コラム〜『なぜなにダブルクロス』16・バッドステータスにご用心!〜





黒岩賢介:今コラムの講師。


 藍空支部の医療班のリーダーだというのに、『前衛でもいけるノイマン』という器用さがとなり、大半の講義において非常にいい感じで便利使いされているワーカーホリックな方。


 でも、犬シッポの娘さんを差し入れたら途端に元気になるという辺り……この業病は相当根深い模様である。


宍戸椎奈:今コラムの特別講師。


 元来が戦闘技術教官ということもあり、基本的に講義の内容が戦闘絡みになると元気に登場してくれるお方。いえ、何も本人が好戦的だなんてことは、これっぽっちもいう心算なんかございません……だって、敵に回したら怖いじゃん。


 でも、ちょっと合気道やってたり、ちょっとワルサーPPK/Sの40周年記念モデルを入手してうはうはな姿を見ていると―― 口が裂けたら言えません


橋尾晃太:今コラムの受講生。


 もともとはプレイヤーが設定したNPCだというのに、非常に使い勝手がいいので、今コラムでは唯一皆勤賞を成し遂げているUGチルドレン―― と言えば聞こえはいいが……こういった場所で『使い勝手がいい』というのは即ち道具教材として、という意味なので、この皆勤賞が果たして出世というべきか否かは―― まぁ、皆さんが判断して頂けたらよござんす。


 そんな晃太だが、鍋や包丁を振るうことがいい気分転換になっているようではある―― ルームメイトともども肉体派なので、作る分量がえらいことになってるけど。





ディック・W・アーヴ:今コラムの受講生。


 基本的に戦闘向きではない―― というか、サボり屋だというのにその手持ちエフェクトが今回のテーマに合致しているために登場を余儀なくされた方。まぁええやん。このご時世、仕事があるだけ幸せってモンだよ?


 そんな彼を癒してくれるのは、ランドセルを背負った大人の女性であるトカないトカ。


 ……相変わらずの趣味だ。





ディック:晃太……今回ししぃ姐さんの講義っていうことは、戦闘班のお前や、それこそ何でも出来るぶらざーが連れてこられるのは判るけど、どーして俺まで?


晃太:確かに謎っスよね。そもそもディックさん諜報班っスから、宍戸教官のガチ講義に耐えられるとは思えないんスけどねぇ。


椎奈:失礼な事を言わないよーにっ(ごしゃっ!)!


 それはそうと、今回の講義のテーマは『バッドステータス』と『その他のペナルティ』についてになんだけど―――― おーい、晃太くん?


起き上がる晃太:死ぬかと思ったじゃないっスかッ!?つか、オーヴァードじゃなかったらマジに死んでるっスよッ?!


椎奈:大丈夫だよっ!殺す心算だったら《破壊の爪》と《フルパワーアタック》も組み合わせてるからっ!


 それはいいとして、今の晃太くんのように、エフェクトを組み合わせた攻撃によって転がされる『転倒』状態や、攻撃でHPが0以下になってしまった場合の『昏倒』『死亡』状態のような、所謂通常とは違った状態に陥ることを『バッドステータス』と言うんだけど……他にはどんな状態があるか、賢介さん、挙げてみてっ!


賢介:何らかの攻撃によって朦朧としている『目眩』と、武器を絡め取られてる『捕縛』HPはあるけど意識そのものを喪って、そのラウンドでの行動が出来ない『気絶』がありますね。


ディック:えっと……それだけなの?意外に少ないね。


賢介:ああ、そうだよぶらざー。しかも、最後に挙げた『気絶』状態の場合、殆んどPCには関係ないというか……『気絶』状態に陥らせるためのこれといったエフェクトやアイテムがないから、『気絶』についてはバッドステータスへの対処法を考える上では除外してもいいかも知れないね。


ディック:あれ……エフェクトやアイテムが用意されてないんだよね?じゃあ、なんでそういった状態が用意されているのかな?


椎奈:あ、賢介さんにディックさん、ちょっと違うよっ。正しくは『オーヴァードであるPCが陥ることはない』ということだから、《ワーディング》の影響を受けた一般人のNPCや、オーヴァードとして覚醒していない状態のPCが『気絶』状態に陥ることはあるからねっ!


 ただ、気絶状態で攻撃を受けても、その攻撃では即座にHPが0になって昏倒するだけ―― つまり、一撃で死ぬことはないし、ラウンドのクリンナップで自動的に状態は回復出来るから、『気絶』状態というのは、そのラウンドだけに限定された、ごく限定的な『昏倒』に近い状態だと思えばいいかなっ!


賢介:……ということは、『気絶』状態の使い方としては、《ワーディング》で動けなくなった覚醒前のPCが攻撃を受けて死亡した後に覚醒した―― といったシーンの演出を行うという使い方が出来る、と言ったところですね。


椎奈:うん、そうだねっ!


 まぁ、裏返せばそういった使い方以外にPCが『気絶』状態を使うことは出来ないといっても過言ではないんだけどねっ!


晃太:でも、こういった『一発喰らっただけでは死なない』なんて抜け道がある状態異常って、どっかで使ってきそうっスよねぇ……ウチはGMがGMなだけに


賢介:ありえるっ(どきっぱり)!!





 ―― やかましい。





椎奈:でも、使える状況が少ないことに変わりはないから、『気絶』状態について考察するのはここまでにしておいて…『死亡』『昏倒』『気絶』以外の、エフェクトやアイテムによってPCが陥ることになるバッドステータスの影響についてちょっと説明しようかなっ!


 という訳で、晃太くん―― 他の三つのバッドステータスがどんな影響を与えるかと、エフェクト以外で回復する方法について言ってみてっ!


晃太:『転倒』は[回復するまでダイスペナルティ1個&全力移動、戦闘移動が出来ない]って制限で、回復するには、さっきオレがやったようにマイナーアクションを消費して『立ち上がる』って宣言する必要があるっスね。


 で、『目眩』は[回復するまでダイスペナルティ2個]で、特に行動しなくてもラウンドのクリンナップで自動的に回復する……で、『捕縛』は[回復するまで捕縛された武器を使用出来ない]って制限で、回復するためにはマイナーアクションとメジャーアクションを消費しないといけないって厄介な手順を踏まないといけないっスね。


椎奈:流石にバッドステータスには詳しいねっ!


晃太:まぁ、前にも言ったことっスけど、バッドステータスってのは特に受けキャラについて回る宿命みたいなモンっスからね……どうやって回復するかを知った上で対応出来る手段を持っておかないと手も足も出せなくなるっスよ。


ディック:で、晃太の場合はどういう対抗手段を持ってるんだっけ?


晃太:『転倒』の“移動不可”対策として《韋駄天》と、『捕縛』対策として《インフィニティ・ウェポン》……あと、『目眩』対策ってほどでもないけど、ダイス2個ぐらいなら《フルインストール》と《サポートデバイス》があれば充分対応出来るっスよ。


賢介:とは言っても、いちいち回復のためにエフェクトを使うことに関しては、消耗が激しくなることに変わりはないからな……以前コラムでも言っていたように、ここぞというところでは受けばかりじゃなく避けも考慮しておいた方がいいけどな。


椎奈:そうだねっ!賢介さんの言う通り、バッドステータスから回復するためのエフェクト以外の、バッドステータスに対応出来るエフェクトが使えるからといっても、その使用するエフェクトの使用回数や使用する数が多ければ多いだけ侵蝕率もそれだけ上昇することになるんだし、例えば『転倒』『捕縛』状態が複合した場合には、晃太くんの言っていた『対応手段』も片方にしか対応出来なくなってしまうっていう難点もあるからねっ!


賢介:あー、そう言えばそうですね。『転倒』から回復するのも、『捕縛』された武器を持ち替えたり、《インフィニティ・ウェポン》のような新たな武器を作るエフェクトを使用するのも、原則一回で一つしか行えない『マイナーアクションを消費する』行動という部分では変わりないですからね。


椎奈:そういうことっ!だからこそ、ディックさんの《冥府の棺》のように、一回使うだけで蒙っている全てのバッドステータスを回復出来るようなエフェクトがあると重宝するんだよねっ!


晃太:まぁ、そうは言っても『捕縛』状態に出来るエフェクトがエグザイルの《エンタングル(命中した相手の武器を捕縛するエフェクト)ぐらいしかないってのが、救いっていえば救いっスけどね。


 いくら厄介な攻撃だからって言っても、毎回毎回敵としてエグザイルを出すとなると、マンネリ以外の何者でもないっスからね、やっぱり。


賢介:世の中には『複製体』というDロイスもあるけどな(ぼそ)。


椎奈:まぁ、賢介さんの言う通り、『複製体』もあるにはあるけど……ディックさんのオルクス・シンドロームにも、『捕縛』と似たような効果を与えるエフェクトがあるんだけどねっ!


ディック:…………ああ、なるほど。《グレムリン爆弾(グレムリンボム・<意志>による対抗判定に失敗した対象の任意の装備を一つ外すエフェクト。装備し直すにはメジャーアクションが必要)かー。


椎奈:そーいうこと。まぁ、《グレムリン爆弾》は<交渉>に準拠したエフェクトだから、ディックさんのようなブラム=ストーカー・シンドロームよりはハヌマーン・シンドロームやソラリス・シンドロームのような、戦闘において<交渉>を何らかの形で有効に活用出来るようなエフェクトを持っているシンドロームとの組み合わせの方が使い勝手はいいけど、<意志>判定にダイスボーナスとかクリティカル値低下のような明確な効果をもたらすエフェクトも少ないから、隠し球として持っておくのは有効と言えば有効だよねっ!


賢介:それに、オルクスはオルクスで<交渉>のクリティカル値を下げることが出来る《領域調整》もあるし、対象の数を増やす上ではかなり優秀な部類に入る《要の陣形》もあるから、特にボスが複数いる場合には強力さは際立ちますよね。 ^^)


晃太:逆に言えば、ボスに使われたらたまったモンじゃないってことっスけどね。


 高侵蝕率のボスに《要の陣形》使われるのは、5人パーティまでなら実質シーン全体攻撃のようなモンだし。


賢介:確かにキツいよな。6人パーティなんか、今時コンベンションでもなかなかお目にかかれないからな。





 ―― そーそー。GMも最後に6人パーティやったの、サークルでもコンベンションでも13年前(2009年4月現在)が最後だからなぁ。





椎奈:あと、このエフェクトを使う上で注意しておかなければいけないこととして一つ―― 《エンタングル》と《グレムリン爆弾》は両立はするけど、どちらもエフェクトの効果である以上、重ね掛けは利かない、というエフェクトの大前提に反する使い方は出来ない、ということは覚えておかないといけないねっ!


ディック:エフェクトの大前提、というと?


賢介:一定の期間効果が持続する、同じエフェクトを使った場合、後に使われたエフェクトの効果が適用される、というルールだよ。


 例えば《エンタングル》で晃太の義肢を捕縛して、その上で《グレムリン爆弾》で晃太の防弾・防刃ジャケットを装備から外したとしようか。


晃太:まー、その場合当然オレは《インフィニティ・ウェポン》で武器を作るし、いざとなれば《アーマークリエイト》で防具も作るっスけどね。


賢介:当然そう来るよな。


 でも、ここで晃太が《インフィニティ・ウェポン》で作った武器を再度捕縛したり、《アーマークリエイト》で作った防具を外そうとすると、前に使われていた《エンタングル》《グレムリン爆弾》の効果はそちらに移行してしまい、使用出来なかった義肢や防弾・防刃ジャケットは再度使用出来るようになるんだ。


ディック:えっと……それは他のキャラが使ったエフェクトに対してであってもなのかな?


椎奈:そうだねっ!だから、この特性を悪用すれば味方が蒙った不利益を、例えば予備の武器を捕縛したり、使用済みのリアクティブアーマーを装備から外したりするというやり方で回避することも可能になってくるわけだねっ!


ディック:悪用って……姐さん、断言しすぎです(笑)。


晃太:ま、そうは言っても真琴や真児のような、素手以外の攻撃手段を持ってないような奴らには、やっぱり『捕縛』状態はキツいことに変わりはないっスけどね。


賢介:確かに、素手をメインの攻撃手段としているキャラが捕縛されたりするのは致命的だからな。


椎奈:だからこそ、さっきも言いかけたことだけど、《冥府の棺》や《揺るぎなき心(マイナーアクションで使用することで全てのバッドステータスを解除するサラマンダーのエフェクト)》《異形の守り(バッドステータスを即座に回復するエグザイルのエフェクト)》《セットバック(バッドステータスを即座に回復するバロールのエフェクト)のような、バッドステータスを解除するためのエフェクトは出来るだけ覚えておいた方がいいねっ!


 あと、今挙げた四つのエフェクト以外にも、ハートレスメモリーで追加された一般エフェクトの《リフレッシュ(レネゲイドを活性化させて体勢を立て直すことで、バッドステータス、ダイスペナルティ、移動不可の効果を即座に打ち消すエフェクト)も、上昇する侵蝕率は8とかなり高い部類に入るし、1セッションにつき1回だけしか使えないって難点はあるにはあるけど、今まで挙げていたバッドステータスのリスクと照らし合わせた上で考えると、是非覚えておきたいエフェクトではあるといえるかなっ!


晃太:そっスね。ただでさえバッドステータスは手数が制限されることに繋がるモンっスからね。


 シンドロームにバッドステータスを解除するエフェクトが備わっているとか、オレのような何らかの対抗手段を持っているか、さっき教官が言ってた、重ね掛けを悪用して本命の武器を使えるようにするなんてルールの裏を突いたやり方が使えるか―― 最悪、《アクセル》でセカンドアクションに自由に行動させることも出来るようなパーティじゃないと、攻撃の手数がガタ減りして、手も足も出ないまま一方的に攻撃を喰らう、なんてことになりかねないっスからね。


ディック:……?『移動不可』というのはバッドステータスに入らないのかな?


賢介:うん、そうだね。エフェクトで言えば《ペトリファイ(対象の足元を砂で捉え、その砂を石化させることで一定のラウンドの移動を封じるモルフェウスのエフェクト)《縛鎖(対象を蔓で縛ることで、そのラウンド中の移動を封じるオルクスのエフェクト)の二つがこの効果をもたらすエフェクトなんだけど、どちらも一定のラウンドが経過すれば自動的に回復することが出来る分、移動を封じるという効果が強まっているものだからね。


 『移動不可』と言う状態は、ダイスペナルティを与えることがない限定された転倒状態に近いものと思ってもいいかな。


椎奈:でも、『移動不可』状態でも、移動させること自体は出来るんだけど―― その方法にはどんなものがあると思う……じゃあ、晃太くんっ!


晃太:エグザイルの《妖の招き(白兵攻撃を命中させた対象を自らのエンゲージに引き寄せるエグザイルのエフェクト)とか《虚空の陥穽(<RC>による攻撃を命中させた対象を自らのエンゲージに引き寄せるバロールのエフェクト)みたいなエンゲージに引き寄せるエフェクトと、逆に《吹き飛ばし(白兵攻撃を命中させた対象を任意の方向に弾き飛ばすキュマイラのエフェクト)》《斥力の槌(重力を操り、組み合わせた攻撃でダメージを受けた対象を任意の方向に吹き飛ばすバロールのエフェクト)みたいな、エンゲージから吹き飛ばすタイプのエフェクトっスよね?


椎奈:うん、正解だねっ!


 特に、引き寄せるタイプのエフェクトを組み合わせた攻撃はダメージは0になるから、味方に使うことでカヴァーリングを行いやすくする、というメリットもある、ということは覚えておいた方がいいねっ!


ディック:本当に便利だなぁ……触手って。嗚呼、生まれ変わったら触手になりたい(*´Д`)


賢介:それ以上触手に引き寄せられちゃ駄目だ、ぶらざーッ(一同大爆笑)?!


晃太:つか、エグザイルじゃなくて触手っスかっ!?








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