ゆうやけコラム・2 すずちゃんに聞いてみよう〜変化・もののけ・土地神様
ゆゆ:あ、すずちゃんすずちゃん?
鈴音:なんじゃ、ゆゆ?
ゆゆ:すずちゃんって、おやしろを持っているんだから、土地神さまなんだよね?
鈴音:いや、お社を持っていても土地神、というわけではないぞ。ただの変化であっても、わしのような狐であればお社を持つことは出来るし、逆に、土地神だからといっても、古い木の土地神のように、お社らしいお社を持たずにただそこにあるだけという土地神どのもいる。
とはいえ、土地神というのは変化やもののけといった『あやかし』の類の中でも特に年を経て力を得たもの、というものが大半なのじゃから、その区別は実に曖昧なものなのじゃがな。
ゆゆ:……んっと、『もののけ』さんっていうのは、サーカスの時に会ったタローくんみたいなゆーれいさんとか、ギンちゃんのようなにょろにょろさんなんかを言うんだよねっ!
鈴音:うむ、そうじゃな。しかし、もののけはそのような判りやすい『妖怪』以外にも、熊や猪、蛙やアザラシのような人とはややなじみの薄い動物の変化なども含まれるのじゃ。
ゆゆ:……? かえるさんは田んぼに一杯いるよ?
鈴音:確かにゆゆの言う通り、蛙は人里でも見ることが出来る動物には違いないのぅ。じゃが、わしらや人のような『陸の世界』の住人とは違って、蛙も『水の世界』の住人じゃからな。そういった意味では、わしらのような変化ではなく、もののけの一種である『河童』の眷属であると言えるじゃろう。
こたろ:あと、もののけと俺達のような変化との違いには、人に正体を見抜かれたときの驚かれ方が違う、というのもあるな。
鈴音:うむ。変化よりも人から遠い存在な分、人から恐れられる度合いも少しだけ大きい、ということになる訳じゃな。
ゆゆ:でも、もののけのみんなも人と仲良くしたいんだよね。
こたろ:そうだな。だから、もののけ達は人と出会った時には余程のことがない限り、びっくりさせないように気をつけているし、びっくりさせてしまいそうな場合――完全な人間態に変身するための想いやふしぎがより多く必要になる朝や昼なんかには、出来るだけ人前に現れないようにするといった工夫もしている。
鈴音:しかし、龍浦のもののけの中には朝や昼であっても人前に出て行って、しかも受け入れられている剛の者がいるようじゃな。
こたろ:コータローのことだな。好きな人と一緒にいたい、の一念でああまで出来るというのは、ある意味尊敬に値するな。
ゆゆ:ゆゆもみんな好きだよー。
こたろ:そうだな。その気持ちを忘れるんじゃないぞ、まめ(前足でかいぐり)。
ゆゆ:えへへー(てろてろ)。