コラム〜『なぜなにダブルクロス』12・ご利用は計画的に……Dロイス〜




黒岩賢介:今コラムの講師。


 保有Dロイスは『対抗種』。自分自身もダメージを負うものの、コンスタントに強力な攻撃を与えることが出来るのが強み。


 あー、だからお仕置されるのが判ってても他人を弄っちゃうのが止められないんだな―― って、ただのMじゃねぇ、それ?


黒岩真姫:今コラムの受講生。


 保有Dロイスは『賢者の石』。なので、瞬間的な爆発力に関しては他の追随を許さない。でも、極度の焼餅妬きなので、その類い稀な爆発力の矛先は大抵ナンパしたり口説いたり美人の母親か姉がいないかを訊ねたりするよーな発言を繰り返す兄君。


 ……というか、お仕置にピンヒールやら鞭やら持ち出してくるとは、思いもよりませんでした。兄がMな分、ついに潜在的な女王様気質を顕現させ始めた模様です。


黒岩真児:今コラムの受講生。


 保有Dロイスは『複製体』。リプレイ本編でも登場した『ドッペルゲンガー』緑川高志からエグザイルのエフェクト《呪われし者の印(セカンドアクションに使用することによって、HPを大幅に回復するエフェクト)を受け継いでおります。


 しかし、複製体キャラのお約束である無表情・無感情・無口とは大きくかけ離れた、えらく快活な性質を持っているのは、育ての親というか姉代わりである真姫嬢の影響―― 特に、独占欲の強さは間違いなくそれである。


ディック・W・アーヴ:今コラムの受講生。


 保有Dロイスは『特権階級』。庶民的だろうと『特権階級』。威厳が感じられなくても『特権階級』。えらいんだぞーさからうなー。


 でも、偉いからといってセクハラ発言を乱発すると、下手すりゃ降格されちゃうので、出来る限り控えて―― しまった!サボり魔にとってこの発言はむしろ好都合ッ?!


橋尾晃太:今コラムの受講生。


 保有Dロイスは『戦闘用人格』。とは言っても、その第二人格である『ヌアザ』は初登場時を除いて一切出番なし。忘却の彼方へと消え去っております。


 しかも、リプレイ本編や過去のコラムを見るにつけ、出番がないまま昇華されそうな流れなので、万一“彼”の出番を待っているお方がいらしたら、お早めに掲示板辺りで告知して頂けたら幸いです。善処します。





賢介:というわけで、今回の講義はDロイスについてだが……。


晃太:……なんなんスか、このどこぞの街金のCMに申し訳程度に出てきそうなタイトルは?


賢介:俺に聞くな、俺に。


 しかし、だ……確かにリスクを伴うDロイスを使うからには、リスクを軽減し、効率的に運用するためにある程度筋道立てた使い方・使い所を考える必要が出てくることも確かだな。


真姫:リスクというと……私や真琴くんの持っている『賢者の石』を使った時のような、侵食率に関したものですよね?


賢介:そうだな。以前このサイトの無印コラムで触れられていた従来のものだけじゃなく、コントラストサイド(以下『CS』)やラディカルドライブ(以下『RD』)で追加されたDロイスも、大半のものが侵食率に対してリスクを背負うことになってくるように、Dロイスを語る上では、どうしても侵食値の基本値や上昇幅が増すという部分は語らないわけには行かなくなってくるな。


ディック:でもぶらざー……大半っていうことは、例外もあるってことだよね?


賢介:流石はぶらざー、よく気付いたね。


 基本的にDロイスは侵食率に対して大なり小なりのリスクを背負うけど、ぶらざーが今挙げたように、たとえ効果を発揮したとしても、侵食率に対するリスクを殆んど持たない“例外”もある。そして、その“例外”のDロイスについて大まかに言えば、『特権階級』やRDで追加されたUGN支部長専用のDロイス『指揮者』等のようなタイプと、『生還者』やCSで追加されたFH専用Dロイスである『不死者』やRDで追加された『安定体』等のようなタイプの二つに分けることが出来るんだ。


 さて、ここで質問だが……この二種類の“例外”に属するDロイスの違いは一体どこにあると思う?


真児:エーッと……『生還者』の方なら、“自律判定に有利になる”ってことは判るんだけド……?


真姫:ディックさん、判りますか?


ディック:…………ひょっとして、自分以外の対象に対して効果を発揮する、という括りになるのかな?


晃太:そーっスね。他人にタイタスを分け与える『特権階級』は当然として、タイタスを昇華することで行動済みの他人を未行動にすることができる『触媒』に、タイタスを昇華して他人の行動に対する判定のダイスとクリティカル値にボーナスを与える『指揮者』―― あと、ソラリス専用Dロイスの、自分のロイスをタイタスに変える代わりに他人の昇華する前のタイタスをロイスとして復活させることが出来る『記憶探索者』なんかのような、明確に支援を目的としたDロイスで侵食率がガッツリ増えたりしたら、支援する側もされる側も正直やってられないっスからねぇ。


賢介:そーいうことだな。


 まぁ、Dロイスといえば、『賢者の石』や『変異種』のような、派手な効果を持ったものが重要に思えるかも知れないし、事実、決め手を担うのはそういったフィニッシャー的なDロイスの持ち主が大半だ。しかし、高い決定力の代償として、高い侵食値というリスクを背負わざるを得ないからこそ、一撃で決め切れない場合にはどうしても負担が掛かってしまうからな。


 他のRPGが継戦能力の高さ、という部分も重視されるのと違い、DXの場合は戦闘が長引けば長引くだけ侵食率が上昇していき、それだけ生還する率が下がっていくという特性を持っている以上、どうしても一気呵成の短期決戦に持ち込む必要が出てくるわけだ。そして、短期決戦で確実にチャンスをものにする必要がある以上、決定力の高さをより活かすためにも、“例外”に属するDロイスを効率よく配した上で、フィニッシャーとなるべきキャラにDロイスやエフェクトによる支援効果が集約するようにパーティを組み立てるのが賢いやり方だと言えるわけだな。


真姫:む、難しそうですね・w・ミ;


晃太:まー、こうして口にしてると難しいって感じるけど、実際にやってみるとそーでもないっスよ。


 ホラ、前に春日恭二使って模擬戦闘したじゃないっスか。あの時に真姫さんとディックさんのコンビでクリティカル値5なんて攻撃やってたでしょ?あんな感じになるんスよ。


賢介:ま、もっと言えばあの時真姫がタイタス昇華ではなく『賢者の石』の使用を選んだとしたなら、ぶらざーの渡したタイタスの効果も合わせると『クリティカル値4・ダイス18』か『クリティカル値5・ダイス28』というさらに恐るべき状況になっていたからな。ただでさえ高い決定力がさらに引き上げられる、というのは一目瞭然だろ?


真姫:あ……でも、あの時のわたしの侵食率はエフェクトを使った時点で135%だったから、そこからさらに『賢者の石』を使ったら、それこそ帰って来れなくなる可能性が出てくるんじゃ?


賢介:一見するとそう思えるだろうけど……ところがこれがそうでもないんだ。


真児:……ドーゆーコトダ?


晃太:よく考えてみろよ。あの戦闘の時、もし真姫さんがロイスを6つ持ってる状態でその中の一つをタイタス化して昇華した場合、自律判定に使えるロイスの数は幾つになる?


真児:5個ダナ。


晃太:じゃ、『賢者の石』の効果を使ったなら、自律判定に残せるロイスは幾つだ?


真児:6個ダロ?ソレガどウシタ?


晃太:じゃあ、それを倍振りしてみたら、どうよ?


ディック:………………あー、なるほどねー。賢者の石の代償である2D10の侵食率の上昇も、残しておいたロイスで相殺出来る、というわけなんだね。


晃太:そーゆーことっス。つか、もっと言えば、万一倍振りで足りなかった場合の振り足しの分の1Dも頭に入れての話でもあるんスけどね。


賢介:まぁ、倍振りして12個と言えば期待値にして66にはなるんだから、晃太の喩えは極端ではあることに違いはないが、藍空シリーズの6話ではロイスが6個丸々残っていながら、通常振りで30%に満たない自律判定に失敗したように、思わぬところで失敗する、という話はないでもないからな。


 しかし、全てのDロイスに共通していることだが、タイタス化して逆転の布石にもすることも出来れば、出来るだけ温存して自律判定を有利にすることも出来るロイスのスロットを一つ潰している、というマイナス部分をDロイスは持っているということだけは忘れてはいけない。


真姫:全てのDロイス、ということは……『生還者』でもですか?


賢介:『生還者』でも変わりはないな。確かに、自律判定のダイスを3D増やすことが出来る分、他のキャラクターよりもロイスをタイタス化させて昇華させ易いことに違いはない。だが、ゲーム的にはさほど影響はないにせよ、キャラクターの心情からしたら、手をつけるべきではないロイス……つまりは絆にまで手をつけてしまうのは避けたいところだからな。


 スロットを潰してしまう、と言った面から言えば、Dロイスには強力だけど使用方法を限定されたタイタスであるという側面がある。だからこそ、DXリプレイ・ストライクのシャルのように、あえて方向性を限定されたDロイスを保有することなくロイス/タイタスの柔軟性で勝負するようなキャラを作ることもまた一つの手段ではあるわけだ。


 まぁ、詳しいことは次回以降の講義に回すことになるが、次回の講義について、一つ厭な情報が入っている。


真姫:い、厭な情報なんですかッ?!Σ(゚ロ゚ノ)ノ


賢介:ああ、なんでも、次のキャンペーンに登場を予定していた方達が、次回の講義からの特別講師としていらっしゃるらしい。


ディック:ど、どうしたんだぶらざー?そんなに震えてるだなんて、らしくないじゃないか。


賢介:震えもするさッ!!


 その特別講師がおやびんと獅子威さんだと知ったらッ!!


真児:オヤビン?シシ…イサン?


晃太:…………あー、そーいえばオレ、本編ではまだ藍空市離れて任務中だったんだ。じゃ、オレはこれでッ!!


賢介&ディック:あからさまに逃げようとするなッ!!


晃太:いーやーだーッ(抵抗)!!





 ―― 百戦錬磨の兵達―― そう言ってもいい三人をここまで恐怖に陥れる『おやびん』『獅子威』とは一体何者なのか。


 『なぜなにダブルクロス』―― 急転直下の次回でござります。





賢介&ディック&晃太:他人事のように言うな――――ッ!!





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