気に連続攻撃を畳み込むことが出来るという強みがあるから、尚更ね。


真姫:なるほどー。色々考えてあるんですね。


賢介:そりゃあそうだ。考えに考え抜いて作るキャラには、作る楽しみ、というものがあるからな。


 オーソドックスなRPGのように、キャラクラスを選び、装備を決めるだけ、というキャラメイクもゲームの持つ楽しさを削ぎ落とす事はない。でも、どのようなキャラクターにするか、という方向性を徹底的に考え、他のPLとも話し合った上で、技能や装備はもちろん、その個性や過去までも設定していくDXなどに見られるキャラメイクのあり方は、一見すると複雑そうに見えるけど、パーティという一つの集団がどういったものに形作られていくか、というものを見据えてキャラクターを作る楽しさは、その複雑さを感じさせないからな。


 口さがなく言えば、『キャラが出来ることが一つのことしかない』という批判も出るかも知れない。


 でもな、『一つのことしか出来ない。しかし、その“一つのこと”に関してなら誰にも負けない』というスペシャリスト集団、というのも乙なものだ。何より、そういった人間の集団だからこそ、パーティを組む意義が増す、というものだしな。


 小説を書くときなんかにはよく言われるが、『作品作りというものは、登場人物の人生を切り取るようなもの』という言葉がある。そして、それはTRPGでも同じだ。


 キャラクターの人生の一部を切り取って物語を作る以上、真剣に考えることは悪い事じゃない。適当にステロタイプのキャラを粗製濫造するよりも、思い入れが深まることも間違いないしな。


真姫:そうですねー。わたしもリンくんがどういった人生を歩んでいくのか楽しみです♪ ゚ヮ゚ミノ





 ―― うう、申し訳ない……GMとしてもこのキャラ達でセッションやりたいのは山々なのですが……とてもじゃないけど出来ないのですよぅ(涙)。





賢介:まぁ、コラム用のキャラだしなー(笑)。





 ―― ちがわい。あくまでGMの仕事の問題(2008年4月現在)だぁよ。





晃太:や……やべぇ―― このGM、時間の都合がついたらマジにやる気だ。


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